目標管理(MBO)を見直そう! 成長している企業の目標管理(MBO)実践方法 Vol.278

私たちのクライアント企業のほとんどが「目標管理(MBO, Management By Objective)」を行っていました。
そのくらい一般的になりましたね。

ですが、目標管理(MBO)に取り組んでいるが「社員が意欲的ではない」「業務が混乱している」「業績が低迷している」「社員が定着しない」と悩まれている企業が見受けられます。
本来、目標管理(MBO)はそのようなことを回避するためのものでもあるのですが。
あなたの会社では目標管理(MBO)がうまく機能していますか?

今回は会社として目標管理(MBO)に取り組んでいるクライアント企業の事例を通して、目標管理を効果的に実践する方法について解説します。

目標管理(MBO)を見直そう! 成長している企業の目標管理(MBO)実践方法


目標管理(MBO)が必要となった理由は?

以前のマネージャーの役割は「部下の仕事の管理に責任を持つ者」でした。
現在と比べると求められる仕事の内容や手順が簡単で、かつ、明確だったからです。
工場内でものづくりをしている作業員を想像してもらうとわかりやすいです。
決められたことを決められた通りに仕事をしてもらう必要がありました。


しかし、マネージャーの役割は大きく変わりました。
現在のマネージャーの役割は「組織の成果に責任を持つ者」です。
部下であるチームのメンバーが、”言われたことだけをする/言われたようにやる” だけでは、組織の成果を手に入れることが困難な時代になりました。
マネージャーにも、そして、メンバーにも状況判断力・適応力・応用力・知恵が求められています。
そのため、「目標のあり方」自体も大きく変わりました。
“仕事を正しく行う” ことは大切ですが、それだけではなく、状況判断力・応用力・知恵を発揮できる「自ら考え行動する社員」を育てる必要が出てきたのです。


では、どうしたらそんなチームのメンバーを育てることができるのでしょうか?
その答えとなる最も効果的なマネジメント手法の1つが目標管理(MBO)です。

[写真: 迎賓館。先日初めて見学しました!]

目標管理(MBO)が機能しない5つの原因!

多くの企業では目標管理(MBO)を行っているのに社員が育っていません。
多くのクライアント企業へコンサルティングを行ってきて、私たちが観察して気がついたその原因は5つありました。
(1) 目標管理(MBO)の定義が間違っていること
(2) 目標管理(MBO)の目標設定がおかしい
(3) 目標管理(MBO)の前提となる職務明細や評価が体系化されていない
(4) 企業内の体系として取り組まれていない
(5) 教育プログラムが十分ではない

本来目標管理(MBO)は社員を育てるためのものです。ですが、これらの原因から、多くの企業の目標管理(MBO)はノルマ管理(今年の数値目標達成のための数値管理)となっていました。
すなわち、社員を疲弊させ社員が育成できていない状況になっているのです。
これら5つの原因を解決できれば、目標管理(MBO)は効果的になります。
その解決方法を見ていきましょう。


そもそも目標管理(MBO)の定義とは何か?

MBOの英語の略についてクライアント企業の社員へその質問をした所、ほとんどの人が「Management By Objective」と答えました。
ですが、それは正解ではありません。

目標管理(MBO)を提唱したピーター・ドラッガーは、MBOについて「Management by Objectives, and Self-control」と説明しています。
ポイントは、この「self-control」の部分なのですが、多くの人はこの「self-control」を認識していませんでした。
「self-control」をつけてMBOを捉えると、MBOの本来の目的ややるべきことがはっきりしてまいります。
目標管理(MBO)とは、「自らで目標を設定し、自らの仕事ぶりを自らマネジメントし、目標を達成する」マネジメント方法なのです。


目標管理(MBO)を効果的にするために、チームの年間目標作成に関与させる

目標管理(MBO)に取り組みながらその効果が現れていない企業では、会社から与えられた目標だけがメンバー個人のMBOとしての目標となっていました。
目標管理(MBO)は「自らで目標を設定し、自らの仕事ぶりを自らマネジメントし、目標を達成する」マネジメント方法なのですが、「自ら目標を設定し」となっていませんでした。

目標管理(MBO)には、会社から与えられた目標だけではなく、メンバー個人が課題を設定して取り組む目標の設定が必要です。
それを効果的にするには、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画を作成する際には、その作成の一部にメンバーを関与させることです。これにより、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画が「他人事」のものではなく「自分事」となります。そして、組織(チーム)の戦略や計画の年間計画に合致する形でメンバー自らの目標を目標管理(MBO)として決めます。
そうすることで、メンバーが自分で自分の仕事ぶりを評価・管理できるようになるのです。


目標管理(MBO)には、職務明細と評価の体系化が前提

目標管理(MBO)を効果的に行なうためには、その前提として「職務記述書(Job Description)」が必要となります。
職務記述書は、職務ごとに用意をし、下記の項目を準備します。

