なぜ、企業や組織内での「チームでの活動」がうまくいかないのか? ~ 「高いパフォーマンスを達成することができるチーム」の作り方とマネジメント方法

「会社内で社員たちがチームワークを発揮している状態」になると、企業や組織の目標達成だけではなく、長期的な成長も可能になる!

「チームワークが大切」とはよく言われます。高いパフォーマンスを実現するためには、チームによる活動がかかせません。チームワークを発揮することで、個々の総和以上の結果を出すことができ、社員一人あたりの生産性が高い状態を維持できます。

ですが、多くの企業や組織がチームワークに悩んでいます。社員の個々の能力の総和以上の結果を得るまでに至ってなく、社員一人あたりの生産性が低い状態です。それどころか、チームで行うことがマイナスの状況になっていることすらあります。なぜ、チームが高い結果を出すことができないのでしょうか?

このノートでは、「チームとして結果を出すことができない原因」と「チームとしてハイパフォーマンスを達成するための方法」について解説します。

「高いパフォーマンスを達成することができるチーム」の作り方とマネジメント方法

多くの企業や組織で、チームによる活動がうまく行っていない?

多くの企業や組織が、「チームでの活動が重要」「チームワークが大切」と考えています。共通の目的や目標の達成を目指し、メンバーがそれぞれの強みを発揮し、弱みを補完しあうようになれば、一人で行うよりも格段に高いパフォーマンスの実現が可能になります。

私たちも、「チームによる活動は、事業の成長のためにも社員個々の成長のためにも非常に重要である」と考えています。実際に、事業を成長させている企業や組織は、「チームによる活動」が機能しています。これらの企業や組織の思考は、「チームによる活動は、事業の成長と個人の成長、その両方の成長の必須条件である」です。そのため、私たちも「チームによる活動を推進し、もっと多くの企業や組織に成長してほしい」と願っていますし、「一緒に進化/成長しましょう」と話し、クライアント企業の「チームによる活動」の推進支援やコーチングを行っています。

このように、「企業や組織が成長するためには、チームでの活動、チームワークは必須条件」ということはよく知られていることなのですが、多くの企業や組織では、チームでの活動が行われていないか、もしくは、チームによる活動が機能してなく、事業が成長できていない状態です。

実際のところ、事業成長できていない企業や組織はどのような状態なのでしょうか?

チームによる活動において、実際に、どのような問題が発生しているのか?

チームで仕事をする状態になっていない

企業や組織では、部や課というグループが構成されています。社員はそのグループに属しています。そのために、多くの企業や組織では、「うちの会社は、チームによる活動が行われている」という幻想を見ている状態になっています。

グループごとの目標、すなわち、「部の目標」「課の目標」という共通する目標がありますが、社員は、その「部の目標」「課の目標」には関心がありません。個人に割り振られた「個人としての目標」があるからです。部や課というグループに属しているものの、関心があるのは「自分の目標」だけの状態です。

そのため、「部の目標」「課の目標」を達成するために、力を合わせた共同作業が十分ではありません。それに基づくコミュニケーションもほとんどありません。それどころか、それぞれの社員たちは、「部の目標」「課の目標」を覚えていないことすら多いです。すなわち、「部の目標」「課の目標」、更には、「会社の中長期計画や事業部の戦略」の達成を目指して、一致団結して、チームで仕事をしている状況とはなっていません。

以上のように、多くの企業や組織では、「うちの会社は、チームによる活動が行われている」と勘違いしている(幻想を見ている)状態なのです。

チーム作りがよくない

多くの企業や組織では、上層部が一人の社員(例えば、部長や課長など)に「生産性を向上させるように」と指示します。その後、その指示された社員は、自分一人でその課題の解決に挑戦します。すなわち、企業や組織の中で、「チームとして課題解決を実行している状態」にはなっていないのです。

中には、上層部から指示された社員が、人を集めてチームを作っていることもあります。ですが、その際、仲の良い仲間とチームを作っていることがあり、上層部から与えられた課題に対して、その課題に挑戦できる十分な能力がない人だけのチームとなっていることもあります。これでは、チームを作ってチームで活動したとしても、結果を出すことなどできません。

