新規顧客から確率高く新規案件を開拓するための方法とは! ~ 新規のお客様をより多く開拓できている営業組織が行っている5つの実施項目

既存のお客様からの売上に頼りすぎ、業績が低迷している企業を見かけます。既存のお客様だけではなく、営業担当者が新規顧客を開拓し、新たな受注を獲得していくことは企業の目標達成や成長の必須条件です。

ですが、新規のお客様を開拓することは簡単ではありません。人は会いやすい人との面会を優先させる傾向があり、営業担当者は新規のお客様に訪問しようとしません。また、実際に面会できたとしても新しい案件を創出することは簡単ではありません。

どうすれば、新規のお客様をより多く開拓し、その新規顧客から案件を生み出すことが出来るのでしょうか。新規顧客開拓を行うために必須で実行すべき5つの実施項目について解説します。

新規のお客様をより多く開拓できている営業組織が行っている5つの実施項目

多くの企業が行っている一般的な新規開拓の方法とは?

マーケティング活動により新規顧客の連絡先を入手する

新規のお客様と面談できるようにするためには、まず、そのコンタクト先(連絡先)を手に入れる必要があります。そのために、多くの企業では、一般的に、以下のようなマーケティング活動に取り組んでいます。

◆ 業界名簿を使ったテレマーケティング (アウトバウンドコール)
◆ ダイレクトメール(DM)
◆ FAXメール(技術情報誌の送付を含む)
◆ ホームページへの問合せ
◆ 飛び込み営業
◆ 展示会やセミナー
◆ 新聞や雑誌の広告
◆ 紹介

連絡先が分かったお客様と面会し、新しい案件機会を探る

マーケティング活動によってお客様のコンタクト先(連絡先)情報が手に入ったら、次は、インサイドセールスや営業担当者たちがアポイントメント(面会の約束)をとり、そのお客様と初めて面会します。

私たちは「営業力診断(営業力アセスメント)」サービスを提供していますので、そのアセスメントのために、営業担当者とお客様の面談に同席することがあります。営業担当者たちと新規のお客様のコミュニケーションを観察すると、多くの営業担当者が行っていたコミュニケーションは以下のような流れでした。

◆ 面会のお礼とご挨拶
◆ 会社の紹介
◆ 導入企業の紹介(取引をしている企業の紹介)
◆ 商品の紹介
◆ なにか購入を検討しているものがないかの確認

面会が終わった後、営業担当者たちへその面会の自己評価を聞くと、ほとんどの営業担当者は下記のようなことを言っていました。

◆ 紹介した商品に関心を持ってもらえなかった。
◆ 購入を検討していなかった。
◆ 初めてのお客様なので深い話ができず、次回の面会の約束ができなかった。

やはり、新規のお客様との面会で新しい案件を発見することは簡単ではないようでした。

営業マネージャーたちの新規開拓に対する考え!

以上のような営業担当者たちの新規のお客様との面会状況に対して、営業マネージャーたちは下記のように感じていました。

◆ 新規のお客様開拓は難しいから時間がかかるだろう
◆ もっと営業担当者の提案スキルを高めないといけないだろう
◆ お金をかけて展示会を行ったのに、そこから新規開拓できないのは営業担当者たちの能力の問題だ

以上のように、営業マネージャーたちも「新規開拓は簡単ではない!」とわかっていました。また、「新規開拓できない原因は営業担当者のスキルの問題だ」とも考えていました。ですが、営業マネージャーたちが行っていることは「もっと新規開拓するように!」「もっと量を増やすように!」と言うだけで、営業担当者たちの新規開拓スキルの強化をしていませんでした。営業組織として新規開拓スキルの強化に取り組んでいるところがほとんどありませんでした。

これでは、営業担当者の新規開拓力が向上することはありません。結局は、営業担当者は会いやすい既存顧客ばかりを訪問するようになり、新規のお客様開拓が行われないままなのです。

新規顧客開拓を行う上で必須として取り組むべき5つの実施項目

新規顧客へ訪問して新しい案件を発見&開拓できるようになるためには、以下の5つの実施項目を実行する必要があります。

1. 新規開拓したい企業を決める
2. 年間計画を立案する
3. 推定される顧客の課題と提案を準備する
4. 新規顧客開拓の宣伝や広告を行う
5. 効果的な初回訪問を行なう