・職務概要
・職務明細
・適正要件 (経験・知識・技能・資格など)
・評価項目

多くの日本の企業では、このように職務の説明・必要な経験や知識・評価項目を準備できていなく目標管理(MBO)が行われています。
そのため、結局目標として記載できることが売上・残業代・行動量など数値だけとなっています。
その目標自体もマネージャーがすべて与え、その目標に対して「目標数値に届いていない! なぜだ! もっと自分で考えて意欲的にやれよ!」という管理方法が目に付きます。
おわかりの通り「具体的にどうすればその目標を達成できるのか?」についてティーチングやコーチングが出来ていません。
数値だけを着目し、数値だけしか言及せず、叱咤激励しているだけになってしまっているのです。


本来、目標管理(MBO)とは、「自ら自分の仕事をマネジメントし、改善しつづけられる社員を育成すること」です。そのためには、数値目標だけではなく職務明細・適正用件・評価項目に係る目標について合意し、マネージャーは定期的かつ継続的なその目標達成のための支援(自己とマネージャー双方の適正な評価、フィードバック」をする必要があります。
目標管理(MBO)を行うということは、マネージャーはメンバーが自ら立てた目標を達成する支援をする必要があるのです。残念ながら、そんな「定期的/継続的な支援」まで含めて取り組めているマネージャーは多くありません。


企業内にどのような目標管理(MBO)の体系を取り組む必要があるか?

実際に、持続的に成長を実現している企業では、しっかりと目標管理(MBO)に顔者として取り組み、改善し続けていました。
社長は、目標管理(MBO)を通して、次の社長候補に課題を与え、育成していました。
取締役は、目標管理(MBO)を通して、次の取締役候補に課題を与え、育成していました。
部長は、目標管理(MBO)を通して、次の部長候補に課題を与え、育成していました。
課長は、目標管理(MBO)を通して、次の課長候補に課題を与え、育成していました。

このように、目標管理(MBO)を活用した育成の連鎖を会社の仕組みとして構築し、マネージャーが効果的にメンバーを育てる能力を高めていくことが必要です。


マネージャーへ効果的な教育プログラムが必要

上述したように、目標管理(MBO)は「やれば成果が出る」というものではなりません。
しっかりと準備をし、職務体系を整理し、企業としての取り組み体系を整理した上で、行わなければ効果が出ないのです。

そして、マネージャーが目標管理(MBO)において行なう定期的かつ継続的な支援活動(コーチング)は、「できない原因や障害を探り、様々な観点で検討し、相手がそれを意欲的に乗り越える(ブレイクスルーする)方法を見つける」ことです。
目標管理(MBO)の当事者は、今まで考えた事以上のものを求められているのですから、一緒に考え、様々な見方を経験させ、学習の方法のヒントも提供できる必要があります。
「自分で考えて欲しい!」という期待を押し付けるだけではダメで、マネージャー側も責任をもって学び成長していないといけないのです。

このように、目標管理(MBO)を活用した育成の連鎖を会社の仕組みとして構築し、マネージャーが効果的にメンバーを育てる能力を高めていくことが必要です。


あなたの会社の目標管理(MBO)を見直そう!

目標管理(MBO)が上手く機能しない5つの原因ととともに、その解決するためのポイントも解説してまいりました。
まとめますと、目標管理(MBO)のためには、「しっかりとした体制を構築すること」と「マネージャーへの教育プログラム」が欠かせません。

マネージャーが目標管理(MBO)を通して部下を成長させる能力を高めるためには、外部からの厳しい視線でのフィードバックを得て継続的に切磋琢磨できることが有効です (最近、企業に社外取締役が増え始めていますが、外部の取締役が必要な理由はコンプライアンスのチェックだけではなく、このようなフィードバックも含まれています)。
それぞれのマネージャーがどのような目標管理(MBO)をしているか、その目標設定/進捗管理/コーチングを定期的にチェックし、効果的なフィードバックを行う事で、マネージャーが人を育てるスキルを鍛え続ける必要があります(社内の仕組みや仕事の環境を整える事にもつなげます)。


目標管理(MBO)は、“ノルマ管理”ではありません。
目標管理(MBO)で“やる気(モチベーション)”を創出する必要があります。
そして、やる気(モチベーション)は、オープンコミュニケーション、および、戦略へ参画させることから高めることができます。
目標管理(MBO)は、その「自ら自分の仕事をマネジメントし、改善しつづけられる社員を育成する」のスタートポイントなのです。


私たちは、御社の目標管理(MBO)を効果的にするためのコンサルティング(診断・対策立案・対策実施)を行っております。
目標管理(MBO) を導入しながら、「自ら自分の仕事をマネジメントし、改善しつづけられる社員」が育っていなければ何処かに問題が潜んでいます。
目標管理(MBO)を見直す必要性がありましたら、ご連絡ください。その問題を解決します。


文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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