言われたことしかしない社員を減らせ! ~ あなたが率いるチームのメンバー(社員)が、意欲的に事業課題解決を実行しようとしない原因とその3つの解決策!

あなたが率いるチームのメンバー(社員)が、意欲を発揮し、率先して事業課題に挑戦するようになるためには、どうしたら良いでしょうか?

事業で高い業績(パフォーマンス)を実現するためには、その障害となる問題や課題に挑み続ける必要があります。ですが、多くのマネージャーからは、「社員たちは、問題に直面しても批判や愚痴しか言わない!」「言われたことしかしない!」「やるように指示しても適当に終わらせようとする!」と聞きます。

このような「社員の仕事への姿勢」は、多くの企業で起こっている問題です。社長/事業部長/執行役員などのマネージャーたちは、「業務で発生している問題を発見し、率先して事業課題を解決してほしい!」と社員たちへ語りかけています。しかし、この社員の意識と姿勢の問題は、「自ら率先して実行してほしい!」と言葉で言っているだけでは解決できません。

「社員たちが率先して事業課題に挑戦しようとしない!」原因はなにか、そして、3つの具体的な解決策について解説します。

あなたが率いるチームのメンバー(社員)が、意欲的に事業課題解決を実行しようとしない原因とその3つの解決策!

率先して事業課題を解決しようとしない原因とは?

メンバー(社員)たちが、率先して事業課題に挑戦しようとしない原因は何でしょうか?

経営論/組織論に関する様々な論文や書籍が、その原因を解説しています。それらの書籍が説明している原因とも似ていますが、クライアント企業が実行している事業課題解決プロジェクトの支援を通して、私たちが独自に気づいた原因には、以下の3つがありました。

◆ 原因1. 事業課題解決を求められていることを知らない(自分の仕事だと思っていない)。
◆ 原因2. どうすればよいか知らない。
◆ 原因3. やりきることができない。

原因1. 事業課題解決を求められていることを知らない(自分の仕事だと思っていない)。

1つ目の原因は、「事業課題解決を求められていることを知らない(自分の仕事だと思っていない)」ことです。

クライアント企業A社の「契約 → 納品 → 納品後のトラブル対応」を行う業務部は、業務の生産性を向上する必要がありました。この部のマネージャーは、毎日発生する「お客様の個別要求の対応」「トラブルの対処」「各種承認」などの業務に追われていました。社員たちも、日常業務に追われ、日々忙しく過ごしていました。

A社の業績は悪化しており、全社的な「生産性の向上」が必須でした。そのため、A社の経営層からご依頼をいただき、私たちが業務部の生産性向上の支援を行うことになりました。マネージャーやメンバー(社員)たちと「生産性向上が必要となった背景や原因」や「今後の進め方」について討議をすることからはじめましたが、その際、出てきた言葉は「私たちがそれをやるのですか?」というものでした。

多くのマネージャーたちは、「もっと率先して事業課題を解決してほしい」と考えています。マネージャーは、社員たちへ「自分で率先してやってくれ!」と言葉で伝えています。ですが、社員たちは「事業課題を解決することは、自分の仕事ではない」と考えています。または、「面倒なので、自分はやりたくない」とも考えています。そのために「課題解決に関心がない」「問題が発生しても愚痴や不満を言うだけ」「課題を自分の問題として捉えていない」という状況を生み出していたのです。

原因2. どうすればよいか知らない。

2つ目の原因は、「どうすればよいかわからない!」ということです。

クライアント企業B社は、「業績が伸びない!」という問題に直面していました。B社の市場は拡大しているのですが、B社の売上は伸びていなかったのです。そのため、営業マネージャーは、「訪問件数を2倍に増やす!」そして「お客様に価値の高い提案をする!」という2つの対策を同時に実施することにしました。B社の売上が伸びない原因は、「営業パーソンたちの行動量が足りない」および「提案内容がお客様にとって魅力的なものではない」と考えたのです。

