会社と社員の関係が希薄化する中での目標管理(MBO) ~ 成長するための目標管理(MBO)運用方法

目標管理(MBO, Management By Objective)は一般的になりましたね、私たちのクライアント企業のほとんどが目標管理(MBO)を行っています。

ですが、目標管理(MBO)に取り組んでいるが「社員が意欲的ではない」「業務が混乱している」「業績が低迷している」「社員が定着しない」と悩まれている企業も多いです。
本来、目標管理(MBO)はそのようなことを回避するためのものでもあるのですが。
あなたの会社では目標管理(MBO)がうまく機能していますか?

以前のように会社と社員の関係が家族のような深い関係ではなくなりました。新入社員の定着率が低い時代です。このような会社と社員の関係がだんだん希薄化している現代では、目標管理(MBO)はただ行えばよいというものではありません。目標管理(MBO)を行う目的を改めて明らかにし、会社としての仕組みを構築し、しっかり運用できるようにすることが大切です。
目標管理(MBO)に取り組んでいるクライアント企業の事例を通して、目標管理(MBO)を効果的に実践する方法について解説します。

会社と社員の関係が希薄化する中での目標管理(MBO) ~ 成長するための目標管理(MBO)運用方法

目標管理(MBO)が必要となった理由は?

以前、マネージャーの役割というのは「部下の仕事の管理に責任を持つ者」でした。
現在と比べると求められる仕事の内容や手順が簡単で、かつ、明確だったからです。
工場内でものづくりをしている作業員を想像してもらうとわかりやすいです。
会社が定めた方法で、定めたとおりに仕事をしてもらう必要がありました。
マネージャーが「ボス」と呼ばれている時代でした。

しかし、マネージャーの役割は大きく変わりました。
現在のマネージャーの役割は「組織の成果に責任を持つ者」です。
部下であるチームのメンバーが、”言われたことだけをする/言われたようにやる” だけでは、組織の成果を手に入れることが困難な時代になりました。
マネージャーにもメンバーにも状況判断力・適応力・応用力・知恵が求められるようになりました。
そのため、「目標のあり方」自体も大きく変わりました。
“仕事を正しく行う” ことは大切ですが、その上で、状況判断力・応用力・知恵を発揮できる「自ら考え行動する社員」を育てる必要が出てきたのです。
マネージャーが「リーダー」と呼ばれる時代へと変わったのです。

更に今、会社と社員の関係の変化が加速しています。以前は、会社と社員の関係は家族のような密接度の高い関係でした。ですが、社員の転職流動性が益々高まり、会社と社員の関係は益々希薄化しています。
そのような状況の中で、社員が会社に集まり、社員が成果を出せるマネジメントを行うことが求められています。
現在、マネージャーは「コーチ」とも呼ばれる時代です。
今までのような目標管理(MBO)ではなく、このような状況を考慮した上で、新しい目標管理(MBO)が必要とされる時代へと移りつつあるのです。


目標管理(MBO)が機能しない4つの原因!

多くの企業では目標管理(MBO)を行っていますが、社員が十分に力を発揮しているとは言えません。
私たちがクライアント企業にて業務変革・パフォーマンス改善の支援を行っている際に4つの原因があることに気が付きました。
(1) 目標管理(MBO)の定義が間違っていること
(2) 目標管理(MBO)の目標設定がおかしい
(3) 企業内の体系として取り組まれていない
(4) 教育プログラムが十分ではない

本来、目標管理(MBO)は、社員のモチベーションとスキルを高め、高い目標を達成できるようにするためのマネジメント方法です。ですが、これらの原因から、多くの企業の目標管理(MBO)の運用方法は、ノルマ管理(今年の数値目標達成のための数値管理)の状況でした。
社員を疲弊させ、社員のスキルが高まっていない状況だったのです。

企業は、このような状況をどのようにしたら脱出できるのでしょうか?

そもそも目標管理(MBO)の定義とは何か?

クライアント企業の社員へ「MBOの英語での正しい名称は何か?」と質問すると、ほとんどの人が「Management By Objective」と答えました。
ですが、それは正解ではありません。

目標管理(MBO)を提唱したピーター・ドラッガーは、MBOについて「Management by Objectives, and Self-control」と説明しています。
ポイントは、この「self-control」の部分です。

目標管理(MBO)に「self-control」を付加して考えると、目標管理(MBO)の真の目的が明らかになってきます。
真の目標管理(MBO)とは、「自ら目標を設定し、自らの仕事ぶりを自らマネジメントし、目標を達成する」マネジメント方法です。

目標管理(MBO)に取り組みながらその効果が現れていない企業では、会社やマネージャーから与えられた目標だけがメンバー個人の目標管理(MBO)としての目標となっていました。
また、年初にメンバーへ達成目標を指示するだけで、その後、マネージャーとメンバーとの間で、目標管理(MBO)で定められた目標の達成度の確認やその対策などのコーチングが行われていませんでした。

目標管理とは、マネージャーが一方的に全ての数値目標を決めて指示することではありません。
そして、一度決めたら、その後ほったらかしでよいものでもありません。
定期的に進捗を確認し、(メンバーが自ら決めた目標を含め)マネージャーとメンバー間で合意した目標が達成できるように支援(コーチング)し、確実にその目標を達成することが真の目的なのです。

企業内にどのような目標管理(MBO)の体系を構築するか?

