営業担当者が「待ちの姿勢」から「お客様へ積極的に働きかける姿勢」へ! ~ 営業担当者の意識と行動を変える「プロアクティブセールス TSメソッド」

法人営業(BtoBセールス)は、営業担当者の「能力(スキル)の高さ」と「プロフェッショナル意識の高さ」の2つによって個人の業績(パフォーマンス)に大きな差がでます。

ですが、営業担当者へ「意識を変えろ!」「行動を変えろ!」と掛け声をかけているだけでは、営業担当者の意識や行動、そして業績(パフォーマンス)は変わりません。

本当に営業担当者の意識と行動を変えたければ、具体的なツールを整備し、その手法を学習し、実践を促し、そして、その実践状況と結果に対して適切な評価とコーチングをすることが先立ちます。積極的営業手法(プロアクティブセールス TSメソッド)を導入したクライアント企業が、どのように営業担当者の意識と行動を変えたのかを解説します。

営業担当者の意識と行動を変える「プロアクティブセールス TSメソッド」

現在の営業担当者に求められる存在価値とは?

お客様はインターネットを通じて様々な情報を入手することができる時代となりました。このような時代では、お客様から問い合わせを待っているだけ、もしくは、お客様の言われたことをやっているだけの営業担当者では、結果が出せない時代となりました。結果を出せない営業担当者は、貴重な時間を下記のような作業に費やしています。

◆ お客様の商材に対する質問の回答
◆ 見積もりの作成、および、値引き要求の対応
◆ 納入の対応

時間と旅費を使ってお客様先まで訪問する訪問営業(フィールドセールス、もしくは、アウトサイドセールス、と言われます)がこれら3つの対応を行うだけでは、その営業担当者の人件費に見合う結果を出すことができません。実際に、このような営業業務は、内部営業(インサイドセールス)がその役割を担うようになっています。そのほうが固定費に対してより大きな成果を得られるからです。

現在のビジネス環境において、時間と旅費を使ってお客様先まで訪問する訪問営業に求められていることは「待ちの姿勢の営業」ではありません。訪問営業の存在価値とは、「お客様へ率先して働きかける積極的営業(プロアクティブ営業)が行えること」へと変化しました。

「待ちの姿勢」の営業担当者ばかりでは会社の業績が伸びない!

業績(パフォーマンス)が良くない営業組織には、「待ちの姿勢の営業」が多いです。

わたしたちのクライアント企業A社は、インターネット通販の台頭により、売上がインターネット企業に奪われつつある状態でした。売上がインターネット企業に奪われているのに、多くの営業担当者の意識や行動は、下記のような状態でした。

◆ 「何か買うものがありませんか?」という御用聞きの状態
◆ 「お客様から問い合わせがあればお客様先に伺う」と、社内での待機時間が多い状態

また、他のクライアント企業B社では、ライバル企業(競合)が強いために、B社の営業担当者は下記のような状態でした。

◆ 「過去付き合いがある、もしくは、問合せの合ったお客様を中心に営業する」という状態
◆ 「競合が参入してこないような規模の小さい案件を優先する」という状態

これでは、個々の営業担当者の業績(パフォーマンス)、そして、営業組織の業績(パフォーマンス)が伸びるはずはありません。

現在の訪問営業に求められている3つの役割とは?

現在、外回りをする訪問営業に求められる役割は下記の3つです。

◆ お客様の課題や悩みを発見/発掘して商談を開拓する
◆ お客様の購買プロセスを認識し、その購買プロセスを先にすすめる支援をし、確実に受注する
◆ 営業戦略の精度を高めるため、市場情報(マーケット情報)を収集する

「法人営業の職務」は、これら3つの役割を認識し、お客様に率先して働きかけるプロフェッショナルな職務へと変化したのです。

積極的に働きかける営業は、採用するか? それとも、育てるか?

企業は、このようなスキルを持つ営業担当者を「採用する」もしくは「育てる」必要があります。その「採用するか?」「育成するか?」の2つの方法のうち、私たちがクライアント企業へ推薦していることは「若い人を採用して、そのようなスキルを持つ営業担当者へ育てること」です。

ある外資系企業では、「すぐにでも結果を出してくれそうな営業担当者を採用しよう」として、そのことが悪循環となっていました。「すぐにでも高い業績(パフォーマンス)を達成できそうなスキルのある営業担当者」を採用するには、営業スキルがありそうですから、高い報酬が必要でした。しかし、その後1年経っても、その人は期待する業績を達成してくれませんでした。そのうち、その人は、他の企業へ転職してしまいました。そうなると、再び「すぐにでも高い業績(パフォーマンス)を達成できそうなスキルのある営業担当者」の採用を始めました。このような悪循環が繰り返されていると、営業担当者が頻繁に変わるために「お客様との関係」の構築や維持することができません。継続的に取引ができるお客様が減ってしまう原因ともなっていました。

このように、「採用コストをかけてスキルの高そうな人を採用しても、期待通りの業績(パフォーマンス)を出してくれない!」という悪循環に陥っている企業は少なくありません。一見遠回りのように思えますが、若い人を採用して育てるほうが投資対効果は高く、企業の長期的な成長へ貢献してくれるようになる確実性は高いのです。

積極的に働きかける営業(プロアクティブ営業)をどのように育てたか?

