マネジメントとしてのコミュニケーション力 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(8)

未来を自らの手で創れるようになる!

お金を稼ぐためだけに、つまらない仕事を黙々と続ける。そんな人生は嫌だと思いませんか?
組織の中で「仕事を楽しむ」ことができる人たちを、私たちはハイパフォーマーと呼んでいます。
彼らは決まったことをこなすことではなく、変化を創ることを仕事と考えています。
グローバル化が進み競争がさらに激しくなる世界で、豊かな未来を創り出す力をもっているのは、彼らのような人材なのです。

高いポジションへの昇進・大きな報酬・多くの魅力的なチャンスを得ているハイパフォーマーたちは、「仕事の技術」を身に着け、活用しています。
この「仕事の技術」をしっかり学び変化を実践できれば、あなたも彼らのように活躍し、仕事を楽しむことができるでしょう。

コミュニケーションはビジネスを行う上での基礎的な能力・スキルですが、この基礎的なスキルを効果的に発揮できるかどうかで組織やチームの成果が大きく変わります。なぜならば、役職が上がれば上がるほど、成果を最大化するために人の力が必要となるからです。
ハイパフォーマーたちはコミュニケーション力が高いです。コミュニケーションの大切さを理解しており、そのためにしっかり学び、日頃から自己研鑽しています。今回のコラムでは、ハイパフォーマーたちのコミュニケーションの原則、そして、どのように自己研鑽するかについて解説します。

この記事のもくじ

昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーが発揮しているコミュニケーション力とは!

コミュニケーション・ミスが及ぼす弊害

Case1. 半分しかできていないなら意味がない!

マネージャーのAさんは、Bさんへ「Xを作って下さい!」と仕事の依頼をしました。
早速Bさんは、作業にとりかかりました。
半分程度できたところだったのですが、AさんがBさんのところに来て「明日、Xを使いたいんだけど出来た?」と聞きました。
Bさんが「まだ半分です。明日には間に合わないです」と答えると、Aさんは激怒し言いました。
「明日までにXが出来ないのならば作る意味がない!」
結局Aさんは成果物を手にすることが出来ず、Bさんの作業も無駄になりました。


Case2. なぜ、率先してやらないんだ!

マネージャーのDさんは、メンバーに報告書作成を指示しました。
期限まで1週間ほどあったので、メンバーたちは、ゆっくり、かつ、しっかり検討して出すつもりでした。
マネージャーのDさんは、メンバーたちの報告書を楽しみにしていましたが、指示してから2日経つのに誰一人報告書を出しませんでした。
期限までまだ2日ありましたが、Dさんは激怒し言いました。
「誰一人として報告書を出さないなんてどういうことだ、やる気があるのか!」
メンバーたちは、予定を変更し夜遅くまでかかって報告書を作りました。その内容はとりあえず体裁を整えただけの報告書でした。


コミュニケーション・ミスが時間を無駄にしている!

2つの事例を紹介しましたが、これらの問題はある特定の1社で発生していた出来事ではなく、いくつかの会社で発生していた出来事でした。
これらの会社は、業績が芳しく無く、かつ、成長が停滞している会社でした。

多くの会社で、コミュニケーション・ミスによる「時間のムダ」「時間の浪費」が発生しています。
このように、組織およびチーム全体の時間をムダにしてしまっては、企業の成果を最大化することなど出来ません。
マネージャーやリーダーは、もっと組織およびチーム全体の時間を大切にすべきです。

仕事の依頼を行う際には、下記の2つを大切にする必要があります。
(1) 仕事の指示・内容・期限について、依頼する側も依頼される側も双方がしっかり確認すること。
(2) 期限とは「約束」。約束した期限は遅れてはいけない。そして、依頼する側は勝手に早めてはいけない。

もし、あなたの上司や先輩が上記のようなことをしていても、ハイパフォーマーを目指すあなたはこのようなことをしてはいけません。


コミュニケーションの本質

コミュニケーションのミスは「時間のムダ」を引き起こします。
ですが、コミュニケーションは簡単ではありません。
なぜ、コミュニケーションは難しいのでしょうか?


