「ソリューション営業」導入/実践の教科書 ~ ソリューションセールスで、営業組織の業績を向上させる「5つの手順とその実践方法」

時代の変化とともに、営業パーソンにはますます高度な営業スキル(営業能力)が求められるようになりました。その高度な営業スキルの1つが「ソリューション営業(ソリューションセールス)スキル」です。

「ソリューション営業」は、営業パーソン一人あたりの売上額を最大化するための営業モデル/営業手法です。このソリューション営業はパフォーマンス向上のためには重要な営業手法なのですが、効果的に実践できている営業組織は多くありません。

このノートでは、営業組織の業績向上(パフォーマンス向上)を目指し、組織としてソリューション営業を導入し、パフォーマンスを向上させる実践方法について解説します。また、最後に「ソリューション営業」のさらなる進化系である「インサイトセールス」についても解説します。

ソリューションセールスで、営業組織の業績を向上させる「5つの手順とその実践方法」

ソリューション営業は終わっていない!

私たちは、長きにわたり「ソリューション営業」に関する研究と実践を繰り返してきました。ソリューション営業は、企業がさらなる成長を遂げるために必要とされる営業モデル/営業手法です。ビジネス雑誌に「ソリューション営業は終わった!」という記事もありますが、私たちのこれまでの経験から「今でも重要な営業モデル/営業手法の1つである!」と確信しています。

私たちと一緒に「ソリューション営業」を導入したクライアント企業が、実際に二桁以上のパフォーマンス向上(業績向上)を達成しているからです。

御用聞き営業(ルートセールス)・プロダクト営業・ソリューション営業の違いとは?

営業手法には、ソリューション営業以外にも様々な営業手法があります。まず、それぞれの営業手法とソリューション営業との違いを確認しましょう。

御用聞き営業(ルートセールス)とは?

御用聞き営業(ルートセールス)とは、定期的にお客様を訪問して「何か必要なものはありませんか?」と確認し、あればそれを販売する営業モデルです。御用聞き営業(ルートセールス)は、主に事務用品や部品などを扱っている販売代理店や地域商社が行っている営業方法です。公表されている統計的なデータはありませんが、私たちの今までの営業力強化コンサルティングの経験上、この御用聞き営業(ルートセールス)を行っている企業が最も多いです。これらの企業の商談は、低価格/短納期/小ロットの商談が多くなる傾向があります。

図の購買プロセスにおいて、御用聞き営業の商談は「ベンダー選定 ~ 納入・検収」の領域で行われます。御用聞き営業の成功のポイントは、「普段はどこから購入しているのか?」「今回はどこから購入しようとしているのか?」を知り、そのライバル会社となる購入先よりも「早い/安い/楽」などをアピールすることです。

最近はインターネットによる販売が急拡大しているため、「何か必要なものがありませんか?」という御用聞き営業だけでは営業組織の売上目標達成が厳しくなっています。売上がインターネットに奪われているからです。企業が持続的に成長していくためには、違う営業モデルに挑戦することが必要です。

プロダクト営業(プロダクトセールス)とは?

プロダクト営業とは、お客様に新しい技術/機能/仕様(スペック)などの特徴をもつ新製品を提案する営業モデルです。プロダクト営業は、主にコンピューター/パッケージソフトウェア/クラウドサービス/ロボット/機械/部品材料/保険/教育サービスなど、新しい商品やサービスを開発している製造業などが行っています。製造業の多い日本では、一定数の企業がこのプロダクト営業を行っています。プロダクト営業は、新製品が出るとお客様への営業活動が活発になるのですが、新製品がなくなると急にお客様への営業活動が停滞してしまう問題があり、その効率の悪さに経営者や営業部門トップは悩んでいます。

プロダクト営業の商談は、購買プロセスにおいて「予算 ~ 納入・検収」の領域で行われます。御用聞き営業よりも専門的な技術知識、かつ、幅広い商談情報の取り扱う必要があり、より高度で広範囲なスキルが求められます。プロダクト営業の成功のポイントは、「お客様が現在保有している設備や材料はなにか?」「今後必要になる設備や材料はなにか?」を知り、「この新製品はどのように優れているのか?」をわかりやすく紹介することです。