「チームとしての活動」の目標が曖昧

上で解説しましたが、多くの企業や組織は、「部の目標」「課の目標」を「個人の目標」として割り振っています。その社員たちは、自分たちで目標を設定した経験がありません。ほとんどの目標は与えられたものだからです。

そのため、チームとして活動するときに、チームとしての効果的な目標を設定することができずに、その目標が曖昧になっています。すなわち、上層部から指示された「生産性を上げろ」「不良品を減らせ」「早く開発しろ」を、そのまま「生産性を上げる」「不良品を減らす」「早く開発する」という曖昧なチームとしての達成目標にしています。

チームの活動への関与が、チームワークを阻害している

チームによる活動が始まった後、上層部の関与がそのチームによる活動の障害となっていることもあります。

一般的に、上層部が社員へ指示する課題は、社員にとっては難度が高いことが多いです。そのため、思うように進まず苦労しています。暗礁に乗り上げているチームに対して、上層部がそのチームの活動に関与すると、細かい指示をし始めます。多くの場合、一人ひとりに個別の作業を指示し始めるのです。

その結果として、もともと設定していた「チームとしての目標」が忘れられ、メンバーは「指示された作業をこなすこと」だけを意識し始めます。そうなると、すでに解説した通り、チームが協力しなくなり、力を合わせた共同の作業やコミュニケーションもなくなり、最終的には大した成果を出すことなく、チームの活動は終わります。

評価の仕組みが悪い

「チームでの活動」が行われていない企業や組織、および、「チームでの活動」が大した結果を出すことができない企業や組織には、「チームでの活動」を評価する仕組みがありません。

上層部から難度の高い「チームでの活動」を指示されると、社員たちはその活動に自分の時間を奪われてしまいます。日常業務だけでも忙しいのに、上層部から指示された課題の解決も行わなければなりません。仕事は増えるのに、給料は増えないのです。

さらには、その課題の解決で大した成果を上げるこなく終わった場合には、人事評価で減点されてしまいます。昇進や給料にまで悪影響を及ぼす危険性があるのです。

以上のような理由により、社員たちは上層部から指示される課題解決の活動をしたくないのです。

目指す「理想となるチームでの活動」とは?

そのような中、「ハイパフォーマンスな結果を出すチームでの行動」が実行されている企業や組織もありました。このような企業や組織のチームは、チームで団結し、「製品の欠陥比率を20%改善させる」「新規商談件数を2倍する」「新製品の市場投入時間を半分に減少する」「段取り替え時間を25%削減する」「離職率を80%以上改善する」「顧客満足度を50%改善する」など、難度の高い課題に果敢に挑戦し、困難な目標であっても結果を出していました。

これらの企業や組織は、「社員一人ひとりの結果(パフォーマンス)の総和」という状態ではありませんでした。社員一人ひとりが、自分の目標達成だけを目指して仕事をしている状況ではないからです。「チームとしての高い目標」の達成も目指すために、「社員一人ひとりの結果(パフォーマンス)の総和」を大きく上回る結果を達成できていました。すなわち、社員一人あたりの生産性が高い状態でした。

どうしたら、そのようなハイパフォーマンスを達成できる「優れたチーム」を作ることができるのでしょうか?

チームとしてハイパフォーマンスを達成する、そのための対策とは?

チームの最適な人数

チームの人数には最適な人数があります。人数が多すぎるチームは、チームとしての団結が難しくなり、集中力と勢いを失います。そのため、「チームの人数は7名以下にすべきである」と説明している経営理論/マネジメント理論が多いです。

私たちも、同じ意見です。「人数が多いチームが、期待されている以上の高い結果を達成した」というケースを見たことがありません。このようなチームは、進み方が遅く、勢いがないのです。クライアント企業の「チームによる事業成長の行動」を支援してきた私たちの経験上、最適な人数は3~5名です。このくらいの人数がチーム内の勢いが最もあり、高いパフォーマンスを達成することができていました。