コミュニケーションが難しい理由

人と人とのコミュニケーションがうまくいかない理由は様々ありますが、マネージャーとメンバーの間でよく見受けられる原因は下記です。
  • 相手に正しく伝えようと話していない。
  • 相手が理解できるような方法で話をしていない。
  • 相手に直接明確に話しをしても、相手が上の空 (聞いていない)。
  • 誤解。相手が言ったことを違った意味で捉える。

  • これらのことが原因となり、結局の所、伝えたいことが伝えたい通りに伝わることはなく、相手が受け取ったとおりにしか伝わらないのです。
    ですが、コミュニケーション・ミスは、様々な浪費を引き起こします。ハイパフォーマーはそんなムダは避けなければなりません。
    これらのコミュニケーション・ミスの原因をメンバーや部下のせいにするのではなく、ハイパフォーマーを目指しているあなたが対策を取ることが必要です。

    そのために、効果的なコミュニケーションのポイントを確認しましょう。


    ハイパフォーマーが自己研鑽すべきコミュニケーション基礎

    ハイパフォーマーのコミュニケーション力次第で、組織やチームの成果が変わる!
    そのくらいコミュニケーション力は重要です。
    コミュニケーション力を鍛えるには、下記の5つの基礎要素を意識することが大切です。

    1. はっきりとした自己概念を持つ
    あなたが何者か、あなたの役割は、なにができるか、ミッション・ビジョン・価値観はなにか、といった、あなた自身の自己認識は、コミュニケーション・理解・判断に大きな影響を与えます。
    このような自己概念が曖昧・弱々しいと、他人に関わることを不安に感じるようになります。
    また、「自分が取るに足りない」という自己概念は、自分を不安定にさせ相手の助言を受け入れ難くなり、自分の意見を言えなくなります。
    自己概念をはっきりできる方法は、リーダーへの成長プロセス実践方法! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(2)で解説しましたので、こちらを参照下さい。

    2. よい聴き手になる
    組織やチームの成果を最大化するためにあなたが何に取り組むかを決めるためには、周囲からいろいろな情報を受け取らなければなりません。この情報を効果的に受け取るのは、”聴く”ことによります。
    ただ漠然と耳に入ってくる「聞く」ではなく、相手の意味を探り、理解するために身体的・感情的・知的にエネルギーを集中して「聴く」ことが必要です。
    この「聴く」というのは、相手(特にメンバー)の成長を支援できる効果もあります。
    「聴く」については、後ほど「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」の章でより詳しく考えましょう。

    3. 自分の考えをはっきり表現する
    あなたが伝えたいこと、感じていることを明確に表現できることは大切です。
    「自分の言いたいことを言わなくても、相手はわかってくれる」と思っていても、殆ど伝わっていません。
    「こちらがはっきりと表現しなくても、相手はそれを受け止めるべき」という考えや姿勢は、わがまま・甘えです。
    「相手に伝わっていなかった!」という問題は、あなたの「自分の考えをはっきり表現する能力」を高めることで解決する必要があります。
    「ビジネス・プレゼンテーション」の章で、はっきり表現する方法をより詳しく考えましょう。

    4. 感情を効果的にあつかう
    感情の表現、特に怒りなどの感情は対人関係に影響を及ぼします。
    感情を表現し、それを他人にきいてもらい、受け入れてもらい、また、応えてもらう、ということは人の基礎的な欲求です。人にはそのような基礎的な欲求があるのですが、ハイパフォーマーを目指すあなたは、怒りのような感情も破壊的でなく建設的な方法で表現する必要があります。
    特に意見が対立しているような場合の効果的な対処方法については「対立時のコミュニケーション」の章で考えましょう。

    5. 自己開示する
    自分の考え・気持ち・意見・特長・認識などを偽らずに打ち明ける能力は、コミュニケーションにとって必要です。そのような自己開示できるのは、自己概念がはっきりしているから可能になります。


    コミュニケーション基礎要素を自己評価しよう

    《 THINK ! 》
    コミュニケーションの5つ基礎要素を紹介しましたが、その達成度合いを自己評価してみましょう。
    「自分はできている!」と思う順番に、1,2,3,4,5と番号を振ってみて下さい。

    (順番: ) はっきりとした自己概念を持つ
    (順番: ) よい聴き手になる
    (順番: ) 自分の考えをはっきり表現する
    (順番: ) 感情を効果的にあつかう
    (順番: ) 自己開示する

