マネージャーなのに管理ができない / 目標達成に向け、マネージャーの管理力育成6つのポイント Vol.279

業務改善コンサルティングの仕事柄、クライアント企業の経営者から「マネージャーがしっかり管理できない!」という相談がよくあります。
現場で働いている時には優秀だったので課長でも頑張ってくれると思っていたが、管理職になったら以前の優秀さはどうしたんだ、と言うようなことをよく聞きます。
「マネージャーがしっかり管理ができない」という相談は増えています。
なぜ、多くなったのでしょうか? その理由は、過去と比べ現在のマネージャーの仕事はより高度になったためです。
マネージャーが管理できなくなった原因と、現在のマネージャーが学ぶべきことについて解説します。


マネージャーについて悩みは尽きない

先週、ある企業の支店長から「Leaderとしての能力強化トレーニング」のご依頼をいただきました。
今回私に求められるミッションは、支店長候補である選抜した3人がより広い視野で考えられるようになり、かつ、将来を見通した中期計画を作れるようにすることです。
本当は中期計画を作成した後が大切なのでそのフォローアップまで支援できると更に効果的なのですが、今回は部門方針を作成するワークショップスタイルのセッションを行なうことになります。


多くの企業の経営者や経営幹部たちは、マネージャーの成長や仕事ぶりに不満があるようです。
現在、いくつかのクライアント企業の業務変革の支援をしておりますが、業務変革を担える部長・課長は一握りです。業務変革を担うというよりも、「管理すらできていない」という声もお聞きします。
実際に、どのようなことが起こっているのでしょうか?


マネージャーが管理できていない!

意味のない作業をさせている

お客様への注文を受け出荷指示をしているある部門の悩みは、一人当りの作業量が増えていることでした。
しかし、業績悪化のために「残業は1日1時間まで」と制限されました。
その結果、出荷指示を当日以内に処理できない件数が増えはじめました。それどころか、メンバーの不満も増えはじめました。
そのため、その部門の部長は「メンバーの不満も増えています。人を増やしてください!」と会社に依頼をしましたが、会社は増員を認めませんでした。

私たちが調べてみますと、お客様からの特別な出荷依頼があった時の「特別出荷の承認プロセス」に非常に手間がかかる作業があることがわかりました。
以前に出荷ミスが合ったために「特別出荷はその変更内容をシステムに登録する」というルールになっていたのです。
実際、その承認をする件数は30%程度あり、かつ、その特別承認の手順がシステムに反映されていないので、メンバーが手間を掛けて入力している状態でした。


必要なデータを活用していない

営業事務をしている部門の部長は、「若手が育たない」という悩みを抱えていました。
その部長は、メンバーひとりひとりの処理数のデータを毎日取得していました。
データを見ると、2.5倍程度の処理量の差がありました。
ですが、数年にもわたるデータを取っているだけで、1人1人の達成目標処理数を目標として設定していませんでした。
また、そのデータも表にしているだけで、グラフにしていませんでした。
「若手が育たない」という愚痴は言い続けていましたが、長らく「どうすればよいのか?」をずっと悩んでいるだけの状態でした。


経験と勘で問題点を決め打ちしている

ある営業部長は、営業部門の売上目標の達成に不安を感じていました。
今年の売上目標を達成するためには、「発見した商談を早く受注すること!」だと考えました。
営業部長が営業の時に、「何しろすぐ契約締結するように心がけて取り組んできた」という経験があったためでした。
その為、メンバーに「発見した商談の50%を1ヶ月以内に受注すること」という指令を出しました。

営業たちは、部長に商談を報告すると1ヶ月以内に受注しないといけないために、商談を報告することを控えはじめ、商談数が減ってしまいました。


マネージャーが管理できなくなっている原因は?

