できる社員がマネージャーになると力不足! 優秀な社員と優秀なマネージャーの資質の差とその対策!

わたしたちがクライアント企業に提供しているソリューションに「次世代のマネージャー・リーダー育成研修」があります。このマネージャー・リーダー育成研修を実施する際に、いくつかのクライアント企業から伺う問題の1つが「メンバー(社員)のときは優秀だったのにマネージャーになると力を発揮できない!」ということです。
メンバーのときには優秀な成績を上げていましたから、会社としては「マネージャーになっても高い目標を達成してくれるだろう!」と期待します。ですが、実際にマネージャーになると、「その率いるチームの意欲が低下」「コミュニケーションが悪い」「結果が出ない」という状態と陥り、期待通りにはなっていないようです。
どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
それは、メンバーの時に求められていた資質や能力と、マネージャーとして求められる資質や能力が違うからです。
その違いとはなにか、どうすればマネージャーを効果的に育成できるか、これらの原因と方法について解説します。

できる社員がマネージャーになると力不足! 優秀な社員と優秀なマネージャーの資質の差とその対策!

マネージャーとメンバーに求められる資質の差とは?

メンバー(社員)に求められる資質や能力は「戦術思考」

メンバーの役割は、「自らの成果を達成するために、決められた職務・業務を効率的に行うこと」です。
すなわち、社員に求められている資質は「いかに効率良く行なうかを考え、実行すること」です。
合理的に「いかに効率良く行なうか?」を追求しているメンバーは高い成果を達成できています。

この「いかに効率良く行なうか?」すなわち「どうするか?」という思考は「戦術思考」と言われ、手段をいかに効率よく自身の成果に結びつけるか、がポイントになります。
以上のように、メンバーが優秀な成績を残すために必要な資質や能力は「戦術思考」と呼ばれる能力です。

マネージャーに求められる能力や資質は「戦術思考」と「戦略思考」

メンバー(社員)と比較して、マネージャーには違う能力や資質が求められます。
どのような業務のマネージャーであれ必要とされる仕事は下記の5つです。
  • 目標と計画を立案する
  • 評価・フィードバックを行う
  • 適切な指導を行う
  • 部下の動機付けを行う
  • 組織間の調整を行う

  • マネージャーの役割は「チームの成果を最大化すること」です。自分のことよりもチームのことを考えることが求められます。
    そのため、マネージャーには「いかに効率良く行なうか?」という戦術思考だけではなく、「チームの資源(人・時間・お金)をどの領域に投入するか? どの活動にどのように振り当てるのか?」という思考が必要となります。

    マネージャーに求められる資質や能力「いかに資源を配分するか?」「何をするか?(何にどのくらいに比率で行なうか?)」は「戦略思考」と呼ばれる能力です。チームの目標を達成するために最適な資源の配分を決定する、がポイントとなります。
    「だれがどの業務領域を担当するか?」「どのくらいの比率で担当するか?」を合理的に考え、それを反映した「目標と計画を立案できる」マネージャーは高い成果を達成できています。

    社員には「戦術思考」、マネージャーには「戦術思考」と「戦略思考」。
    それぞれに求められる資質や能力は違うのです。


    優秀なメンバー(社員)がマネージャーとして力不足となる原因

    通常、マネージャーへと昇進する人は、他のメンバーよりも仕事ができる人、すなわち、職務・業務をより効果的に行なう戦術思考ができる人です。

    その人がマネージャーになった時、自分のチームのメンバーを見ると「力不足!」と感じます。
    自分よりも効率よく仕事ができていないですし、もっと効率良く出来るはずだ、と考えます。
    そのため、そのマネージャーは部下に「もっと効率よく行え!」「もっと量を行え!」という指示を行います。他のメンバーに、自分が過去実践してきた考えや行動と同じ内容・同じ水準の仕事をするように求めるのです。それが、その人にとって効率的だったからです。

    このことが優秀なメンバーが優秀なマネージャーになれず、下記のような問題を引き起こします。
  • メンバーがマネージャーを信頼しない
  • メンバーが成長できない
  • メンバーが疲弊してしまう
  • メンバーが会社を辞めてしまう
  • その結果、会社が期待しているような成果を生み出すことができていないのです。

    これらの問題を未然に防ぐためには、マネージャーには「戦略思考」が必要となります。
    マネージャーが戦略思考をできるようになると、下記のようなことがより効果的になります。
  • 適切な人の配置
  • 適切な業務比率の特定
  • 適切な課題の設定
  • 適切な育成
  • その結果として、チームとしての成果を最大化につながるのです。
    マネージャーが成果を上げるためには「戦略思考」を学ぶ機会が必要なのです。

    メンバー(社員)を優秀なマネージャーへと育成させるためには?

    私たちがクライアント企業で取り組む研修では、マネージャーに求められるこの「戦略思考」の基本フレームを解説し、「戦略思考」を鍛えるワークに取り組んでもらいます。

    「戦略思考」の基本フレームとは、下記の4つの要素で構成されています。
  • どんな課題があるのか?
  • 何を変えるのか?
  • 何へ変えるのか?
  • それによってどのような成果を手に入れるのか?

  • 実際に研修に参加したマネージャーたちは、このようなワークに取り組む前には、
    「自分はこのようなことが十分できている!」
    「こんな能力を高めるよりも、業務にもっと直結した研修のほうが良い!」
    「私たちがこのような研修を受講するよりも、研修が必要なのはメンバーたちだ!」
    と考えていました。

    ですが、実際に、この基本フレームワークを行うと「自分はできていない!」ということがわかってきます。
    ただ、1回研修を体験しただけでは戦略思考が実践できている状況にまでは至りません。
    この4つの要素を、いろんな事例を通して継続して繰り返し考えさせることで、戦略思考を育むことができます。


    早いうちから学び始めよう!

    経営者から言われたことを行うマネージャーだけしかいなければ、企業はそれ以上の成長を遂げられません。なぜならば、経営者一人だけでマネジメントできる範囲はかぎられているのです。経営者の代わりを担うことができるマネージャーがもっと必要なのです。
    マネージャーには、通常はメンバーが遂行している業務を効率よく行えることは必須で、その上で、戦略思考のあるマネージャーが育てることが企業の長期的な成長を可能にします。

    多くの企業で次世代のマネージャーの育成の支援をしてきて、早いうちにこの「戦略思考」を学ぶことがとっても大切であると痛感しています。
    年齢が高くなるとその資質や思考の変化を受け入れ難くなります。変化へ挑戦することもしなくなり、自分の今までの経験の範囲で仕事をする、という楽な方法を選びます。
    ですから、30才代から40才代のうちに学ばせることが大切です。

    マネージャーというのは、メンバー(社員)としての経験だけで出来るものではありません。
    また、何もせずに自然と育つ時代でもありません。
    マネージャーをしっかり育成することが大切な時代です。それが会社の持続性に繋がります。

    マネージャーが十分育っていないとお感じであれば、遠慮なくお問い合せください。
    あなたの会社のマネジメントの方法とマネージャーの問題点を把握し、しっかり育成するためのお手伝いをします。


    (本コラムは、2015年12月6日に書かれたものを再編集しました)
    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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