    自己評価が終わったら、今度はあなたの同僚や友人にも「あなたが出来ている順番」を評価をしてもらって下さい。

    もし、あなたの自己評価と相手の評価が同じであれば、順番の一番低い要素が最も対処すべき課題です。

    もし、あなたの自己評価と相手の評価に違いがある場合、「自分はできている」と思っていることが、相手からみて「できていない」と思われている点です。この違った認識の要素を対処すべきです。
    暫くの間、その要素を意識してコミュニケーションを行うように心がける必要があります。


    コミュニケーションの効果は、相手次第です。
    相手に正しく伝わらなければ、相手から正しい情報を得ることが出来ませんし、相手に正しい依頼をすることが出来ません。
    コミュニケーションは目に見えるものではないので、時折このように自己評価と周りからの評価を照らし合わせて、継続的にあなた自身のコミュニケーション力をさらに良いものへと改善することが必要です。


    アクティブ・リスニング (積極的傾聴)

    先ほどもご説明しましたとおり、「聴く」ということは、効果的なコミュニケーションの基礎要素の1つです。
    この「聴く」について、より深く考えましょう。


    「聴く」ことが人を育てる

    「ジョハリの窓(図)」というコミュニケーションに関する考え方があります。「双方の協力作業によって未知のスキルや才能を発見していく」ということを目指して考案されたコミュニケーションのモデルです。

    メンバーである相手には「自分で知っている」ことがあります。
    そして、ハイパフォーマーかつリーダーであるあなたは、相手のことを知っている「他人に知られている」ことがあります。
    これが、「開かれた窓」に相当します。

    あなたが「聴く」すなわち「相手をより理解しよう」とすると、あなたへの防衛意識が減り、安心感が生まれ、信頼関係が醸成されていきます。
    そうすると、相手はあなたに対して「自己開示」するようになり、あなたが知らないこと「他人に知られていない」ことに相当する「隠された窓」の領域がだんだん少なくなっていきます。

    また、その自己開示した内容も含め、相手に対して「聴く」すなわち「相手をより理解しよう」とすることで、あなたは相手に対してより適切なフィードバックをすることが出来るようになります。
    そのフィードバックによって、相手が知らないこと「自分で知らない」ことに相当する「盲点の窓」の領域もだんだん減少していきます。

    この「自己開示」と「フィードバック」という相互の行為によって、「未知の窓」に相当する領域である「相手の新たな能力や才能」を発見でき、さらなる成長へ支援することが出来るのです。
    この「ジョハリの窓」は「聴く」もしくはそれをさらに発展させた「アクティブ・リスニング (積極的傾聴)」を基盤として、相手の成長を支援していくコミュニケーションのモデルなのです。

    すなわち、アクティブ・リスニング (積極的傾聴)の目的とは下記で、人を育てるために必要なことなのです。
  • 相手(主にメンバー)が新しい経験や価値観を受け入れ、自ら行動を起こすこと
  • 人が自ら行動を起こすきっかけを増やすこと


  • 「きく」3つのレベル

    「きく」という行為には、図のように3つのレベルがあります。


    Level1. Hear(聞く)
    このLevel1の聞き方は、「断片的に聞く」というものです。例えば、下記のような聞き方です。
  • 自分が見たもの(経験)をどう説明するかを考え、殆ど聞いていない。
  • 違うことを考えている。

  • このような聞き方ばかりだと、相手に対して正しい業務の指示をすることが出来ません。
    そして、メンバーを育てることも出来ないのです。


    Level2. Listen(聞く)
    このLevel2の聞き方は、「自分の経験を頭に思い浮かべて(自分の経験と比較して)、相手の話をきく」というものです。例えば、下記のような聞き方です。
  • 自分の経験との差や違いを確認しながら「そういう違いか!」と違いを認めながらきく
  • 自分の経験との差や違いを確認しながら「それは違うよ!」と否定しながら聞く
  • 「聞きたいことはそこじゃないのに!」と思いながら聞く

  • この聞き方は、Level1よりも相手を聞こうとしています。「聞こう」という意識を持った聞き方です。
    ですが、このLevel2の「聞く」は「”自分”が納得できるかどうか」が中心となっている聞き方なのです。
    相手に、具体的な仕事の指示をすることは出来ますが、相手を成長させることまでは出来ないのです。


