今までと同じやり方で業務を行っているだけでは企業を成長させることができません。成長するためには今までとは違うことにチャレンジする必要があります。例えば「新しい市場へ進出する」「新しい価値を創造する」「新しい事業モデルへ変化する」などの挑戦などです。このクライアント企業の経営者は、今後の企業の成長に向けて新しい「企業戦略」を示しました。営業組織はその企業戦略にそった「営業戦略」を立案して実行していました。
ですが、経営者は「その営業戦略の達成度が芳しくない。今の営業戦略が成功するのか疑問だ。営業戦略がうまく行っていない課題はなにか?」などの答えを求めていました。
このクライアント企業の営業戦略が成功するために、「組織営業力診断(営業力アセスメント)による現状の問題の特定」と「今後の対策の立案」が私たちへの依頼内容でした。実際にどのような組織営業力診断と提言を行ったか、その事例について解説します。
営業戦略の遂行をさまたげている障害と原因を特定し、加速するための重点課題と対策を立案する!
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クライアント企業の経営者からの依頼内容とは?
期待は「社内の人では気づくことが出来ない問題や障害を発見すること!」
この外資系製造業A社へ組織営業力の診断(アセスメント)を実施することになったきっかけは、私たちのホームページへのA社の人事担当執行役員からの問い合わせでした。その問い合わせ内容には「営業組織を客観的に診断してレポートしてほしい」と書かれていました。この人事担当執行役員と数回の打合せを行い、診断(アセスメント)へ以下の期待があることがわかりました。
◆ 営業組織に営業支援ITツールの投資を行っているが、この投資は効果的なものか、営業戦略の成功に役立っているものか?
◆ 現在の営業戦略を加速するための重要課題はなにか?
経営者は、企業全体を見て経営を行っています。それぞれの部門・部署のマネジメントは執行役員に任せていますので、経営者がそれぞれの部門・部署の現場で起こっている問題を詳細に把握することは簡単ではありません。通常、2階層以上離れますと、いくら報告を受けていても現場で起こっていることをはっきり認識することができなくなります。
A社の経営者は、営業担当執行役員が策定した営業戦略には承認しましたが、その営業戦略のその後の達成状況は芳しくないと思っていました。ですが、その達成状況が良くない障害や原因を明らかにできていませんでした。
「経営者に伝わっていない障害や問題」「社内の社員では気づくことが出来ない課題」など、外部のプロフェッショナルでなければ発見できない障害や問題を発見することが期待されていることでした。
私たちが選定された理由は?
人事担当執行役員は他社の営業コンサルティング会社とも打合せをしたようですが、上記の期待と照らし合わせて検討した上で、最終的に私たちを選定いただきました。私たちを選定した理由は「他社の営業コンサルティング会社が提供している営業診断(営業アセスメント)は、具体的な障害や問題を特定するという期待に沿うものではなかった」ということでした。具体的には下記になります。◆ 他社の営業診断(営業アセスメント)は、チェック項目に対し自分で「できている」「できていない」を自己評価するものだった。
◆ その方法では主観的な評価でしかなく、今回やりたい客観的な原因や障害の追求には不十分。客観的かつ具体的な課題がわかる評価や考察が必要だった。
◆ 他社の診断の対象は営業およびマネージャーの「営業能力(営業スキル)」だけを対象としたものばかりで、営業組織の管理体制や投資効果まで含めた組織全体に対する診断ではなかった。
営業戦略を遂行するための組織営業力診断(営業力アセスメント)の目的
私たちを選定いただいた後、人事担当執行役員とA社が直面している問題について更に詳しく打合せをしました。また、同時に組織営業力診断(営業力アセスメント)の具体的な方法についても協議しました。クライアント企業の経営者の潜在的な課題と期待とは?
その具体的な打合せを通して、今回ご依頼を頂いた背景と直面している問題の詳細がさらにわかってきました。3年ほど前、A社の経営者が変わり、企業としての新たな「企業戦略」を打ち出した。今までは、すでに継続して取引ができている特定の顧客を中心として販売を行ってきた。しかし、今後は市場シェアを獲得する営業戦略を進めていく。そのため、営業部門は、直接販売から代理店販売へ移行を進めている。代理店を活用することで市場でのシェアを高め、事業を拡大していく。その営業戦略を支えるために営業支援ITツールに投資を行っているが、その営業支援ITツールはあまり活用されていないようだ。また、営業部門の営業戦略の達成度も当初の計画よりも遅れている。今後、この営業戦略を加速するための重点課題とその対策を提言してほしい。
クライアント企業がおかれている状況
前経営者は、「ユニークさ」と「高価値」を特徴とした商品を、特定の取引ができているお客様へ販売することで長らく事業を行ってました。販売先となる主なお客様は、その「ユニークさ」と「高価値」を認めてくれている一部の工場だけでした。市場規模を調査すると、取引できているお客様は市場全体の2~4%だと想定できました。その2~4%というのは工場数での比率で、A社の主なお客様はほぼ中小の工場のために市場全体の総取引額と比べると1%にも満たない状況でした。すなわち、A社の販売余地はたくさんある状況でした。A社が扱っている製品の市場は縮小傾向で、売上や利益は数年前から減少している状況でした。そのため、まだ取引のない他のお客様への販売を増やしていく営業戦略を遂行する必要があったのです。また、営業の人員数が限られるために、すべてのお客様に営業することができません。そのために代理店販売へシフトしていく必要がありました。
私たちが診断を行う上で期待されていることは?