今の時代、営業担当者にはお客様に積極的に働きかけるプロアクティブな行動がもとめられています。「そのような営業担当者をどれだけ増やせるか」が企業の業績(パフォーマンス)を左右します。問題は「積極的に働きかける営業担当者はどうすれば育つか?」です。「意識を変えよ!」「もっと外に出ろ!」「訪問件数を増やせ!」「意欲を出せ!」という掛け声だけでは、そのような営業を育てることができません。

このような「お客様に積極的に働きかけるプロアクティブな営業担当者」は、以下のような具体的な施策に基づいて育成することが大切です。

積極的営業(プロアクティブセールス)のツールの用意

先ほど紹介したA社は、積極的営業(プロアクティブセールス)のツールを準備することから始めました。具体的には、まずお客様への提案用の営業ツールの準備から始めました。

販売している商材をお客様に買ってもらうためには、営業担当者は、下記の3つの通過点をクリアしなければなりません。

1. お客様が「ほしい」と思う
2. 会社として買うことを決める(予算を獲得する)
3. 複数の中から一番良いものを選ぶ(私たちを選んでもらう)

まず、営業担当者がクリアしなければならないことは、「お客様が『ほしい!』と感じる」ことです。そのため、A社は、「お客様が『ほしい!』と感じる」ためのツールを準備することからはじめました。お客様への提案資料を見直し、その提案資料を活用できる見込み顧客リストを作成しました。このことによって、積極的にお客様に提案する活動を格段に増やすことができました。

次に行うべきことは、お客様が会社内で「会社として買うことを決める(予算を獲得する)」ことを支援することです。お客様が「ほしい!」と感じても、会社内でその購入予算がつかなければ、買うことはできません。お客様が予算を獲得することに必要な情報を整理し、お客様が迅速に予算を獲得できることを支援するツールを用意しました。また、お客様に代わり、営業担当者がお客様の上層部へそのツールを使って提案できるようにしました。

以上のように、お客様が予算を獲得できても、お客様は「複数の会社の中から一番良いもの」を買おうとします。ですので、ライバル会社ではなく、私たちから購入してもらうようにしなければなりません。そのために、ライバル会社との優劣の比較をまとめ、「私たちから買うのが一番良い!」とお客様が感じるための提案資料を準備しました。

積極的営業(プロアクティブセールス)のツールの実践

以上のような、積極的営業(プロアクティブセールス)の営業ツールを準備した後、次は営業担当者へトレーニングをおこないました。実際にお客様を想定して、そのお客様にツールを活用するロールプレイを実施しました。

多くの企業では、研修や教育をした後の実践は、営業担当者任せになっていることが多いです。そのことが、研修効果が持続できない原因となっています。ですが、本来トレーニングをする目的は「営業担当者の意識や行動を変えること」です。そのために、トレーニングで学んだ内容の実践を営業担当者任せにせず、会社主導で実践するよう実施計画を策定しました。

積極的営業(プロアクティブセールス)のツールの評価とコーチング

最後は、営業マネージャーとともに、営業担当者の実践状況に対する評価とコーチングを行いました。良くできているところを具体的に褒め、今後改善すべきことについてその理由を説明し、自らその改善方法を考えるように促しました。

その結果、営業担当者は、対象としたお客様に対して積極的営業手法(プロアクティブセールス TSメソッド)をやり遂げ、その結果を成功事例ドキュメントとして完成させました。

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積極的に働きかける営業(プロアクティブ営業)を育てよう!

あなたの会社では、営業担当者が積極的に働きかけるためのツールが準備できていますか?

ほとんどの企業では、そもそも営業ツールが用意されていないか、営業ツールがあったとしても商品のパンフレットが1~2個用意されているだけです。そのような状況で「意識を変えよ!」「もっと外に出ろ!」「訪問件数を増やせ!」「意欲を出せ!」という掛け声だけでは、営業担当者はどうすればよいかわかりません。

事例として紹介したA社のように、具体的な積極的営業(プロアクティブセールス)を支えるツールを準備し、活用方法を訓練するから、営業担当者は「何をすればよいか!」がわかるようになり、その結果、意識や行動が変わっていくのです。

営業担当者へ「意識を変えろ!」「行動を変えろ!」と掛け声をかけるだけでは、営業担当者の行動は変わりません。本当に営業担当者の意識や行動を変えたければ、それを実現するためのツールを準備し、実践を促し、そして、実践結果の評価/コーチングをすることが先立ちます。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。私たちは、そのツールの基本形となる積極的営業手法(プロアクティブセールス TSメソッド)のテンプレートを保有しています。一緒に力を合わせてあなたの会社の営業担当者が「積極的に働きかける営業(プロアクティブ営業)」へと変化させましょう。遠慮なくお問い合せください。

(本ノートは、2016年11月13日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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