初めて営業マネージャーになるあなたへ! ~ あなた自身も大きく成長し、営業マネージャーとしてチームを率いて活躍するための「7つの心がけ」

営業マネージャーはやりがいのある仕事です。マネージャー次第でチームの成果は大きく変わります。あなたが営業マネージャーとして活躍するためには、今後、多くのことを学び、身につけ、それらを応用することが大切です。ですが、いきなり多くのことにチャレンジしても、逆に混乱してしまうことのほうが多いでしょう。

初めて営業マネージャーになるあなたには、まずここで紹介している「7つの心がけ」を意識して営業マネージャーの仕事を行うことをおすすめします。この「7つの心がけ」は、さらに難度が高いことに挑戦する基盤となるものです。

もし、困難な状況に直面したら、改めてこのノートに戻ってきてください。その困難を乗り越えるヒントがきっとつかめるはずです。やがて、あなたはハイパフォーマンスな営業マネージャーとして、多くの機会や大きな報酬を手にできるでしょう。

あなた自身も大きく成長し、営業マネージャーとしてチームを率いて活躍するための「7つの心がけ」

心がけ1. 立場の違いを認識しよう!

営業から営業マネージャーに昇進したということは、今までの「プレーヤー」の存在から「監督やコーチ」へと立場が変わったということです。今までは同じプレーヤー仲間だった人たちが、あなたのことを同じプレーヤー仲間として見てくれなくなります。なぜならば、あなたはメンバーの仕事を管理したり、スキル強化を指導したり、仕事ぶりを評価したりする必要があるからです。

あなたが仲間のようにメンバーへ接すれば、あなたの希望どおり仲良しクラブのような雰囲気をチーム内に作ることはできます。しかし、そのような雰囲気を作ってしまうと、チームの中に甘えが生じ、目標達成への意欲が失われていきます。仕事には「仲良しクラブの雰囲気」よりも「目標達成への意欲のある雰囲気」のほうが大切なのです。

「あなた自身の立場や求められている役割は今までとは違う!」と認識することが大切です。ですが、だからといって「威張る」ことは逆効果です。マネージャーがボスのように振る舞い、威張る時代ではありません。「威張ること」と「目標達成に向けた行動を要求すること」では全く違うことです。

以上のような理由により、あなたは今後「孤独感」を味わうことが多くなります。「これから孤独感を味わうことが多くなるんだ!」ということも早いうちから受け入れておくことが大切です。

この孤独感という寂しさから逃れようとして、無意識に仲間へと戻ろうとしているマネージャーも多いです。ですが、それは避けなければなりません。それを避けるためにも「求められている役割と立場は変わったのだ、孤独感を感じるんだ」ということを認識しておくことは大切です。

心がけ2. 規律は大切にしよう!

様々な営業組織を見てきましたが、チームの規律の高さと成績の良さは比例関係です。特に、数値をできるだけ正しく扱う規律は大切です。早いうちから数値を正しく扱う姿勢を示しましょう。なぜならば、早いうちに示しておかないと、後で改善しようとしても難しいからです。

規律として数字を正しく扱うべきことの1つ目は、「売上予測など、売上に係る数値の扱い方」です。売上の予測金額は、今後の見込み額のために、通常おおよその数値で扱われます。例えば、「案件Aの売上見込額は3000万円」というようなものです。ですが、売上予測の数値を上一桁で扱うのではなく、「2900万円」のように上二桁まで扱うようにチームメンバーに求めましょう。そうすることで、売上目標と売上見込額のGAPをより高い精度で把握でき、より具体的な計画や対策が立案できるようになるからです。後になって「達成できなかった!」ということを減らすことに役立ちます。ただし「3023万円が売上見込です」というのは細かすぎます。売上見込みに関してそこまでは細かく求める必要はありません。

規律として数字を正しく扱うべきことの2つ目は、「日付」です。メンバーに仕事の期限を伝えるときは、「1週間後に報告書を出すように!」ではなく、「5月15日までに出すように!」というようにしましょう。期限間近になって「1週間後って来週だよね!」と期限を曖昧に認識しているケースを時折見かけます。

また、指示した期日を守ることも大切です。メンバーだけではなく、仕事の指示をするマネージャーも期日を守る必要があります。あるマネージャーは、「5月15日までに報告書を出すように」と指示しました。ですが、期限から5日も早い5月10日に「まだ誰も出ていないじゃないか、なぜ、もっと早くやらないんだ!」とメンバーたちに言いました。その夜、メンバーたちは残業して報告書を書いていました。

