目的・目標・方針設定スキルを強化し、組織やチームをリードする! ~ 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(5)

この記事のもくじ

未来を自らの手で創れるようになる!

お金を稼ぐためだけに、つまらない仕事を黙々と続ける。そんな人生は嫌だと思いませんか?
組織の中で「仕事を楽しむ」ことができる人たちを、私たちはハイパフォーマーと呼んでいます。
彼らは決まったことをこなすことではなく、変化を創ることを仕事と考えています。
グローバル化が進み競争がさらに激しくなる世界で、豊かな未来を創り出す力をもっているのは、彼らのような人材なのです。

高いポジションへの昇進・大きな報酬・多くの魅力的なチャンスを得ているハイパフォーマーたちは、「仕事の技術」を身に着け、活用しています。
この「仕事の技術」をしっかり学び変化を実践できれば、あなたも彼らのように活躍し、仕事を楽しむことができるでしょう。

ハイパフォーマーとして高い報酬や機会を手に入れるためには、あなたが率いるチームが確実に成果を上げ続けることが必要です。それを可能にするのは、目標設定のスキルです。このコラムではチームメンバーの意欲を引き出し、メンバー全員が自立的に目標達成に挑むために必要不可欠となる様々な技術を、体系的にわかりやすく説明します。

目的・目標・方針設定スキルを強化し、組織やチームをリードする! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術

ティ・スクエア流 目的と目標

目的と目標の違いを説明できる人は少ない

あなたは、「目的と目標の違い」をどのように説明しますか?

これまで多くのビジネスパーソンに「目的や目標は大事ですか?」と問いかけたところ、「必要ないです!」と答えた方はゼロでした。
ところが「目的や目標は大事」と考える人が多いのにも関わらず、違いをはっきり説明できた人はほとんどいませんでした。

私たちは、目的や目標はとっても大事だと考えています。
そこで注目すべきは、その質です。
曖昧さや矛盾を含む目的や目標では、チームは機能しません。
チームメンバー全員が理解し納得できる、論理的に言語化した目的や目標が必要なのです。

ハイパフォーマーには、明確な目的と目標を作る能力が必要!

組織の目的や目標のプランニング (目標設定)では、下記のような問題に直面することがあります。
  • 会社もしくは部署にとって、最適な目的や目標はなにか?
  • 「目的」と「目標」の違いはなにか?
  • 会社もしくは部署にとって、最適な目的や目標には何を記入すればよいか?
これらのことを明確にしないまま立てられた目的や目標は、メンバーに「目的と目標がかみ合っていない違和感」を生じさせます。
メンバーが疑問を感じると、納得感がなくなります。
そうなるとその目的と目標を受け入れることが難しくなり、意欲と行動が止まってしまうのです。
設定する人が曖昧な思考のものでつくる目的・目標は「ないよりまし」という程度で、ハイパフォーマンスを実現するために効果的なものにはなりません。

ハイパフォーマーを目指すのであれば、組織や人をマネジメントするために、「目的や目標」を活用しなければなりません。
まず「目的や目標」の違いを認識し、全体的に論理的整合性のある、わかりやすい「目的や目標」を設定できる能力が必須です。
その能力がハイパフォーマーとしてあなたが率いるチームの目標達成度や、戦略の遂行力に影響するのです。

ティ・スクエア流 目的・目標の定義とは

私たちは長年組織にとって最適な「目的」や「目標」をどのように描き、プランニングすべきかを研究し、自ら実践してきました。

ところが様々な論文、書籍、企業の社是などを研究していると、目的と目標を研究しているだけでは不十分であることに気が付きました。
その理由は「ミッション」「ビジョン」「価値観」が、目的や目標と関連しているからです。
そしてこの「ミッション」「ビジョン」「価値観」の違い、そこにどんな内容を記載すべきかが、更に困難であることに気が付きました。

「ミッション」「ビジョン」「価値観」として記載されている内容は、企業によってバラバラです。
ある企業では「ミッション」に書かれているものが他の企業で「価値観」として書かれていたり、「ビジョン」として書かれているものが「ミッション」であったりするのです。

リーダーへの成長プロセス実践方法! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(2)」で解説しましたが、「ミッション」「ビジョン」「価値観」の理解は、リーダーやマネージャーがチームをリードするために必須です。
ハイパフォーマーを目指すあなたが、組織やチームの成長に最適かつわかりやすく、そしてメンバーたちが疑問や違和感をもたない「目的」や「目標」を設定できるようになるために、まず目的と目標の違いを明確に説明することから始めます。

