経験があり、仕事ができる人ですら、組織が直面する問題解決の邪魔となっている! ~ チームで組織問題解決を行う時に、真のリーダーシップを発揮するための注意点

組織の中には様々な人が存在しています。数人で問題解決を行う時、その問題解決に悪影響を及ぼす人もいます。例えば、反論する人/関わろうとしない人/能力が十分ではない人などです。

それ以外にも、豊富な経験のある人/リーダーシップがある人/結果を出している人/能力がある人/責任感のある人などでも問題解決の邪魔をしていることがあります。厄介なのは、後者のような人々は、問題解決の障害となっているのに「自分は問題解決の役に立っている」と勘違いをしていることです。

あなたは、このような厄介な人になっていませんか?

「実力があるのに、知らず知らずに問題解決の邪魔をする人は、どのようなことをしているのか」そして「自分がそうならないようにするためにはどうすればよいのか」について解説します。

チームで組織問題解決を行う時に、真のリーダーシップを発揮するための注意点

問題解決を邪魔する人々

ちょっとしたことが、大きな問題を引き起こす

あなたの周りには、以下の様なことをする人はいませんか?

◆ フィルターにかける:特定の情報を報告せず、隠す
◆ 大げさに言う:情報を膨らませて、誇張する
◆ 改ざんする:情報に手を加えたり操作したりする
◆ ねつ造する:実際には存在しない情報を作り出す

いくつかの企業が、これらのキーワード「フィルター」「大げさ」「改ざん」「捏造」に関する社会的問題を引き起こしています。例えば、虚偽表示/粉飾決算/隠蔽などです。このような問題を引き起こした企業は、その結果として、社会的な制裁を受けて、消滅した企業もあります。巨大な企業であっても、このような問題を引き起こすと、企業として存続できない事態へ陥ってしまいます。

これらの企業がそのような問題を引き起こした最初のきっかけは、「ちょっとした悪いエゴ」です。最初は、ちょっとしたエゴだったのです。次第に歯止めが効かなくなり、悪いエゴの悪影響が広がっていきました。

ちょっとした悪いエゴが企業の存続に悪影響を及ぼすこともあるのですが、問題解決においても同じようなことが起こっています。組織の中で、社員が「フィルター」「大げさ」「改ざん」「捏造」などを行うと、チーム内の信頼関係や一体感が失われることになり、問題解決に悪影響を及ぼします。

なぜ、人は、このような問題解決に悪影響を及ぼすのか?

今、一人でも多くの社員が力を発揮することが重要な時代となっています。社員たちが長所や強みを発揮し、高い価値を生み出すことが、企業の成長の重要な条件の1つだからです。

社員が、「自信/機敏/鋭い才覚/強い決意/献身/コミットメント/忍耐力/説得力/リーダーシップ」などの長所や強みを自覚し、発揮することが期待されています。このような社員が多いからこそ、組織が活性化され、事業を成長させることができます。私たちも「社員が、このような長所や強みを自覚し、それを発揮することが大切だ!」と考えています。

しかし、長所や強みを自覚して発揮しようとする時、知らず知らずのうちに、私たちの中に内在している「エゴ」が作用します。エゴは、以下のような係数のように作用しているのです。

長所(強み) x エゴ = 長所(強み)

以上のように、私たちの中に内在しているエゴがプラスの係数となっている時、私たちが自覚し発揮したいと思っている長所や強みが、周りの人から見ても長所や強みと認めてもらえるのです。例えば、「機敏さが私の長所だ」「強い決意が自分の強みだ」と考えて行動をしていると、周りの人も「あの人の機敏さのおかげで、仕事がうまく進んでいる」「あの決意のおかげで問題が解決できた」というように長所や強みとして認められるのです。

ところが、そのエゴがマイナスの係数となった時には、以下のように作用します。

長所(強み) x エゴ = 短所(弱み)

このようにエゴがマイナスの係数となると、私たちが発揮したいと考えている長所や強みが、周りの人には短所や弱みと見えるのです。例えば、「自信のある姿勢が私の長所だ」「私のリーダーシップは自分の強みだ」と思っているとしても、周りの人は「あの人は、自分だけができると思っている」「周りへの配慮をもっと考えるべきだ」など、短所や弱みと判断してしまうのです。

すなわち、周りの人はあなたに対して、賛同できない/協力しない/ついていく気はない、と考えているのです。

「長所や強み」を周りの人から認めらもらう方法

あなたのエゴの係数は、プラスの係数でしょうか、それとも、マイナスの係数でしょうか?

