営業部門のパフォーマンス最大化の教科書 ~ “営業管理”から”組織と個を成長させる営業マネジメント”へ

あなたの会社の営業組織は
「営業の管理」の状態でしょうか?
それとも
「営業のマネジメント」の状態でしょうか?

営業組織の強化は、企業のパフォーマンス(業績)を高める強力な方法の1つです。営業の組織強化の鍵は「マネジメント」にあります。営業組織が「営業管理」の状態か「営業マネジメント」の状態かによってその組織が生み出すパフォーマンスが全く異なります。
業績の良い企業では「営業のマネジメント」ができていますが、業績が芳しくない・伸びない企業は、単なる「営業の管理」です。

同じことのようですが、管理とマネジメントでは大きな違いがあり、成果や生産性は格段に違います。
管理とマネジメントの間にどのような違いがあるのでしょうか?
私たちが営業組織強化を支援したクライアント企業の現状から「効果的な営業のマネジメントとは何か?」及び「マネジメントはどんな手順で取り組めばよいのか?」について解説します。

営業部門のパフォーマンス最大化の教科書 ~ “営業管理”から”組織と個を成長させる営業マネジメント”へ

あなたの会社は本当に「営業マネジメント」ができていますか?

あなたの会社をチェックしてみてください。

□ 方針や営業戦略が「目標を達成できる」と感じられるものになっていない。マネージャーの達成意欲が感じられない
□ 新規のお客様が増えていない
□ 既存のお客様との取引額が増えていない。双方の上層部間同士の関係ができていない
□ 営業プロセスが文書としてまとまっていない。営業プロセス上の問題点を数値で判断できるようになっていない
□ SFA (Sales Force Automation) と呼ばれる営業支援ツールは導入しているが、それを会社の成長に上手く活用できていると思えない
□ 社内業務の生産性を高めるための改善に取り組んでいない
□ 目標管理制度 (MBO) の目標が、営業個々の成長につながるものになっていない
□ 仕事の進め方が属人的で営業の仕事内容や必要なスキルが文章としてまとまっていない
□ 上司がメンバーを正しく評価できていると思えない
□ 個々の営業が成長していると思えない、目標達成に向けて意欲的だと感じない

チェックが3個以上なら要注意です。
業績が上がらない「営業管理」になってしまっているかもしれません。
しかし心配はいりません。いまからでも「営業マネジメント」に取り組めば、確実に業績を高めることができます。

まずは、マネジメントの必要性から考えましょう。


「マネジメント」は何のために必要なのか?

組織の状態が管理の状態からからマネジメントの状態へ移行することで、下記のような効果が表れます。

(1) 組織の目標を達成するために、時間・人・お金など、限られている資源を最大に活用する
(2) さらに多くのお客様に満足頂く
(3) 継続的に改善を続け、その結果競合に勝つ
(4) 目標達成に向けた個々の営業の業務の能力(スキル)と意欲を高める
(5) 次なるマネージャーとなる人材を開発する

多くの管理の状態の組織は、「今期の数値目標だけを達成すること」という短期的な視点で行われています。
(今期目標売上50億円、というようなものです)
ですが、マネジメントの状態の組織は、その「今期の数値目標だけを達成すること」という短期的な視点だけではなく、上述した(1)から(5)をも含んだ視点で行われます。

これまで私たちがサポートしたクライアントでは、管理からマネジメントへの移行により、下記のような成功事例が生まれました。

・売上を二桁以上増加
・既存顧客との関係を強化し、戦略的ターゲット顧客の売上が倍以上に
・新規の顧客開拓のマネジメントを改善し、赤字から黒字へと転換
・進出した新規事業での取引を拡大

短期的な目標達成のみに注力し、経験や勘に頼った営業を推し進める「営業管理」では、企業の成長は必ずどこかで頭打ちになってしまいます。
競合に勝ち、成長を続ける企業として生き残るためには、マネジメントへの転換が必須なのです。