近年のデジタル技術の発展により、開発技術や生産技術が以前と比べて大幅に進歩しました。多くの企業がその進歩のメリットを享受できるために、製造業が開発したプロダクト(製品)は、ライバル会社(競合)と比べ、機能や性能に差がなくなりつつあります。どこの企業でも、似たようなプロダクト(製品)を開発できるようになってしまったのです。圧倒的優位性を保ち続けることが困難になり、「どのように優れているのか?」という提案だけではライバル会社(競合)との価格競争に陥ってしまいます。企業が持続的に成長していくためには、以上のような問題を解決できる、このプロダクト営業を進化させた営業モデルに挑戦することが必要となります。

ソリューション営業(ソリューションセールス)とは?

ソリューション営業とは、お客様の課題を伺い、その解決策(ソリューション)を提案する営業モデルです。ソリューション営業は、主にIT/システム開発/コンサルティング/金融サービスなどの企業が行っています。

ソリューション営業は、購買プロセスにおいて「課題 ~ 効果測定」の範囲で商談を行います。プロダクト営業よりもさらに広い情報を取り扱う必要があるために、営業パーソンにはますます広範囲なスキルや知識が求められます。また、お客様の課題を解決しようとすると、自社が扱っているプロダクト(製品)だけでは十分な提案ができないことが多くなります。他社が販売している製品と組み合わせた複合的なソリューションを提案できる能力も必要となります。ソリューション営業の成功のポイントは、課題発見(課題を中心としたコミュニケーション)と複数のプロダクトやサービスで構成した「お客様へ価値をもたらす複合的ソリューション」を提案できることです。

ソリューション営業を組織として導入する方法とは?

ソリューション営業は、企業の成長を見据えたプロジェクトとして導入する!

御用聞き営業やプロダクト営業の状態では目標達成や事業の成長が厳しくなっている企業にとって、ソリューション営業は、営業担当者一人あたりの売上を最大化するだけではなく、企業が成長するための強力な解決策でもあります。

ところが、IT/システム開発/コンサルティング/金融サービスなどの企業でも、業務の中でソリューション営業をうまく活用できてなく、結局は「お客様の言いなりで商談を進めている状態」から脱出できていません。「お客様の言いなりで商談を進めている状態」では、営業組織としてのパフォーマンスを向上できません。「お客様の言いなりにならない」もしくは「お客様の言いなりから脱出する」ためには、数日間のソリューション営業研修を実施するだけでは不十分です。計画的な「営業力強化プロジェクト」として挑戦することが重要です。

組織としてソリューション営業を導入するには、下記の5つの手順で実施します。

◆ ポイント1. 目的と基本的なスタンスの学習
◆ ポイント2. 要望と課題の違いの学習
◆ ポイント3. 商品のBenefit(利益)の学習
◆ ポイント4. ソリューション営業プロセスの学習
◆ ポイント5. 継続的な応用力の強化

ポイント1. 目的と基本的なスタンスの学習

ソリューション営業を組織として実施していく際に、最初に必要となることは、営業パーソンたちがソリューション営業の目的「なぜ、ソリューション営業を行う必要があるのか?」を正しく理解することです。

営業組織がソリューション営業に挑戦する目的は「企業のさらなる成長」です。その目的を達成するためには、営業パーソンたちが、常に、下記の「ソリューション営業の目的と基本的スタンス」を認識した上で営業活動を行うことが大切です。

◆ お客様の成功と成長に貢献することで私たちも成長する
◆ お客様に貢献するために、お客様の課題を理解/共感し、価値あるソリューションを提供していく

まず、上の2つの意味合いを営業パーソンの意識に植え付けることが大切です。この意識付けには、外部のコンサルタントを活用すると効果的です。実際にソリューション営業を実践し、成功を収めた経験のある人の信念や経験談を聞き、さらに討議や対話を通してソリューション営業の目的とその効果を自らより深く納得する意識改革を行います。このようなことが、営業パーソンたちのその後の意識と行動に大きな影響を与えることができます。

