なぜ、お願いしても問題解決に協力してくれないのか? ~ 「組織問題の解決を依頼しても協力してくれない人」に対する対処方法

「企業や組織としての成果」は、たった1人が頑張っても達成できないことが多いです。企業の中では多くの業務が行われていますが、それぞれの業務は独立しているわけではなく、相互に連携しています。1つ1つの作業はメンバーが一人で行いますが、一人ひとりがチームの一員としての役割をにない、相互に協力し、チームメンバーの力を集結することで、大きな結果を手に入れることができるのです。

そのような中、問題に直面し、他の人の協力が必要な時、その協力をお願いした人が協力してくれないこともあります。どうすれば、人は協力してくれるのでしょうか?

今回は、問題に直面したときに、他の人が協力してくれる可能性を高める方法を解説します。

「組織問題の解決を依頼しても協力してくれない人」に対する対処方法

協力してくれない人に対して、一般的に行われている対処方法とは?

企業や組織の中で行われている仕事や業務は、多くの人がチームとして力を合わせて結果を出す仕組みになっています。それぞれの人の業務上の役割が決まっていますので、特に意識しなくても、日常の業務を行っていると自然と他の人と協力するように仕組み化されています。

業務を進めていると、悩ましい問題に直面することがあります。問題を解決するためには他の人の協力が必要なこともありますが、その問題解決のお願いしても協力してくれない人もいます。私たちの研修に参加したビジネスパーソンたちへ「あなたの会社には協力してくれない人はいますか?」と質問すると、かなり多くの人は「います!」と答えていました。集計まではしていませんが、私の体感的には90%以上の人が「協力してくれない人はいます!」と答えていました。

その「協力してくれない人がいます!」と答えた人たちへ、「そのとき、その人に対してどのような対処をしていますか?」と聞くと、その回答はおおむね下記の3つでした。

1. 無理やりやらせる
2. 上司から指示してもらう
3. 頼まない

1. 無理やりやらせる

協力してくれない人への対処方法の1つが「無理やりやらせる!」です。その人が協力してくれなければ、問題を解決することができません。ですので「どれだけ重要か!」を説明して、相手が納得していなくても無理やりやらせます。

この無理やりやらせることの問題点は、「品質」「時間」「相手の感情」です。相手に無理やりやらせているので、その作業の質が良くなく、また、期限が守られないことが多くなります。また、あなたに対する反感も芽生えさせてしまいます。

2. 上司から指示してもらう

2つ目の対処方法は、上司に「Aさんが協力してくれません。協力するように指示してもらえますか!」と依頼する方法です。この対処方法も、無理やりやらせるのと同様に、その作業の質が良くなく、期限が守られないことも多く、そして、あなたに対する反感も芽生えさせてしまいます。

3. 頼まない

3つ目は「その人には頼まない」という方法です。協力してくれないことがわかっていますから、その人に頼むより、他の協力してくれる人に頼みます。

会社内の一部分にだけ影響を及ぼす問題であれば、普段から協力してくれる数人に手伝ってもらい、問題を解決することができます。その場合には「協力してくれない人には頼まない!」を選択することができます。ですが、直面した問題が複数部署にも影響を及ぼす場合、協力してくれる人だけで問題解決することは難しくなります。協力してくれない人にも協力してもらわなければなりません。そうなると、結局は、無理やりやらせるか、上司から指示してもらう対処方法に頼ることになります。結局のところ、作業の質が良くなく、期限が守られず、その後、対立的な関係を生み出すことになります。

すなわち、複数部署がまたがるような問題など、問題が及ぼす影響が広がると、仲の良い人だけで問題解決をすることができなくなり、関係ができていない人にも協力を求めなければいけなくなるのです。

協力してくれない原因とは?

なぜ、人は、問題解決に協力してくれないのでしょうか?

協力してくれない理由について、多くのビジネスパーソンたちと討議をした時、以下のような意見が出ました。

◆ 関心がない。
◆ メリットがない。
◆ 自分は仲間だと思っていない(仲間はずれにされたと感じている)。
◆ 一方的に押し付けられるだけ。
◆ 目的/重要性/意味がわからない。
◆ 自分の意見や考えと合わない、反している。
◆ 自分が決めたことではない。
◆ 時間がない。

以上から分かる通り、協力してくれない理由は、おおむね「感情の問題」「メリットがない、協力する理由がわからない」「時間の問題」の3つに分類できます。

問題解決に協力してもらうための方法とは!

では、どうしたら問題解決に協力してもらえるのでしょうか?

その方法としてよく言われることは、「日頃から人間関係を作っておくこと」「日頃からコミュニケーションを取っておくこと」です。このようなことを通して人間関係を築いておけば、突発的な問題が発生したとしても、相手の協力が得られやすくなります。

ですが、先程もお伝えしたとおり、関係ができていない人にも問題解決に協力してもらわなければならないこともあります。そのようなとき、私たちが推奨している方法があります。私たちの組織成長ソリューション「チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル」の中で紹介している方法です。実際にこのプログラムに挑戦したチームは、他のメンバーからの協力を得ることができるようになっている方法です。

(【参照】【事業成長力強化研修】チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル ~ 事業計画達成に貢献する組織課題解決力を強化!(Driving Model for Growth)