管理→マネジメントへの移行を阻むもの

管理からマネジメントへ移行するにあたって、多くの企業がぶつかる壁があります。
(1) 営業支援ツール導入で「もうマネジメントができている!」という幻想
(2) 「社員が辞めてしまわないか?」という社員の反発の懸念

実際に、これらの壁を乗り超えることができずに、管理からマネジメントの状態へと進化できていません。

(1) 営業支援ツール導入で「もうマネジメントができている!」という幻想

「我が社はもう営業マネジメントの状態になっている」と思い込んでいる企業は少なくありません。営業支援ツール(たとえば、SFAなど)を導入して営業の管理をしている=マネジメントができているという認識です。
残念ながら営業支援ツールの導入だけでは、マネジメントができているとは言えません。
営業支援ツールにデータを入力しても、それをマネージャーが毎月の売上予測にしか使っていない場合は、いまだに営業管理の状態なのです。
営業支援ツールは活用の仕方によって、マネジメントの大きな戦力になるツールです。
導入だけにとどまらず、自社に合わせてカスタマイズし、さらなる活用を進めるべきなのです。
後で説明しますが、営業支援ツールと関連する目標管理制度(MBO)についても、同じような「マネジメントができている」という幻想に陥っていることがよく見受けられます。

(2) 「社員が辞めてしまわないか?」という社員の反発の懸念

「営業が反発してできなのではないか?」「社員が辞めてしまうのではないか?」という不安から、マネジメントへの移行に取り組まないケースがあります。人は良いことであっても変化を嫌います。仕事のやり方が変わることに、反発し非協力的になる社員は少なくありません。
ですが、「マネジメントへの移行」は会社の将来のため、すなわち、社員の将来のためなのです。
「社員の未来も大切にしたいんだ!」という思いを持って、社員の将来のために社員をしっかり指導・育成することが必要なのです。

これらの壁を乗り超えることは簡単ではありません。
効果的に進めるためには、社員だけで取り組むだけではなく外部のプロフェッショナルを活用することも検討することが効果的にします。

業績低迷の企業の営業組織によくみられる事例とは?

業績が低迷している企業の営業組織、または、長いこと売上が増えていない企業の営業組織とは、どのような状態になっているのでしょうか? 実際に営業組織内で発生していた事例を通して考えましょう。

事例1 事実上放任になってしまっている、目標管理制度(MBO)

A社は数年に渡り営業利益がマイナスの状態でした。
このA社の営業部門では、営業課長が毎週営業を集めた会議を行い、そこで営業の売上結果と今後の活動予定を確認していました。
営業課長は、売上目標に届いていない営業に対して、「売上目標に達成していないが、今後どうするんだ?」と指導をしていました。
それに対して、営業は、「来週の訪問件数を1.5倍に増やす!」と約束しました。
これは「営業のマネジメント」ができている状態でしょうか?

この会社は、人事制度として目標管理制度(MBO)を行なっている会社でした。
目標管理制度では、営業は自分の仕事ぶりを自分で評価し、対策を考えます。
個々の営業の売上目標は会社の1年間の経営目標に従って決まりますが、自身の売上目標を達成するための副次的な活動目標や計画は、自分で考え上司と合意をします。

営業は、自分の目標達成のために自主管理して取り組みますが、上述したように「売上目標に達成していないが、今後どうするんだ?」「来週の訪問件数を1.5倍に増やす!」という状態は、「営業のマネジメント」ができている状況とは言えません。
確かに数値の達成度には着目し、売上や訪問件数を確認しています。
ですが、本当に目標を達成するための原因追求、問題解決、改善はしていません。
「営業を管理」しているつもりかもしれませんが、実態は「あとは自分で考えてやっておけ!」という「放任」的な状態となってしまっています。

目標管理を導入している多くの企業では、このような問題がよく発生しています。
自分を自分で管理することを推奨する理想的な状況とは程遠く、数値を確認するだけで、実際は「営業任せの放任状態」となってしまっています。
これでは「業績を高める」「組織営業力を強化する」とはほど遠いのです。