1. 新規開拓したい企業を決める

営業組織が十分に新規開拓できない理由の1つは「新規開拓したい会社はどこか?」を特定していないことです。様々な営業組織で目にするのは「自動車業界を開拓したい!」「建築業界を開拓したい!」「医療業界を開拓したい!」など業界だけしか特定していないことです。

「XX業界を開拓したい」という業界だけを目標としている企業の営業担当者は、「XX業界のA社に訪問したが、A社は関心がなかった。でも、この業界には他にも企業があるので、そこに行けば良い!」と考えていることが多いです。「他の会社に行けば良い!」という姿勢では新規のお客様を開拓することはできません。

なぜならば、事前の準備をすることなく(ホームページを確認する程度の準備しかせず)、「とりあえず行ってみよう!」という姿勢だからです。これではお客様に真剣さが伝わることがありません。営業担当者たちが今まで行っていたような「会いやすいお客様と面会する」ような姿勢で新規のお客様と面会してもうまくいくはずがないのです。

新規のお客様開拓を行なうためには、「xx年までにA社との取引を実現する」というような具体的な目標を立てて行うことが大切です。新規顧客の開拓ができている営業組織は、まず、このように「開拓すべき具体的な会社」を決めています。

(【参照】新規顧客したい企業を特定する方法 → 【法人営業研修】営業パーソンの営業活動計画力の強化 ~ 目標を確実に達成するために必須となる営業活動計画の作成方法(Planning Method for Achievement)

2. 年間計画を立案する

新規開拓したい具体的な企業を複数決めたら、次はそれぞれのお客様に対する年間の目標を決めます。その目標には最低限下記の3つを含めることが大切です。

◆ いつまでに初受注をすることを目指すのか?
◆ 目標とする年間の取引額は?
◆ そのお客様へ年間どのくらいの量の面会をするか?

事前にこのような目標設定をしておかないと、営業担当者はこれらの企業への面会をしなくなります。多くの営業担当者たちは「既存顧客の対応が忙しいので、手間がかかる新規顧客は後回しにしよう」と考えています。繰り返しになりますが、人は会いやすい人との面会を優先させる傾向があるのです。このことは営業担当者が新規顧客を開拓できない最も大きな原因です。

新規顧客の開拓ができている企業は、まず上記のように目標を明らかにしています。年初もしくは期初に「どれだけ新規顧客の開拓に時間をかけるか?」を決め、計画して新規顧客に接触していくことが大切です。

3. 推定される顧客の課題と提案を準備する

お客様が何かを購入するとき、お客様の社内には「購買プロセス」があり、その購買プロセスを通して購入の検討が行われています。

その購買プロセスの最初のステップは「課題」です。お客様は、初めて面会する営業担当者から売り込まれる商品/サービス/ソリューションが、「会社や部署の課題達成や問題解決に必要だ!」と感じなければ購入を検討することはありません。すなわち、お客様との初めての面会では、商品/サービス/ソリューションを紹介するだけではなく、下記のようなことをお客様と話し合うことが大切です。

◆ そのお客様のどのような課題解決に役立つか?
◆ そのお客様のどのような問題を解決できるか?

確率高く新規顧客の開拓ができる営業組織は、営業担当者が新規顧客を訪問する前に、以上のことを話し合うための事前準備をしています。

「1. 新規開拓したい企業を決める」のところで「業界を目標とするのではなく、具体的な企業を目標とする」と説明しました。お客様にとってより関心が高い課題や問題を話し合えるようにするために、具体的な企業を目標にしているのです。

新規開拓したい具体的な企業名を目標とするからこそ、その面会するお客様にとって関心が高い提案を事前に準備することができます。そのためにも、訪問前にそれらの企業を研究し、そのお客様が挑戦している課題や解決しなければならない問題を明確にすることが大切です。

(【参照】顧客課題とご提案を準備する方法1 → 【法人営業研修】 積極的営業力(プロアクティブセールス力)強化 ~ 率先して働きかける営業の具体的実践方法!(Proactive Sales Method)“)

(【参照】顧客課題とご提案を準備する方法2 → 【法人営業研修】 戦略的アカウント営業 TSメソッド ~ 業界内で大きなシェアを獲得している大企業との取引拡大を達成!(Strategic Account Sales, TS-Method)

4. 新規顧客開拓の宣伝や広告を行う

新規開拓したい企業が明確になると、宣伝や広告などのマーケティング活動をより効果的に行うこともできるようになります。

例えば、外部のテレマーケティング会社に電話営業を依頼するにしても、業界全体を対象にして依頼するよりも具体的な企業に対して依頼したほうが少ないコストで高い効果を得ることができます。