下記の3つのステップで問題解決の協力のお願いをすると、人が協力してくれるようになります。

1. 問題が発生している業務について、その目的と内容を明らかにする
2. あなたの業務の目的・内容・目標とともに問題解決の支援を依頼する
3. それでも「NO!」の場合、その理由を聞き、双方のメリットを探る

1. 問題が発生している業務について、その目的と内容を明らかにする

「問題が発生している業務について、その目的と内容を明らかにする」ことは、本来は、問題に直面したから行うことではありません。問題が発生した時、他の人に協力してもらうために、普段から準備しておくべきことです。今、あなたが行っている業務に対して、下記のことを文章としてまとめておきます。

◆ あなたの業務の目的や業務の内容
◆ 目指している目標
◆ その目標達成のために現在実施していること

通常、多くの人は以上のことを頭の中ではわかっていますが、文書にまとめている人はほとんどいません。以上のことを文章でまとめておくことは、他の人に問題解決を依頼するためだけではなく、「自分の目標達成の可能性を高める」という効果があります。ですので、「問題解決に協力してもらうときに行う」というより、普段から行っておくことを是非おすすめします。

分量はA4用紙半分程度で構いません。業務の目的や内容を文章として明らかにしておくことは、他の人へ問題解決の依頼をするための第一歩で、これを行っているからこそ、このあとのステップがより実行しやすくなります。すなわち、業務の目的/目標/内容をまとめておくことは、人に問題解決の依頼をするための必須条件とも言えます。

2. あなたの業務の目的・内容・目標とともに問題解決の協力を依頼する

問題が発生し、他の人(特に他の部署の人)にその問題解決の協力をしてもらうときには、まず「発生している問題の内容」と「その問題解決のために何をしてもらいたいか?」を説明します。その際、できるだけ相手が受け入れやすい態度で丁寧にお願いすることが大切です。なぜならば、人が問題解決に協力してくれない理由の1つは「感情の問題」だからです。ここで、高圧的に、かつ、協力することが当たり前のような態度でお願いすると、相手は協力してくれないでしょう。相手が受け入れやすい態度で丁寧に依頼することが大切です。

相手が受け入れやすい態度で丁寧に「発生している問題の内容」と「その問題解決のために何をしてもらいたいか?」を説明し、それで相手がその問題解決の協力を受け入れてくれればよいのですが、それでも、受け入れてくれないこともあります。もし、問題解決を受け入れてくれなければ、次は「1. 問題が発生している業務について、その目的と内容を明らかにする」でまとめた文章を使って問題解決の協力を依頼します。

これまでに、相手が受け入れやすい態度で丁寧に協力のお願いをしていますので、「感情の問題」はほぼ解決できています。次は、「メリットがない、協力する理由がわからない」ことへの対処です。「1. 問題が発生している業務について、その目的と内容を明らかにする」で用意した文章を簡単に説明し、協力してくれることがどれだけ企業や組織の目的や目標に役立つものかを説明します。

このような資料を利用することなく、ただ口で「この問題解決は重要なんです!」と言い切るだけでは不十分です。具体的にどのように重要なのかを目にも見える形で説明することが大切です。

3. それでも「NO!」の場合、その理由を聞き、双方のメリットを探る

以上の手順で依頼しても協力してくれない場合には、次は「協力してくれない理由」を丁寧に聞きます。この段階で協力してくれない基本的な理由は、まだ相手の心と頭の中に「感情の問題」「メリットがない、協力する理由がわからない」の2つが解決できていないことと、そして「時間の問題」が残っているためです。

相手が協力してくれない理由を聞き、「この問題を解決することが、相互の業務にどのような影響を及ぼすか?」「この問題を解決することが、企業や組織の目標達成にどのように役立つのか?」という観点で相手と意見を交換します。相手が、「この問題を解決することは、企業や組織の目標達成や自分の業務にとっても重要だ!」と考えるようになれば、残るは「時間の問題」だけです。「時間の問題」は相手の時間的な制限がわかれば、その時間的な制限の中でお互いがどのように協力すればよいのかを話し合うことで解決できます。「時間の問題」は、通常お互いが共同で作業し、相手の時間をできるだけ減らす検討することで解決できることが多いです。

「時間がない」という理由も、実はその根本的な原因は「感情の問題」であり、上記で説明した「感情の問題」「メリットがない、協力する理由がわからない」の2つを行えば、「時間がない」という理由で協力してくれない人を減らすことができます。

以上のようなプロセスで、相手が受け入れやすい態度で丁寧に問題解決の協力をお願いすれば、「協力してくれない人」の数を大幅に減らすことができます。

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時間がない人も協力してくれるようになる!

私たちは「チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル」という組織成長ソリューションを提供しており、このソリューションを通して、クライアント企業の事業成長の支援をしています。このソリューションでも、このノートで解説した「協力してくれない人への対処方法」を解説しており、クライアント企業の社員たちが実行しています。実際に、今回解説した内容を実行することで、「感情の問題」「メリットがない、協力する理由がわからない」「時間の問題」を少なくし、組織問題解決に協力してくれる人を増やすことができています。

企業内が直面している組織課題や事業問題を解決するために、社員が「協力してくれない人への対処方法」のスキルを持つことが重要です。私たちは、社員たちの「協力してくれない人への対処能力」の向上だけではなく、貴社の「成長する力」「遂行する力」を強化し、持続的に事業を成長させる組織体制を構築する支援をします。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2020年8月9日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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