ポイント2. 要望と課題の違いの学習

営業の組織内では「ニーズを理解する」という言葉がよく使われています。よく使われる言葉ではあるのですが、「ニーズ」という言葉の意味合いは、人によって違っていることが多いです。

ソリューション営業とそれ以外の営業手法では、商談において取り扱うべき「ニーズ」が異なります。「ソリューション営業が扱うべきニーズ」について学習する必要があります。

ニーズには、大きく分けると「要望」と「課題」の2つに分けることができます。

お客様の「要望」
「どのような機能が必要か?」「いつから必要か?」「予算はいくらか?」

お客様の仕事や立場における「課題」
「お客様が直面している問題は何か?」「どのようなことに挑戦しているのか?」

御用聞き営業やプロダクト営業は、「お客様の要望」に応えることが求められます。ですが、ソリューション営業が注目すべきは「課題」です。ソリューション営業を行うには、この「要望と課題の違い」を理解し、「的確に課題をつかむコミュニケーション方法」を学習することが必要です。

この「課題」は、お客様の役職や仕事内容によって変わります。経営者/取締役/事業部長/部長/課長/現場の担当者などの職務レベルの違いによって責任の範囲は異なり、その課題は変わります。また、開発/生産/マーケティング/サポートなど、担当する仕事によっても課題は異なります。お客様の立場と仕事内容から生じる「お客様独自の課題」を理解し、その課題を活用した商談ができるようになることが求められます。

ポイント3. 商品のBenefit(利益)の学習

どのような営業パーソンでも、販売する製品について詳しく知り、それをお客様に適切に説明できることは必須条件です。多くの営業パーソンがその販売する製品について学習しておくべき知識は、「機能や仕様や使い方(英語では、Featureという)」や「他社との違い(Advantage)」です。

ですが、ソリューション営業を効果的に行うためには、以上の2つだけではなく、その商品のBenefit(利益)についても提案できる必要があります。Benefitとは、「私たちが提案するソリューションによって、お客様にはどのようなメリットがあるのか、効果があるのか?」の答えとなるものです。実は、このBenefit(利益)を提案できる営業パーソンは少ないのです。

(商品の勉強方法については、FABを学んで「お客様への提案力」を強化しよう! ~ 「営業の提案スキルの基本FAB(Feature, Advantage, Benefit)」をわかりやすく解説!をご参考ください)

ポイント4. ソリューション営業プロセスの学習

ソリューション営業を行うためには、お客様の購買プロセスを把握しておくことが必須条件となります。

なぜならば、お客様が購買プロセスを先へと進めないと発注することができないからです。ソリューション営業は、お客様が購買プロセスを先へと進めてくれるのをただ待っているだけではなく、お客様が購買プロセスを先へ先へと進めるように支援できなければなりません。「営業とは売ることが仕事!」とよく言われますが、ソリューション営業は「営業とは、お客様の購買プロセスを発注に向けて先に進めさせることが仕事!」です。

また、組織としてソリューション営業を実践するためには、「ソリューション営業に合致した販売プロセス」を再定義し、その販売プロセスに合致した商談進捗管理を行う必要があります。ソリューション営業に合致した商談進捗管理を行うことで、営業パーソンたちが日常的に「ソリューション営業」を意識するようになります。また、この商談進捗管理を行うことは、営業パーソンたちの売上予測の精度を向上する効果もあります。ソリューション営業に合致した商談進捗プロセスを再定義したら、まずは、以上のことを、お客様との商談で遂行できるようにするために、営業マネージャーや営業パーソンたちへ教育を行います。

(営業プロセスについては、結果を出す営業組織の「営業プロセス管理の教科書」 ~ 営業組織のパフォーマンス(業績)を最大化する強力な方法が、営業プロセスでマネジメントすること!をご参考ください)

