ライバル会社(競合)に勝ち、営業組織の総売上を最大化するための競合対策力の強化方法 ~ 「商品/サービス/ソリューションは良いのに、ライバル会社に負けた!」をなくせ!

お客様との商談のほとんどにはライバル会社(競合)も関わっていて、営業担当者はそのライバル会社たちに勝ち抜く必要があります。企業は「商品やサービスの特徴/機能/仕様などの差別化」は熱心に行っています。ですが、「営業担当者が商談でライバル会社にいかに勝つか!」という競合対策スキルの強化に関心を持っている企業はあまりありません。そのため、実際のところ、商品やサービスが良くてもライバル会社に負けています。

営業担当者たちの競合対策力を強化すれば、「商品/サービスが良いのに負けてしまった!」というムダな失注、そして、値引き額も少なくすることができます。その結果として、売上額を増やすことができます。

今回は、基礎的な2つの営業担当者たちの競合対策力を強化する方法について解説します。

「商品/サービス/ソリューションは良いのに、ライバル会社に負けた!」をなくせ!

なぜ、営業担当者に競合対策力強化が必要なのか?

A社は法人向けにサービスを提供している企業です。A社の経営状況は段々と悪化している状況でした。このA社の業界にはいくつかのライバル会社があり、そのうち、X社が業界No.1で、他社を引き離す市場シェア(占有率)を獲得していました。X社の企業規模はA社よりも大きく、X社が商談に関わるとA社は勝てない状態でした。そのため、A社の営業担当者たちは下記のようなことを意識した営業活動を行っていました。

◆ X社と競合しないお客様を狙って営業をする
◆ お客様の要望に応えることで関係を強化する

これらの方法は「ニッチ市場(特定の限定されたすきま市場)でNo.1になる」という経営戦略に基づくものです。ですので、間違った考え方ではありません。ですが、A社の売り上げは減り続けていました。

A社は、厳しい経営状況から回復するために、営業担当者の競合対策力の強化を実施することにしました。その結果、A社の業績は向上し始め、V字回復できました。

なぜ、営業担当者の競合対策力が弱いままなのか?

以上のように、営業担当者の競合対策力強化は重要な営業課題ですが、競合対策力強化を実施している営業組織はほとんどありません。また、一部の営業組織では独自の考えで競合対策を行っていますが、それが「勝率向上」という結果につながっていません。これらの企業では、競合対策力という観点において、下記のような状況でした。

ライバル会社を避けすぎている

A社は、ライバル会社X社を避けた営業活動を行っていました。ですが、X社は企業規模が大きいのでA社のお客様に対しても攻勢をかけることができ、A社のお客様を徐々に奪っていました。

お客様の要望に応えようとする弊害

A社の営業担当者は、お客様の要望に応えることでお客様との関係を強化し、それでライバル会社に勝とうとしていました。A社の営業担当者たちが応えてきた要望のほとんどは「値引き」と「すぐ持ってきてほしい」というものでした。そのため、値引き率はだんだん大きくなっていました。

ライバル会社(競合)について意識がない営業マネージャー

B社の営業部長は「我社は特別なモノを扱っている会社ですからライバル会社はないです」と言っていました。ですが、B社の各営業担当者の営業報告には、毎月「ライバル会社に負けた!」という失注報告もありました。実際のところ、ライバル会社がいない企業というのはごく一部の企業だけです。ですが、ライバル会社について対策を行う意識が乏しく、ライバル会社の研究をしていない状況でした。

商談でライバル会社に勝つことに役立たない競合対策をしている

ある外資系企業C社の営業マネージャーは、ライバル会社の研究のために自社(C社)のSWOT分析をしていました。SWOT分析や5 Forces分析は競合対策に役立つ有名な分析手法です。ですが、これらは企業経営のための競合対策です。C社は、自社のSWOT分析や5 Forces分析を営業担当者に行わせていましたが、営業担当者たちの競合対策力向上には役立っていませんでした。「商談で競合に勝つ!」という商談での勝率は改善できていませんでした。

営業担当者の競合対策力を強化すれば、受注金額を増加することができます。ですが、以上のように、ほとんどの営業組織では、営業担当者の競合対策力を効果的に強化することができていないのです。

営業担当者の競合対策力強化は、このように強化する!

営業担当者の競合対策力を強化することは重要です。もし、営業担当者の競合対策力を強化できれば、下記の効果を手にすることができます。

◆ 受注件数の増加(失注率の削減)
◆ 商談あたりの商談金額の増加(値引率が減る)

営業担当者の競合対策力を強化するためには、実際には以下の2つを実施する必要があります。

1. ライバル会社(競合)の調査力の強化
2. 商談でライバル会社に勝つシナリオ構築力の強化

1. ライバル会社(競合)の調査力の強化

まずすべきことは、競合対策をする必要がある最も驚異となるライバル会社についての調査力の強化です。集めるべき情報は下記になります。

◆ ライバル会社の規模(人数/売上高)
◆ ライバル会社の商品品揃えの豊富さ
◆ ライバル会社の主な取引先(取引先ごとの取引品)
◆ ライバル会社の商品品質
◆ ライバル会社の低コスト要求の対応力
◆ ライバル会社の革新的技術の取り扱い能力の高さ
◆ ライバル会社の評判のよさ
◆ 顧客がもつライバル会社のイメージ

