営業の「大きく売る (高く売る) 戦略的営業技術」を向上する方法とその注意点 Vol.291

私たちがクライアント企業に提供している法人営業力強化プログラムの1つに「戦略的アカウント営業メソッド(Strategic Account Management)」があります。
[参照: [法人営業研修] 大手顧客への戦略的営業手法プログラム / Strategic Account Action]
現在あるクライアント企業で取り組んでいますが、「戦略的な営業技術が乏しい」という問題が発覚しています。多くの日本の営業は、「できるだけ大きな商談にして売ろう!」「できるだけ高く売ろう!」とせず、「なるべくこじんまりと、なるべく安く売ろう」とする傾向が根強いのです。
「なぜ、大きくして売る (高く売る) ことをしないのか?」その原因を明らかにするとともに、戦略的な営業技術を向上する方法を考えます。

営業の「大きく売る (高く売る) 戦略的営業技術」を向上する方法とその注意点

戦略的アカウント営業メソッドを通してわかった営業たちの問題

戦略的アカウント営業メソッドを導入するクライアント企業は、「今後のさらなる事業の拡大を実現するために、お客様との関係を強化し、特に戦略的に最重要なお客様との取引額を増やしていきたい」と考えていらっしゃいました。
そのようなクライアント企業様に戦略的アカウント営業メソッドを実施してきましたが、実際に取り組んでみますと、ほとんどのクライアント企業様で以下のような問題があることがわかりました。


問題1: しっかりお客様を理解していない

「戦略的アカウント営業メソッド」トレーニングを実施していると、ほとんどの営業たちが言葉にするのが、「お客様の理解が全然不足していた!」というものです。
このことは企業にとって非常に悩ましく、「新規機会を増やすことが出来ない / 受注確率を高めることが出来ない」という問題の原因ともなっています。


法人営業にとって「お客様の理解 / お客様との関係強化」は重要な課題です。
ですが、「お客様の理解力向上」を組織として体系的な学習し、実践し、営業の評価基準とまでしている企業は少ないです。


問題2: プレゼンテーションが下手

「プレゼンテーションが下手」ということも明らかになっています。
多くの営業は商品の説明はできるのですが、提案にはなっていないのです。
実際に、プレゼンテーションを学んでいる営業は少ないです、営業には必須スキルなのですが…
戦略的営業が身につけるべきビジネスプレゼンテーションについては、「
できるビジネスマンのビジネスプレゼンテーション > 「結論を先にいう!」ストーリーづくり の具体的方法 Vol.300」を参考ください。



問題3: 営業が大きく売る(高く売る)技術が乏しすぎる

そして、この後より詳しく考えますが、「営業たちが大きく売る(高く売る)技術が乏しすぎる」です。
この問題は海外に進出しようとしている企業にはとても重要な問題です。
海外で競合するグローバル企業はこのような教育にしっかり投資をしています。投資対効果が高いことをわかっているからです。海外ではそのようなグローバル企業の営業と競い合わなければいけません。
海外のほとんどのお客様は「小さな細々とした提案」などに関心を示してくれないです。

なぜ、日本の営業は「大きく売る (高く売る)」技術がないのでしょうか?


日本の営業は「大きく売る(高く売る)」技術がない原因

原因1: 視野が狭い

1つ目の原因としては、「営業の視野が狭い」ことです。
前述したとおり、営業の「お客様の理解」は十分ではありません。


例えば、営業に「お客様は過去何を買ってくれましたか?」と聞くと、殆どの営業が説明することができました。
次に、「どんな使い方をしているのですか? / どのくらいの利用率ですか?」と聞きますと、説明できる営業は減少しました。
最後に、「お客様はどんなビジネスをしているのか?」「ビジネスとしての問題は?」「会社の仕事上の目標や個人的な動機は?」と聞きますと、ほとんどの営業は説明することが出来ませんでした。


この最後の質問の中に「大きく売る(高く売る)」ために集めるべき重要な情報が含まれています。ですが、多くの営業はその必要な情報を集めていないのです。
(上記は「一番お付き合いの深い大切なお客様について説明してください」と前置きして質問した回答結果です。一番付き合いの深いお客様ですら、しっかり理解できていないのです。)


原因2: マネジメントの問題

2つめの原因は、マネジメントの問題です。
営業は「今月の売上」「今月の訪問」など、どうしても短期的な視野で営業管理が行われます。
このような営業管理ばかりでは、短期的な売上・短期的な訪問行動に多くの思考や時間が費やされます。その結果として、お客様との面会時間が短くなり「お客様の理解」不足につながります。そして、安売りばかりになってしまいます。
意識的に大きな商談を狙っていく戦略的な検討の時間が十分ではないのです。


