多くの社員が直面している「問題を解決できない6つの理由」とその対策

私たちが実施した研修の受講者から「こまっているのですが、どうすればいいんでしょうか?」と相談を受けることがよくあります。その相談内容の多くは、仕事の生産性向上やさらなる業績の改善など、「成果を出すことを求められているのだが難しい!」というものです。

相談にきたほとんどの人が「難しい!」と感じる問題のため、「その問題に対してどうすればいいのか?」という状態で考えが止まってしまっています。
なぜ多くの社員が「どうすればいいんでしょうか?」と悩んでいるだけの思考の状態で止まっているのでしょうか?

さまざまな理由がありますが、今までのわたしたちの経験から6つの理由を発見しました。
「ティール組織」という書籍でも語られていますが、高い成長を遂げている進化型組織の社員たちは「チームでの問題解決力」があります。
社員が問題に直面している段階で思考が止まってしまい、その問題解決へと進められない理由を明らかにするとともに、その解決策を解説します。

多くの社員が直面している「問題を解決できない6つの理由」とその対策

私たちが発見した「社員たちが問題を解決できていない6つの理由」とは?

まずは、「多くの社員たちが問題を解決できない6つの理由」について考えることから始めましょう。


理由1: 何が問題なのかわかっていない

「困ったことがあるのです。どうすればよいか意見を伺いたいのですが…」と相談に来た受講者がいました。
その時の会話の流れは下記のようなものでした。

【私】 実際にどんな問題が起きているのですか?

【受講者Aさん】 うちの会社は問題が起こるたびにチェックシートを作るんですよ。そのチェックシートがあまりにも多くなって仕事の効率が悪くなっているんです!

【私】 そうですか、ちなみにチェックシートとは具体的にどのような内容のチェックシートなのでしょうか? 幾つか事例を教えていただけませんか?

【受講者Aさん】 いろいろあるんですよ、なんだったっけなあ、えっと… そう言われると…

必要以上にチェックシートが多いことは、生産性に影響を及ぼす問題です。ですが、「多すぎる」という感覚的な懸念だけでは、その問題を解決することはできません。感覚的に問題を感じ取ることは大切なのですが、それだけでは問題解決までには至らないのです。
そのチェックシートの概要や大まかなでもその内容がわからないと解決策を検討することは出来ません。

理由2: 期待されていることの意味を理解していない

【受講者Bさん】 上司から「あなたのチームメンバーの意欲をもっと高めろ!」って言われているんですよ。どうすればよいのでしょうか?

【私】 なるほど! では、「意欲を発揮している」って具体的にどんな状態は望ましいのですか?

【受講者Bさん】 「言われていないことも自分で考えてやれ!」ってことですかね?

【私】 そういう意味もあるかもしれませんね。仮にそうであれば「言われていないことも自分で考えてやれ!」とは、どういう状態ならばその問題が解決されたってわかるのでしょうか?

【受講者Bさん】 …

【私】 ではちょっと話を変えましょう。この件で、最近上司の方とどのような話をしたか思い出すことはありませんか?

【受講者Bさん】 この前上司に言われたのは、「もう少し、一人ひとりへのマネジメントのバランスを考えた方が良いんじゃないか?」とのことでした。

その後、受講者Bさんと話を続けると、そのマネージャーがBさんへ期待していたことは、「意欲のないメンバーは、まずは放っておいてよい。今の会社の状況は全ての人の意欲を高めることなど出来る状態ではない。意欲の高い人だけをさらにしっかり引き上げれば良い」ということでした。

相談者と話をしていると、上司や周りの人から期待されていることを正しく把握できていないことも多いです。

理由3: 1発で解決しようとする

営業マネージャーからは「我が社の営業たちは、何で目標ができないんでしょうね!」という部下に対する相談がよくあります。このような部下の目標達成に悩みを抱えている営業マネージャーは、部下に「意欲を発揮しろ!」「外回り毎日20件だ!」と意欲と行動量に着目しているマネージャーが多いです。

成熟度の高いマネージャーは、そのような意欲と数値目標の達成度に着目するのではなく、「その数値目標がなぜ達成できないのだろうか?」という原因の部分を探ろうとします。
その原因に相当する部分を徹底的に考えることで、「意欲」ということではなく、下記のような原因に目を向けます。
  • 会社のプロセスに問題がないか?
  • 会社の複数の目標が矛盾している状態となっていないか?
  • 報告体系や評価体系は?
  • マネジメントのやり方に問題がないか?
  • スキルはどうか?