    Level3. Active Listening (アクティブ・リスニング、積極的傾聴)
    この「聴き方」は最高級の聴き方で、「自分が見たもの(経験)を頭から取り除いて、素直に相手が見たものを受け入れるように理解する」というものです。
    「自分の納得」と「相手の理解」をしっかり切り離して聴くことが出来る能力です。
    これを行うためには、「聴く」という行為を受身的に行うのではなく「積極的」に行うことがポイントとなります。

    この聴き方が出来るからこそ、先ほどご案内した「ジョハリの窓」のコミュニケーションモデルを活用してメンバーを育てること出来るのです。


    アクティブ・リスニング(積極的傾聴)が出来ているかどうか、自己チェックの方法とは

    《 THINK ! 》
    あなたは、このLevel3の「きく」、Active Listening (アクティブ・リスニング、積極的傾聴)が出来ているでしょうか?

    この積極的傾聴が出来る人は、下記のような言葉の言い回しをよく使います。
  • お話を聞いていて、…と理解しましたが間違いはありませんか?
  • おっしゃりたいことは、…でしょうか?

  • すなわち、相手が言ったことを自分がしっかり理解できているかどうかを確認する行為です。
    これは、アクティブ・リスニング(積極的傾聴)の能力を身につけるための第一歩目となるものです。

    あなたは、1日に何回くらいこのような言葉を使っていますか?
    まずは、このような言葉の回数を増やすことからはじめて下さい。


    アクティブ・リスニング (積極的傾聴)とは、人を育てるための基盤となるものなのです。
    組織やメンバーの成果を最大化するハイパフォーマーには必ず必要です。


    質問の効果

    「きく」ということと同様に、コミュニケーション力を高めるためにしっかりと学ばなければならないもう1つの要素が「質問」です。

    上手に質問することは、リーダーやマネージャーにとって必要不可欠です。
    地位が上がれば上がるほど、成果を上げるために他の人の力を頼るようになります。そして、メンバーからリーダーやマネージャーであるあなたへ伝わる情報の質と妥当性は、少なからず質問者であるあなたの質問の質や内容によって決まってしまいます。

    リーダーやマネージャーの質問によって、下記の効果性が決まってしまいます。
  • 正しい意思決定を行うための情報を得る。
  • ある問題について、部下が建設的な考えができるようになる。


  • ハイパフォーマーを目指すあなたは、これから説明する4つの質問の種類の違いを認識し、メンバーとのコミュニケーションで丁寧かつ効果的に活用する必要があります。


    知っておくべき質問1. オープン質問

    オープン質問とは、相手に文章または複数の言葉をつかって回答してもらう質問です。
    このオープン質問は、会話を始める初期段階に活用すると、相手が感じる「プレッシャー」を軽減することができ、相手が会話をしやすく感じます。
    すなわち、ポイントは、相手が話しやすくなることです。そうすることで、相手をより理解できるようになります。

    オープン質問には様々な質問がありますが、会話の初期段階で使うオープン質問の例は下記です。
  • 最近の調子はいかがですか?
  • なにか困っていることについて教えてもらえますか?


  • 知っておくべき質問2. クローズド質問

    クローズド質問とは、「はい」「いいえ」もしくは選択肢の中から簡潔に選択して答えられる質問です。
    クローズド質問は、緊張している相手の気持を和らげ、明確で簡潔な答えを引き出せる効果があります。会話の初期段階でオープン質問をすることで会話をしやすくなることを説明しましたが、相手によってはクローズド質問のほうが効果的な場合があります。すなわち、会話の初期段階においては、オープン質問だけではなく、クローズド質問も併用して活用することがポイントです。

    また、時間の制限がある場合、話の流れをコントロールでき知りたいことを迅速かつ簡潔につかめるため、クローズド質問は効果的です。ただし、情報が限られてしまうことに注意する必要があります。

    クローズド質問にも様々な質問がありますが、会話の初期段階で使うクローズド質問の例は下記です。
  • チームのメンバーとは問題などありませんか?
  • どっちのほうが好ましいですか?