ポイント5. 継続的な応用力の強化

ソリューション営業を組織として効果的に実践するために必要となる5つのポイントのうちの4つを説明しました。「ソリューション営業研修を実施しても、すぐに以前と同じ営業方法に戻ってしまった」ということや、「お客様の言いなりの状態から脱することができない」という企業も多いです。

その原因は、ソリューション営業を行うためには、知識の習得だけでは不十分で、その知識を活用した「応用力」が必要だからです。

御用聞き営業やプロダクト営業の営業力強化方法の1つに「トークスクリプト」というものがあります。優秀な営業パーソンが行っている商品説明を文章にまとめ、他の営業パーソンはそのとおりお客様に話すのです。それによって、優秀な営業パーソンと同じような商品紹介ができるようになります。このやり方は、御用聞き営業やプロダクト営業には効果があります。ですが、ソリューション営業では「トークスクリプト」はあまり役立ちません。お客様によって、課題/要望/提案する商品/提案方法/商談の進め方が違うのです。すなわち、営業パーソンには「状況に応じた応用力」が求められます。

応用力を十分に発揮できるようになるまで、継続的にスキルを強化し続けることが必要です。ソリューション営業の目的や基本的スタンス、要望と課題(特に、課題に関わる情報収集力の強化)、商品のBenefit(利益を提案できる方法)、ソリューション営業プロセス、これらを継続的に学習し、理解度・活用度を常に高め続けることが必須です。特に難しいことは、ソリューション営業の基本的スタンスで説明した「相手の成功と成長に貢献する」意識を常に持ち続けることです。定期的に目的や基本スタンスについて討議や意見交換を行い、ソリューション営業を組織風土として定着させることが大切です。

毎月行われる営業会議で継続的に学習することは当たり前として、会社として、営業パーソンのレベルを常に高い状態で維持し続けるための「継続的な学習」を行うことが成功の必須条件となります。ですので、先ほども解説した通り、計画的な「営業力強化プロジェクト」として実施することが重要なのです。

業種別ソリューション営業の効果を最大化させるための秘訣

ソリューション営業を組織として導入していくポイントを解説しましたが、業界や商材によって注意すべきポイントが違います。いくつかの業界の営業組織を例に、その違いを確認しましょう。

IT企業のソリューション営業

システム開発などのIT企業の営業パーソンは、お客様とのお付き合いが長い傾向があります。そのため、営業パーソンたちは「自分はお客様のことを理解できている」と思い込んでいます。ですが、実は、お客様の要望は理解していても、「課題」を把握できていない事が多いです。

私たちのクライアントのIT企業でも、多くの営業パーソンたちは、お客様の担当期間が長く「お客様のことはよくわかっている」と考えていました。そこで「お客様のニーズを書き出す」というワークを実施した所、もっとも多かった記載内容は「安く買いたい」「良いものを買いたい」「クイックレスポンスをしてほしい」「サポートを良くしてほしい」といった要望に関わることばかりでした。これではソリューション営業を行なうために必須となるニーズを理解できているとはいえません。

このように「できている」と思い込んでいる営業パーソンに、「要望と課題は違う」「お客様の理解が十分ではない」と頭ごなしに説明しても、反発されるだけで効果はありません。このようなIT企業でソリューション営業の導入がうまくいかない原因は、こうした思い込みと誤認識を打破できていないからです。「自分はできていない」「こういうことが必要なのか」と営業パーソン自らが認識するための事前の営業力アセスメントが必要です。

製造業のソリューション営業

一般的なソリューション営業研修は、「お客様の課題を解決することが大切だ。その課題を解決するためにはライバル会社の商品でも提案することが求められる!」と説明しています。ですが、メーカーなど製造業の営業パーソンは自社の製品を売るために存在しています。他社の商品を売っても利益になりません。このことが、製造業でソリューション営業が定着しづらい原因の1つとなっています。