事例2 毎年達成できない数値目標とスローガン

B社は、長い間売上が停滞し、売上の増加ができていない状態でした。
B社の営業部門トップの年度方針には、下記のようなことが書かれていました。

【数値目標】
・売上目標: 40億円
・訪問件数: 月200件
・新規開拓: 100件

【スローガン】
・目標絶対達成
・どんなものでも売れる営業力を身につける
・お客様の問題を解決し、お客様とともに感動する

これは、ある年の年度目標なのですが、売上が停滞しているために、この2~3年の【数値目標】も一緒でした。
前の年度とは違う結果を達成するためには、今までと違うことを行う必要があります。
そのため【スローガン】の内容だけは毎年変わっていました。

B社の営業組織も「営業のマネジメント」ができていませんでした。
営業全員に行動数値目標を設定し、毎月その行動数値目標の達成度を確認し、目標を達成していない営業には
「訪問件数が少ないから増やせ!」
「新規開拓が少ないから売上予算を達成できないんだ!」
という指導が行われていました。
(マネジメントの状態のマネージャーたちは、そのような掛け声の指導ではなく、まず「訪問件数 月200件を達成できない原因と対策」「新規開拓100件を達成できない原因と対策」に取り組んでいるのです)

また、営業マネージャーが日頃行っている指導には、
「新規のお客様への訪問を増やせ!」
「既存のお客様へのコンタクトを蜜にしろ!」
という、一見すると矛盾していると感じる指示も行われていたのです。
(どっちを優先するかわからない、どっちづかずのために最終的には新規も既存も目標達成できない指導でした)

営業管理と営業マネジメント、それぞれの定義とは?

以上で紹介したとおり、多くの企業の営業組織は、「営業のマネジメント」ではなく「営業の管理」が行われていました、
「営業マネジメント」と「営業管理」は似ていますが、私たちはこの2つには決定的な違いがあると考えています。

営業管理とは

数値目標が与えられ(もしくは、勘に基づいて数値目標を設定し)、その数値の達成度を定期的に確認する。
そして、達成していない営業には、「達成しろ!」「もっと考えて達成できるように取り組め!」と要求する。

営業管理では、達成するための取り組みは、「営業が自分で考える」「営業任せ」すなわち「放任」です。
都度発生する問題への対処が行われているだけであり、本来「マネジメント」に関わる領域を営業任せにしています。「管理」というより「放任」もしくは「責任転嫁」となっているのです。

営業マネジメントとは

営業という業務のモデルを設計・デザインし、適切な目標を設定する。
目標が達成できない営業がいたら、目標を達成できるように会社の仕組みとして支援する。
成果を最大化するために最適な営業の仕組み・プロセスなどの仕事のやり方を明確にし、必要に応じて見直す(改善)。
そして、それに沿った管理項目を決定し(時折見直し改善し)、達成できていない営業がいる場合には、コーチングや育成を通して達成できるような指導や最適な配置転換を行なう。

営業管理と営業マネジメントは下記のように表すことができます。
営業管理とは営業マネジメントのほんの一部分です。


「営業管理→営業マネジメント」の移行ステップ

営業組織を強化し成果を最大化するためには、「営業管理→営業マネジメント」の移行が必要です。それには下記のステップで取り組みます。

Step1: 業務モデルの設計(営業の仕組みやプロセスが見える化できているか?)
Step2: 管理すべき項目と数値目標設定(管理すべき項目と数値が間違っていないか?)
Step3: 育成支援(営業を育成する体制が整っているか?)
Step4: 達成度が悪い場合の対策(発生する課題は? その対処は?)