  • 知っておくべき質問3. 探索型質問

    探索型質問とは、その前に話していたことに対して過去や現状についてより具体的に把握する質問です。
    オープン質問やクローズド質問で会話しやすい環境を作った後、より具体的・論理的に理解するために使います。この検索型質問は、相手にとって「興味を示してくれている!」と感じるため、追加情報を更に深く確認することが出来ます。

    探索型質問の例は下記です。
  • どのような場面でその問題は発生していましたか?
  • その発生した原因について、知っていることを教えてくれませんか?


  • 知っておくべき質問4. 仮定型質問

    仮定型質問とは、その前に話していたことに対して予想される結果を確認したり提起したりする質問です。
    ハイパフォーマーには、この仮定形質問を効果的に活用できる能力が必要です。なぜならば、メンバーにしっかりと考えさせ、自ら答えを導き出すことを助ける質問だからです。
    仮定形質問を行うことで、メンバーの推論力、思考プロセス、価値観、創造力、仕事のスタイル、課題の取り組み方など、基礎的な能力を強化することが出来ます。
    この仮定形質問を効果的に行うためには、先ほど説明した探索型質問で十分に現状を把握できていることが鍵を握ります。

    仮定型質問の例は下記です。
  • その問題を放置するとどんな悪影響が予想されますか?
  • 解決策はどのようなものがありますか?


  • 日々、継続的に質問力を高める!

    《 THINK ! 》
    あなたは一日何回くらい質問をしますか?
    そのうちオープン質問・クローズド質問・探索型質問・仮定形質問は何回くらい使っていますか?

    様々な企業のマネージャーを見てきましたが、一般的なマネージャーの質問数は多くありません。
    あるマネージャーは、3時間ほどの間に2,3個しか質問をしなかったマネージャーもいました。
    それほど質問の数は少ないのです。

    ですが、ハイパフォーマーには質問力は必須です。ぜひ、いろいろな種類の質問(その性質、目的、用途)を理解し、常日頃から鍛錬に務めてください。


    メンバーとのコミュニケーション

    日本企業のマネージャーが考えるコミュニケーションの方法は?

    《 THINK ! 》
    メンバーとのコミュニケーションの方法にはどのような方法が思いつきますか?

    ある企業の支援をした時のわたしたちの体験談を紹介します。
    そのクライアント企業からの依頼は「営業管理体系・営業マネジメント体系の診断(アセスメント)」でした。
    営業管理体系の診断をしますので、営業部長・営業課長にインタビューをしました。
    その際に、営業部長・営業課長へ「部下の成長にために普段取り組んでいることはなんですか?」と質問しました。その答えは、「時折、お酒を飲みに行く!」だったのです。


    日本の多くの企業はメンバーとのコミュニケーションの方法として「お酒を飲む」「会食をする」などの回答が多いです。
    私たちは、このお酒や会食も1つの方法だと考えていますので、否定するつもりはありません。
    ですが、メンバーとのコミュニケーションの方法は他にもたくさんあります。


    メンバーとのコミュニケーションの方法

    ハイパフォーマーが知っておくべきメンバーとのコミュニケーションの方法には下記のようなものがあります。

  • MBWA (Management By Walking Around)
  • 1on1ミーティング
  • コーヒートーク
  • Regular Meeting (定期会議)
  • キックオフミーティング
  • オープン・ドア・ポリシー


  • MBWA (Management By Walking Around)
    MBWAはメンバーとのコミュニケーションを取るための方法の1つです。マネージャーからメンバーに近づき、メンバーが業務を行っている場に行き、立ち話的にメンバーとコミュニケーションをとります。
    MBWAの目的は、相互の信頼と理解を築き、人々がアイデア・意見・問題・懸念を自由に発言できる環境を作ることで、「日常の職場で起こっている情報の収集、人々の考えや意見を知る」ことです。
    MBWAを実施するために、事前にアジェンダなどを用意する必要はありません。都度、マネージャーが行います。開催頻度は、2-3日に1回は行うことが理想です。

    1on1ミーティング
    1on1ミーティングは、メンバーと1対1でおこなうコミュニケーションの方法です。
    1on1ミーティングの目的は、「メンバーのMBOの達成の指導・支援」です。
    1on1ミーティングを行うには事前準備が大切です。メンバーのMBOや前回の話し合った内容などの資料を準備してから取り組みます。
    開催頻度は月1回程度、所用時間は30~60分です。

