『営業方針/営業戦略』が営業目標の達成に役立っていない? ~ 二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標達成を目指すための『営業方針/営業戦略』とその遂行の3つのポイント

私たちは、営業力強化コンサルタントとして、クライアント企業の『営業方針/営業戦略』の作成とその実行支援を行っています。そのため、「良い『営業方針/営業戦略』とは何か?」「具体的に、どのようにその『営業方針/営業戦略』を実行することが大切か?」は関心の高いテーマであり、私たちがこれからも研究し続けるテーマの1つです。

様々な企業の営業組織の『営業方針/営業戦略』について、「良い『営業方針/営業戦略』とは何か?」「具体的に、どのようにその『営業方針/営業戦略』を実行することが大切か?」「うまく行っていること/うまく行っていないことはなにか?」を研究すると、『営業方針/営業戦略』を実行しても目標達成ができていない3つの原因が見えてきました。

このノートでは、営業組織が『営業方針/営業戦略』が目標達成に役立っていない3つの原因、そして、効果的に『営業方針/営業戦略』を実行するためのヒントについて解説します。

二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標達成を目指すための『営業方針/営業戦略』とその遂行の3つのポイント

営業組織が『営業方針/営業戦略』を遂行しても目標達成できない3つの原因とは?

企業が二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標を達成するためには、合理的な『営業方針/営業戦略』を作成し、その『営業方針/営業戦略』を最後まで遂行することが必要です。ですが、『営業方針/営業戦略』を実行しても目標達成できていない営業組織もあります。

『営業方針/営業戦略』を作っているのに、なぜ、目標達成ができないのでしょうか?

多くの営業組織の『営業方針/営業戦略』の内容と実行状況を観察した結果、以下の3つの原因が目標達成の障害となっていました。

◆ 原因1. 自分たちの営業体制の状態と特長を勘違いしている
◆ 原因2. 営業力強化施策が場当たり的
◆ 原因3. マネージャーがプロジェクト的に実行できない

原因1. 自分たちの営業体制の状態と特長を勘違いしている

営業方法は、企業によって多種多様です。扱っている商材の種類/商材の金額/お客様の業界や業種/商談をするお客様の仕事内容や役職/競合との差別化/納品方法/売上の回収方法など、企業によって違うからです。

私たち独自の視点から営業体制を観察/研究すると、営業組織は以下の3つに分類できることがわかりました。

(1) 御用聞き営業体制(「なにか買うものがありませんか?」と伺う営業方法)
(2) セールスプロセス営業体制(販売している商品知識を持ち、提案する営業方法)
(3) 戦略的アカウント営業体制(お客様の業務課題を解決する方法を提案していく営業方法)

扱っている商材の金額が小さい営業組織では、御用聞き営業体制が多いです。また、お客様との取引額が大きい営業組織は戦略的アカウント営業体制が求められます。このように、お客様への営業方法・営業体制は各社によって違うため、目標達成をするための『営業方針/営業戦略』や実施計画も会社によって異なります。ですが、以上の3つの分類のような自社の営業方法や営業体制の特長や状況を理解することなく、『営業方針/営業戦略』が作成されていることが多いです。

以前、あるクライアント企業から「戦略的な営業力を強化する研修ができますか?」というご依頼をいただきました。そのクライアント企業へ以上の3つの営業体制の分類を紹介したところ、「我が社は会社としてソリューション営業を実施しているので、この分類に当てはめるとセールスプロセス営業体制です。ですから、更に成長していくためには戦略的アカウント営業を実施したいのです」と言いました。その後、営業管理の診断(営業マネジメントのアセスメント)を実施したところ、そのクライアント企業は、御用聞き体制で営業が行われていることが判明しました。

このように、「現在の営業体制はどのような状況か?」を正しく認識できている企業は少ないです。『営業方針/営業戦略』は、営業組織の特長や状況を考慮した上で実行しなければならないのですが、『営業方針/営業戦略』が営業組織の特長や状況と合っていないのです。「実は肺炎なのに、咳がひどいから咳止め薬をください」というような状況です。