Step1: 業務モデルの設計

営業の業務モデルは、最低でも下記の3つで成り立っています。

(1) 営業プロセス(社外のお客様への提案など)
(2) 社内業務プロセス(営業活動に生じる、社内の書類作成や会計処理など)
(3) 目標設定と評価プロセス(PDCA)

この3つを総合的に組み立て、「見える化」することが業務モデル設計のゴールです。その結果、営業活動に下記のメリットが生まれます。

・誰にでもできるようにする
・早く育成する
・言葉だけによる誤解や理解不足をなくす
・適切に業務が行われているか、正しく確認する
・合理的に効果の高い改善に取り組めるようにする

ではそれぞれの項目でどのようなことを作り上げていくのか、ひとつずつ見ていきましょう。


(1) 営業プロセス

営業活動は、お客様にコンタクトすることから始まり、お客様の要望を伺い、自社商品のよさや他社製品に対する優位性を説明し、ご注文を頂く一連の商談の流れです。これを営業プロセス(もしくは、商談プロセス)と呼びます。

[弊社が提案している営業プロセスの基本形(クライアント様の戦略目標・お客様・商材に合わせ、更なるカスタマイズをします)]

営業プロセスを見える化(図示)し、どの領域にどれだけの保有商談件数や金額があるかを常に測れるようにしておくと、進捗度合いに合わせて商談状況を俯瞰的に見ることができるようになります。
勘や経験に頼らず、科学的・論理的・計画的に営業に取り組むことを可能にする営業プロセスは、管理→マネジメントへの変革において大変重要な存在です。
[営業プロセスにつきましては、”営業プロセス最適化の教科書 ~ 営業組織のパフォーマンス(業績)を最大化するもっとも強力な施策!”を参照ください]


営業活動の進むべき方向を示し続けるのが営業プロセスです。これにより営業マネージャーは、

・新規の案件数を増やさなければならないのか?
・案件を具体的にすることに対策を取らなければならないのか?
・競合にさらに勝てるような対策を取らなければならないのか?

などの対策が検討できるようになります。


(2) 社内業務プロセス

社外の営業活動に平行して、社内では下記のような業務が生じています。

・承認印をもらう
・社内指示書を発行する
・納品とともに納品書と請求書を送る
・レポート(報告書)作成
・経費の精算

利益がでない企業では、この社内業務プロセスに営業の多くの時間が使われています。
そうならないように、社内業務プロセスを見える化(図示)し、どの業務にどれだけ時間と工数が取られているかを測れるようにします。
営業マネージャーはあまりにも手間や工数がかかっている社内業務を発見し改善を図り、これによって営業がより新規顧客開拓や新規商談発見のための時間を使えるようにします。


例えば、営業マネージャーが営業へ「今よりも1.5倍お客様に訪問しろ!」という指示を出すのであれば、営業がそのための時間を取れるように社内の業務を少なくする必要があるのです。

(3) 目標設定と評価プロセス(PDCA)

目標設定と評価プロセスとは、年間・四半期・月間・週間の目標設定と評価についてのプロセスで、一般的に「PDCA」と呼ばれているものです。定期的に目標の達成度を見直し、達成度が悪いものに対して対策を検討します。状況によっては目標の数値自体を見直す必要もあります。
この目標設定と評価プロセス (PDCA) も見える化(図示)し、営業組織が戦略的・合理的に業務の運営や課題の対処ができるようにしておく必要があります。

【年間の目標設定と評価】
年間目標には最低限下記のようなことが盛り込まれていることが必要です。

・前年度の設定した目標の達成度と、その理由や原因の考察 (“Review”もしくは“反省”と呼ばれるものです)
・今年の売上目標や利益目標
・戦略的重点顧客や重点商品
・重要なお客様別の売上目標と活動目標(訪問件数など)
・重要な商材別の売上目標と活動目標(提案件数など)

上記に対して、付帯的に「重点施策」および「その達成基準」などを設定し、営業部門のキックオフミーティングの中で営業に周知します。

【四半期および月間の目標設定と評価】
ここで必要なのは、年間目標の進捗度の確認と今後の対策です。進捗度や達成度が芳しくないものは対策を検討します。

例えば、「戦略的重点顧客への訪問件数は増えているのに新規案件が増えていない」のであれば、「訪問件数をもっと増やせ!」という営業の管理的な指示をするだけではなく、その前に「原因の特定と改善」に取り組むことが必要です。
また、営業の毎月の目標設定で大切なことは、「今後3ヶ月間での売上見込(およびその商談状況)」です。これをしっかり管理している企業としていない企業では、売上目標達成度が違います。