目標を明確にさせる

チームによる活動がうまくいかない多くの原因は、「チームとしての目標が曖昧」「チームとしての目標よりも、個人の目標を優先する」と解説しました。

チームが高いパフォーマンスを達成するためには、チームとしての明確な目標の設定が必要です。そして、その目標には、数値としての達成目標を設定することが重要です。

例えば、「生産性を上げる」「不良品を減らす」「早く開発する」などの曖昧なチームとしての目標ではなく、「製品の欠陥比率を20%改善させる」「新規商談件数を2倍する」「新製品の市場投入時間を半分に減少する」「段取り替え時間を25%削減する」「離職率を80%以上改善する」「顧客満足度を50%改善する」などのように、具体的な達成目標を設定します。

このようなチームの目標は、チームメンバーのコミュニケーションを活発にします。また、「チームでの活動」の進捗度合いを全員で確認することができます。これが、チームの意欲と能力を強化するのです。

チームのメンバーを把握する

上層部が「チームによる活動」を指示する時、「チームに誰を含めるか」を指示することも大切です。指示した課題解決を遂行できる能力を持つ人がチームメンバーにいなければ、高いパフォーマンスを実現することなどできないからです。

多くの社員は、仲の良い人でチームを編成しようとします。ですが、その場合には、十分な能力を持っていない人たちだけでチームが編成されることもあります。また、仲の良い人同士が馴れ合いで「チームによる活動」を行うことにもなります。その場合、勢いも、能力も十分ではないのです。

状況に応じて社員にチーム編成を任せることもありますが、誰がチームのメンバーなのかを確認しておく必要があります。

チームが集まって共同作業をおこなうことを推奨する

チームによる活動は、オンラインだけで行うのではなく、メンバーが1つの場所に集まり、顔を突き合わせて活動することも重要です。なぜならば、すべてのチームでの活動をオンラインミーティングなどのリモートで行おうとすると、連帯感が育まれないからです。

ある企業で「チームによる事業成長の行動」の支援をした時、チームメンバーが集まるミーティングとオンラインでのミーティングを組み合わせて行いました。その際、すべてのチームが、チームの目標を達成することができました。

ですが、その翌年、世界的なパンデミックの影響で、すべてをオンラインミーティングだけで行いました。そうなると、連帯感や勢いが失われました。最終的には、半分のチームが目標を達成することができませんでした(上層部の期待する結果を実現できませんでした)。

毎回、全員が集まって行う必要はありません。ですが、チームメンバーが1箇所に集合するミーティングとオンラインミーティングを組み合わせて行うことが、連帯感にも、勢いにも、結果にも、大きな影響を及ぼします。そのためにも、上層部は、誰がメンバーなのかを認識しておく必要があり、かつ、全員が集まりやすくするために少人数のチームで行うべきなのです。

上司として関与するのではなく、コーチ(伴走者)として関与する

上司であるマネージャーが「チームによる活動」に関心を持つことは重要です。しかし、関与の仕方には細心の注意が必要です。ある企業では、上司であるマネージャーがチームでの活動に関わることで、個々のメンバーに作業の指示をし始めていました。そうなると、チームのメンバーは、「全員共通のチームの目標」を意識しなくなり、連帯感や勢いがなくなってしまいました。

上司であるマネージャーが関与をするときは、「『チームとしての目標達成を目指す』および『チームの共同作業を活性化する』ためのコーチという役割」で関与します。コーチとは、「作業を指示する存在」ではなく、「伴走者としての存在」です。このような関与の方法は、簡単ではありません。ほとんどのマネージャーは、このような関与の方法に慣れていないために、コーチとしての関与方法を学習させる必要があります。

実のところ、多くの企業や組織の「チームによる活動」は、上司であるマネージャーが邪魔をしていることが多いのです。

評価を通して、モチベーションを高める

チームによる活動が行われていない、または、チームによる活動が機能していない企業や組織は、そのチームによる活動に対する効果的な評価が行われていません。その原因は、「社員なのだから、やって当たり前」と考えているためです。チームによる活動が機能している企業や組織は、チームによる活動を行った社員を評価しています。