以上が組織営業力診断(営業力アセスメント)の背景であり、そのために私たちに期待されていることは下記でした。◆ 営業戦略はすでに決まっている
◆ その営業戦略が遅れている原因、加速するための重点課題を立案する
◆ 営業部門へのIT投資の効果性を判断する
◆ 日本語/英語の両方の報告書を用意する
営業戦略を遂行するための組織営業力診断(営業力アセスメント)を実施!
診断(アセスメント)は、下記のスケジュールで実施することになりました。「来年度の企業戦略作成に間に合わせる」というご要望がありましたので、期間は2ヶ月で行うこととなりました。【期間】 期間は2ヶ月間
【ステップ1】 営業部長との面談
【ステップ2】 営業支援ITツールへの投資など、現状の効果と今後の見通し
【ステップ3】 数人の営業との同行訪問
【ステップ4】 営業マネージャーとの面談
上記のステップで、レポートやミーティングの体系/人事評価/営業業務/営業力強化の状況などを分析したところ、以下のような問題点が明らかになりました。
診断結果(アセスメント結果)の報告
営業戦略に基づく現状の問題点
目標達成と見込みの報告体系
一般的に営業組織が行っている報告(レポート)は、「売上実績」と「今後の売上見込」です。A社の営業部には4つのグループがありましたが、全て「売上実績」と「今後の売上見込」の報告は行われていました。ですが、グループによって報告する内容・集計方法が違っていました。特に問題になっていたことは、「商品ごとの売上実績」と「商品ごとの売上見込」についてはすべてのグループで報告されていましたが、お客様ごとの売上実績と売上見込みが報告されていませんでした。また、この売上実績と売上見込の集計に営業支援ITツールは利用されていませんでした。
営業戦略の遂行力
A社の営業部門の戦略は「代理店営業へのシフト」でしたが、代理店営業についての目標設定・達成度管理・対策が十分マネジメントされていませんでした。すべてのグループの報告やミーティングは、今までの「特定のお客様にユニークな製品を売る」直接販売に関することを中心として進められており、代理店営業についての進捗度や達成度についての話はほとんどありませんでした。以上のように、「営業方法を変える」というような組織変革を経験したマネージャーがいない状況のため、営業戦略の遂行が場当たり的な状況でした。「目標の立案/実施計画の策定/進捗管理/対策の検討」が体系的に行われていませんでした。
営業支援ITツール
この数年、営業パフォーマンスを向上するために営業支援ITツールの投資を行っていました。また、現在も機能拡張の投資が計画されていました。このITツールの機能拡張を企画しているITエンジニアたちは営業部門の要望を聞いて拡張計画をしていましたが、その拡張計画は主に今までの直販営業に役立つ機能が中心となっており、代理店販売に役立つ機能への投資は検討されていませんでした。社員の強化
2年前、人事部主導で営業スキル研修を実施していました。その研修は、お客様への提案力強化を目指したものでした。ですが、2年経った今、営業と同行訪問をしてみると、営業たちはそのスキルを活用していませんでした。この営業研修は営業利益率の向上に役立つ研修ですが、A社の営業利益率は逆に悪化している状態でした。営業戦略を加速するための実施計画をご提案!
上記の問題が明らかになりましたので、A社の営業戦略を加速するために、以下の重点課題と実施計画を報告しました。営業マネジメント体制の見直し
中長期的な施策の立案、および、その管理が不十分であることを図示して説明し、具体的にどのような管理(マネジメント)を行うべきか、その手順を提言しました。また、そのマネジメントのトレーニング方法も解説しました。営業支援ITツール
営業支援ITツールに対しては、代理店営業で必要となる機能について報告しました。人材の育成
営業戦略を加速するために、「今後行うべきレポートとミーティング体制」そして「それを効果的に遂行するための営業マネージャーや営業パーソンに必要な各種トレーニングと実施手順」を提言しました。また、2年前に実施した営業力強化研修を今後有効に活用するための対策も報告しました。アセスメントに対するクライアント企業の評価
経営者・人事担当執行役員の双方から「今回の報告書には、気がつかなかった問題が多く、かつ、構造的に分析されて報告されており、満足しています。来期の企業戦略として取り組むべきことが明らかになりました。また、営業支援ITツールの投資として、成長に役立つ機能に集中して機能拡張するように計画をもう一度検討しなおします」とご評価いただきました。最適な戦略・最適な施策が企業のパフォーマンスを改善できる
以上のように、長期的な戦略を立てても、多くの企業では様々な障害や問題に直面して効果的に戦略が進んでいません。戦略は、確実に遂行されなければ実を結ぶことはありません。多くの企業が現在直面していることは「戦略の立案」よりも「戦略遂行の遅れ」です。自社内の問題点というのは社内の人ではなかなか発見することはできません。なぜならば、今までの経験・慣習という偏った見方でどうしても見てしまうからです。幅広く客観的な視野で、効果的なチェック項目で診断するからこそ、事業計画/戦略の妨げとなる問題や障害を発見することができます。
私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウと経験があります。このクライアント企業のように「その営業戦略にそって投資や対策をおこなっているが、期待している結果となっていない」とお感じであれば遠慮なくお問い合わせ下さい。どのような企業でも、社内の人では気がつくことができない問題と障害が潜んでいます。私たちがその問題を明らかにするとともに、誰もが「それは問題だ!」と納得できる理由とその対策をレポートいたします。
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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