マネージャーなのに管理ができない! ~ 経営者の期待に応えるマネージャー育成6つのポイント

多くの企業の経営者や経営幹部たちは、マネージャーの成長度合いや仕事ぶりに不満を感じているようです。
現在、多数のクライアント企業の業務変革に関する支援をしていますが、業務変革を担える部長・課長は一握りです。業務変革を担うどころか、「管理すらできていない」という声もお聞きします。
実際に、企業内でどのようなことが起こっているのでしょうか?
実際にクライアント企業で発生していた問題点を例にとって、マネージャーが管理できなくなった原因と現在必要とされているマネージャーを育成する「6つのポイント」について解説します。
あなたの会社でも、心当たりはありませんか?


マネージャーなのに管理ができないことに悩む経営者や幹部 ~管理力を育成するには?

マネージャーが管理できていない!3部門の状況

受注処理部門 部長の悩み「一人当たり作業量増大」 原因は無駄な承認プロセスにあり

お客様から注文を受け出荷指示までを担っている部署の部長の悩みは「期限通りに作業が終了できていないうえに、ミスが増えている!」ことでした。
業績悪化のため「残業は1日1時間まで」という制限もあり、当日中に出荷指示できない件数やミスが増えていました。業務担当メンバーからは「もう少し残業をさせてくれれば、当日中に処理ができ、ミスも減るのに。作業時間が足りないからだ!」という不満が出始めました。
部長は「お客様からのクレームやメンバーのミスも増えています。もう少し残業を認めて下さい!」と会社に依頼をしましたが、会社は残業追加を認めませんでした。
どうしたらミスを減らし当日中に出荷指示が完了できるか? それが部長の悩みでした。

私たちが業務を調べてみますと、お客様からの特別な出荷依頼があった時の「特別出荷の承認プロセス」で非常に手間がかかっていることがわかりました。特別な出荷依頼とは、「海外に出荷してほしい」「宿泊先のホテルに出荷してほしい」「受け取り時間を指定したい」といったものです。その際は、別途経費がかかるために、上司承認が必要だったのです。
その特別出荷の量は全体の30%を占めていました。それだけの量があるにもかかわらず、その特別出荷のための承認手順がシステムには反映されておらず、負荷がかかる手作業となっていたのです。


営業事務部門部長の悩み「どうしたら若手が育つのかわからない」 蓄積されたデータを活用できていなかった

営業事務部門の部長は、「若手が育たない。特に、新入社員が一人で業務を担えるようになるまでに長い時間かかる。」という悩みを抱えていました。
その部長は、メンバーひとりひとりの毎日の事務処理件数を収集していました。社内システムからその件数が出力できるようになっていたからです。
そのデータの分析、および、業務状況を調べてみますと「若手が育たない!」以外の問題も見えてきました。
そのデータでは、一番処理量が多い人と少ない人の間には約2.5倍もの差がありました。作業能力の高い特定の人に仕事が集中してしまい、そのために、その作業能力の高い人が若手を育成している時間がとれない状況にあることもわかりました。せっかく社員を採用しても、忙しい人は忙しいまま、新人は余裕があるまま、という状況を変えることができていなかったのです。これでは新入社員が一人で業務を担えるまでに長い時間かかるのは当然でしょう。
また、作業が出来る人からは「処理量が違うのにそれが評価に反映されていない!」という不満を持っていることもわかってきました。さらに、評価をめぐる人間関係の歪みから、若い人が定着しない事態にまで陥っていたのです。
部長は「若手が育たない!」という不満はあるものの、手元にあるせっかくのデータを活用し問題点の対策を取ることなく、「どうすればよいのか?」をずっと悩んでいるだけの状態が続いていたのです。


営業部長の悩み「商談数が減ってしまっている」 経験と勘で指令を出して営業パーソンのやる気を下げてしまった

ある営業部長は、「今期の売上目標が達成できないのではないか?」に不安を感じていました。
その為、メンバーに「新たに発見した商談の50%は、1ヶ月以内に受注すること」という指令を出しました。
今期の売上目標を達成するためには「発見した商談を早く受注すること!」が必要だと考えたからです。

しかし、この指令は逆効果になっていました。
営業パーソンたちは、会社に新規の商談を報告すると1ヶ月以内に受注しないといけなくなるために商談を報告しなくなり、売上目標達成に必要な保有商談件数がこれまで以上に減ってしまったのです。

なぜ、この部長は、このような逆効果になってしまうような指令を出したのでしょうか?
実は、この部長が営業をしていた時代は、「御用聞き営業スタイル」でした。お客様に足繁く通い「何か買うものはありませんか?」「今月は何個必要ですか?」という営業スタイルです。そのため、ほとんどの案件は、1ヶ月以内に注文がもらえる状態だったのです。
しかし、その後、お客様への提案型営業に変わりました。以前と比べると商談金額は2~5倍へと増えましたが、その分商談期間はどうしても2~3ヶ月かかる状況に変化していたのです。
この事例は、管理者自身が、時代に合わせた営業スタイルに適切に対応しなければ、チームメンバーの士気をそぐことにもなりかねないことを示唆しています。

3人の事例から考える、「マネージャーが管理できなくなっている原因」とは?