    コーヒートーク
    コーヒートークは集合形式で行うコミュニケーションの方法ですが、この後説明するRegular Meeting (定期会議)のような公式のものではなく、非公式の集まりとして行います。
    コーヒートークの目的は、「組織やチームの目的・目標の達成度の共有化、および、目標達成への意見の共有化」です。
    非公式的なものなので、外資系企業やベンチャー企業では、コーヒーやドーナッツを用意してリラックスした雰囲気で行っています。
    開催頻度は月1回程度、所用時間としては30~60分です。

    Regular Meeting (定期会議)
    Regular Meeting (定期会議)は、毎月・毎週の会議など、定期的に行われる会議です。ほとんどすべての会社で行われている会議です。
    Regular Meeting (定期会議)の目的は、「プロジェクトの進捗など、テーマに沿って目標の達成度合いや対策を話し合う。もしくは、各種報告を行う。」ことです。
    開催頻度や所用時間はテーマによって決定します。

    キックオフミーティング
    キックオフミーティングの目的は、「プロジェクトに参加するメンバーが、年度方針などプロジェクト的な取り組みの目的・期限・達成基準・それぞれの役割を理解する」ことです。
    キックオフミーティングは、プロジェクトオーナーやプロジェクトマネージャーが主催して行います。
    キックオフミーティングを開催する前には、事前準備が必要です。キックオフミーティングの進め方をプロジェクトオーナーやプロジェクトマネージャーで確認し、それぞれの役割に基づいた準備をします。
    キックオフミーティングは、プロジェクト的な取り組みを行う前には必ず行う必要があります。キックオフミーティングに参加する人数にもよりますが、所要時間は60~90分位で行います。

    オープン・ドア・ポリシー
    オープン・ドア・ポリシーもMBWAと同様に、相互の信頼と理解を築き、人々がアイデア・意見・問題・懸念を自由に発言できる環境を作るためのものです。MBWAと違うのは、マネージャーがメンバーへ近づくのではなく、メンバーがマネージャーにいつでも相談することが出来る、というものです。
    マネージャーはメンバーの相談に「オープンドアな姿勢(扉が開かれた姿勢)」で取り組みます。
    オープン・ドア・ポリシーに開催頻度や所用時間のガイドラインはなく、必要に応じて都度行われます。

    メンバーとのコミュニケーションは「飲みニケーション」だけではない

    多くの人は、メンバーとのコミュニケーションというと「飲みニケーション」を想像しますが、以上にように多くの方法があります。
    ハイパフォーマーは、それぞれのコミュニケーションの特性を理解し、バランスよく行うことが重要です。どれか1つではダメなのです。

    また、これらメンバーとのコミュニケーションを行ううえで、ぜひ認識しておくべきポイントは下記の2つです。
  • 相互の信頼と理解を築き、人々がアイデア・意見・問題・懸念を自由に発言できる環境を作る。
  • 目標管理(MBO)を達成する指導・支援をする。

  • 特に、MBWA、1on1ミーティング、オープン・ドア・ポリシーは、目標管理(MBO)の達成するための効果的な方法です。
    メンバーが自らの目標管理(MBO)を達成するから、組織やチームの目標達成が可能になります。目標管理(MBO)の達成には、上下両方からの努力が必要なのです。


    ビジネス・プレゼンテーション

    ハイパフォーマーになるためには、単なるコミュニケーションだけではなく、相手に「意思決定と行動を促す」論理的なコミュニケーション「ビジネス・プレゼンテーション力」も必要です。
    ビジネス・プレゼンテーションは、仕事を成功させるために必須となる能力です。

    ビジネス・プレゼンテーションを成功させる秘訣は下記の3つです。
  • 基本は「結論」を先にいう
  • So What? (だからなんだ? / なにを言いたいのか? / 意味合いは?) の対処の準備
  • So Why? (だからなぜだ? / 理由は? / 本当か?) の対処の準備

  • 上記の秘訣を含め、ビジネス・プレゼンテーションについては下記のコラムで事例を踏まえ解説しています。
    あなたのビジネス・プレゼンテーション力を高めるために活用して下さい。
    できるビジネスマンのビジネスプレゼンテーション > 「結論を先にいう!」ストーリーづくり の具体的方法


    交渉

    「日本人は交渉が下手」とよく言われます。
    多くの人に「過去の交渉の結果についてどのように感じますか?」と質問したところ、下記のような回答が多くでました。
  • 私は損することが多いんですよね~
  • この前の交渉で、すごい得をしましたよ!

