部下がついてくる「目標設定」に向けて、マネージャーがすべき重要な1つのチェックポイント Vol.271

先週はインプット(調査や研究)よりも今まで蓄積した知識と知恵をアウトプットすることが多い1週間でした。今、新規事業として取り組んでいる飲食店向けIT事業においてアウトプットとは「市場調査で得られたデータ(=インプット)を最大限に活用して営業活動を加速する(=アウトプット・成果)」です。
私たちに事業の柱である営業力強化・人材育成・業務最適化コンサルティング事業におけるアウトプットは、「コンサルティングや研修などの支援」の受注件数の増加です。

両方の事業に関する活動に取り組んでいて「これは問題だ!なんとかしなければ!」と感じていたことがあります。
それは、「企業のマネージャーの目標設定力が危機的な状況だ!」ということです。
目標達成のためには、目標設定がうまくできているかどうかがポイントですが、その目標設定がうまくできていないマネージャーが多かったのです。
「具体的に企業内でマネージャーたちはどのような目標設定をしていたのか?」そして「どうすれば部下がついてくる目標設定が出来るようになるのか?」について考えます。


部下がついてくる目標設定力強化方法! 部下がついてくる目標設定に向けて「原因と結果」思考でチェックすることが大切

実際にマネージャーたちが行っていた目標設定とその問題とは?

営業の仕事量が少ないから目標が達成できない?

ある企業の営業マネージャーが、来年度の営業部門方針を作成していました。
その年間方針の重点施策には下記のようなことが書かれていました。
「シェア向上を行い、売上目標を達成する」

この記述内容に違和感がありましたので、営業マネージャーに質問をしました。その時の会話の流れは下記のようなものでした。

【私】 「シェア向上を行い、売上目標を達成する」と重点施策に書かれていますが、現在何かのシェアが低いのですね。それはどの程度なのでしょうか?

【営業マネージャー】 以前と比べシェアが低くなっていると思うんですよ。でも、もっと営業が訪問件数を増やせば売れるはずなんですよ!

【私】 そうですか、では、前期の「シェア」はどのように測っていて、どのくらいの数値なんですか?

【営業マネージャー】 それはよくわかりません。でも、うちの会社のお客様たちを考えるともっと売れて良いはずなんです。


この後、この企業の営業たちと話すことがありましたので、毎年の営業部門方針について話をしました。営業たちは、下記のようなことを言っていました。

【営業】 毎年何をすればよいのかよくわからないんですよ。まあ、なにしろ毎年「訪問を増やせ!」とは言われていますけどね。


達成できない目標を立てていた!

重点施策に「シェア向上を行い、売上目標を達成する」と書いても、前期と比べてより目標達成の可能性の高い営業活動が行われることはありません。
その理由は、「ただ量を増やせ!」と言っているだけにすぎず、売上高と訪問量しか明らかな問題として認識されていないからです。
実際、この会社の次の期の結果は、訪問件数も売上も増やすことが出来ないまま終わることが容易に予想することが出来ます。新しい営業を採用できれば売上は増えるかもしれませんが、人数が変わらなければ営業は既に相当な訪問件数を行っており、これ以上訪問件数も売上も増やすことは難しいです。


この企業だけではなく、他のクライアント企業の営業マネージャーの目標設定能力も悩ましい状況でした。
あるクライアントの営業部方針は、5年間ずっと「新規事業開拓」でした。記載されている表現は毎年若干変わっていましたが。


なぜこのような営業部門方針を作ってしまうのでしょうか?


なぜ、マネージャーは合理的な目標設定ができないのか?

基本的な年間方針の構造とは?

まず、年間方針の基本的な構造について確認していきましょう。


この図のように、年間方針は下記のような手順で作成します。
  • 1. 上位方針
  • 2. 状況と背景
  • 3. 年間の目標(営業の場合には売上目標や粗利目標)
  • 4. 重点施策

  • このように、「重点施策」とは「年間の目標」を達成するために取り組むべきことです。
    そのため、基本的には戦略や重要な活動テーマに基づくものを記入する必要があります。


    「原因と結果」思考で問題を確認してみよう!

