元気が出る、勇気がわいてくる、営業の物語8

私は自動車関連の部品メーカーで、研究をしています。
 
 
予算時期になると、急に多くの営業の人からの連絡が増えます。
こんな時、営業が聞いてくることは、みんな一緒です。
「何か案件はありませんか?」です。
ほとんどの営業がそうです。
 
 
ただでさえ忙しい予算の時期に、矢継早にかかってくる電話。
私は、全て断るようにしております。
ただ、「一人の営業は除いて」です。
なぜ、その営業の人とは忙しくても会うのか、ちょっとお話しましょう。
 
 
「弊社で最近開発した製品は非常に良くて…お話だけでも…」
その営業の方からの初めての電話でした。
「お電話ありがとうございます。ただ、そのような設備は間に合っておりますので、また何かありましたらこちらからお電話させていただきます。」
と、その時は断りました。
 
 
それから数日後、また、その営業の人から再度電話がありました。
「たびたび申し訳ございません。先日、自社開発の製品の素晴らしさをきちんと表現できませんでした。勉強して何が素晴らしいのか、きちんと自分の言葉で表現できます。是非お話しだけでも…」
その言葉を聞いて、この営業の人の何か真摯なもの、よい意味での意欲的なものを感じました。
「では、少しの時間でもいいですか…」
思わず、面会の了承をしてしまったのです。
 
 
初めて、その営業の人と会う日が来ました。
見た目にも若い、まだ入社数年くらいの営業でした。
面会中は、目を輝かせ、熱心に説明をします。
製品にもいくつか技術的に面白いこともありました。
ただ、その時はお話しを伺うにとどめ、「また何かありましたら…」ということで面会が終わりました。
 
 
その数日後、その営業の方から、再び連絡がありました。
「先日はありがとうございました! 先日教えていただいたニーズに合う製品があるのですが…」
 
 
その後何度も来社頂き、話を伺いました。
正直、私は予算の最終権限を持っていませんでした。それはこの営業の人にも伝えておりました。
それでも、その方は非常に熱心に、明るく私に接してくれました。
実は、私は、その時、この営業の人から、たくさんの元気をもらっていたのです。
いや、「元気ということはこういうことなのか!」と教えてもらった、というほうが正しい表現のような気がします。
 
 
その後、その営業の人へ、金額も大きい案件を発注したのは、偶然ではありません。
とにかくニーズを良くつかんでいただき、無駄足を何度も踏んでいただき、それでも明るく熱心に接していただける。
「この営業のために何かしたい」と思いました。
 
 
高額な案件でしたが上司を説得するのに、彼の熱意も私を動かしていたと思います。
この営業の人は既に昇進し、今では会う機会も極端に減りましたが、たまに連絡をする仲になっております。 
 
 
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