自分で「期限は5月15日」と言ったのですから、それまでは待ちましょう。そして、期限を過ぎた5月16日になってもまだ出していない人がいたら、「言わなくてももうすぐ出してくるだろう!」と逆に待つのではなく、相手に「5月15日までの期限に出ていない、すぐに出すように!」と要求しましょう。

数値の規律、特に、売上見込み数値と期限を正しく扱っているチームは、営業の意欲が高く、成績も良いのです。

「心がけ1. 立場の違いを認識しよう!」で紹介したとおり、仲良しクラブのような雰囲気になると甘えが出て規律がなくなります。繰り返しになりますが、「立場や求められている役割が変わり、孤独感を感じることを受け入れておく」覚悟はやはり必要です。

心がけ3. 指示は明確に行おう!

「これは指示したことと違う!」と部下を叱っているマネージャーがいます。メンバーに作業を指示するときは、期限までに確実に終わらせるために、「いつまでに、どのような方法で、何を完成・達成するか!」を明確に指示することが大切です。「指示したことと違う!」と言っているということは、メンバーのそれまでの時間をムダにしていることと一緒です。メンバーとの間でこのようなことが度々起こると、メンバーは上司を信頼しなくなります。指示を出す側ができるだけこのようなことが起こらないようにしなければなりません。

あなたは明確に指示したつもりでも相手ができていなければ、「自分の指示が悪かった」と捉えましょう。そう捉えれば、あなた自身の指示を改善できるからです。もちろん、相手の能力が十分ではないために、期待通りに実施できなかった場合もあります。その際は、次は、期待どおりに行うことができるように相手の能力を強化します。

「これは指示したことと違う!」という言葉の裏側には、メンバーに「自分で気づき、自分で考え成長してほしい!」という意味合いが込められている場合もあります。もし「自分で気づき、自分で考え成長してほしい」とあなたが考えているのであれば、「いつまでに、何を完成・達成するか!」は明確に指示し、「どのような方法で行うか」を相手に考えさせるようにします(方法はメンバーに任せるのです)。それが、相手が自ら考え成長するための第一歩目です。

抽象的な指示はだめです。明確な指示をした上で、相手に考えさせることが大切なのです。

心がけ4. メンバーの時間を大切にしよう!

チームの目標を確実に達成するためには、メンバー一人ひとりの時間を大切にする必要があります。限られている勤務時間を十分日常業務に当てられるようにする必要があります。ですが、そのメンバーの大切な業務の時間を奪っている営業マネージャーを見かけます。

例えば、営業会議です。会議の開始時間だけは決まっているのですが、終了時間が決まってなく、延々と営業会議が続きます。その会議の中で話されていたことが全員の目標達成に意味のあることならまだ良いのですが、全員が集まって話す必要性がない単なる連絡や叱責だけの会議も多いです。

次は、報告書やレポートです。案件情報などは営業システムに入力されていてそれを見ればわかるのに、わざわざ報告書で報告させていることがあります。または、誰も見ていないのに慣例として書いている営業日報もその1つです。以上のように、必要のない業務にメンバーの時間を費やすよりも、その分目標達成につながる業務の時間に当てるべきなのです。

営業組織にとって目標を達成するためにとっても重要なことは、「営業たちがお客様のために使う時間を最大化すること!」です。営業マネージャーは、「どうすればメンバーがお客様のために使う時間を最大化できるか?」を常に意識し、メンバーの時間を大切にする必要があります。

心がけ5. 意欲に期待しすぎることはやめよう!

「意欲がない!」と嘆くマネージャーは多いです。ですが、自分を振り返ってみればわかると思いますが、人間は常に高い意欲を持ち続けることのほうが不可能です。人間は感情を持つ生き物のため、嫌なことや辛いことがあれば気持ちもめげます。疲れれば意欲もわかず行動量は、落ちてしまいます。

メンバーの気合や意欲は、営業マネージャーにとって目に付きやすいものです。ですので、気合や意欲ばかりに目が行き、「意欲を出せ!」「気合を出せ!」と注意するマネージャーは多いです。ですが、メンバーに気合や意欲ばかりを要求すると、チームの意欲やモチベーションは逆に低下していくのです。

それよりも、意欲に左右されることなく仕事が遂行でき、目標達成できる仕組みを構築することに目を向けるべきです。「意欲や気合が高くなくても、結果が出せるようにできないか?」を追求することが先です。

結果がでれば人は自然とモチベーションが高まります。「意欲→結果ではなく、結果→意欲が正しい順番だ」という意識が、あなたのチームの目標達成の確率を高めることができるのです。

あなたもこのことを心がけ、「意欲に左右されることなく仕事が遂行でき、目標達成できる仕組み」の実現方法を常に探すようにしましょう。

心がけ6. 一人ひとりの強みを伸ばす視野を持とう!

