営業力強化・お客様事例 『モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン合同会社様』 ~ 成⻑をめざす戦略的ソリューション営業への変⾰で、売上⾒込みを270%に

世界でシリコーンビジネスを展開し75年。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社


Case_180425のサムネイル今回事例をご紹介するのは、東京赤坂に本社を置くモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社です。こちらでは米国NY州に本店をおくモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズの日本拠点として、シリコーンを中心とした特殊化学製品・素材ビジネスを展開しています。いまから75年前、ゼネラル・エレクトリック社のシリコーン開発からスタートし、東芝とのジョイントベンチャー時代を経て、2006年に現在の会社として新たなスタートを切った外資系企業です。

現在、約500名の従業員が働くこちらの会社を率いるのが櫻井社長です。櫻井社長の掛け声の下、2016年末から約1年をかけて「大手顧客への戦略的営業手法プログラム」を実施し、ソリューション営業への変革に力を注いできました。コンサルティング2年目を迎え、大きな飛躍を目の前にする今、成長戦略を実現する具体的取り組みとその効果についてお話をうかがいました。

(右上のパンフレットをクリックいただくと、PDFファイルをダウンロードできます)

成⻑をめざす戦略的ソリューション営業への変⾰で、売上⾒込みを270%に

大手顧客への戦略的営業手法プログラム(Strategic Account Action)とは?

業界No.1の大手企業や政府といった顧客との関係を強固なものにする戦略的な営業手法を学ぶプログラムです。弊社独自のプログラムに基づき、具体的な顧客を想定した分析・計画立案・アクションを通じてスキルを強化していきます。

(参照: 【法人営業研修】 戦略的アカウント営業 TSメソッド ~ 業界内で大きなシェアを獲得している大企業との取引拡大を達成!(Strategic Account Sales, TS-Method)

日本市場の存在感を示す、独自の戦略立案へ

ティ・スクエアに依頼する前、御社はどのような状況にあったのでしょうか?
櫻井さん: 弊社は日本の拠点として、日本市場にシリコーンを中心とした特殊化学製品や素材を提供していますが、弊社グループは、この分野のグローバルリーダーとして、中国やヨーロッパでも世界的な存在感を示しています。どの拠点に投資すれば大きなリターンがあるのか、どこに力を注ぐべきかをグローバルの本社は常に探っています。人材や設備への投資を引き出すためには、各拠点は本社に市場の魅力を説明しなければいけないんです。

日本のGDP成長率はいま年約1%。この数字だけをみると市場の魅力は薄いですよね。ところが日本には世界でトップクラスの自動車産業があり、日本製の自動車に使われるシリコーンは世界に広がる大きなビジネスです。日本国内の自動車販売台数は減少していても、全世界でみれば影響力はまだまだ大きいんです。

視点を変えると日本市場もまだまだ成長の余地があり、まだ弊社がつかんでいない成長チャンスもあることでしょう。それを日本の戦略としてまとめて実行していくことで、日本市場の存在感を示していこうと決意したんです。

私たちが扱うシリコーンは電気・電子機器、自動車、建築、化粧品など、世の中の様々な分野で活用されていますが、それにより弊社の営業組織は分野ごとの縦割りでした。各分野は米国本社の該当部署とつながっているので、分野の違う営業が会話をすることが少なかったんです。縦割りの組織では、日本法人全体としての大きな成長は見込めません。分野で完結するのではなく、日本法人として共通の戦略のもとに動く。各分野のビジネスユニット(以下、BU)を横串で刺し、違う分野のメンバーと一緒に考えて取り組む場を設けることで、会社全体として成長していく。それを可能にする新しい戦略を立てることにしたんです。

戦略の実行には、営業の変革と成長が必要だった

日本市場の戦略を立てて実行していく際、課題として感じていたのはどのようなことでしたか?
櫻井さん: 営業を変えなければいけないと考えました。縦割りの組織では、営業担当者は自分の分野や担当顧客のことしか考えない。新しい戦略が実行に移れば、営業たちは仕事の進め方を大きく変えざるを得ません。そのためこれまでのプロダクト営業から、顧客の課題を解決するソリューション営業として、戦略的に考え仕事を進める「できる営業」に成長させたかったんです。こうした組織の大きな変化を、内部の人間がやり遂げるのは難しい。同じ組織の人間ではなく、客観的な視点を持つ第三者がサポートするからこそ、説得力や新しい波が生まれます。

実はこれまで営業研修を何度か実施してきたのですが、あまり効果を感じられませんでした。人は自分が慣れ親しんだ心地よい環境にいたがるもので、研修が終わると営業はまたもとの仕事のやり方に戻っていました。数日の研修で「仕事の進め方」を学ぶのはなく、ベースとなる「考え方や意識」が身に着く機会を設けたい。そう考えたときに思いついたのが寺尾さんでした。外資系企業のストラテジックアカウント営業の経歴をもつ寺尾さんなら、プロセスを通して学ぶことができると考えたんです。