目的と目標は、下記のように定義することができます。

目的
ミッション・ビジョン・価値観を含み、方向性や目指す状態を表しているもの

目標
最終目的地につながる通過点で、数値で判断でき、達成可能なこと

さらに私たちは長年の研究の結果、目的と目標に付随する要素の定義を下記のようにまとめました。
目的目標
距離最終到達地点
(壮大なものもなるため、必ず到達できるとは限らない)
最終目的地につながる通過点
(達成できないものではない)
内容状態的なもの (目指す状態)
抽象的・概念的・状態的・情緒的
数値で測れるもの (時折「資格取得」などの数値以外のものもある)
判断基準主観的な判断基準
(「出来ている、出来ていない」と判断する傾向が高い)
客観的
(数値で客観的に判断できる)
変化の頻度少ない
(そう簡単に変えてはいけない)
適度
(状況に応じて、適切に変更する。しかし、変更のし過ぎは避けるべき)
構成要素ミッション、ビジョン、価値観財務目標、プロセスパフォーマンス目標、品質目標、行動量目標

ティ・スクエア流 ミッション・ビジョン・価値観の定義とは

次は目的の構成要素である「ミッション・ビジョン・価値観」について、私たちの定義を説明します。

ミッション (Mission)
「使命はなにか?」の答えとなるものです。
「外部 (親・家族・友達・子供・社会・環境・市場・神など) から与えられた役割や存在価値」を考えると、つかみやすいでしょう。

ビジョン (Vision)
「実現したいことはなにか?」の答えとなるものです。
「私たちはどうなりたいか? 誰にどう喜んでもらいたいか?」から考えてみるとよいでしょう。

価値観
「価値を認めるものはなにか?」の答えとなるものです。
「Visionの実現に向けて、価値や重要さを置く心がけ・思考様式・行動様式」を考えるとよいでしょう。

この「ミッション・ビジョン・価値観」については、リーダーへの成長プロセス実践方法! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(2) で解説しています。詳しくはこちらをご参照ください。

目的と目標、ミッション・ビジョン・価値観を1枚の絵で理解する

目的・目標、そして目的の構成要素である「ミッション・ビジョン・価値観」の相関関係は、下記の図のように表現することができます。


ミッション (Mission)
「使命はなにか?」の答えとなるもの
図においては「あなた(もしくは、あなたの組織やチーム)が今どこにいて、どこを向いているのか?」に相当します。

ビジョン (Vision)
「実現したいことはなにか?」の答えとなるもの
図においては「最終到達地点」に相当します。あなたやあなたの組織やチームが目指す最終ゴールともいえます。

ミッション(Mission)が方向を決め、その先にある最終到達地点がビジョン (Vision)となります。ミッション(Mission)はビジョン (Vision)の前提です。ミッション(Mission)が明確になれば、ビジョン (Vision)もより明確になります。

価値観
「価値をおく心がけ・考え・行動はなにか?」の答えとなるもの
図では、「到達地点へのルート・手段・道具」などを示したものです。

「価値や重要さをおく心がけ・思考様式・行動様式」のため、例えば最終目的地点に向かって、
・急な坂道を登っていく、もしくは、緩やかなハイキングコースを歩く。どちらを選ぶ?
・飛行機で行く、もしくは、船で行く。どちらを選ぶ?
・荷物をたくさん準備していく、もしくは、軽装でいく。どちらを選ぶ?
など、複数の選択肢を比較して考えるようにすると、価値観というものがわかりやすくなり、相手に正しく伝えられるようになります。

こうした説明からも、「ミッション」「ビジョン」「価値観」は「目的」の要素であることが理解できると思います。

目標
目標は「最終目的地につながる通過点で、数値で判断でき、達成可能なこと」
図では、ビジョン (Vision)に向かう途中で必ず通るべき「通過点」を示したものです。

目標は、ビジョンへの到達度合いを計るものです。定期的に判断・評価しながら調整する必要があります。
そのために、期限と客観的な評価基準を設定することが重要です。

チームが意欲的に取り組むには、「目的」が重要な鍵をにぎる!