原因3: トレーニングの機会がない

3番目の原因は「大きく売る(高く売る)」という技術のトレーニングが行われていないからです。
多くの日本企業の組織的な営業トレーニングは、「出来ない人を出来るようにする」ことが主たる目的で「出来る人が更に高い成果を上げる」ための教育は殆ど行われていません。
また、仮に行われたとしても、1回の研修を受けるだけで終わり、活用されないままになっています。
組織的に継続して取り組んでいる企業は殆どありません。


戦略的営業技術で、「大きく売る(高く売る)」技術を鍛える効果

組織的に、「営業が大きく売る(高く売る)ことに取り組む効果は高いです。
戦略的営業技術向上に取り組むことで、優秀な営業が更に高い成果を達成することができるようになります。パレートの法則が物語っているように、企業の多くの成果は上位20%の人がだしています。その一部の優秀な人が、更に高い成果を達成できるだけで企業は確実に成長できます。
実際に私たちのクライアント企業でも、戦略的大手顧客の売上を200%にも300%にも増やす取り組みができるようになっています。


また、Salesforce.comなどのような営業支援システムを導入し一定の改善効果を手にした後、戦略的営業技術向上に取り組むことでさらなる成長を成し遂げることが出来るようになります。
例えば、その1つとして法人営業の強力なマーケティング手法で Lead Nurturing (ナーチャリング) という手法がありますが、もっとお客様に刺さる効果的なNurturingを実施することができるようになります。


戦略的営業技術向上に取り組むことで、海外進出した際に、競合であるグローバル企業にも勝てるようになります。
グローバルで戦う海外のライバル企業は、話を大きくして商談を進める戦略的営業が得意です。
グローバル企業は、このような大きく売る(高く売る)戦略的アカウント営業メソッドを組織的に取り組み、実践しているからです。
日本の営業は、そのグローバル企業の営業の特性を知り、もっと戦略的な営業が出来るようにしないといけません。現在、日本国内で通用している営業方法など海外ではほとんど役に立ちません。
海外進出するならば、
  • 日本の営業がそのような戦略的営業ができるようになること(対策を取れること)
  • そのようなことが出来る海外の営業をマネジメントできること

  • は必須条件です。


    戦略的営業技術向上に取り組む手順と注意点

    ステップ1: メンバーの選択

    戦略的営業技術は、高い知識とスキルを鍛えます。
    高度なトレーニングのために、いきなり全員の営業に行っても一部の営業しか実践することができません。
    そのため、トレーニングの対象者を選抜することから始めます。
    その選抜したメンバーが戦略的営業技術を発揮できるようになったら、その後、他の営業へ展開します。


    ステップ2: トレーニングの実施

    トレーニングで強化するポイントは、次の2つです。
  • 会う人を変える: より役職の高いお客様と面会するようにする
  • 話す内容を変える: 話す内容をできるだけビジネスに関連した話題を増やす

  • です。このようなことが、大きく売る・高く売ることにつながります。
    継続的なトレーニングを行い、営業が常に意識して出来るようにします。


    ステップ3: 報酬を検討する

    高度な営業技術を駆使して高い成果を上げる営業にはそれなりの報酬が必要です。成果に見合う報酬を検討します。報酬は金銭的な報酬が望ましいですが、金銭的な報酬以外にも「機会を与える」という報酬も効果的です。
    報酬と一緒に、営業の評価制度の構築を合わせて行うことで更に効果を高めることができます。


    効果的に取り組むための注意点

    このような戦略的営業技術向上の取り組みは、ただ営業任せにするのではなく、会社の組織的な営業変革プロジェクトとして計画的に取り組むことが大切です。
    「トレーニングの効果がない」と嘆く企業もありますが、戦略的営業技術向上という観点においてその根本的な原因に次のような無意識の抵抗があります。
  • 多くの営業は、「お客様のことはよくわかっている!」と思い込んでいます。
  • 多くのマネージャーは、「ちゃんと管理している!」と思い込んでいます。

  • 無意識なので非常に厄介です。そのような思い込みの打破をしていないまま、頭ごなしに行わせたり営業任せにしても、残念ながらトレーニングの内容が実践されず、効果が得られません。
    営業および営業マネージャーの「無意識な心理的な障壁」を理解し、それを打破しながら進める必要があります。
    そのためにも、戦略的営業力診断(アセスメント)を行ってから取り組むことは非常に大切です。

    以上のように、プロジェクト的な取り組みをするからこそ、営業力強化/営業変革という投資を確実な成果へとつなげることが出来ます。


    私たちは、組織的な戦略的営業がしっかりと機能するような導入支援を行っております。特に、今後グローバルな展開を視野に入れている企業には必要なスキルです。
    まずは、貴社にとっての必要性や効果について話し合うことから始めましょう。
    ご連絡をお待ちしております。


    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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