お客様との関係を深いものにするために、お客様の悩みや課題を伺い、共感するスキルは重要です。ところがせっかくお客様の課題を伺っても、それが売りたい製品の特長や機能と合致しなければ商談になりません。まずは販売したい商品によってお客様がメリットに感じるポイントを探らなければなりません。ですが、メーカーなど製造業の営業パーソンは、「お客様の悩みや課題を理解しなければ」とは思いながら、売るために商品の紹介に終始しています。

商談において「お客様の課題を理解することからはじめる」ことは大切です。お客様から課題を伺った際に、販売したい商品でその課題が解決できるのであれば、新規の商談となります。ですが、販売したい製品とは関係がない課題だった場合には、新規の商談にはなりません。その場合には、その製品/サービス/ソリューションで問題を解決できた他社事例をいくつか活用します。事例を活用することで、お客様が顕在化できていない問題に気つくきっかけを探ります。お客様が問題を認識したら、その問題を解決するソリューションとして自分の商品やサービスを含んだ提案を行います。このようなソリューションの提案につながる問題を発見する体系的な技法を身につけることが大切です。

ただし、メーカーなど製造業の営業を長らくしてきた営業パーソンは、こうした技法を使うよりも、慣れ親しんだ方法である「お客様に一方的に事例を紹介して終わり」という営業スタイルに戻ってしまいます。長いこと「商品を紹介する」営業を続けてきたため、お客様の話を聞く習慣がないのです。ソリューション営業では、「良さをアピールして商談を受注する」というプロダクト営業の枠を超えなければなりません。「お客様のニーズに耳に傾け、それに合致する形で事例をご提案していく」スキルを強化する継続的なトレーニングやコーチングが必要です。

商社のソリューション営業

前述したとおり、多くの商社では御用聞き営業(ルートセールス)がよく行われています。そのような営業パーソンに、いきなり「ソリューション営業」を押し付けても、結局は以前と同様の営業のやり方に戻ってしまうだけです。

御用聞き営業の営業パーソンたちがソリューション営業へと進化するためには、まずお客様とのコミュニケーションを変えることから始めます。そのため、お客様に「困っていること/悩んでいることはないか?」と聞くことを徹底します。そして、その質問から得た情報を日報で報告させます。その際、すべての面会について日報に書く必要はありません、1日1件程度で大丈夫です。その日報に記載された内容から「どれだけお客様の課題を聞けるようになったか?」がわかります。「具体的に書く」ことができるようになったら、本格的なソリューション営業の導入を始めます。

ソリューション営業がよくおちいるミスとは?

もし「ソリューション営業で成功するための秘訣を1つあげるとしたら、それはなにか?」と問われたら、私たちのその答えは決まっています。

それは「プロアクティブ(積極的)に行なうこと」です。

「我が社はソリューション営業ができている」と自認しながら目標達成や営業結果が芳しくない営業組織では、お客様から悩みや問題を明らかにしてくれるまで待つ「待ち型ソリューション営業」となっていることが多いです。積極的にニーズを引き出すアプローチではなく、単なる新製品の紹介だけを行い、「困ったら、いつでもお声をかけてくださいね!」という姿勢なのです。

しかし、営業活動の基本はプロアクティブ(積極的)に働きかけることです。もちろん「お客様の都合や事情を考えず、一方的に売り込む」のではなく、下記のようなプロアクティブ型ソリューション営業を目指すことがもっとも重要です。

◆ お客様の成功と成長に向けてプロアクティブ(積極的)に働きかける
◆ お客様へ価値あるソリューションを提案するためにプロアクティブ(積極的)に働きかける

そして、それは営業パーソン任せにするのではなく、営業組織としてツールや評価制度なども含めた環境整備をすることが大切です。

ソリューションセールスの次の世代の営業手法「インサイトセールス」とは?