「自分の中のエゴの係数がプラスなのか、マイナスなのか」が判断できなければ、問題解決の邪魔をする存在となりかねません。あなた自身の思考/言動/態度や振る舞いを以下の3つの観点で見つめることで、あなたのエゴの状態を判断することができます。

3つのうちのどれか1つでも「やってしまっている!」と感じるならば、あなたのエゴの係数はマイナスの係数です。すなわち、あなたが自覚し発揮したいと考えている長所や強みは、悪く作用するエゴのせいで、周りの人からは短所や弱みと見えるのです。

◆ エゴ1. 自分の優秀さをひけらかす
◆ エゴ2. 自分の意見を認めさせたい
◆ エゴ3. 自分を守ろうとしている

エゴ1. 自分の優秀さをひけらかす

「自分の優秀さをひけらかす」人は、以下のような思考/言動/態度や振る舞いをしています。

◆ 過去の経験談を誇張・アピールする(「自分はこうやった」)
◆ 討議よりも、演説を優先する
◆ 難しい用語、専門用語を使う
◆ 相手が「知らない」ことに対して、優越感を表情に出す
◆ 「自分が知らないこと」を受け入れない、避ける
◆ 人の意見に対して、耳を傾けない
◆ 必要以上に、細かいことを指摘する(重箱の隅をつつく)

エゴ2. 自分の意見を認めさせたい

「自分の意見を認めさせたい」人は、以下のような思考/言動/態度や振る舞いをしています。

◆ 必要以上に大げさにいう
◆ 人の考えを受け入れない
◆ 自分の考えが正しく、他の人の考えは間違っている、と考える
◆ 自分の言う通りに行えば良い、と考える
◆ 「結果」を出すよりも、「自分が大切にされること」を優先する
◆ 自分の都合の悪いことを隠す
◆ 自分の意見が採用される情報やデータだけを使う

エゴ3. 自分を守ろうとしている

「自分を守ろうとしている」人の代表的な思考/言動/態度や振る舞いには、以下のようなものがあります。

◆ 難しいことから避けようとする
◆ 自分の立場に悪影響を及ぼすことから避けようとする
◆ まず、「忙しい」「時間がない」「できない」をアピールする
◆ 内容を検討することよりも、「否定」されることを極端に嫌う
◆ 人のせいにする
◆ 意見を言おうとしない、発言しない
◆ 言われたことだけを、言われた範囲で行う

悪く作用するエゴが問題解決に及ぼす悪影響

チームで問題解決に挑戦する時に、以上のような悪く作用するエゴが、チームでの問題解決に悪影響を及ぼします。

もし、「これらの思考/言動/態度や振る舞いをやってしまっている」と感じているならば、エゴが悪く作用している状態です。あなたは知識があり、経験もあり、結果を出していて、能力が高くても、周りの人はあなたの長所や強みを認めず、短所や弱みと捕らえています。そのような状態では、「あなたのリーダーシップが発揮できている」とはいえません。

あなたのエゴが、このように悪く作用している状態だと、チームが力を合わせて問題解決をしている状態にはなりません。チームのメンバーは、あなたと一緒では意欲的に問題解決の挑戦をしないでしょう。

そうなると、企業や組織は目標を達成できなくなります。事業も成長させることもできなくなるでしょう。更には、すでにお伝えしたように、「フィルター」「大げさ」「改ざん」「捏造」が増え、会社を危機的な状況にしてしまいます。

回りまわって、あなた自身にとっては、チームを団結させることができないわけですから、問題解決ができません。あなた自身の様々な機会も失っているのです。

エゴの対処方法

どうすれば、悪く作用するエゴを減らす事ができるのでしょうか?

その基本的な対処方法は、「時折、自分の思考/言動/態度や振る舞いのReview(反省)をすること」です。その際、以下を考えることで、効果的なReview(反省)をすることができます。

◆ どのような場面で、自己中心的なエゴとなる思考/言動/態度や振る舞いをしてしまったか?
◆ 実際に、どのような思考/言動/態度や振る舞いだったのか?
◆ 本来は、どのような思考/言動/態度や振る舞いをすることが望ましいのか?

このように、自分を振り返り、自分の思考/言動/態度や振る舞いを見直すことで、あなたが発揮しようとしている長所や強みに悪影響を及ぼすエゴを少なくすることができます。

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組織問題を解決する時に、真のリーダーシップを発揮するために

「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の原則」の著者ジェームズ・C・コリンズ氏は、その書籍の中で、以下のように語っています。

第五水準の指導者は、自尊心の対象を自分自身にではなく、偉大な会社を作るという大きな目標に向けている。我(が)や欲がないのではない。それどこか、信じがたいほど大きな野心を持っているのだが、その野心は何よりも組織に向けられていて、自分自身には向けられていない。

偉大なリーダーたちは、エゴを自己へと向けているのではなく、「偉大な会社をつくる」ことへ向けています。それと比べ、知識や経験のある人/結果を出している人/能力の高い人/リーダーシップを自認している人ですら、悪く作用するエゴ(優秀さ/承認欲求/自己防衛)のために、チームワークや問題解決の障害となっていることがあります。

このノートで解説した「自分の思考/言動/態度や振る舞いをReview(反省)すること」を継続することで、自己中心的なエゴをコントロールし、「事業や組織を成長させる」「組織が直面する問題を効果的に解決する」ことを中心に考えて行動できる存在として、ますます活躍できるようになります。ぜひ、チャレンジください。

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文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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