  • 上述したとおり、多くの人は交渉の結果について、「損した!(負けた!)」「得した!(勝った!)」という感想を持っています。
    これが「日本人は交渉が下手!」といわれる理由の1つです。
    多くの人たちは、「交渉の原則」を知らずに、間違った交渉を行っています。
    「交渉」について学んでいないのです。


    勝ち負けにこだわる「交渉」の問題

    上述したとおり、多くの人は「損した!(負けた!)」「得した!(勝った!)」という感想を持っています。
    「交渉とはこのようなもの!」と考えているために、下記のような間違った交渉の進め方が多いです。
  • 一方的に強要する
  • 自分の立場を押し通す、またはその逆で、ムリな条件も受け入れる
  • 圧力をかける、またはその逆で、圧力にすぐ屈する

  • すなわち、「交渉とは駆け引き」と考えています。
    ですが、ハイパフォーマーが行う交渉の相手とは、お客様・社外の関係者・上層部・部下であるメンバーです。これらの人に「駆け引きの交渉」を行い、「どちらかが勝つ」ということでは、組織やチームの成果の最大化することは出来ません。


    本当の「交渉」とはなにか?

    交渉とは英語で「Negotiation」、Oxford Leaner’s Dictionaryでは、下記のように説明しています。
  • formal discussion between people who are trying to reach an agreement

  • 私たちは、上記の意味に対して少し追加して下記のように説明しています。
  • 関与する人が「納得する合意に到達すること」を目標に話し合うこと

  • すなわち、交渉とは、本来はお互いが「納得する合意に到達すること」なのです。
    駆け引きなどではありません。


    「納得する合意に到達する」交渉を行うためには、下記のような姿勢で交渉に臨むことが大切です。
  • 交渉相手は、協働の問題の解決者である。
  • 双方にとって有利な選択肢を考え出す。
  • 圧力ではなく、双方の利害に焦点をあてる。


  • 本当の「交渉」の進め方

    「納得する合意に到達すること」を達成するための交渉の進め方は、下記の手順で取り組みます。

    [Step1] お互いの要求をはっきりさせる。
    お互いの要求をしっかり文書としてまとめ、お互いが相手の要望を明確に理解することがポイントです。
    「納得する合意に到達する」ためには、交渉の初期段階でここをしっかり行うことが重要な鍵を握っています。

    [Step2] お互いにとって良い合意を検討する。
    お互いにとって良い合意は、1つだけを見出すことではダメです。少なくとも3つ以上の合意の選択肢を一緒に検討します。

    [Step3] 合意する。
    複数の選択肢の中から、お互いの希望する合意を選びます。その選択が一緒であれば「双方が納得する合意に到達する」したことになります。
    もし、それぞれの選択が違う場合、その2つを更に検討し、お互いにとってよりよい合意できる案を追求します。

    交渉とは「勝った!」「負けた!」と喜ぶものではなく、このように論理的なプロセスで取り組み、双方が納得する合意に到達するためものなのです。
    簡単ではなりません。交渉の必要が発生したときには、くり返しこのプロセスで事前準備をし、自己研鑽する必要があります。


    対立時のコミュニケーション

    組織やチームで仕事に取り組んでいると「意見の対立」に直面することがあります。
    すべての人が積極的に協力してくれるわけではありません。あなたは、意見が対立する人にはどのような対処をしていましたか?


    意見対立の解消への姿勢

    意見が対立している人とのコミュニケーションでは、下記の姿勢を注意する必要があります。

    熱心に聴く
    相手の思っていることを熱心に聴き、お互いの気持ちが楽になるようにする。

    共感する
    相手の言ったことを繰り返し、相手から聞いたことを自分が理解していることを伝える。
    (アクティブ・リスニングの章でも説明しましたね)

    明確にする
    質問しいろいろと考えてみて、本当の問題(解決できる問題)を見つけるようにする。

    解決策を探る
    よい考えや解決策を複数探す。相手にも解決策を考えてもらう。

    行動する
    相談の上、1つまたは複数の活動ステップを決める。

    意見対立の解消のフレームワーク

    意見対立の解消には、前述した姿勢を注意するだけではなく、効果的なテクニックも必要となります。
    エリヤフ・ゴールドラッド氏の書籍「ザ・ゴール2 思考プロセス」が紹介している方法は効果的です。その書籍の内容にいつくかのヒントを加え、対立解消のフレームワークについて説明します。