以上のような項目でライバル会社とあなたの会社の比較をおこないます。あなたの会社の方が優位な項目があれば、その項目を商談で強くアピールすることができます。逆に、ライバル会社が優位であれば、相手はその優位性を強調してきます。そのために、そのライバル会社が強調する優位性に対する対策を事前に講じておく必要があります。

2. 商談でライバル会社に勝つシナリオ構築力の強化

商談でライバル会社に勝つためには、お客様の要望だけを聞いていても勝つことはできません。ライバル会社に勝つためには、要望以外に選定基準を把握する必要があります。商談における選定基準を把握することで、以下のような作戦を練ることができます。

◆ ライバル会社に優位な選定基準(ルーズゾーンに分類される選定基準)の重要度を下げる作戦
◆ あなたの会社に優位な選定基準(ウィンゾーンに分類される選定基準)の重要度を上げる作戦

下図の通り、基本的には、お客様の選定基準と私たちの優位の重なったところである「私たちの会社に優位な選定基準(ウィンゾーンに分類される選定基準)」で勝負すべきなのです。

あなたの会社にとって優位な選定基準(ウィンゾーンに分類される選定基準)が、ライバル会社にとって優位な選定基準(ルーズゾーン)よりも多ければ、その商談でライバル会社に勝ち、受注できる可能性が高いでしょう。そのために、多くの企業は商品やサービスの機能や特徴で、ライバル会社との差別化を図ろうとしています。

ですが、お客様の選定基準によっては、あなたの会社の商品/サービスの機能や特徴の多くが、ルーズゾーンの方に分類されてしまうこともあります。そのような状況でライバル会社に勝つために、営業担当者の競合対策力が必要となるのです。

多くの営業担当者は、競合対策力がないために、商品やサービスが良くても「値引きします」という対策ばかりを行っています。

まずは、お客様が直面している事業や業務上の課題や問題を把握します。そして、そのお客様の直面している課題や問題を利用して、ウィンゾーンとなる選定基準を増やすアプローチをします。ルーズソーンに分類される選定基準よりも、あなたの会社にとって優位なウィンゾーンに相当する選定基準を増やすことができれば、ライバル会社に勝つことができるのです。

時折、ウィンゾーンのほうが大きかったにも関わらず負けてしまうことがあります。それは、ウィンゾーンの相対的優先順位が低いために起こります。ウィンゾーンに分類されている選定基準の優先順位を高める必要があります。営業担当者は、このような競合対策シナリオを描き、それをライバル会社が関わっている商談で確実に遂行できる必要があるのです。

効果的に競合対策力を強化するためのヒント

以上の2つの競合対策力の強化は、「研修だけを実施して後は営業担当者任せ」では効果が限られてしまいます。そこで、私たちは、チームによる継続的な強化をおすすめしています。まずは、チームで調査対象とするライバル会社を1社決めます。チームで様々なお客様からそのライバル会社の情報を収集し、ライバル会社の強みと弱みをより具体的にします(「1. ライバル会社(競合)の調査力の強化」に相当する活動です)。

そして、そのライバル会社と競い合う実際の商談をいくつか選び、そのお客様の選定基準を収集し、ウィンゾーンとルーズゾーンをチームで検討します。もし、ルーズゾーンのほうが大きい商談であれば、ウィンゾーンに分類されるような選定基準を付加するようお客様へ働きかけるシナリオを作ります。そのシナリオの検討をチームで行うのです(「2. 商談でライバル会社に勝つシナリオ構築力の強化」に相当する活動です)。

競合対策の基礎理論を知っているだけではライバル会社(競合)に勝てるようにはなりません。商談におけるお客様の状況やライバル会社の状況を適切に把握し、その状況に合わせて適切な対策を行う応用力が必要です。

そのためにも、上記のようにチームで競合対策を実施し、さらには、専門家から実際の商談で勝つためのコーチングを受けて、応用力を高めていきます。専門家は、営業担当者たちがそのスキルを身につけることができたかどうかの「判定基準」を持っています。また、専門家は「ウィンゾーンに分類されるような選定基準を付加するようお客様へ働きかける」ロールプレイングゲームなどを適切にファシリテーションし、具体的な助言をすることができます。社内だけで行うよりも、初期段階では専門家のコーチングを活用するほうがより効果的に営業スキルを強化することができます。

営業力強化セミナーのご紹介

『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『営業力強化』などのセミナーを毎月開催しています。ぜひご参加ください。

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営業担当者の競合対策力を強化した企業だけが成長できる!

競合対策力は営業担当者にとって必須のスキルなのですが、営業組織として競合対策力を強化しているところは多くありません。ですが、前述したとおり、競合対策力強化は、受注額を増やすために挑戦すべき営業課題の1つです。なぜならば、ライバル会社(競合)の取引を奪い、かつ、値引き額を少なくすることで自社の売上を高めることができるからです。

今回、このノートでは競合対策力強化の基礎をご案内しました。私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウと経験があります。競合対策シナリオを具体的に描くためのノウハウや更に高度な競合対策手法のノウハウを保有しています。営業担当者たちが競合対策スキルを発揮できるようになると、営業組織の受注額を格段と向上します。

貴社と力を合わせて、営業担当者の競合対策力を強化します。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2020年9月14日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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