実際に、持続的に成長を実現している企業では、目標管理(MBO)を会社としてしっかり取り組んでいました。
社長は、目標管理(MBO)を通して、次の社長候補に課題(双方で合意する目標)を与え育成していました。
取締役は、目標管理(MBO)を通して、次の取締役候補に課題を与え育成していました。
部長は、目標管理(MBO)を通して、次の部長候補に課題を与え育成していました。
課長は、目標管理(MBO)を通して、次の課長候補に課題を与え育成していました。

このように、目標管理(MBO)を活用した育成の連鎖を会社の仕組みとして構築し、マネージャーが効果的にメンバーを育てる能力を高めていくことが必要です。

この具体的な方法の1つは、マネージャー自らの年間目標を決定する作業に、候補者を参加させることです。
目標管理(MBO)には、会社から与えられた目標だけではなく、メンバー個人が課題を設定して取り組む目標の設定が必要です。
それを効果的にするには、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画を作成する際には、その作成の一部にメンバーを関与させることです。これにより、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画が「他人事」のものではなく「自分事」となります。そして、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画に合致する形でメンバー自らの目標を目標管理(MBO)として決めます。
そうすることで、メンバーが自分で自分の仕事ぶりを評価・管理できるようになるのです。

マネージャーの目標管理(MBO)の運用能力を高める!

上述したように、現在の企業環境において、目標管理(MBO)は「ただ行えば良い」というものではなりません。しっかりと目的と定義を明らかにし、企業としての取り組み体系を整理した上で運用しなければ効果が出ないのです。

そして、マネージャーに求められているのは、定期的かつ継続的に「できない原因や障害を探り、様々な観点で検討し、相手がそれを意欲的に乗り越える(ブレイクスルーする)方法を見つける」支援をし、相手の能力と成果を高める支援(コーチング)をすることです。
メンバーである相手にも今まで経験してきた以上のものを求められているのですから、マネージャーは相手と一緒に考え、ヒントを与え、様々な経験させる必要があります。
「自分で考えて欲しい!」という期待を押し付けるだけではダメで、マネージャー側も責任をもって学び成長していないといけません。

このように、マネージャーが目標管理(MBO)を効果的に運のようできる能力を高め、メンバーを育てる能力を高めていくことが必要です。

あなたの会社の目標管理(MBO)を見直そう!

目標管理(MBO)が上手く機能しない4つの原因ととともに、その解決するためのポイントも解説してまいりました。
まとめますと、目標管理(MBO)のためには、「目標管理(MBO)の目的と定義を見直す」「しっかりとした体制を構築すること」と「しっかり運用するためのマネージャーへの教育」が欠かせません。
それぞれのマネージャーがどのような目標管理(MBO)をしているか、その目標設定/進捗管理/コーチングを定期的にチェックし、効果的なフィードバックを行う事で、マネージャーの人を育てるスキルを鍛え続ける必要があります。

現在の社会人は、「自分が成長できる」「自分の機会がある」仕事環境を求めます。優秀な社員は、そのような環境に集まるのです。
特に、会社と社員の関係が希薄化している状況において、「しっかり育成する!」体制のない企業には、益々人が集まらないようになっています。
そして、せっかく社員が会社に入ったとしても、「頼むよ! やってくれよ!」という馴れ合いや人間関係による抽象的な指示をしても、社員のやる気は高まらず成果につながりません。具体的な目標を設定する必要があります。
また、逆に「数値だけを押し付けて叱咤すれば良い!」ということでも、社員は成果を上げてくれません。

「育てても辞めてしまえば意味がない!」と考えるのではなく、まずは社員が集まるためにも「社員を育ている環境(その結果、成果を挙げられる環境)を用意する」ことが大切で、そこに目標管理(MBO)を活用することが大切なのです。

目標管理(MBO)は、“ノルマ管理”ではありません。
目標管理(MBO)で“やる気(モチベーション)”を創出する必要があります。
そして、やる気(モチベーション)は、オープンコミュニケーション、および、戦略へ参画させることから高めることができます。
目標管理(MBO)は、「自分の仕事をマネジメントし、改善しつづけられる社員を育成する」のスタートポイントなのです。

私たちは、あなたの会社の目標管理(MBO)を効果的に運用するためのコンサルティング(診断・対策立案・対策実施)を行っております。
目標管理(MBO) を導入しながら、「自ら自分の仕事をマネジメントし、改善しつづけられる社員」が育っていなければ何処かに問題が潜んでいます。
私たちがその問題を発見し、解決策をご提案します。ぜひ、お問い合わせください。

(本コラムは、2016年6月27日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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