評価制度は重要です。チームによる活動を実施した社員には、人事評価で加点します。社員たちは、評価してもらえるから「チームによる活動」を自ら率先するようになるのです。

成長力強化セミナーのご紹介

『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『プロフェッショナル育成』などのセミナーを毎月開催しています。ぜひご参加ください。

【マネジメントセミナー】 事業を成長させている企業が行う「事業成長プロジェクト実行力の強化」の仕組みと実例(事業を成長させるノウハウ) ~ この仕組みとノウハウが、あなたの会社のこれからの成長に役立つかもしれない!

【ハイパフォーマーセミナー】ハイパフォーマーの必須条件・組織問題の解決策立案メソッド ~ 組織問題を解決できるプロフェッショナルになる!

【ハイパフォーマーセミナー】人を動かし結果を出す、リーダーシップの基礎的特性 ~ リーダーとして相手に働きかけ、考えや行動を変える能力の強化方法

その他の成長力強化セミナー

成長力強化セミナーページ

チームでの活動が、事業戦略達成を確実にし、力強く成長させる!

企業や組織の中に「優れたチームが存在すること」が、事業のパフォーマンス向上や成長の必須条件です。その「優れたチーム」があるからこそ、会社内外の関係者との共同作業を強力に推進でき、企業価値を向上させることができます。

実際に、事業を成長させている企業や組織は、「チームによる活動」が機能しています。これらの企業や組織は、「チームによる活動は、事業の成長と個人の成長、その両方の成長の必須条件である」と考えています。私たちは、「チームによる活動を推進することで、もっと多くの企業や組織に成長してほしい」と願っていますし、「一緒に進化/成長しましょう」と話し、「チームによる活動」の推進支援やコーチングを行っています。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。「チームによる活動」を推進するための豊富なノウハウと経験があります。ぜひ、さらなる企業の成長に向けて、あなたの会社の中での「部門や部署を超えたチームによる活動」を強化しましょう。

(本ノートは、2022年6月14日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
Copyright (C) 2022-2023 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.

お問い合わせ

ご質問/ご依頼など当社へのお問い合わせ

関連するソリューション

【事業成長力強化研修】チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル ~ 事業計画達成に貢献する組織課題解決力を強化!(Driving Model for Growth)

【成長力強化研修】組織を成長へと導く「問題解決手法 TSメソッド」 ~ 社員の「組織問題解決」の能力と意欲を強化、および、マネージャーの問題解決コーチング力の強化(Problem Solving Skill)

【マネジメント基礎研修】 リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」 ~ チームを「目標達成」「持続的成長」させるスキルを強化(Manager’s Business Technics)

ティ・スクエア 組織成長力強化ソリューション 一覧

一緒に読まれているノート

「新しいことへの挑戦」に抵抗する人への対処方法 ~ 事業の成長に向けて、「組織の進化の障害」となる社員の抵抗を取り除け!

事業成長&組織課題解決ケーススタディ「エンジニアリング会社」 ~ クロスファンクションチームが、業務部のパフォーマンスを20%向上

事業成長/組織課題解決ケーススタディ『エンジニアリングサービス会社』 ~ 組織の業績に悪影響を及ぼす組織問題の解決力を強化!

なぜ、お願いしても問題解決に協力してくれないのか? ~ 「組織問題の解決を依頼しても協力してくれない人」に対する対処方法

チームチームメンバーの力を最大限引き出すためにリーダーやマネージャーに必要となるコミュニケーション力 ~ リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」(8)

事業計画や戦略が思うように進まない! ~ 社員が、「事業計画や戦略の達成に貢献する活動」や「組織課題を解決する行動」を主体的に挑戦するようになる5つの解決手順

問題解決のための効果的なKPI設定のテクニック ~ 組織の成長と目標達成に向けて、社員たちが自主的に組織課題を実行する!

無料メールマガジンの登録

『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『プロフェッショナル育成』と『営業力強化』の情報を月1~3回お届けしています。

当社無料メールマガジンのご登録フォームへ