自分たちの営業管理体制がどれかを認識し、そして、現状を合致した営業戦略や営業方針でないと目標は達成できません。

原因2. 営業力強化として遂行されることが場当たり的

『営業方針/営業戦略』の一環として行われる代表的なことは、「営業研修(営業力強化研修)を実施すること」です。その研修を実施する際、多くの営業組織では、営業担当者だけが受講して営業マネージャーが受講していないことがあります。もし、その営業研修の導入目的が「会社の予算も余っているし、営業のモチベーションを高める一環として研修でもするか!」という理由であれば、このような導入方法でもよいと思います。

しかし、二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標達成を目指すための施策であれば、このような導入方法では効果が得られません。「研修してもその効果が持続しない!」という声をよく聞きますが、営業担当者だけが受講するような研修を行っても効果はありません。

営業マネージャーも受講し、その後の営業活動で実践させ、スキルとして定着させることが大切です。

原因3. マネージャーがプロジェクト的に実施できない

ある企業の営業マネージャーの『営業方針/営業戦略』には、下記のようなことが記載されていました。

『今年の売上目標は30億円!』
◆ 選択と集中を加速する!
◆ もっとお客様への訪問数を増やす!
◆ 案件数をふやす!
◆ 最後まであきらめるな!

この営業マネージャーの『営業方針/営業戦略』は、良い『営業方針/営業戦略』とは言えません。以下のような問題があるためです。

◆ 「選択と集中」とあるが、どの領域を選択して集中するのかが明確になっていない。
◆ 「もっとお客様の訪問数を増やす」とあるが、今までの2倍もの訪問数を目指していた。
◆ 「案件数を増やす」は、具体的な目標が設定されていなかった。
◆ 「最後まで諦めるな!」は、戦略ではない。

以上のように、多くの『営業方針/営業戦略』は、「スローガン(掛け声)」ばかりです。高い目標を達成する可能性を最大化する『営業方針/営業戦略』になっていません。このような『営業方針/営業戦略』になってしまっている原因は、多くの営業マネージャーは、過去「業務改善プロジェクト」や「組織変革プロジェクト」などの経験をしていないためでした。業務改善プロジェクトなどの計画の作成・遂行・評価を行ったことがなく、さらには、そのコーチングを受けたことがないために、部下にただ意欲を出すよう押し付けるだけの『営業方針/営業戦略』になっていたのです。

『営業方針/営業戦略』は、プロジェクトとして実施する

二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標達成を目指す『営業方針/営業戦略』は、日常行っている営業活動とは切り離して、プロジェクトとして実行する必要があります。「プロジェクトとして実行することが必要」と言っても、特別なことではありません。『営業方針/営業戦略』を作ることは「技術」です。ですので、その方法を学び、幾度か経験をすればできるようになります。『営業方針/営業戦略』は、以下の3つのポイントを基本として作ります。

◆ ポイント1. 自分たちの重要課題を明確にする
◆ ポイント2. 効果的な目標を設定し、実施計画を作る
◆ ポイント3. マネージャーが施策の効果を測り、次なる施策を明確にする

ポイント1. 自分たちの重要課題を明確にする

まずは、自分たちの営業体制を正しく認識することが大切です。自社の営業体制が、御用聞き営業体制/セールスプロセス営業体制/戦略的アカウント営業体制のいずれかを正しく把握することから始めます。

「営業体制が、御用聞き営業体制/セールスプロセス営業体制/戦略的アカウント営業体制のどれか?」を特定することは、営業担当者がお客様へ行っている商談の方法/営業の管理項目/営業報告や会議/人事評価体系を調査することで見えてきます。一般的に、消耗品などの単価が低く利益率が低い場合には、「御用聞き営業」、金額が100万円以上などの高額な商品を売る場合には「セールスプロセス営業体制」、年間1億円以上取引ができている企業などがある場合には「戦略的アカウント営業体制」です。

二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標達成を目指すのであれば、1つ上のレベルの営業体制を目指します。例えば、「御用聞き営業体制」であれば「セールスプロセス営業体制」へ、「セールスプロセス営業体制」であれば「戦略的アカウント営業体制」を目指します。多くのクライアント企業の営業力強化の支援をしましたが、1つ上の営業体制にチャレンジすることで、10%以上のパフォーマンスを向上することができます。