目標を達成するためには、チームが意欲的に取り組む必要があります。
その意欲に大きな影響を及ぼすのが目的です。
目的が意欲にどのように影響を与えているか、レンガ職人の逸話をもとに考えてみましょう。

レンガ職人Aに「何をしていますか?」と聞きました。
レンガ職人Aは「レンガを積んでいるんだよ!」と答えました。
「それは大変ですね!」と言うと、「日の出から日没まで積むんだよ。早く仕事が終わってほしいものだよ」と答えました。

次に、レンガ職人Bに同じことを聞きました。
「毎日300個ものレンガを積むんだよ!」
「調子が悪くて300個積めないと怒られるんだ。気を抜けないし、大変で嫌になっちゃうよ」

その次は、レンガ職人Cに聞きました。
「オレはね,ここで大きな壁を作っているんだよ」
「丁寧に積まないと崩れちゃうから、ズレないようにしないとね。これは誰にでもできるわけではないんだ。この仕事のおかげでオレは家族を養える。だから仕事が大変だなんて言ったら、バチが当たるよ」

最後は、レンガ職人Dでした。
「大聖堂を作っているんだ」
「ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを癒やすのさ! そんな頑丈な大聖堂が、これから長いこと沢山の人を救い続けるなんて素晴らしいだろう! だからみんなで力を合わせて1つひとつの工程を確実に取り組んでいるんだよ」

レンガ職人A、B、C、Dの中で、一番意欲的に働いているのは誰でしょうか?
私たちの研修に参加した人たちに毎回質問していますが、「レンガ職人D」が最も多い回答でした。
私たちも「レンガ職人D」が、最も意欲的に取り組んでいると考えています。

それぞれのレンガ職人たちの目的意識(ミッション・ビジョン・価値観)の具体性について考えてみましょう。

レンガ職人A
ミッションもビジョンも価値観も感じられません。Aさんは、目標を朝から晩まで働くことだと捉えていました。

レンガ職人B
Bさんは「数値目標(=1日300個)を達成する」という期限と客観的な評価基準が明確な目標を上司から与えられていましたが、目的に相当する意識や言葉はありませんでした。

レンガ職人C
Cさんのミッションは「家族が食べられるようにする」、ビジョンは「頑丈な大きな壁を作る」、そして価値観は「雑にではなく精度高く」「慌てるよりも丁寧に」でした。

レンガ職人D
Dさんのミッションは「多くの人の悲しみを癒やすこと」、ビジョンは「大聖堂の完成」、価値観は「個人主義ではなく、みんなが協力し合う」「慌てず、安全を重視する」「手を抜かず、長く頑丈なものを作る意識をもつ」でした。

CさんとDさんには目的(ミッション・ビジョン・価値観)があり、そのことが仕事を意欲的にしていました。
そして、Dさんの目的は、Cさんと比べてより多くの人に貢献する目的となっており、そのことが仕事への意欲を更に高めていました。

今、多くのビジネスマンたちは、レンガ職人BやCに分類されると思います。
レンガ職人Dに分類されている人は、感覚的に全体の4~5%程度と思われます。
ですが「未来を自らの手で創り、チームを率いて結果を出すハイパフォーマー」に求められているのは、レンガ職人Dのような目的意識や、そのような目的を明確に描けるスキルなのです。

チームの意欲を引き出す鍵は、目的(ミッション、ビジョン、価値観)にあった!

「目的」は目標に比べ抽象的で長期にわたるものであり、内容に重点をおいています。
それに対して、目標は目指す地点・数値数量などに重点があり、「目標は前方3,000メートルの丘の上」「今週の売上目標」のようにより具体的、かつ達成可能なものです。

リーダーシップに必要な要素である「ミッション、ビジョン、価値観」は、目的に相当します。そしてこの目的が、人のモチベーションや意欲に大きく影響します。
チームの意欲に課題を感じているのであれば、この目的(ミッション、ビジョン、価値観)について見直すことも取るべき対策のひとつです。

目的設定・目標設定のプロセス

アイデアを生み出すプロセス思考を活用しよう!

