確実に組織目標を達成するための行動計画の立て方! ~ 事業の目標達成と成長に向けて、社員たちが自主的に組織問題の解決に挑戦する!

目標を掲げても、その目標達成に向けた行動をしなければ達成することはできません。目標を達成するためには行動が伴う必要があります。

ですが、多くの企業の実際の行動を観察していると、組織目標や上層部の重点課題と関連していない行動が目に付きます。どのように行動計画をすればよいのか、そのポイントを知らないことが多いのです。そのような状態で行動計画を立案しても、組織の目標を達成することができません。

重点課題を解決し、組織目標を確実に達成できる行動計画は、どのように立てればよいのでしょうか。組織目標を確実に達成する行動計画の立案方法について解説します。

事業の目標達成と成長に向けて、社員たちが自主的に組織問題の解決に挑戦する!

目標と行動計画の構造

組織には組織としての目標があります。その組織目標を効率的に達成するためには、重点課題を設定する必要があります。

(この重点課題を設定する方法は、「問題解決のための効果的なKPI設定のテクニック ~ 組織の成長と目標達成に向けて、社員たちが自主的に組織課題を実行する!」で解説しています)

その重点課題に基づいて具体的な行動を行うから、組織としての目標を達成することができます。これらは、下記のような構造で説明することができます。この重点課題に基づき行動を計画するときには、9つの注意点があり、それを意識して計画することが大切です。

1. 必ず期限を盛り込み、「達成したかどうか」を判断できる行動計画にする

行動計画にはかならず期限を設定し、その期限がきたら「達成できたかどうか!」を明確に判断できる行動計画にします。

例えば、「従業員の満足度を高める」が重点課題だったとしましょう。「従業員の満足度を高める」という重点課題に対して、よく考えられる行動計画の1つが、「従業員にアンケートを取る」です。ですが、これでは行動計画としては不十分です。まず、期限が設定されていません。そして、その期限の時点で「第三者でも達成したかどうかが明確に判断できる達成基準」になっていません。

行動計画には、まず期限を明らかにする必要があります。例えば「6月30日までにアンケートをとる」と設定します。次に行うべきことは、「第三者でも達成したかどうかが明確に判断できる達成基準」にすることです。

「6月30日までにアンケートをとる」を行動計画とした場合、「その期限の6月30日までに、約半分の人がアンケートに答えた」という結果となることがあります。この結果だと、その行動計画が達成できたかどうかが明確に判断できません。もし、「6月30日までにアンケートを全て回収する」を行動計画としていれば、未達成です。行動計画を立てるときは、「期限」と「第三者でも達成したかどうかを明確に判断できる達成基準」にすることが大切です。

【悪い行動計画】 従業員にアンケートを取る
【良い行動計画】 6月30日までにアンケートを全て回収する

2. 他の人のアイデアをどんどん取り込む

行動計画を立てるときは、他の人のアイデアを参照すべきです。他の人から助言を得て、その助言から確実性の高い行動を計画します。そもそも行動計画を立てる目的は「自分たちだけで考え抜く」ことが目的ではなく、「成功する可能性が高い行動計画を立てる」ことです。「うまくいかないとしても、学習/経験できれば良いのではないか」という意見もありますが、「達成する可能性が極めて高い行動を計画する」ことを優先すべきです。そのためにも、幅広く行動計画のアイデアを集め、そこから比較検討して相対的に目標達成に役立つものを選びます。

他の人のアイデアを得て比較検討することが重要ですが、必ずしもその他の人のアイデアを採用しなければならないわけではありません。それを参考にして、より良い行動計画を作ればよいのです。

3. 自分が行えることを行動計画とする

行動計画は、基本的に「自分が行動すること」を行動計画にします。例えば、「新規の市場を開拓する」が重点課題の場合、その行動計画の1つは「その市場の調査をする」です。この場合、「メンバーに市場調査をやらせる」を行動計画にする人がいます。ですが、この「市場調査をやらせる」は、他の人の行動で、行動計画を立てる人が行動することではありません。このような行動計画ですと、その行動が確実に達成できるかどうかは、他の人次第です。他の人次第では、その行動計画が達成できない不確実性(リスク)が高いままなのです。

行動計画を達成する責任は自分にあり、他の人の責任ではないです。行動計画にすべきことは「他の人の行動計画」ではなく「自分の行動計画」です。例えば、この場合には、「7月31日に市場調査レポートが完成する。そのために、メンバーの進捗の確認と行動の支援を行う。」を行動計画にします。これだと、他の人の行動計画だけではなく、自分が行動すべきことを合わせた行動計画になります。こうすることで、この行動計画を達成できる可能性を高める(うまく行かないリスクを最小にする)事ができるのです。

【良い行動計画】市場調査をやらせる
【悪い行動計画】7月31日に市場調査レポートが完成する。そのために、メンバーの進捗の確認と行動の支援を行う。

4. 一人ではなく、数人を巻き込む行動にする

行動計画を立てるときには、その行動計画に他の人を巻き込むこともその達成の可能性を高めてくれます。たとえば、「顧客満足アンケートサイトを作る」という行動計画の場合には、「アンケートの質問項目は自ら考え、アンケートフォームは山田さんに作成を手伝ってもらい、7月25日にアンケートフォームを一次完成する」というように考えます。