現在の営業体制を特定したら、次は、目指す結果と現状のGAPを特定します。目指す結果とは、売上などの数値目標だけではなく、「理想とする営業組織の状態/理想となる営業担当者の状態」なども含みます。その目指す結果と現在の状況のGAPが課題です。これが重点課題となります。

ポイント2. 効果的な目標を設定し、実施計画を作る

重点課題(= 目指す結果と現状のGAP)を特定したら、その重点課題の目標を設定します。「なにを重点課題とするか?」によりますが、重点課題の目標とは、「重要顧客の訪問率」「訪問件数に対する商談発見率」「競合勝率」などになります。その目標値(KPI, Key Performance Indicator)と期限を設定します。

「期限と数値目標を決めたから、それを目指せ!」と部下に指示しているだけでは、決してその目標を達成することはできません。その目標を達成するためには教育やツールの導入などの実施計画が必要です。その数値の達成に必要な営業教育やツールの導入などの実施計画を検討します。

「目指せ!」というようなスローガンではなく、「重要課題とその目標値(KPI)を決定して、その目標値を達成するための実施計画を検討する」という手順で行うことが重要です。

ポイント3. マネージャーが施策の効果を測り、次なる施策を明確にする

営業の考え方/行動/振る舞いに影響を及ぼすことができると、二桁成長を実現することができます。ですが、1日や2日の営業力強化研修を実施するだけでは、営業担当者の考え方/行動/振る舞いを大きく変えることはできません。

そのために重要なことは「継続的な実践」です。1日や2日の研修を実施するだけではなく、営業マネージャーが日頃からその実践度合いを確認し、能力を向上するための指導/コーチングをすることが大切です。

以上のような3つのポイントを考慮して、『営業方針/営業戦略』をプロジェクトとして実行するから、継続的にパフォーマンスを向上することができます。

多くの企業が『営業方針/営業戦略』の作成と遂行に悩んでいます!

私たちへ営業力強化の問い合わせをした多くの企業が、「どこを強化すればよいか?」「何から始めればよいか?」「本当に効果のある方法はなにか?」を悩んでいました。お問い合わせいただいたときに伺った悩みには下記のようなものがありました。

◆ 若手が育っていない。基本的なことは社内で教えているが成長が遅く、どこに問題があるか特定できていない。
◆ 営業組織強化を実施したいが、当社の営業は他社とは違って特殊なので何が当社に合うかわからない。
◆ 営業成績が伸びていない。社外の営業研修に受講させているが、その研修効果が期待通りではなかった。
◆ エンジニアなどとチーム営業も必要。しかし、どのように対策をすればよいのだろうか?
◆ 属人的な営業になっている。どうして属人的な営業になっているのか、どうすればよいのかがわからない。
◆ お客様との関係が深まらない。営業はお客様との面談で何をしているかわからない。

昔と比べ、営業の仕事がますます高度になっています。営業組織の成果を最大化するために「どこを強化すればよいか?」「KPIは何が効果的か?」「何から始めればよいか?」などを特定することが難しくなっているのです。

もし、自分たちの現状や重点課題を特定できない場合には、外部のコンサルタントに依頼することをお薦めします。何しろ、重点課題を特定できないと二桁成長(10%以上のGrowth)のような高い目標を達成できないのです。

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二桁成長(10%以上のGrowth)は簡単ではない。しかし、基本に沿って『営業方針/営業戦略』を遂行すれば難しすぎるものはない!

二桁成長(10%以上のGrowth)は簡単ではありません。ですが、二桁成長のような高い目標を達成することは、基本に沿って『営業方針/営業戦略』を実行すれば難しすぎることではないのです。

先日、私たちのクライアント企業の営業力強化導入事例を整理していた時、改めて振り返ってみると、私たちにご依頼頂いたクライアント企業には特長があることに気が付きました。「日本および海外の有名なコンサルティング会社と営業力強化を実行したが、二桁成長を到達できなかった」企業からの営業力強化支援の依頼がほとんどでした。今回は、私たちと一緒に挑戦することで二桁成長を実現しました。そして、その後、さらに高い目標達成を目指しています。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。貴社と力を合わせて、貴社の営業組織ができていることとできていないことを明らかにし、貴社にとって重要な重点課題を見出し、その重点課題を解決します。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2017年4月2日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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