  • そして、その問題に対する達成目標を設定し着実に解決するようプロジェクト的な取組をします。
    このような問題は「なにか1つの対策を取れば解決できる!」というものではなく、複雑に絡み合っているものを1つ1つほぐしながら解決することが重要だからです。

    本来は、上述したように手順を踏みながらしっかり対処することが必要です。ですが、多くの営業マネージャーは、下記のような意欲・行動量だけ着目して「直面している問題を1発で解決しよう!」としすぎています。
  • いいから2倍やれ!
  • 意欲を出せ!

  • 実は、意欲やモチベーションを高めることは「技術」です。
    モチベーションを高めるための技術を学べば誰でもできるようになります。
    参照: 人材の育成とモチベーション対策 ~ 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(7)

    理由4: 問題を複雑にしている

    ある受講者の仕事の悩みを伺いましたが、どうもその悩みの焦点がはっきりしないように感じました。言葉を注意しないといけませんが、あまりにも表面的かつ感覚的な話に感じたのです。
    そのため、「もう少し詳しく教えてくれませんか?」ときいてみると、下記のようなことを話し始めました。

    「こんなこともありましてね…」
    「それに、他のこと仕事ばかり押し付けられていて…」
    「そして、でも助けてくれなくて…」
    「話を聞いてくれないんですよ…」
    「それにこんなことも…」

    上記のように、多くの悩みについて話してくれました。
    その相手の話を聞き終わった後の会話は下記のようなものでした。

    【私】 そうですか、いろんな事が起こっているようですね。話を聞いて感じたことなのですが、通常そのような場合にはxxxが第一の問題で、その解決にはxxxxという手段に取り組むことが良いのですが?

    【受講者C】 あっ、それはですね、やっていないんですけど、たぶん、こういうことがあるのでそれをやるのは難しいんですよ。無理じゃないかな!

    直面している問題に対して、「感情的・感覚的」「自己主張」「自分のことを認めて欲しい」「他へ否定的に感じていること」など、多くの内的・外的な要素を複雑に絡めてしまっていました。

    たしかに、いろんなことが発生していて取り組まないといけないんでしょう。ですが、それらのことをシンプルに整理しないと解決できません。
    問題が複雑なままだと解決することはできないのです。

    理由5: 人間関係を考えすぎる

    下記のような人間関係や組織間の関係に関わる相談もよくあります。
  • 「みんなでやることになっているのですが、Dさんが協力してくれなくて…」
  • 「あそこの部門は敵対しているので…」

  • 本来は、力を合わせて生産性を高めるために組織があるのですが、どうもそうなっていないようなのです。
    人間関係を考えすぎて、問題解決に踏み出せないのです。
    このような問題では、人間関係などの人と人との関係にまず着目するのではなく、そこで発生している事象そのものに目を向けることが大切です。このような事象に着目して問題を解決する方法を学ぶ機会がなかったようです。

    理由6: 実は、解決したいと思っていない

    今までに紹介した理由1から5にも当てはまりますが、「解決したい」と口にはしながら「困っている!」という思考の段階で止まってしまっている最も重要な理由がこの「実は、解決したい!と思っていない」ことです。
    解決するためには、自分も変化を求められますし、人との関係に軋轢が発生してしまうと思っているからです。

    人は「変化(チェンジ)」を嫌います。認めたくない人も多いと思いますが、ちょっとした変化にも抵抗しています。
    ですので、「問題だ!」と言葉にはしていますが、実はほとんどの社員は解決することを望んでいないのです。もしくは、解決できると思っていないのです。


    社員たちが問題を解決できるようになるための対策

    私たちが体験してきた「社員たちが問題を解決できない6つの理由」をご説明しました。
    問題を解決できず、先送りもしくは放置しているような状況になっている根本的な原因は「問題の状態が正しく理解できていないこと、整理できていないこと」です。
    これら6つの理由をなくし、自分たちで問題を解決出来るようになるためには、「直面している問題をできるだけ正しく理解し、シンプルに整理すること」が大切です。

    そのために、私たちは基本となる下記の4つのポイントに取り組むことを推奨しています。
  • ポイント1: 書く
  • ポイント2: 論理構造を持つ
  • ポイント3: 現場へ出向く
  • ポイント4: シンプルに考える