実際にプロセスを体験することで、戦略立案の力を身につける

数日間の研修ではなく、じっくりと時間をかけるコンサルティングを選択されましたが、実施の場で大切にされたことは?
櫻井さん: 営業を今回の戦略立案に参加させることにしました。自分たちで悩んで決めたものなら、能動的に実行できるはずと考えたからです。これまでも米国本社から戦略が落ちてくることはありましたが、営業は自分たちのミッションという意識が薄いまま、なんとなく取り組んでいたように思います。もしそれが自分たちで生み出したものであれば責任を持って遂行でき、仕事がもっと楽しくなるだろうと考えました。戦略的な思考や取り組みができるソリューション営業を育てるために、プロセスから学ぶ機会を設けるというのが今回のティ・スクエアさんへの依頼でした。

戦略アカウントはどこか、誰にどういう提案をすべきか?

2016年末から始まったティ・スクエアでのコンサルティングは、どのように進んでいったのでしょうか?
櫻井さん: まず営業アセスメントから始まりました。全BUの営業マネージャーと寺尾さんとの面会を通して、弊社営業がどれくらい顧客ニーズを理解しているのかを明確にしました。その上で定期的に集まって議論するカウンシルという組織をつくり、そこでVision2020としてモメンティブが掲げる3つのグローバル戦略を実現するために、日本法人に必要な戦略を練りました。

最初に着手したのはアカウントの整理です。これまで各BUでは営業の売上は管理していましたが、市場や顧客に優先順位をつけていませんでした。会うべき顧客ではなく、会える顧客を優先していたんです。カウンシルでは全BUの営業マネージャーが一堂に介して自ら集めたマーケットシェアや市場成長率のデータを分析し、成長のためにはどこに注力すべきかをクリアにしました。その上でどこを戦略アカウントとして選び、そこからどれくらいの購買量が見込めるのかを具体的にしていったんです。

戦略アカウントと購買額目標が決まった後は、戦術に落としていきました。戦略アカウントの過去と現在の情報を幅広く集め、様々な手法(SWOT、Segmentation & Targeting、5 force、 Boston Growth Matrixなど)で徹底的に分析しました。顧客理解を深め、顧客ですら気づいていない課題をあぶりだす訓練を重ねることで、最終的に顧客の誰にどういう提案をするのかを形にしていきました。

定期的に顧客から必要な量を聞き、それをきっちり納品する営業を重ねてきた中で「自分たちはソリューション営業をしている」と思い込んでいました。今回のプログラムを通して「自分たちが行っていたのはプロダクト営業だったんだ!」と気付かされ、本当にショッキングでした。

ばらばらだったBUが、同じ目標に向かって始動

1年間、カウンシルに参加した営業のみなさんにはどのような変化がありましたか?
櫻井さん: 最初は「違う分野だから」とコメントを控える営業マネージャーがほとんどでしたが、1年経ったいまでは他のBUの発表に意見を述べるようになりました。だんだん議論に活気が出てきたように感じています。幾人かは顧客とのコミュニケーションが変わりました。お客様の上層部とSWOTや5 forceなどの話をするようになり、関係が確実に強化しています。

現在、プログラムによるBUの成長に差が出ているので、次年度はすべてのBUが同じレベルに到達できることを目指したいですね。初年度は営業マネージャーが中心でしたが、2018年は彼らが学んだことをBU内の個人にも浸透させることを目指しています。

知識は学んだら終わりではなく、それを使ってなにかを成し遂げたり、誰かとシェアしたりして初めて活きるものです。営業マネージャーが学んだ知識は、どんどんBUのメンバーに伝え、組織全体として成長してほしいと思います。

戦略アカウントを絞り込み、売上見込みを大きく成長させる!

プログラムによる具体的な成果はいかがでしょうか。
櫻井さん: このトレーニングの結果として、いくつかの具体的なアクションをとりました。その中でも特に、全ビジネスユニットを通じてターゲットとなるアカウントを8社に絞ったことが最も大きかったと思います。2020年にはこの8社の売上が300%近くに届くと見込んでいます。弊社のビジネスは商談期間が2~3年と長いことが特徴です。昨年から始めた取り組みが実を結ぶのが、ちょうど2020年頃になるでしょう。

売上の伸びにより、日本市場への注目も高まると予想しています。期待できる市場だとなれば、人材や設備への投資も進みます。そしてそれがさらに日本市場を活気づけることにつながっていきます。

今後の展望をお聞かせください。
櫻井さん: この1年、全BUの営業マネージャーが戦略を学び、具体的な数字につながりました。来年度はこの戦略を実行し、各営業が成功を体験することでより高いレベルに到達することを目指します。とはいえ戦略は絶対ではなく、世の中に合わせて変えていくものです。日本市場のポテンシャルを引き出す戦略を、これからも追い求めていける文化を持った組織でありたいですね。

取材・文:はたけ あゆみ
撮影:藤巻 敬久
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