私たちは、ハイパフォーマーとしてチームを率いて結果を出すには、「プロセス思考」が大切であることを繰り返し説明しています。
これは目的および目標の設定にも当てはまります。目的設定・目標設定もプロセスなのです。

『アイデアの作り方』という有名な書籍があります。その著者ジェームズ・W・ヤングは、その書籍の中で「アイデアを作ることもプロセスだ」と説明しています。
一般的に「アイデアは、ひらめきだ! (インスピレーションだ!)」と考えている人も多いでしょう。ですが、そのひらめきそのものもプロセスで生み出せます。
この書籍では、アイデアをつくるプロセスとして下記の手順を紹介していています。

1. 資料集め (情報収集と考えるとわかりやすいです)
2. 資料に手を加える
3. 孵化段階 (一旦考えるのをやめると、自然とそれぞれの情報が融合されていく)
4. アイデアの誕生

目的設定・目標設定は、プロセス思考の活用で精度を上げる

ハイパフォーマーが組織やチームの目的や目標を設定するのも、アイデアの作り方とよく似たプロセスです。
目的や目標の設定も、下記の4つの手順で構成されています。


【収集】他社や社内外の様々な目的・目標に触れることです。世の中には様々な目的・目標があります。成功しているチームや人はどのような目的・目標を、どのような方法で設定したのか。その情報を収集しておくことはとても大切です。

【分類】収集した目的や目標に関わる情報を、チームにとって効果的な目的設定・目標設定のために分類・整理します。

【選定】情報を分類した上で、複数の「目的設定・目標設定の候補リスト」を作ります。その中から優先順位と効果性を考え、これから目指す目的と目標を決定します。

【宣言】目的と目標は立てたら終わりではありません。確実に達成するためにチームに宣言します。

収集した情報の中から、目的・目標設定に必要なエッセンスを抽出する!

情報収集の中で感じると思いますが、世の中には様々な目的設定・目標設定があります。

例えばスポーツ選手の場合、「オリンピック金メダル」という最終到達地点に向かって、継続的に成長する目標を設定します。
そこでは「肉体的なデータ」や「自分の気持ちとの戦い」などが重要な位置づけを占めるでしょう。
また「人生を豊かに過ごす」ための目標設定では、家族や友人との関係が重要な位置づけとなるかもしれません。

これらは仕事に関係がないように感じますが、そこにあなた自身の組織やチームの目的・目標を、より効果的なものにするヒントが含まれていることがあります。

プロフェッショナルなスポーツ選手が作っている目的には「観衆を喜ばせたい!」が入っていることがあります。
ビジネスにおいても「お客様を喜ばせる」というのは目的に含めるべき要素です。
また人生を豊かにすることの目標のひとつには「家族や仲間とのコミュニケーションを持つ」という内容を見かけます。
ビジネスにおいて、コミュニケーションはチームで取り組むために重要な目標要素の1つとすべきです

このように日頃から様々な人たちの目的や目標に触れることで、ハイパフォーマーとして目的・目標設定する際に「入れ忘れている!」「新たに追加したほうが良い!」という発見ができます。

このように幅広く集めた情報は、この後に説明する「方針作成」を行う際の分類に盛り込むことで、より効果的な目標設定を可能になります。

目標達成には、チームが取り組むべき指針を明らかにした「方針」が鍵となる

ハイパフォーマーとしてのマネージャーやリーダーは、目標を確実に達成するため、およびチームの成果を最大化するために、チームが取り組むべき指針を明らかにする必要があります。
それが「方針」です。
方針には、戦略・重点施策などの要素を盛り込みます。

チームが目標達成できるかどうかは、リーダーやマネージャーがつくるこの方針に大きく影響されます。
方針の作成は難しいことではなく「技術」です。方針を作成するプロセスに基づけば、誰でもつくることができます。

目標達成を実現する、強力な「方針」を作成するプロセスとは?

チームの方針を立てるために、まず下記のような情報を集めることから始めます。
方針作成も目的設定・目標設定のプロセスでご紹介したとおり、情報収集と分類から始めます。

【財務目標】今期の売上目標 / 今期の利益目標
【上位方針】事業の目的 / 理念・使命・ビジョン・中長期計画 / 上位マネージャーの方針
【日常管理】日常管理(モニタリング)の異常値
【前回までの方針】前回までの方針管理と反省
【競合】主な競合(新たな競合)
【環境変化】市場動向に関わる変化・問題・課題は? / 社外の協力会社に関わる変化・問題・課題は? / 社内の他部署に関わる変化・問題・課題は? / 社内業務に関わる変化・問題・課題は? / チームや人材などに関わる変化・問題・課題は?

