「自ら考え行動する」社員を育てるマネージャーの3つのポイント「聞く・見る・待つ」 Vol.301

多くの企業が「自ら考え行動する!」社員を求めています。
お客様に喜んでもらう価値の高いサービスを提供するためには、「マニュアル」だけでは不十分です。マニュアルを理解した上で、「自ら考え行動する」ことが必要となります。
高い目標達成をしていくためにも、社員が「自ら考え行動する」ことを通して、今までとは違うことに取り組む必要があります。

企業が長期的に成長するためには「自ら考え行動する」社員を育成することは必須条件です。
ですが、部下に「自ら考え行動してほしい」と考えていながら、知らず知らずに「自ら考え行動する」ことを邪魔してしまっている上司の行動が目につきます。

「自ら考え行動する」社員を育成するために、マネージャーがどのような姿勢・行動であればよいでしょうか?
今回は「自ら考え行動する」社員を育成するためのマネージャーに求められているシンプルな3つのポイント「聞く・見る・待つ」について解説します。


上司は部下に「自ら考え行動しいてほしい」と思いながら、どんな行動をしているか?

実際に私たちのクライアント企業において、マネージャーたちはどのような姿勢や行動なのかを見ていきましょう。

事例1: 目標に向けた営業課長と営業との会話

ある営業課長と営業の会話です。


【営業課長】 目標に到達していないよな。なにがあったんだ?

【営業A君】 ええ… (ちょっと沈黙)

【営業課長】 訪問件数が少ないのが問題じゃないのか?

【営業A君】 ああ、そうかもしれませんね。でも、それほど極端に減ってはいないんですけど… (ちょっと沈黙)

【営業課長】 じゃあ、なにが問題なんだ? 新規の開拓が少ないからじゃないのか?

【営業A君】 新規の開拓は上手く行っていないですね! (ちょっと沈黙)

【営業課長】 営業は、新規の開拓次第なんだからさ、もっと時間かけて訪問すべきじゃないのか?

【営業A君】 そうですね、やんなきゃいけないですね。(ちょっと沈黙)

【営業課長】 じゃあ、来月は新規訪問に1.5倍は時間をかけろよ!


事例2: 業務改善に向けた部長と担当者の会話

私が、あるクライアント企業の業務支援をする上で、部長と担当者と三人で面談した時の話です。

【私】 貴社の業務って、ライバル会社の業務との違いってどんなことがありそうですか?

【担当B君】 ライバル会社の違いですか…. (ちょっと沈黙)

【部長】 他社よりもお客様の要望に応えた業務をしているだろ、そういうことを答えれば良いんだよ。

【担当B君】 ああ、なるほど… (ちょっと沈黙)

【部長】 他にもあるだろう? 付き合いの深いお客様はだいたい我が社に問い合わせしてくるだろ、C社とか。

【担当B君】 そうですね… (ちょっと沈黙)

【部長】 (私に向かって) 彼は、なかなか考えを言えないんですよ。他にはですね、彼は、入力ミスが多いんですよ…


2つの事例はなにが問題なのか?

2つの事例を見てまいりましたが、この上司であるマネージャーの2人は、「部下のことを大切にしたい」という気持ちを持っているマネージャーたちでした。
事例1の営業課長も事例2の部長も「部下に育ってほしい!」という想いを持っていう人で、「困っているならば助けてあげたい!」という優しい気持ちをもっている人でした。


そのような「人への愛」は非常に大事です。
ですが、そのような「人への愛」を持ちながら、姿勢と方法が「自ら考え行動する!」社員の育成につながっていませんでした。

事例1の営業課長は、相手に「聞く!」ことはできていましたが、「見る!」「待つ!」ができていませんでした。
相手が自分の考えを口にする前に、
– こうしたらどうか?
– ほかにこういうことも問題だよな!
と押し付けてしまっているのです。
その結果、「部下が考える時間」「部下が自分の考えを言う機会」を奪い、課長の考えを押し付ける状況になっていました。

事例2では、私が相手に「聞く!」を行いましたが、その後部長は「見る!」「待つ!」ができていませんでした。その結果、「部下が考える時間」「部下が自分の考えを言う機会」を奪い、課長の考えを押し付ける状況になっていました。

普段の会議や個別面談においてこのようなことを繰り返しているから、もともと「自ら考え行動する」資質のある社員ですら、だんだん「自ら考える」ことをしなくなり「行動しなくなる」のです。


このように「部下が考える時間」「部下が自分の考えを言う機会」を奪うマネージャーは
・自分が思っていることを部下にやらせたいマネージャー
・なにしろ自分の意見を主張したいマネージャー
でも同様の姿勢や行動を知らず知らずに行っています。


「自ら考え行動する!」社員を育成するためにマネージャーに求められていることは?

極端な例ではありますが、ブラック企業と言われる企業のマネージャーは、相手に考える時間を与えません。
・相手の意見など言わせない。
・マネージャーが考えていることを押し付ける。
ことが中心となっている会議と面談です。
これが、社員が考えなくなり、自ら行動しなくなり、言われたことだけしかやらなくなり、疲弊し、目標を達成できない状況になり、長時間労働の環境を生み出す結果につながっています。

では、どうしたら良いのでしょうか?