今、多くの企業で「マネージャーが管理できない。経営者の期待に応えられていない。」という問題が発生しています。
その根本的な原因は、過去から比べ現在はマネージャーに求められている仕事がますます高度になっているからです。そのことは、上記3人の部長の事例でも明らかです。
労働時間の短縮、メンバー育成の難しさ、承認プロセスの煩雑さ、仕事の方法やツールの変化など、日常の業務が高度になり、働く環境が大きく変わりました。その結果として、職場で発生している問題は複雑化しており、過去の管理・マネジメント方法では対応できなくなっています。

過去において管理者・マネージャーに求められている仕事は下記でした。
  • 問題が発生しないように報告を受ける
  • 業務ができるように育成する
  • 会社の決定事項を通知する
  • メンバー間の調整を図る


  • それに対して、現在の管理者・マネージャーに求められることは上記だけではありません。上記が出来ることは必須、そのうえで、さらに下記のことまで求められるようになっているのです。
  • 担当する組織の生産性を高め、より高い目標を達成する
  • メンバーの能力を最大限に引き出す

  • 前述した3人の部長の事例から明らかなように、マネージャーには「複雑化した、より困難な職場状況においてでも、より高い目標を達成する!」ことが求められています。


    多くの企業で「より高い目標を達成する!」管理を身につけ育成もできる上位層マネージャーがいない

    マネージャーだけではなく社員(メンバー)も、「仕事ができるようになる」ことは当たり前で、さらに「仕事ができるようになった上で、能力を最大限に発揮すること」が求められています。
    しかし、多くのマネージャーは「メンバーの能力を最大限に引き出す方法」を知らずにいます。

    現在のマネージャーの状態を適切に言い表した逸話を1つご紹介しましょう。ある転職支援会社のマネージャーの方に伺った話です。
    転職エージェントが転職を希望する管理職経験者へ「なにができますか?」と聞きました。
    そうすると、その人は「部長ならできます」「課長ならできます」と答えました。

    その回答の意味することは、前述した過去のマネージャーに求められていた「調整という仕事」ならばできる、ということです。
    しかし、「生産性を高める / より高い目標を達成する」管理は経験したことがないので、そのような高い目標を達成するための管理はできません。
    現在、多くの企業の中間マネージャーはこのような「過去求められていた範囲のマネージャー業務しかできない」状態です。


    マネージャーの管理力育成のための6つのポイント!

    経営者から求められているのは「高い目標を達成する」ことです。そのために、管理者・マネージャーが活躍できるようにするにはどうしたら良いでしょうか?
    私たちは、管理者・マネージャーが期待に応え活躍できるために「”仕事の仕組み化”力を鍛える」ことを推薦しています。
    仕事の仕組み化について具体的な内容は、「チームで結果を出す「仕事の仕組み化」スキル ~ 昇進・報酬・機会を手にするハイパフォーマーの仕事の技術(3)」を参照下さい。

    マネージャーは、「仕事の仕組み化」に関するマネジメント能力を発揮することが必要です。なぜならば、マネージャーが、他のチームとの仕事のやり取りなどを含めた業務の全体像を明確にする思考・能力を発揮することで、チームを効果的に管理・改善することができるからです。
    その「仕事の仕組み化」に関わる能力を強化するためには、下記の6つのポイントを考慮したマネジメント育成カリキュラムを構築することが重要です。

    (1) マネジメントしている組織・業務のOutput (成果や達成基準)を明らかにしていること
    (Outputは、「成長」「満足」「生産性」といった抽象的な言葉だけを組織・業務のOutputにするのではなく、具体的な数値目標として、明らかにすることが大切です。)
    (2) そのOutputを実現するための業務プロセスを描けること
    (3) そこから必要とされる「最低限必要とされる管理項目」を設定できること
    (4) その管理項目に基づく業務をしっかり行わせること
    (5) その管理項目の推移を常にモニタリングしておくこと
    (6) 未達成の人が達成できるような指導や育成ができること (「やれ!」という叱咤激励だけではダメ)


    さあ、管理力のあるマネージャーの育成方法を導入しよう!業務マネジメント変革をはじめよう

    高度成長期・バブル期の日本のように、社会が成長している時代ではありません。
    日本の成長率はせいぜい1~2%程度です。
    そのような中、チームが高い目標を達成できるか否はマネージャーの能力次第です。
    組織がより高い目標を達成するためにはマネージャーの育成がかかせません。

    私たちが業務変革の支援やマネージャー育成の支援をしているクライアント会社では、実際に10%以上の成長を達成しています。
    正しいマネジメントのやり方を知れば、10%以上の改善はそれほど困難なことではないのです。

    多くの企業が、「マネージャーたちに求められている管理方法」そして「それが出来るようになるための育成方法」を知らず、取り組めていない状況にあります。
    そのため、「マネージャーや社員の育成そのものをアウトソーシングし、外部に依頼する」または「マネージャーの仕事そのものをアウトソーシングし、外部に依頼する」企業が増え始めました。
    それは、自社内だけで取り組んでいれば、時間ばかりを失ってしまうという認識が広まりつつあることを意味しています。
    マネジメント・人材育成を、外部のプロフェッショナルにアウトソーシングする時代が来ているのです。

    アウトソーシングでなく、自社で「管理力のあるマネージャー」を育成することを選択されるならば、
    まずは、上記6つのポイントを意識したマネージャー育成カリキュラムを作り、取り組むことからはじめてください。
    そのうえで、何か問題があれば、遠慮なくご連絡ください。
    うまくいかないことには原因が必ずあります。
    私たちはあなたと一緒にその原因を追求し、「高い目標を達成できるための管理ができるマネージャー」育成の支援を致します。
    また、マネージャーの仕事そのものをアウトソースすることがお望みであれば、私たちが貴社の管理・マネジメント体制をしっかり整えます。
    マネージャーの自社育成、アウトソース、いずれにしても、私たちは経営者の期待に応える管理・マネジメント体制、ひいては業績向上のために全力で支援させていただきます!


    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
    Copyright (C) 2016 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.


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