上記のように幅広い状況とその変化を集めることで、「売上目標」「コスト削減目標」のような財務目標だけではなく、業績目標(KPI, Key Performance Indicator)である「プロセスパフォーマンス目標」「品質目標」「行動量目標」などを含めた方針を作成できます。

情報を収集したら、方針作成に取り組みます。
下記の流れに沿って、集めた情報を整理し、各ステップでの課題を抽出します。

ステップ1: 会社の中期計画を確認
ステップ2: 部門(グループ)の目的の検討
ステップ3: 日常管理データの検討
ステップ4: 主要顧客別売上高
ステップ5: 主要商品売上高
ステップ6: 過去の方針反省表
ステップ7: 競合
ステップ8: その他課題
ステップ9: 部門(グループ)の達成目標の決定 (業績目標の設定)
ステップ10: 重点施策の決定

メンバーの意欲を最大限に引き出す方針は、6つのポイントでチェックする

上記のプロセスに基づいて方針がまとまったら、下記のチェック項目で見直しをします。

(1) 会社や上層部のミッション・ビジョン・中長期計画と連携が取れているか
(2) 部門(グループ)の達成目標に、方針作成者の「意志」が現れているか
(3) 達成目標が客観的で明確にわかるか
(4) 達成目標が、ストレッチな目標となっているか (頑張らなければ達成できない目標となっているか)
(5) 幅広い視野で課題が検討され、戦略となる重点施策と達成目標が合理的に導き出されているか
(6) メンバーが「何を達成するか?」「なにをするか?」「何に時間を使うか?」がはっきりわかるか

チェックを数回繰り返し、これらの項目をクリアすることができれば、あなたの方針はメンバーの意欲を引き出すことができる方針になっているはずです。

この方針作成の各要素の詳細は「部門方針(グループ方針)の作り方 > メンバーの意欲を最大化し、事業を成功に導く方針作成方法」で詳しく説明しています。
ここで説明されているプロセスを繰り返し行えば、よい方針をつくる「技術」を高めることができます。

目標管理 (MBO: Management by objective) を遂行する

多くの企業で目標管理 (MBO) が機能していないのはなぜか?

マネージャーは、組織やチームとしての目的や目標、そして方針を設定しますが、管理するだけでは成果を最大化することはできません。
目標設定に関わることで、マネージャーにとってもうひとつ大切なことは、メンバーの目標管理(MBO)です。
「会社と合意した達成目標、およびメンバーが自ら決めマネージャーと合意した達成目標を管理し、その達成を支援する」ことがマネージャーの役割となります。

目標管理は、多くの企業で取り組まれている重要なマネジメント方法です。
目標管理は、組織やチームの単年度の目標を達成するためだけに必要なものではありません。
組織・チームメンバーの長期的な成長(Growth)にも役に立つものです。
なぜならば、目標管理は本来下記を理由として行われるからです。
  • 知識労働者の生産性を高めるため
  • 仕事ぶりを自らマネジメントできるようになるため
  • 「他者から支配される関係」から、人間らしい働き方を実現するため
これまで多くの企業の目標管理を見てきましたが、効果的に行なっているところはそれほどありませんでした。
その原因は「目標管理」の目的と取り組み方を間違って認識していることでした。
実際にある企業で起こっていた例に基づいて考えてみましょう。

目標管理(MBO)はノルマ管理ではない!

ある企業の営業部方針の重点施策に「全員、毎月100件以上訪問すること!」とあり、これが課長・営業担当者へと展開されていました。
そのため、営業担当者全員のつくった目標管理には「月100件の訪問をする!」と書かれていました。

実はこれは目標管理ではありません。
なぜならこれは全員一律の行動数値目標だからです。
全員一律の行動数値目標は、本来「職務条件」として定義すべき内容です。
職務条件としての数値目標を達成できない人は、他の職務へ異動してもらいます。
職務条件なのですから、達成できない人には本人の適性にあった職務で力を発揮してもらうのです。

本来、目標管理としては、上述したように全員一律に与えられた目標を記入するのではなく、
「私は、毎月105件の訪問を目標とします」
「私は、毎月の訪問件数の目標は100件ですが、目標としては訪問件数ではないものに取り組みます」
と、メンバーが自らの能力に見合った目標を決めることが重要です。
そしてマネージャーは、そのメンバーが自ら決定した目標を達成できるように支援するのが役割です。

この事例の問題の本質は、営業部の方針にありました。
本来、営業部の方針には「部として達成すべき目標」が書かれるべきであって、メンバーに一律の行動数値目標を課すような項目を書くべきではありません。
方針に「全員一律xxx」といったようなことが書かれると、個人の目標管理にそれが記載されてしまいます。
多くの会社では、「方針」「目標管理」「職務条件」が、ぐちゃぐちゃな状態になっています。
「方針」「目標管理」「職務条件」にはそれぞれ明確な目的と活用方法があり、相互に補完し合うものなのですが、それが認識されていません。
これは多くの企業でしっかりと目標設定ができていない原因のひとつといえるでしょう。