今、多くの企業で「マネージャーが管理できない」という問題が発生しています。
その根本的な原因は、過去から比べ現在は、マネージャーに求められている仕事がますます高度になっているからです。


過去、マネージャーの仕事は下記でした。
・問題が発生しないように報告を受ける
・業務ができるように育成する
・会社の決定事項を通知する
・メンバー間の調整を図る

それに対して、現在のマネージャーに求められることは上記だけではありません。上記のことも考慮しつつ下記のことが求められるようになりました。
・担当する組織の生産性を高め、より高い目標を達成する
・メンバーの能力を最大限に引き出す

過去と比べ、マネージャーには、「より成果を高める!」ということが求められています。
メンバーという観点でも、「仕事ができるようになる」ことだけが求められているのではなく、「仕事ができるようになった上で、能力を最大限に引き出すこと」が求められています。ですが、多くのマネージャーは、「能力を最大限に引き出す方法」を知らないのです。


その結果、多くの企業では下記の2つのことが起こってしまいました。
1. 今までのカリキュラムでは生み出すことができない。
2. 「より高い目標を達成する!」管理を身につけた上位層のマネージャーが不在で、日常の業務を通した育成ができていない。


少し話が変わりますが、現在のマネージャーの状態を適切に言い表したお話があります。
40才以上の転職希望者にかかわるお話です。
転職エージェントが転職を希望する管理職経験者へ「なにができますか?」と聞きます。
そうすると、「部長ならできます」「課長ならできます」と答えます。


すなわち、過去のマネージャーに求められたことならば出来るが、「生産性を高める / より高い目標を達成する」管理を経験したこともないですし、知らないのです。
取締役が部長へ、今求められている管理能力を鍛える方法を知らない。部長が課長へ、今求められている管理能力を鍛える方法を知らないのです。
前述した3人の部長たちも同様でした。
そして、上位層がこのような状態なので、その下の課長たちも「管理ができない」のです。


マネージャー(課長)が管理できるようにするための6つのポイント!

マネージャーを育成するためには、下記の6つのポイントを考慮して、育成カリキュラムを構築する、もしくは、その上位マネージャーが日常業務で育成することが大切です。

(1) 直面する組織の目標を認識していること (「成長」とか「満足」とか「生産性」とか抽象的な言葉で終わるのではなく、その組織が求められている評価基準として…)
(2) それを実現するための業務プロセスチャートを描けること
(3) そこから必要とされる「最低限必要とされる管理項目」を設定できること
(4) その管理項目に基づくことをしっかり行わせること
(5) その管理項目の推移を常にモニタリングしておくこと
(6) 未達成の人が達成できるような指導と育成ができること (「やれ!」という叱咤激励だけではダメ)

今の時代に合った管理をしっかりできるマネージャーを育成するために、私たちが強く推薦する強化すべき能力は「プロセスチャートを描かせる能力」です。
マネージャーが、他のチームとの関連性を含めた業務の全体像を明確にする思考がなければ、管理をすることはできません。


さあ、管理力のあるマネージャー育成をはじめよう

高度成長期の日本、バブル期の日本のように、社会が成長している時代ではありません。
日本の成長率はせいぜい1-3%程度です。
そんな中、チームが高い目標を達成できるかどうかは、マネージャーの能力次第です。
チームがより高い目標を達成するためにはマネージャーの育成がかかせません。


実際、私たちが業務マネジメント変革の支援・マネージャーの育成を支援している会社では、10%以上の成果を確実に出しています。
正しいマネジメントのやり方を知れば、10%以上の改善はそれほど困難なことではないのです。
実際に私たちのクライアント企業は、マネージャーたちが今求められている管理方法を知らず、育成方法も知らないので、マネジメントの一部を私たちのような外部にアウトソーシングしています。
マネジメントの一部・人材育成の一部を外部のプロフェッショナルにアウトソーシングする時代です。自社内だけで取り組んでいれば、時間ばかりを失ってしまいます。


まずは、上記6つのポイントを意識したマネージャー育成カリキュラムを作り、取り組むことからはじめてください。
その上で、何か問題があれば、遠慮なくご連絡ください。
原因が必ずあります。
一緒にその原因を追求し、「高い目標を達成できるための管理ができるマネージャー」育成の支援を致します。


文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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