  • 参照: これらは、[研修] 思考力強化研修 / potential of thinkingプログラムで学ぶことができます

    ポイント1: 書く

    問題を感じたら、その問題について考えていることや分かっていることをまず紙に書き出してみます。紙に書く以外でも良いです。パソコンに入力する方法でも構いません。
    「紙に書く」という行為はその直面している問題を客観的に見ることが出来る効果的な方法です。
    その作業を通して、自分が考えていることが段々と整理されていくはずです。

    ポイント2: 論理構造を持つ

    紙に書いた後は、その書いた内容を整理します。
    問題を解決するために書いた内容を整理するためには、下記の4つで分類します。
  • 現状の状態と目指す状態
  • 自分の期待と周りに期待
  • それらの原因と結果
  • 実際に取り組もうと思っていること

  • 紙に書いた内容をこの4つの分類で整理すれば、複雑な問題でもかなり整理されてきて、対処すべき本質的要素が見えてきます。

    ポイント3: 現場へ出向く

    4つの要素で分類された内容を見て情報が足りなければ、もう一度情報を集めます。
    何かに取り組む前に足りない情報を集めることで、更に効果的な解決手段を発見することができます。

    ポイント4: シンプルに考える

    問題を複雑にしてしまうと問題解決が「困っている!」という思考の段階で止まってしまいます。
    特に、原因と結果で整理する際において、「根本的な原因はたった1つである」と考えて、1つの根本的な原因を発見しようとすることは避けてください。これが逆に問題解決への取り組みを妨げてしまいます。
    その理由は、そもそも組織内で起こっている根本的な原因は1つではなく、複数の原因が絡み合っているからです。
    原因が複数あっても大丈夫です。その複数の原因を1つ1つ解決していけばよいのです。その方が確実な問題解決に繋がります。

    この様に、問題をシンプルに考えることでやるべきことがはっきりしてきます。

    更に効果を上げるために!

    問題を解決できない人と話をしてみて、私たちが感じることは「1人で抱え込みすぎている」ということです。
    「相談する相手がいない」「一緒に取り組んでくれる人がいない」ために書き出すこともせずに自分一人で頭の中で思考を巡らせるだけなので、「問題の整理」「問題の原因」を明らかにできていないのです。

    ですので、問題に直面した時には、前述した一連の手順を他の相談者と話しながら進めることが効果的です。
    その際、会社の外部の相談者に依頼して一緒に進めると更に効果的になります。
    外部の人は、社内の人間関係の影響を受けていませんし、先入観なく客観的かつ冷静に問題を整理・理解し「人間関係を考慮した上で幾つかの対策を見出す」ことを助けてくれます。

    私たちのクライアント企業はそのことをよく知っていて、私たちへ「社員だけでは解決できなかったので、協力してくれませんか?」という相談をいただきます。社内の社員だけに任せる以外の方法もあるのです。

    社員たちが直面している問題を解決するためのトレーニングから始めよう!

    会社内には様々な問題が発生しています。ですが、問題を解決する方法を学び体験したことのない社員がそれらの問題を解決することは困難です。多くの企業は企業変革・組織変革に取り組もうとしていますが、それ以前に問題解決を遂行できる社員ですら企業内には少ないです。
    「社内だけでなんとかしよう」としても、特に難易度の高い問題こそが放置されています。少し時間はかかりますが、これらの問題を解決するために社員の思考力や問題解決力を強化することはとても大切です。

    ゆっくりしていられない場合には、外部の人に問題解決の支援をしてもらう選択をする必要もあります。ただ、外部に丸投げはいけません。信頼できる外部の人と一緒に問題に取り組むことが最も良いです。
    そうすれば、その解決したノウハウを会社に残すことができます。

    私たちも、クライアント企業の経営者からそのような依頼をいただき、一緒に問題解決に取り組んでいます。下記はその一例です。
  • 部内のレポート体系を部長と一緒に見直してほしい
  • 総務と一緒にRPA(Robotic Process Automation)の導入に取り組んでほしい
  • インサイドセールスのKPIがうまく機能していないので改善してほしい
  • 月に1回来て複数のマネージャーたちの改善活動が効果的に進む支援をしてほしい

  • このような問題でお悩みであれば、是非ご連絡ください。
    「ティール組織」という書籍でも語られていますが、高い成長を遂げている進化型組織の社員たちは「チームでの問題解決力」があります。
    あなたと力を合わせてこれらの問題解決に取り組み、貴社の社員の問題解決力を高めます。

    (本コラムは、2016年4月4日に書かれたものを再編集しました)
    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
    Copyright (C) 2016-2019 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.


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