「自ら考え行動する」社員を育成するために、マネージャーは
・聞く
・見る
・待つ
の3つの姿勢を大切にすることが大切です。


「自ら考え行動する」社員を育成するために、“聞く”

相手に考えさせるためには、「聞く!」、すなわち、質問することが大切です。
質問をすることは、相手に考えさせるきっかけを与えます。
多くのマネージャーは、この「聞く」という姿勢や行動はできていることが多いです。


「自ら考え行動する」社員を育成するために、“見る”

「聞く!」をおこなった後は「見る!」、すなわち、観察するです。
ですが、「見る(観察する)」は多くのマネージャーが苦手にしているところです。
前述した事例の通り、多くのマネージャーは部下に質問したにも関わらず「次に部下へ言うこと!」を頭のなかに巡らせています。
自分の考えや意見を言いたくてしょうがないようです。そして、さっさと沈黙を終わらせたくてしょうがないようです。
ですが、ここで必要なのは、質問をしたのですから相手(すなわち部下)の姿勢を観察することです。


ここで「見る(観察する)」べきことは、「質問に対して相手は考えているだろうか?」という相手の姿勢です。
考えているように感じされるのであれば、「待つ!」に進みます。
もし、質問されていることが分かっていないように感じるのであれば、もう一度丁寧に「聞く(質問する)」を行います。場合によっては、言い方を変える必要もあるでしょう。


「自ら考え行動する」社員を育成するために、“待つ”

相手を見る(観察する)と、相手は考えているようです。
マネージャーが次にすべきことは、「待つ」です。
こちらから聞いたわけですから、相手に考える時間を与えましょう。
相手が意見を言える機会を与えましょう。

相手が考えているのに、マネージャーが何か口を挟むということは、相手が考えていることを邪魔しています。相手がなにか言うまで我慢です。
相手が考えていたら、その考えていることに口を挟むのは厳禁なのです!


「自ら考え行動する社員」を育てたいのであれば、「自ら考え行動する社員が少ない」と嘆くのではなく、まずは「自ら考え行動する社員」が育てられるようにマネージャー自身が変わらなければなりません。
「自ら考え行動する」社員を増やすためには、マネージャーは「聞く・見る・待つ」を行なうことが出来るようにする必要があります。
そして、そのマネージャーの姿勢や行動は、部下である相手に
・考えるきっかけを与える
・考える時間を与える
・考えた意見を言う機会を与える
ことにつながります。


MBO(目標管理)や業務の進捗会議など、部下との会議や個別ミーティングにおいて、
・相手に質問したら、相手をしっかり観察しましょう。
・相手が考えているのであれば、相手がなにか言うまでじっと待ちましょう。

じっと待つといっても、実はせいぜい2分程度なのです。
2分くらい相手がしっかり考えるための時間を与えましょう。
相手が「しっかり考え、考えを言う!」場を作ること、機会を与えることが大切です。
そういうことを繰り返しているから、部下は「自ら考える」ように育ちます。

「自ら考え行動する」社員を育成できるマネージャーの姿勢

上司であるマネージャーが、自分の考えを部下に受け入れさせ、取り組ませる方法は2つあります。

1つ目は、「自分は上司なのだから、自分の言ったとおり行え!」という役職の高さを利用して押し付ける方法です。
これは、部下に行動させるための有効な方法の1つです。上司であるマネージャーはうまく利用する必要があります。
ですが、問題点もあります。部下は意欲的に取り組むことをしません。押し付けられただけなので納得していないからです。
この方法ばかりを多発すると、上述したブラック企業的な状況に陥っていまいます。


もう一つの方法は、今回ご案内した「部下が自分の考えを言うきっかけと時間と機会を与える」方法です。
優秀なマネージャーはこの方法をしっかり行っています。
まず、部下に考えさせます。そして、考える時間を与えます。そして、自分の意見を言わせる機会を与えます。
そして、部下の考えと上司の考え、それを並び比べて効果性を踏まえて検討し、部下が自分から上司の考えを選択するように誘導します。
だからこそ、部下が主体的に取り組むようになるのです。
この効果は絶大です。


さあ、効果的な「自ら考え行動する社員」を育てる取り組みを始めよう!

今回ご案内した「自ら考え行動する社員」を育てる「聞く・見る・待つ」は非常に基礎的なことなのですが、基礎的なことのため、なかなかできていないマネージャーが多いです。自分で気が付きづらいからです。
そのために、上司と部下の面談に第三者が立ち会い、上司が相手の考えを邪魔していないかどうかを注意して上げることは非常に効果的です。

また、「自ら考え行動する社員」を育成することをマネージャー任せにするのではなく、評価制度として取り組むことも重要です。
なぜならば、人は評価され認められるから取り組むのです。

私たちは、
・「自ら考え行動する社員」を育成できるマネージャーの行動変容の研修
・「自ら考え行動する社員」を育成できる評価制度の見直し
のお手伝いをしております。
「自ら考え行動する社員」の育成の取り組みが上手く行かなければ遠慮なくご連絡ください。
あなたの会社と力を合わせて、確実に増やしていく支援を致します。


文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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