    先ほどの営業マネージャーが作成していた営業部門方針の年間の目標は、「売上50億円の達成」でした。
    そして、その「売上50億円達成」への重点施策として「シェア向上して売上目標を達成する」と記載していました。
    これらを「原因と結果」思考で考えてみます。
    「売上目標50億円」とは、「原因と結果」のどちらかかと言うと結果です。基本的に数値とは「測定結果」という意味合いのため「結果」になります。
    すなわち、何かしらの原因の対策もしくは新たな取り組みを行なうことによって実現すべき結果です。
    そして、「シェア向上」も「原因と結果」思考で考えると、シェアとは占有率のことで数字のために「結果」です。

    「シェア向上」も「売上目標達成」も、両方とも結果について言っています。
    すなわち両方とも結果のことを言っているだけで、何かしらの原因の対策もしくは新たな取り組みのことではないために、重点施策にはなりません。
    重点施策には「原因の対策(取り組み)」もしくは「新たな取組」を明確に記載する必要があるのです。


    このような営業部門方針を作ってしまう根本的な問題は、上述したような「原因と結果」思考が発揮できていないことです。
    合理的な目標設定のために、そして、目標を確実に実現するために、まずその基礎となるマネージャーの”原因と結果”思考を強化する必要があります。


    「原因と結果」思考が弱いマネージャーの傾向

    他のクライアント企業でも数値結果ばかり着目しているマネージャーが多かったです。
    これらのマネージャーは、原因を明確に特定できないために、原因の殆どを「メンバーの意識や意欲の問題」としてしまっていました。
    数値目標だけを掲げて、マネージャーが指示する施策は、
  • 「お前ならできるよ!」という営業への意識や意欲の鼓舞
  • 「なんでできないんだ! 責任を果たせよ!」という営業への叱咤 (恫喝?)
  • という意欲や意識に基づくことが中心となっていました。

    前述した営業マネージャーも「営業の行動量が原因」と考えていました。ですが、もうこれ以上行動量を増やすことはできないような状況でした。
    そのために、他の原因を発見し、それを重点施策として取り組む必要がありました。
    このマネージャーのような事例は、ほかのクライアント企業でもよく目にします。特に「ブラック企業」と言われる会社のマネージャーがよく行っています。
    「毎月の売上を増やせ!」とか「訪問件数2倍!」など、数値目標を設定して、それが達成できているかどうかの管理だけをするマネジメント方法です。

    そして、「やれよ!」と言うだけでよいのならば、誰にでもできます。
    そして、そのようなマネージャーからは、「自ら考え行動する」社員は育ちません。


    マネージャーたちのマネージャー能力が問題

    以上のように、マネージャーたちの「マネージャーとしての能力」が不足しています。
    前述したマネージャーたちが「手を抜いていた」「いい加減に仕事をしていた」わけではありませんでした。
    しっかりした「マネージャーの能力」にかかわる教育が行われないまま、マネージャーになってしまっていました。
    頑張っている人たちですから、マネージャーとしてより合理的に力を発揮して活躍してほしいと思っています。

    営業が営業の方法を学ぶように、開発の人が開発方法を学ぶように、マネージャーにはマネージャーの方法をしっかり学習する機会を提供することが必要です。


    マネージャーたちの目標設定力を鍛えるために!

    重点施策はこの様に書くと効果的!

    では、年度方針の「重点施策」にはどのようなことを記載すればよいのでしょうか?
    「売上50億円達成」という目標に対して、効果的な重点施策は
  • 主要顧客への営業活動比率の増加 (もしくは、新規顧客への営業活動比率の増加)
  • 販売単価を改善
  • 競合との勝率の強化
  • 値引き額の削減
  • などが、より効果的な重点施策の例となります。
    実際に「売上50億円」という結果に向けて、「原因の対策」となっているからです。


    「原因と結果」思考を強化する

    結果を出すマネージャーは、「結果」だけに着目したマネジメントをするのではなく、「原因」に着目したマネジメントを行います。本当に対策すべき原因はそこにあるはずです。
    だからこそ、結果を出すマネージャーは、「自ら考え行動する」社員を育成することができます。
    (ちなみに数値すなわち結果に着目することはとても大切です。問題は、数値だけ着目していることです)。


    結果には必ず原因があります。結果にも原因にも、その両方に着目することが重要です。
    原因にも着目するから、下記のような取り組みができるようになります。
  • 相手とのコミュニケーションを促進しようとします。
  • いろんな事実を把握しようとします。
  • 相手に、厳しい質問を投げかけ、回答を求めます。
  • 相手に、考えさせます。
  • 相手に、違う行動を要求します。
  • 課題解決の原則的なアプローチに相手を巻き込みながら取り組みます。
  • 起こっていることを構造的に考え、体系化しようとします。

  • まずは、マネジメント能力を高める取り組みを始めよう

    いろんな企業のマネージャーとお付き合いしてきましたが、”原因と結果”思考で目標設定を確認できている。マネージャーは少ないです。

    企業が次のステージへと発展していくためには、マネージャー能力を高めることは必須条件です。
    まずは、あなたの会社でマネージャー能力の強化に取り組んでください。
    取り組んでみても、なかなか上手く行かない場合には、是非ご連絡ください。
    私たちがその原因を明らかにし、効果的にマネジメント能力を強化するプログラムをご提案いたします。


    さて、今週も成し遂げたい目標を1日でも早く実現するための一週間にしていきましょうね!


    (本コラムは、2016年3月14日に書かれたものを再編集しました)
    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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