「イノベーション」という言葉が世の中でよく使われるようになりました。先進国では、モノが溢れ、商品やサービスを紹介するだけでは買ってくれなくなりました。その為、多くの企業がイノベーションの必要性を感じています。イノベーションによって新しい市場(マーケット)を生み出したいのです。お客様が気付いていない問題を発見し、新しい価値を提供しようとしています。

このようなお客様の変化に合わせて、私たち営業も変わっていく必要があります。変化に対応できる新しい「営業モデル」が求められています。法人営業(BtoB)の営業モデルは、時代の流れに合わせ、下記のような進化を遂げてきました。

◆ 第Ⅰ世代「御用聞き営業(ルートセールス)」
◆ 第Ⅱ世代「プロダクト営業(プロダクトセールス)」
◆ 第Ⅲ世代「ソリューション営業(ソリューションセールス)」

この3つの営業手法は現在でも広く使われています。取り扱い商材やお客様にあわせて、それぞれの営業手法が行われています。しかし、激変している現在に対応でき、かつ、企業を成長させていくためには、第Ⅰ世代/第Ⅱ世代/第Ⅲ世代の営業モデルでは十分ではなくなりつつあります。これから必要となる第Ⅳ世代の営業手法「インサイトセールス」の準備を始める必要があります。

ソリューションセールスとインサイトセールスの違い

インサイトセールスとはなんでしょうか?

ソリューションセールスと比較することでその姿がみえてきます。

ソリューションセールスの基本的なスタンス
◆ お客様の成功と成長に貢献することで私たちも成長する
◆ お客様に貢献するために、お客様の課題を把握/共感し、価値あるソリューションを提供していく

インサイセールスセールスの基本的なスタンス
◆ お客様が「気がついていない」成功と成長に貢献することで私たちも成長する
◆ お客様に貢献するために、お客様の「気がついていない」課題を洞察(Insight)し、価値あるインサイトソリューションを提供していく

違いは「お客様の課題を共感するか(ソリューションセールスのスタンス)」もしくは「お客様が気づいていない課題の気づきを促すか(インサイトセールスのスタンス)」です。お客様が自分の課題を100%認識できているわけではありません。お客様が課題を発見するお手伝いをし、その解決を提案するのがインサイトセールスです。ますます高度な営業スキルが必要になります。

インサイトセールスに必要な知識とは?

インサイトセールスを行うためには、ソリューションセールスのスキルは必須として、その上で、下記の3つのスキルが必要となります。

(1)ビジネスモデルの理解
お客様のビジネスモデルを理解していないと、お客様が気づいていない問題を発見することはできません。

(2)情報整理力
お客様から集めた情報を体系的/構造的に整理できる能力が必要です。ここからお客様が気づいていない問題を発見するのです。

(3)インサイトソリューションの構築能力
自社の製品だけではなく、自社以外の最先端の技術をも活用して提案できる能力を高める必要があります。

インサイトセールスを導入するためには

インサイトセールスの導入は、注意深く、丁寧に、かつ、着実に実施することが大切です。月1回程度、インサイトセールスの問題点や成功事例を話し合い、その対策を検討します。このようなことを1年程度の期間に渡り、プロジェクトとして行なうとよいでしょう。インサイトセールスの営業スタイルがどのようなものか体験しながら、お客様へインサイトソリューションを提案するモデル構築を研究しながら進めます。

インサイトセールスを実際に導入するときは、いきなり営業パーソン全員を対象とするのではなく、まずは選抜した営業パーソンに実施させます。その選抜された営業パーソンが相互に創発的な意見やアイデアを出し合い、インサイトセールスが成功する営業方法の確立を目指します。もちろんいきなり「インサイトセールス」ができるようにはなりません。「ソリューションセールス」の基盤があってこそ、可能になる営業モデルです。

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このノートを読んでいただいた多くの企業が、ソリューション営業を導入し、大きな成果を手にされることをお祈りしております。その際、私たちが提供している「ソリューション営業プログラム」を活用ください。私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。ソリューション営業について疑問や質問がありましたら、遠慮なくお問合せください。

(本ノートは、2017年11月23日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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