マネージャーになると、メンバー一人ひとりが目標を達成できるようにするための指導や支援をする必要があります。特に、営業が目指す目標は「売上」ですから、達成できているかできていないかは簡単にわかります。目標達成できていないメンバーには指導や支援をする必要がありますが、その際、目につくのは弱点や欠点です。商品知識が低い、行動量が少ない、対応スピードが遅い、などです。そのメンバーが目標達成できるようにするためにそれらを改善する必要があります。

ここで重要なのは、「相手の強みを伸ばす!」という心がけを忘れないことです。例えば、下記のようなことです。

◆ 商品知識が低い、ならば、「この商品だけは、他の人に負けない知識を目指そう」
◆ 行動量が少ない、ならば、「アポの電話だけは、一番多く電話することを目指そう」
◆ 対応スピードが遅い、ならば、「報告書だけは、一番に出すことを目指そう」

人間は、欠点や弱点ばかりを指摘されてもなかなか成長できません。なぜならば、欠点や弱点ばかりを指摘されては、自信を失ってしまうからです。また、「自分で解決しろ!」と言って突き放しても、自分で解決できていれば、欠点や弱点とはなっていないのです。

そのため、上記のようなちょっとした一番をめざすことからで構いません。メンバーが、自分の目標に「他の人に負けない強みを1つ持つ!」を盛り込むことが効果的です。目指す強みを1つ決め、一緒にその目標達成を目指します。1つでも強みを持つと、その人の行動や意欲は大きく変わります。

その「目指す強み」を選ぶとき、選択すべきことは「数値で計れること」です。そのほうが達成度合いを明確に判断でき、お互いの共通の目標とできるからです。

心がけ7. チームの目標達成の能力を信じよう!

最後の心がけは「『チームのメンバーたちは目標達成できる能力がある!』と信じること」です。当たり前のように思えますが、この心がけを発揮できているマネージャーは多くはないです。

通常、営業としての成績が良かった人が営業マネージャーへ昇進します。ある企業の営業マネージャーもそうでした。その営業マネージャーのチームには3人のメンバーがいて、チーム全体の目標は7億円でした。その営業マネージャーは、プレイングマネージャーでした。もともと成績が良かった人ですから、この人が7億円の売上目標のうちの3億円を担っていました。他の3人が残りの4億円の売上目標を分配していました。すなわち、このチームが目標達成できるかどうかに一番影響を及ぼしているのが営業マネージャーで、営業マネージャーの頑張り次第の状態でした。また、この営業マネージャーは、「チームの目標達成」に責任感を持っている人でした。ですので、チームの目標達成のためには自分が営業して頑張ることが大切と考えていました。ということは、メンバーたちの目標達成や能力向上は2の次になっていたのです。

これではチームのメンバーの目標達成能力を信じていることとは言えません。実際に、このチームはメンバーの離職率が高く、チームの売上は7億円を上回ることができず、長らくチームとして成長できていませんでした。

営業マネージャーが、「メンバーたちは潜在的な目標達成能力を持っているんだ。成長できるのだ!」という心がけを持つことで、上述した営業マネージャーのような盲目的なマネジメントではなく、チームとして成長し続ける方法に挑戦することができるのです。

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あなたがハイパフォーマーとして活躍するための最後のメッセージ!

今回紹介した7つの心がけは、営業マネージャーになったばかりのあなたには少し難度が高いものも含まれています。特に「心がけ5. 意欲に期待しすぎることはやめよう!」「心がけ6. 一人ひとりの強みを伸ばす視野を持とう!」は、長らく営業マネージャーをしている人でもできていないことです。また、あなたの会社の営業組織の仕組み/管理方法/評価方法を考えると、この記事で紹介した心がけを実際に実行することが困難なこともあるかもしれません。ですが、あなたが今後ハイパフォーマーとして活躍するためには必要な心構えです。まずは、心がけとして意識しておくことから始めてください。それが、あなたの成長に必ず繋がります。

今後、様々な困難に直面すると思いますが、この心がけを認識しておけば、乗り越えることは容易になるはずです。そして、悩みが芽生えたら、改めてこのノートを見直してください。あなたが、メンバーを率いてハイパフォーマーとして活躍していることを楽しみにしています!

これから営業マネージャーになる人、営業マネージャーになりたての人に、「営業マネージャーの心がけ」を学ばせることは大切です。チームの結果はマネージャー次第なのです。もし、このような研修を企業内で実施検討していれば、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2019年11月22日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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