ですが、それらの対策を行っても売上を増加させることができませんでした。この営業マネージャーは、「もっと訪問しろ!」「もっと魅力的な提案書を作れ!」と言い続けましたが、言うこと以外の対策を実施しなかったのです。「言い続ける」だけでは、事業課題を解決できません。具体的な事業課題の解決方法を知らなかったのです。

原因3. やりきることができない。

3つ目の原因は、「やりきることができない」ことです。

クライアント企業Cは、C社を創業した社長の能力の高さで、会社の成長を牽引してきました。社員も増え、売上が10億円まで成長しました。ですが、俗に言う「10億円の壁」にぶつかってしまいました。この数年、売上が10億円近くまでは行くのですが、10億円から大きく上回ることができなかったのです。

そのため、その創業社長は、部長たちへ「成長に向けた事業課題の解決」を指示していました。その指示は、毎回、その社長が思いついたときに行われました。思いついたときに、その思いついた事業課題解決を部長たちへ指示するために、部長たちは複数の事業課題解決を並行して行わなければならない状況でした。

また、この社長は、以前に指示していたことを思い出すと、部長たちを呼んで進捗状況の報告をさせました。部長たちは、ちょうどその事業課題の解決を実施していれば、すぐ報告することができました。ですが、その報告を求められた事業課題の解決を行っていないときに聞かれると、進捗状況を報告することができませんでした。そうすると、社長から「なぜ、やっていないのか?」と叱責され、仕事の優先順位を変更しなければなりませんでした。ときには、お客様への緊急的な対応ですら後回しにしていました。C社は、そのような状況のために、ほとんどの事業課題は最後まで行われることなく放棄されている状態でした。

企業で実行されている事業課題解決のほとんどは、以上のように中途半端な状態で終わっています。事業課題解決が最後まで行われ、そして、最後に「評価/反省」まで行われていることはあまりありません。多くのメンバー(社員)たちは、上層部から一方的に事業課題解決の実行を要求され、かつ、同時に複数の課題解決を実施しています。その一方、会社は、その課題解決が最後まで行われるような支援をしていないために、多くの社員たちは、自分が事業課題解決を担うことから逃げようとしているのです。

率先して事業課題を解決する状態へ、そのための解決策とは?

以上のように、多くの企業では、メンバー(社員)が率先して事業課題解決を実行していない状況に陥っています。マネージャーが、「問題が起こっていることに気がついてほしい!」「率先して事業課題を解決してほしい!」とただ言っているだけでは、社員たちが意欲的に事業課題を解決するような状況にはなりません。

では、どうすれば、社員たちが率先して事業課題に挑戦するようになるのでしょうか?

自ら意欲的に事業課題を解決するようになるために、私たちは、以下の3つのことをクライアント企業へ提案し、その支援を行っています。

◆ 事業課題の解決方法を学習する
◆ 継続的な能力強化とノウハウの蓄積をする
◆ 職務に盛り込む

解決策1. 事業課題の解決方法を学習する

解決策の1つ目は、「事業課題解決の実施方法の学習」です。多くのマネージャーや社員は、「事業課題解決の具体的な方法」を知りません。

多くの企業では、メンバー(社員)たちに「高い数値目標を指示してやらせる」もしくは「『xxxxの問題を解決するように!』と指示する」だけで事業課題解決を実施させています。社員たちは、具体的な事業課題の解決方法を知らないために、「どうする?」「とりあえず、これをやってみようか?」と、思いつきで始めます。その結果、「次に何をすればよいかわからない」「途中で障害にぶつかり、うまくいかなくなる」「一部の人に負荷がかかる」ことになり、「ただでさえ日常の仕事が忙しいために、事業課題の解決は後回しにする」状態となっています。このように思いつきで始めても事業課題解決が成功することはありません。

事業課題の解決には、まず、「達成目標の設定」「現状の調査と分析」を行います、そして、その後、「実施計画」を立案します。事業課題の解決には、このような基本的な進め方があります。事業課題の解決方法を学ばないまま事業課題解決を実行させても、成功することはありません。