やる気(Motivation)を創出する目標管理(MBO)へ

多くの企業では、目標管理が下記のような状態となり、うまく機能していません。
  • 職務として与えられた目標だけを管理している (自分自身の目標設定がない)
  • 目標が一方的に与えられ、合意を迫られる
  • 目標が高すぎる
  • 目標が低すぎる
  • 目標が数値のみ
目標管理とは、目標をうまく使ってメンバーのやる気を引き出し、パフォーマンスとスキルを向上するマネジメント手法です。
MBOは“ノルマ管理”ではありません。“やる気(Motivation)を創出する”ことが目的です。
マネージャーとメンバーの目標の合意が、メンバーへのコーチングのスタート地点(合意した目標達成のために支援をする)なのです。

目標管理(MBO)がうまくいっていない原因については、「目標管理(MBO)を見直そう! 成長している企業の目標管理(MBO)実践方法」で詳しく説明しています。

目的・目標・方針を設定するときに注意する3つのポイント

目的・目標・方針の設定には、注意点があります。
下記の3つを意識して取り組むことで、より効果的な目的・目標・方針設定につながります。

注意点1: 目的を伴っているか?

あなたが立てた目標・方針は、数値目標だけになっていませんか?

マネージャーが立てる目標は、チームとして目指すものです。
それはチームの意欲を引き出すものでなくてはなりません。
そのためには単なる数値目標だけではなく、「目的」を伴っていることが大切です。
その目的がチームの意欲を高めます。

目的が入っていなければ、必ず「目的」に相当する部分を盛り込んでください。

注意点2: 目的と目標と方針に矛盾がないか?

あるベンチャー企業の年度方針は、下記のようなものでした。

【企業理念 (=目的)】活発な企業活動や豊かなライフスタイルを推進し、より活力のある社会づくりに貢献する
【目標】 5年後に100億円、15年後に1兆円
【方針・重点施策1】 コンプライアンスの徹底。倫理・法律・社内規範を守ることを徹底する
【方針・重点施策2】 パワーハラスメントを根絶する

目的と目標は崇高なのですが、重点施策は目的や目標達成に貢献せず、一貫性のないものでした。
実際にこの企業の業務はブラックな状態で、売上は下がり続けていました。

これは極端な例ですが、目的 – 目標 – 重点施策に矛盾があっては、チームの目標達成はありえません。
目標設定に「想いや感情」を盛り込むことは大切ですが、同時に全体で調和の取れた「論理的・合理的」なものでなければ目標達成などありえません。

注意点3: 目標が多すぎないか?

設定した目標の数と達成度には、反比例の関係があります。
フランクリン・コヴィー・ジャパン社の書籍『実行の4つの規律』では下記のように説明しています。
  • 目標を10~20も設定した組織は、ひとつも達成できませんでした。
  • 逆に、目標を2~3とした組織では、達成は2~3個でした。
欲張って目標数を増やしてしまうと、逆に達成できなくなるのです。
マネージャーには、目標数を絞り込む勇気と知力が必要です。

立てた目標を達成したいなら、この5つをチェックしよう!

あなたが立てた目標を最後までやり遂げ、達成につなげるためには、いくつかのポイントがあります。
下記の5つをチェックすることで、チームの目標達成の可能性を格段と高めることができます。

(1) ストレッチな目標を設定する
組織や個人の力を上回る目標を設定するようにします。
(頑張らないと達成できない目標にします。そうしないと成長できないどころか、市場の競争に勝てません)

(2) 目標に目標設定者の意欲と決意を盛り込む
「会社の目標は5%成長だが、私のチームは10%成長を達成する!」というように、チーム(もしくは自分)が達成したいことを盛り込みます。
人から与えられたものではなく、自分で決めたものだからこそ、達成する可能性を最大化できるのです。
目標の達成は、目標を設定した人の意欲次第なのです。

(3) 方針作成プロセス(目標設定プロセス)にメンバーと一緒に取り組む
達成する目的や目標について、メンバーとしっかり話し合った上で決定することで、真剣に取り組ませることが可能になります。
人材の育成とモチベーション対策 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(7)」で解説しましたが、決定にメンバーを関与させることは、動機づけのひとつの方法です。