【毎週の目標設定と評価】
「どのお客様に訪問するのか?」「どの商材を提案していくのか?」について、週単位で達成度を測り、次週の行動を計画します。


【マネジメントは、営業マネージャーだけの仕事ではない!?】
年間・四半期・月間の目標設定と評価に基づき、営業マネージャーだけでなく、営業マンにも自らの仕事ぶりをマネジメントさせることが大切です。
営業の時から自身をマネジメントすることで、マネージャーになった時に「管理」ではなく「マネジメント」ができるようになる基礎を築いておくことができます。
そのためには3つのプロセスを見える化し、だれでも取り組めるようにしておくことが重要なのです。

Step2: 管理すべき項目と数値目標設定

「Step1: 業務モデルの設計」を行った後は、目標達成に向けて管理すべき項目と数値目標の設定です。
営業組織として検討すべき管理項目は下記です。
(1) 目標管理
(2) 行動・訪問管理
(3) 案件・商談管理
(4) 顧客とのリレーション管理

営業をマネジメントするためには、上記の分類に基づき項目と目標を決め、定期的に達成度を確認することが大切です。
そして、達成度を確認するだけではなく、達成できるように改善するマネジメントが求められています。

(1) 目標管理

売上や利益などの財務指標に係る営業目標の金額を設定し、その達成度を管理します。
売上の目標は通常「会社→営業部→個人」または「年→四半期→月」へとブレイクダウン(細分化)して設定され、それぞれの売上目標に対しての達成度を管理します。

目標設定をするときのポイントは、あまりにも高すぎる数値目標、または、逆に簡単に達成できる数値目標は避け、「頑張らないと達成できない目標(ストレッチゴール)」を設定します。
あまりにも高すぎる数値目標だと、営業は最初から目標達成を諦めてしまいます。
逆に簡単すぎる数値目標ですと企業が成長することができません。

ストレッチゴールは、今までの営業のやり方では達成できないところがポイントです。
少しでも受注単価を増やす商談の進め方など、目標達成のために営業マンが新しいことを学ぶ必要がでてきます。
ここで営業マネージャーは、営業マンの学びを支援することが重要です。それが営業マンを成長させます。

ストレッチゴールがきまったら、現状とそのストレッチゴールの差 (GAP) を認識し、そのGAPを埋めるための計画 (PDCAのP) を立てます。そして、実行し (PDCAのD)、その実行結果を確認し (PDCAのC)、さらなる改善策を立てます (PDCAのA)。
前述した「営業の業務モデルの設計 / (3) 目標設定と評価(PDCA)プロセス」に従って、定期的に達成度を確認して、対策を取ります。

(2) 行動・訪問管理

営業ごとの「毎月→毎週→毎日」の訪問件数・訪問先・訪問内容を管理します。
「お客様への訪問量が十分あるかどうか?」だけではなく「戦略的重点顧客や重点商品に対して計画してしっかり取り組んでいるかどうか?」も定期的に確認します。

数値目標としては、毎月(もしくは毎週)の訪問件数やお客様との面会時間、または、戦略的重点顧客や重点商品に関する訪問件数や時間を目標とし、定期的にその達成度を確認します。

【管理項目の応用例】
・商談の紹介活動に要した訪問件数や訪問時間
・商談を具体化するために要した訪問件数や訪問時間
・競合との差別化に要した訪問件数や訪問時間
・納品やサポートなどに要した訪問件数や訪問時間

上記のような項目を収集することで、前述した「業務モデルの設計 / (1) 営業プロセス」に必要な営業スキルの強化対策や「業務モデルの設計 / (1) 社内業務プロセス」の見直しや改善を判断する基礎データとすることができます。
このような分析は、SFA (Sales Force Automation) という営業支援ツールを使うと簡単に分析できます。ただしこうした営業支援ツールは、導入する前に「営業の業務モデルの設計」をしっかり行っていないと効果的に活用することはできないので注意が必要です。