    この書籍では、14歳の娘が「パーティーがあるので家に帰るのが深夜になる」と言い出します。父親は「それは遅すぎる。門限は10時だ」と主張し、双方の意見が対立しています。
    このような意見の対立には、フレームワークを活用し下記のような手順で対立解消に取り組みます。

    (1) まず、図のように対立点を「B」と「C」に記入します。
    (2) Step1、それぞれの意見・主張の理由を見出します。(それぞれの理由は[B’][C’]に記入します)
    (3) Step2、お互いの共通の目的や目標となることを考えます。 ([A]に記入します)
    (4) Step3、最も違和感があり解消すべき矢印(←)はどれかを相手と一緒に検討します。

    このケースの場合、[B’]と[A]の間の矢印(←)に一番違和感があります。
    そこが発見することで、「パーティーが終わった時間に迎えに行くよ!」という意見の対立を解消するアイデアを導き出せるのです。

    前述した意見対立の姿勢とこのフレームワークを活用することで、双方にとって受け入れられる解決策を導き出すことが出来るのです。


    企業の未来を創る、数多くの機会を手に入れられるハイパフォーマーになるためには

    日本のビジネスパーソンに求められていることは、大きな転換点を迎えています。
    求められているのは「変化の実践」です。

    今、企業が求めているのは、企業の成長を実現するために変化を実践できるマネージャーです。
    企業は多くチームを率いて高い結果を出すマネージャーを一人でも多く増やさなければならなくなっています。
    ところがこうした育成にしっかり取り組んでいるところは少なく、新しいマネージャーの役割を担えるビジネスパーソンの絶対数は足りません。
    次世代を担うビジネスパーソンには、企業教育だけでは身につかず、自ら学ぶ機会が求められているのです。

    こうしたニーズに応えるために、下記のように「ティ・スクエア流 ハイパフォーマーの仕事の技術」を順次公開します。
    あなたが、生産性高く合理的に「高いポジションへの昇進・大きな報酬・様々な魅力的な機会」を手に入れられるようになるために、ぜひご活用ください。

    チームを率いて結果を出すための「マネージャーの新しい役割」> 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(1)
    リーダーへの成長プロセス実践方法! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(2)
    チームで結果を出す「仕事の仕組み化」スキル > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(3)
    ハイパフォーマーに必要不可欠な「組織の業績改善プロジェクトを成功に導く技術」を手に入れる! > 昇進・報酬・機会を手にする、ハイパフォーマーの仕事の技術(4)
    目的・目標・方針設定スキルを強化し、組織やチームをリードする! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(5)
    成功の可能性を最大化!「課題発見と意思決定」 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(6)
    人材の育成とモチベーション対策 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(7)
    マネジメントとしてのコミュニケーション力 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(8)
    (9)時間管理


    「ティ・スクエア流 ハイパフォーマーの仕事の技術」とは?

    「さらなる激変が予想される2020~2030年代を担う、次世代ビジネスパーソンたちに求められていることは?」
    それを追求し、形にしたものが「ティ・スクエア流 仕事の技術」です。
    ビジネススクールや研修では知識を学べます。それに対して、ティ・スクエアではパフォーマンスを確実に出すため「仕事の技術」を学ぶことができます。

    変化に対応し、未来を担う人材になるためには、会社の研修や業務を通じた学びに頼るだけでは残念ながら足りません。
    次世代のビジネスパーソンは教育の機会に受け身になるのではなく、将来の自分に必要なスキルを見極め、自ら率先して身に着けることが求められています。

    ティ・スクエアでは「仕事の技術」の学習機会や、学んだことをさらに活かすビジネスパーソナル・コーチングを提供しています。
    会社の垣根を超え、同じような志をもつ人が集まる場に身を投じるからこそ、学べることがたくさんあります。

    私たちはあなたが「高いポジションへの昇進・大きな報酬・多くの魅力的なチャンス」という成果を手に入れることをコミットします。

    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
    Copyright (C) 2018 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.


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