(4) 他の人のフィードバックを活用する
ストレッチな目標を達成するためには、ほかの人の知恵やアイデアを仕入れ、自分で活用できるようにします。
ハイパフォーマーは「自分のできることを頑張る」とは考えません。
「目標を達成するためには、いかなる手段も検討し、採用する」と考えます。
自分の枠を取り除くことが必要です。
特に外部のプロフェッショナルな人に関わってもらい、その意見を取り組むことが大切です。

(5) 最低でも2年は取り組む
重点課題を達成できなかったとしても、少なくとも2年は取り組みます。2年取り組むということは、半期ごとに1回のReview (反省と次なる対策の立案)を行うことです。
それにより3回は活動内容を見直しながら、様々な取り組みに挑戦することができるでしょう。
あなたが直面している問題は、半年程度で解決できる簡単な問題ではないはずです。
2年継続することで、多くの知恵を獲得することができるようになります。

(6) 定期的に目標管理のミーティングを行う。
目標管理は、メンバーの目標達成や成長を支援するためのものです。
期初に合意したら期末まで何もしない、というものではありません。
定期的に1on1ミーティングを実施し、成長を支援します。
「メンバーは今よりも成長できる!」ことを信じ、成長の支援をすることが、メンバー自身が目標をやり遂げることに大きな影響を及ぼします。
1on1ミーティングの実施方法については、「マネジメントとしてのコミュニケーション力 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(8)」を参照下さい。

企業の未来を創る、数多くの機会を手に入れられるハイパフォーマーになるためには

日本のビジネスパーソンに求められていることは、大きな転換点を迎えています。
求められているのは「変化の実践」です。

今、企業が求めているのは、企業の成長を実現するために変化を実践できるマネージャーです。
企業は多くチームを率いて高い結果を出すマネージャーを一人でも多く増やさなければならなくなっています。
ところがこうした育成にしっかり取り組んでいるところは少なく、新しいマネージャーの役割を担えるビジネスパーソンの絶対数は足りません。
次世代を担うビジネスパーソンには、企業教育だけでは身につかず、自ら学ぶ機会が求められているのです。

こうしたニーズに応えるために、下記のように「ティ・スクエア流 ハイパフォーマーの仕事の技術」を順次公開します。
あなたが、生産性高く合理的に「高いポジションへの昇進・大きな報酬・様々な魅力的な機会」を手に入れられるようになるために、ぜひご活用ください。
チームを率いて結果を出すための「マネージャーの新しい役割」> 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(1)
リーダーへの成長プロセス実践方法! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(2)
チームで結果を出す「仕事の仕組み化」スキル > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(3)
ハイパフォーマーに必要不可欠な「組織の業績改善プロジェクトを成功に導く技術」を手に入れる! > 昇進・報酬・機会を手にする、ハイパフォーマーの仕事の技術(4)
目的・目標・方針設定スキルを強化し、組織やチームをリードする! > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(5)
成功の可能性を最大化!「課題発見と意思決定」 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(6)
人材の育成とモチベーション対策 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(7)
マネジメントとしてのコミュニケーション力 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(8)
最小の時間で成果を最大にする生産性向上と時間管理 > 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(9)

「ティ・スクエア流 ハイパフォーマーの仕事の技術」とは?

「さらなる激変が予想される2020~2030年代を担う、次世代ビジネスパーソンたちに求められていることは?」
それを追求し、形にしたものが「ティ・スクエア流 仕事の技術」です。
ビジネススクールや研修では知識を学べます。それに対して、ティ・スクエアではパフォーマンスを確実に出すため「仕事の技術」を学ぶことができます。

変化に対応し、未来を担う人材になるためには、会社の研修や業務を通じた学びに頼るだけでは残念ながら足りません。
次世代のビジネスパーソンは教育の機会に受け身になるのではなく、将来の自分に必要なスキルを見極め、自ら率先して身に着けることが求められています。

ティ・スクエアでは「仕事の技術」の学習機会や、学んだことをさらに活かすビジネスパーソナル・コーチングを提供しています。
会社の垣根を超え、同じような志をもつ人が集まる場に身を投じるからこそ、学べることがたくさんあります。

私たちはあなたが「高いポジションへの昇進・大きな報酬・多くの魅力的なチャンス」という成果を手に入れることをコミットします。

文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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