一人でやろうとしてもできることは限られています。仲間が支えてくれるから達成しやすくなります。確実に達成するためには、「いかに仲間を巻き込めるか!」は重要な鍵です。ただし「相手に任せる」「相手がすべてやる」ということではありません。「一緒に実行する」ということが大切です。

5. 行動計画の量を絞る

行動計画は、多くの行動を計画するのではなく、2~3個に絞ることも大切です。例えば、「1ヶ月後を期限とした10個の行動計画」と「1週間後を期限とした2つの行動計画」を比較すると、「1週間後を期限とした2つの行動計画」のほうが達成できる確率が格段に高いです。

その理由の1つは「スイッチングコスト」とよばれるものです。スイッチングコストとは、製造業で使われる言葉ですが、ある製品の製造から他の製品の製造へ切り替えるとき、機械の設置場所の変更/機械の設定/材料の変更などの「段取り替え」が必要で、それが製造原価に影響を及ぼします。行動計画も、ある行動計画から他の行動計画へと変更するときには、その「段取り替え」が必要になります。

「1ヶ月後を期限とした10個の行動計画」のままであると、1週間の間に幾度も段取り替えが必要ですし、いくつものことが気になり、集中することができなくなります。そのためには、「1週間後を期限とした2つの行動計画」のように、短い期限で、2~3個の行動計画にしたほうが、達成確率が確実に高いのです。

6. 未知の事に対してはトライアルを行う

あるクライアント企業の業績向上プロジェクトを支援した時、そのチームは「従業員満足度を高める」を重点課題としました。その重点課題の行動計画には「目安箱を設置して意見を集める」というアイデアが出ました。そのチームはそれをそのまま行動計画にしようとしていたので、「過去、目安箱を行ったことがありますか?」を聞いたところ、「やったことがない」とわかりました。

このように過去やったことがない行動計画は、限定した範囲でトライアルを行います。そのトライアルを行うことで、「どこがうまくいくのか?」「どこを改善すべきか?」「どのくらい効果が得られるのか?」を評価します。そして「これはうまくいくぞ!」と判断できてから、より広範囲で本格的に実施します。

以上のように、今までやったことがなく、効果が未知である行動計画は、二段階で実行します。いきなり全体で行っても業務を混乱させるだけです。まずは、トライアルを行うことで、「本当に効果があるかどうか?」「どうすれば、より効果を出せるか?」を確認することが重要です。

7. 同じ行動は3回以上設定しない!

決定した行動計画が期限になっても達成できないこともあります。もし、その行動計画が2回達成できなければ、3回目も同じ行動計画にしてはいけません。2回達成できていなければ3回目も達成できない可能性が高いからです。

2回達成できなければ、その行動計画を更に詳細な3つ以上の要素にブレイクダウンします。それによって、達成できる可能性の高い行動計画にします。たとえば、「6月30日に、まだ取引のない大手企業にコンタクトする」が当初設定した行動計画だとします。2回目にこの行動計画が達成できていないのであれば、3回目は下記のようにブレイクダウンをします。

1. 候補となる大手企業を20社リストする
2. そのうち、5社を選び、その5社の個人名と連絡先をリストする
3. 個人名リストがない企業は、パートナー企業に面会調整の依頼をする

すでに2回行動計画を達成できていないのであれば、このようにブレイクダウンした内容を行動計画にすることで、3回目は必ず達成できる行動計画にすべきです。

8. その行動計画は重点課題の達成に貢献できるか?

組織目標を確実に達成するためには、思いついたアイデアをすぐに行動計画にするのではなく、それが重点課題の達成に役立つかどうかを検証することが大切です。その検証のために、「この行動計画は、本当に、重点課題に役立つか?」をチームで話し合います。多くの人が「役立つ!」と感じれば、効果的である可能性は高いです。

もし、重点課題に役立たないのであれば、いくらその行動をしたいと思っていても、他の行動計画を優先すべきです。時間が限られている以上、いくつかの行動計画を比較検討して、重点課題にもっとも役立つものを行動計画とすべきです。

9. 必要ならば投資を要求する!

行動計画は、組織目標を期日までに確実に達成するためにたてるものです。もし、「期限に達成するための情報や経験が十分ではなく、不確実性(リスク)が高い」のであれば、外部のプロフェッショナルの支援が必要です。「自分たちだけで考える」ことよりも、上層部へ投資を要求して、外部のプロフェッショナルの支援を得る検討をすべきです。

成長率の低い企業は、「投資してでも目標を達成する!」という考え方ができている人がすくないです。逆に、成長率の高い企業は、期日までに確実に達成するために外部をうまく活用しています。目標を達成するためには、幅広い視野で行動計画を立案することが大切なのです。

自分たちだけの力で実行することは大切です。ですが、組織目標を確実に達成することのほうが、さらに重要です。困難な組織目標にチャレンジしているときに、「達成できない」というリスク、そして、工数や時間を減らせるのであれば、会社に投資を要求すべきです。

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行動計画を遂行するから組織目標を達成できる!

組織目標を達成する可能性を高めるためにどのように行動計画を作るか、その9つのヒントと注意点を解説しました。行動計画をたてるために自由にアイデアを出すことは重要です。ですが、思いついてすぐのアイデアは、行動計画の効果性という観点では不十分なことが多く、それを進化させることが大切です。ぜひ、「社員たちが、期日までに組織目標を確実に達成するための行動計画の立てられるようになる」ために活用ください。

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(本ノートは、2018年1月20日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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