解決策2. 継続的な能力強化とノウハウの蓄積をする

2つ目は、その学んだ事業課題の解決方法を経験させ、「能力の強化」と「ノウハウを蓄積する」ことです。そのために、コーチがコーチングを行い、学習しながら事業課題を解決させることが大切です。

長期的成長を実現できている企業は、組織的に事業課題解決を行っています。このような企業では、事業部長/部長/課長が、それぞれの役職に応じた事業課題解決を遂行しています。

事業部長は「事業部長としての事業課題解決」を実行します。その際、その事業部長の事業課題解決には、外部のコーチがコーチングを行いながら実施します。なぜならば、その事業部長が挑戦している事業課題解決は、今まで実行されたことがない高度な事業課題だからです。事業部長も十分な経験がありません。そのために、外部のコーチが適切な助言をすることで、事業部長が効果的な意思決定を行うことができるようになり、その事業課題解決を成功させる可能性を高めます。

その事業部長の部下である部長は、「部長としての課題解決」を実行します。その際、事業部長もしくは外部のコーチがコーチングを行い、その「部長としての課題解決」の推進を支援します。課長は「課長としての課題解決」を実行しますが、部長もしくは外部のコーチのコーチングを受けながら実施します。

以上のように、企業や組織として、コーチ役が事業課題解決の推進を支援します。それぞれの階層で、コーチの支援を受けながら事業課題の解決を遂行させることで、事業課題解決の遂行能力を鍛え、ノウハウを蓄積し、更に高度な事業課題解決ができるようにしています。

事業課題の解決方法を座学として学ぶことは大切ですが、学んだだけでは効果的に事業課題を解決できません。特に、事業部長や部長が挑戦する事業課題は、簡単には解決できない高度な課題です。コーチングを受けながら推進することが、多くの有益な経験となり、事業課題解決を成功へと導き、その結果として、長期的に事業を成長させているのです。

解決策3. 職務に盛り込む

日本の多くの企業は、人事制度として、職務記述書(Job Description)を活用していません。この職務記述書とは、社員が行うべき「業務内容や範囲」「必要な能力や経験」を定義するものです。例えば、「営業」には営業としての職務記述書、「開発」には開発としての職務記述書を用意します。
「メンバー(社員)が、意欲を発揮し、率先して事業課題の解決を遂行するようになる」ためには、この職務記述書の中で「主体的に、事業課題を解決することも職務の1つである」ことを明らかにすべきです。そして、そのことを実行したときには、その実行したことの評価方法も明確に定義します。

マネージャーが社員たちへ「事業課題をもっと意識し、自ら率先して解決してほしい!」と言葉で言っているだけではダメです。職務の1つとして定義し、そして、評価項目にするからこそ、社員たちは率先して実行するようになるのです。

以上の3つの解決策「事業課題の解決方法を学習する」「継続的な能力強化とノウハウの蓄積をする」「職務に盛り込む」を実行することで、社員が日常的に事業課題を解決する仕組みを作り、その結果として、継続的な事業成長を遂げることが可能となります。

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社員が率先して事業課題に挑戦する企業へ変化しよう!

「日本は、天然資源が豊富ではない。そのような中、日本の企業が世界で事業を拡大するためには、社員の能力を最大化し続けることが重要である。人そのものが、事業成長のために最も重要な資源である」とよく言われます。

私たちもこの意見には賛成です。ですが、人の育成は、研修などの学習機会を与えるだけでは十分ではありません。仕組みを整え、そして、成長するための継続的なトレーニングとコーチングが必要です。そのように社員を育成している企業は着実に成長できています。また、そのような継続的な社員の育成を辞めた途端に成長が止まってしまった企業を数多くありました。

私たちの存在価値は下記の3つです。

◆ 「社員が率先して事業課題を解決する」方法を学習する
◆ 「社員が率先して事業課題を解決する」方法を経験し、能力を最大化するコーチングを行う
◆ クライアント企業の組織に、「社員が率先して事業課題を解決する」仕組みを作り、継続的な運営を支援する

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウと経験があります。貴社と力を合わせて、貴社の事業課題解決能力を強化します。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2019年4月4日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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