営業の成績と行動・訪問の量は確実に比例関係があり、営業の行動・訪問のマネジメントは大切です。
ですが「月200件訪問しろ!」という一律のマネジメントや大量の訪問を促しても売上を増やせていない企業も多いです。
企業によって(商材やお客様によって)適切な行動・訪問量は違います。それを見出すことが重要です。

(3) 案件・商談管理

商談の量と金額、それぞれの受注予定日を管理します。
案件・商談管理の受注予定日や売上時期を予測するためには、営業プロセスの見える化(図示)ができている必要があります。
(上述した「業務モデルの設計 / (2) 営業プロセス」に相当します)

数値目標としては、
・お客様から問合せがあった、もしくは、営業から紹介しようとしている商談件数・金額
・具体化に取り組んでいる商談件数・金額
・競合との差別化に取り組んでいる商談件数・金額
・今後3ヶ月間の受注予定件数・金額

などを設定し、その達成度を確認します。
達成度に問題がある場合には、営業のスキルの強化などの対策を実施します。

金額が非常に大きい商談や重点顧客や重点商品に関わる商談に関しては、
・商談を受注へと進めるためにどんな取り組みが必要か?

という営業が確実に受注できるようにするための支援、すなわち、営業のマネジメントが重要となります。

(4) 顧客とのリレーション管理

お客様の売上金額と訪問件数を管理します。
ここでは事前に下記2つの観点を十分検討しましょう。
1. 売上実績Top10など、取引の大きいお客様
→ 更に貢献して取引額を増やす
2. さらに大きな取引が見込めるが、競合との取引額が大きく、当社とは少ないお客様
→ 競合との取引額を奪っていく

このほかにも「今年は取締役クラスの人と定期的に面会できる関係を構築する」などの戦略的な関係性構築を目標とすることも大切です。
重要なお客様と大きな取引関係を構築していくためには、より上層部のお客様と面会できる関係を築くことはとても大切なことです。

数値目標の設定で、思わぬ「副作用」がでてしまうことも!

ご説明した営業が設定すべき4つの管理項目と、それぞれの数値目標の設定には細心の注意が必要です。
ある企業の営業マネージャーは、今後の売上拡大のために、「新規商談の発見件数を2倍にする!」という数値目標を立てました。
この数値目標を立てた理由は「営業の活動量が今のままでは売上を拡大できない。昨年も訪問件数目標を達成できなかったですし、このくらいの目標にしないと売上目標を達成できないと思います。」という理由でした。
ですが、売上目標は前期と比べて2倍ではなく10%の増加率でした。
さて、その結果はどうなったでしょうか?

営業が頑張ったので、最終的には売上は前年度比5%増加で終わりました。
しかし、問題となったのは営業利益率が前年度比10%ほど下がってしまったのです。
(売上は増えたが、利益が減ってしまった!)

実は、「新規商談の発見件数を2倍にする!」という目標を設定した時に予想がついていました。
ある数値目標を極端に高めると、副作用があり他の数値結果が下がってしまうのです。
そのために必要なのが業務プロセスの改善や営業の育成など「営業のマネジメント」の要素です。
そのような取り組みを行うことで、副作用となってしまうかもしれない他の数値を下げることなく成果を高めることが可能となるのです。

Step3: 育成支援

次に取り組むのは「営業の育成」です。それぞれのシーンにおける育成ポイントをみていきましょう。

行動・訪問管理に関する育成

「商談の紹介活動に要した訪問件数や訪問時間」「商談を具体化するために要した訪問件数や訪問時間」「競合との差別化に要した訪問件数や訪問時間」「納品やサポートなどに要した訪問件数や訪問時間」をより短い時間で行える。

【代表的な育成項目】
・年間/月間の訪問計画の立案と振り返り
・営業が最低限必要な数値としてのマネジメント
・新規顧客のアプローチ方法
・新規商談機会の開拓スキル など