ダイレクトメールやホームページの準備や展示会やセミナーを行なうにしても、その新規開拓したい企業を想定して行ったほうが、お客様の関心が高いコンテンツや展示品を準備することができ、その結果として、アポイントメントを取得できる確率を高めることができます。

または、その企業のコンタクト先をだれかに紹介してもらうときにも、「A社の人と面会したいのですが…」と具体的な会社名を特定してお願いしたほうが紹介してくれる可能性が格段に高まります。

コンタクト先(連絡先)情報を集めるための方法はいくつかありますが、それらの活動をより効果的に行うためには「3. 推定される顧客の課題と提案を準備する」で説明した「お客様が挑戦している課題や解決しなければならない問題」を事前に準備することが大切です。そして、それを活用することで、コンタクト先(連絡先)の情報をより効果的に集めることができるようになります。

5. 効果的な初回訪問を行なう

コンタクト先(連絡先)情報が手に入りましたら、お客様に面会のお願いをします。その際、このノートの冒頭で紹介しましたが、そのお客様との初めて会う時に下記のことだけをしても、新規案件を開拓することができません。

◆ 面会のお礼とご挨拶
◆ 会社の紹介
◆ 導入企業の紹介(取引をしている企業の紹介)
◆ 商品の紹介
◆ なにか購入を検討しているものがないかの確認

営業担当者がこのようなアプローチを行うと、下記のような状態となってしまい、せっかくの面会をムダにしてしまいます。

◆ 紹介した商品に関心を持ってもらえなかった。
◆ 購入を検討していなかった。
◆ 初めてのお客様なので深い話ができず、次回の面会の約束ができなかった。

初めての面会で必要なことは、お客様と「どのような課題や悩みを抱えているか?」「その課題をどのように解決できるか?」について話をすることです。その上で「次の面会の約束をする」もしくは「他の方をご紹介頂く」ことができれば、新規の案件を開拓することができるのです。

このようなことができるためには、営業担当者のスキルを強化する必要があります。実際に、新規顧客の開拓ができている営業組織は、新規顧客へのアプローチ方法の教育を行っています。基本的には下記のアプローチについて学び、これらを実際の商談で実施できるようにする必要があります。

◆ 良好な雰囲気を作る
◆ お客様の課題について話し合う
◆ 効果的なご提案をする

(【参照】【法人営業研修】商談開拓スキル強化 ~ 「商談開拓技法」が営業パーソンの提案力を強化し、商談総額を2倍へ増やす!(Developing New Opportunities)

インサイドセールスも新規顧客開拓のための能力強化が必須

最近は、インサイドセールスが新規のお客様の問合せに対応することが多くなっています。最近のお客様のほとんどがインターネットで検索して、関心のある企業へ問い合わせをします。その最初の対応をインサイドセールスが担うのです。

また、過去取引があったお客様へ、こちらから新しい商品/サービス/ソリューションを提案することもインサイドセールスが担うようになりつつあります。

売上パフォーマンスを向上させるためには、外回りをするフィールドセールスだけではなく、インサイドセールスもこの「5つの実施項目」に関わるスキルを体得することが必要な状況になっています。

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新規顧客開拓を計画的・戦略的に行おう!

時折、「教育や指導しなくても、自分で新規顧客開拓ができるようになるべきだ」と言う営業マネージャーがいます。確かに自分でできるようになる営業担当者は存在します。ですが、そのような営業担当者は一握りです。

多くの営業組織を見てきましたが、「教育や指導しなくても、自分で新規顧客開拓ができるようになるべきだ」と言う営業マネージャーの率いるチームの目標達成度は概して高くありませんでした。自分でできる営業担当者だけに頼っているからです。営業組織やチームとしての業績(パフォーマンス)は営業マネージャーのマネジメントや指導力次第なのです。

是非、あなたの会社の新規顧客の開拓をより効果的にするために、今回解説した5つの実施項目を実施してください。この5つの実施項目は、実際に新規顧客の開拓ができている営業組織が行っていることです。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。営業力を強化するための豊富なノウハウと経験があります。もし、行っても新規顧客の開拓が期待通りに増えない場合には、遠慮なく連絡ください。どこかに問題が潜んでいて、上手く行っていないようです。貴社と力を合わせ、その原因を発見し、新規の客開拓を増やす支援をします。

(本ノートは、2008年8月3日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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