案件・商談管理に関する育成

商談の状況を正しく判断できる
商談を先にすすめるための具体的な活動計画を立案し実施できる

【代表的な育成項目】
・営業プロセスの理解と活用方法
・商品知識の学び方・活用の仕方
・商談の成約率を高める「ニーズ」を掴む
・競合対策の実施方法
・顧客視点の提案・プレゼンテーションの行い方
・値引き要求に対する対応策 など

顧客とのリレーション管理に関する育成

担当者だけでなく、取締役との面会など、より役職の高い人との商談を行なう

【代表的な育成項目】
・戦略的アカウントマネジメント
・役職の高さの違いによるニーズの理解
・エグゼクティブプレゼンテーション など

営業の育成には非常に多岐にわたり多くのことを行う必要がありますが、何から何まで、時間とお金をかけて行なうことなどできません。
勘に頼ることなく、正確に把握した事実に基づき、自社の年間目標や戦略に必要な育成に絞ることがポイントです。
そのためにも「業務モデルの設計 / (3) 目標設定と評価 (PDCA) プロセス」にて、営業の育成についてもしっかりと計画しておくことはとても大切です。

Step4: 達成度が悪い場合の対策

Step1~3で設定したそれぞれの管理項目の達成度が芳しくない場合には、2つの対処が必要となります。
(1) 個々の営業のスキルの向上
(2)「営業プロセス」「社内業務プロセス」「目標設定と評価プロセス(PDCA)」の見直し

(1) 個々の営業のスキルの向上

達成できない原因について調査を行い、営業マネージャーはティーチングやコーチングを行います。
達成度が悪い営業が複数いる場合には、集合研修を実施します。
集合研修は営業だけではなく、営業マネージャーも必ず受講させます。
理由は、営業が研修で学んだ内容を実践できているかを確認し、できるように指導するためです。
営業だけを受講させる企業が多いですが、それでは効果はありません。

(2)「営業プロセス」「社内業務プロセス」「目標設定と評価プロセス(PDCA)」の見直し

Step1で取り組んだこれらを見直した場合、Step2の「管理すべき項目と数値目標設定」も見直すことを忘れてはいけません。その上で新たな営業向けの研修やトレーニングを実施します。
業務モデルを見直す(改善)ことは、営業マネージャーが勝手に行ってはいけません。
営業部門のトップに見直すことを報告し、組織として取り組むことが大切です。
業務モデルを変更するということは、上記の通り「管理すべき項目と数値目標設定」も見直す必要があり、そのための研修やトレーニングを実施する必要があるからです。

営業管理から営業マネジメントへの変革に必要なものとは?

今回紹介した「営業管理から営業マネジメントへの変革」は、私たちが営業力強化コンサルタントとして支援下地例に基づいているものです。

変革を実現するために重要なことは、下記の2点です。
・手順をしっかり確実に行うこと
・営業マネージャー手順を実行できるようにすること

特にマネージャーへの教育は非常に重要です。
よく「営業の時に成績が良かった人がマネージャーになって成績をあげられない」と言われます。
「営業のマネジメント」では、「営業としてモノを売る」以外の様々なスキルが必要です。リーダーシップやマネジメント、目標管理制度 (MBO)、プロセスマネジメント、コーチング、モチベーション、意思決定、問題解決などです。数字で物事を見ることが出来る能力、計画を持って進める能力、人を育てる能力も必要なのです。

私たちがクライアントに提供しているコンサルティングでは、営業のプロセスや仕組みを見直すのと同時に、ここでご紹介してきたことを実際にマネージャーたちに学習してもらい、できるようになってもらうことを目指します。
営業マネジメントのスキルは、ここでご紹介した一連の手順を実際に体験するトレーニングを通じて、初めて身に付きます。机上でスキルを学んでも、実行がなくては実際のマネジメントはできません。

営業を管理しているだけでは、企業の発展はありません。
営業のマネジメントこそが、常日頃の改善を行い、企業も組織もマネージャーも営業も成長させます。
あなたの会社の営業組織が企業の成長を担う重要な機能となり、業績が大きく向上することをお祈りしております。

文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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