「若い営業担当者たちが言われたことしかしない!」「すぐやめてしまう!」の原因を特定! ~ 客観的な判断基準に基づく営業力診断(営業力アセスメント)から分かったその原因と対策!

私たちの仕事は、営業組織のパフォーマンス(業績)向上のコンサルティングです。そのため、様々な企業の営業マネージャーと話をする機会があります。その時、営業マネージャーから「営業担当者たちは言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」とよく伺います。営業マネージャーたちは「自発的に考えて行動してほしい!」と思っているのですが、期待通りにはなっていないようです。

数社の営業力診断(営業力アセスメント)の分析を通して、「営業担当者たちは言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」原因の1つが見えてきました。また、「若手の営業担当者たちがすぐ会社を辞めてしまう!」という問題の原因もつかめました。

「営業担当者たちは言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」および「営業担当者たちがすぐ辞めてしまう!」原因とその対策について解説します。

客観的な判断基準に基づく営業力診断(営業力アセスメント)から分かったその原因と対策!

営業力診断(営業力アセスメント)を通してわかったこととは?

最近、4社のクライアント企業で営業力診断を実施しました。これらの営業組織に共通する悩みは以下でした。

◆ 業績が悪化している、売上が低迷している
◆ 御用聞き営業/ルートセールスの状態から脱出できていない
◆ 若手が育っていない、やめてしまう

営業力診断(営業力アセスメント)を通して、期間ごとの計画や管理に関する状況を分析をすると、営業マネージャーたちが悩んでいる「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」原因が見えてきました。

「毎日」という期間での売上予測と行動計画

営業担当者たちは、毎日、その日を含め今後数日間のアポ取りをしていきました。ある企業では、お客様からの突発的な依頼に対応できるようにするために、朝一番でその日の面会先を検討し、その一日のアポ取りを行っていました。

幾人かの営業マネージャーは「営業担当者たちが毎日サボることなくお客様と面談しているか?」が気になるようで、毎朝「今日は何件面会するのか?」を確認していました。

毎日、売上予測を確認している営業マネージャーはいませんでした。法人営業(BtoB)の場合、案件の開始から受注までには最低でも1~2ヶ月かかり、その間に2~4回は商談を重ねる必要があります。ですので、毎日「今日の売上はいくらか?」を確認しているマネージャーはいませんでした。

「毎週」という期間での売上予測と行動計画

毎日のアポを取るために、全員ではないのですが、ほとんどの営業担当者たちは、毎週「1週間の面会計画」を立てていました。いくつかの企業のマネージャーは、毎週の面会計画を提出させていました。また、面会計画書を作るかわりに、毎週月曜日の朝の営業会議にて、営業マネージャーたちがその週の面会先を確認している企業もありました。

4社の営業マネージャーを見ていて、毎週の面会計画を作成させている営業マネージャーのチームは、売上目標の達成度が良い状態でした。ある営業マネージャーは、その面会計画に面会目的まで記入させていました。その営業マネージャーが率いるチームは規律が高く、他の営業チームと比べて売上目標の達成度がさらに良い状態でした。

「毎週」という観点で、今後の売上予測を管理している営業担当者はいませんでした。ほとんどの営業担当者たちは、1ヶ月という単位で売上の予測をしていました。

その反面、営業マネージャーの幾人かは、「今週はいくら売れるのか?」を気にしていました。そのため、毎週の営業会議の中で、今週の売上予測を確認している人もいました。しかし、売上予測の報告書を提出させることはしていませんでした。

「毎月」という期間での売上予測と行動計画

毎月の面会計画を立てている営業担当者は、ほとんどいませんでした。営業マネージャーも毎月の面会計画に関する指示も管理もしていませんでした。

毎月という期間や頻度において、営業マネージャーと営業担当者たちの間でもっとも重点が置かれる話題は「今月の売上予測」でした。そのため、全ての営業担当者たちはその月の売上予測を報告していました。営業マネージャーも「1ヶ月の売上目標/売上予定はいくらか?」には高い関心があり、毎月報告させていました。

「四半期(3ヶ月間)」という期間での売上予測と行動計画

「四半期(3ヶ月)」という期間や頻度での売上予測と行動計画の状況ですが、四半期(3ヶ月)という期間や頻度で面会計画を行っている営業担当者は1人もいませんでした。その計画を指示している営業マネージャーもいませんでした。

売上予測の管理では、3ヶ月先までの売上予測をしている営業担当者とそれをしていない営業担当者がいました。3ヶ月先までの売上予測をしている営業担当者たちは、3ヶ月先までを見据えた売上目標と売上予測のGAPを明らかにし、そのGAPを埋めるための対策を行っていました。そのため、毎月の売上予測の精度も高く、売上目標の達成度も良い状態でした。

3ヶ月先までの売上予測をしていない営業担当者たちは、毎月の売上予測の精度は良くない状態でした。上司からの指示がないからやっていなかったのです。すでに説明したとおり、その上司(営業マネージャー)たちは、「毎日の面会先」「毎週の面会量/売上見込」「毎月の売上予測」に重点を置いた管理で、四半期(3ヶ月)という期間での計画や管理はしていませんでした。

「半期もしくは年間」という期間での売上予測と行動計画

「半期もしくは年間」という期間や頻度では、4社全てが目標管理(MBO, Management By Objective)を行っていました。年初/期初に、その目標管理(MBO)の中で個人の売上目標を決めていました。ただ、その目標管理で計画されていた内容は、会社から与えられた売上目標と人事計画に関わることでした。例えば、下記のような事が計画されていました。

◆ 会社が指定した販売目標(売上目標)
◆ キャリアプラン(今後のキャリアとしてチャレンジしたいこと)

年初/期初に目標管理(MBO)を決定するのですが、営業マネージャーと営業担当者との間で、定期的にその達成度や進捗状況についての話し合いは行われていませんでした。

(【参照】事業と個人の両方の成長に向けた「社員の実行力」を強化する! ~ 成長している企業が実施している目標管理(MBO)の運用方法の解説

年間/半期という期間で面会計画を立てている営業担当者はいませんでした。また、そのことを指示している営業マネージャーもいませんでした。

「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」原因とその対策とは

「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」原因とは!

「期間ごとの計画や管理に関する状況の分析結果」について解説しましたが、「多くの企業の営業組織は、短期の視点での計画や管理に偏っており、そのために様々な対処が場当たり的になっている!」という状態でした。

営業担当者だけが短期的な視野になっているのではなく、部長や課長などの営業マネージャーまでも短期的な視点でした。多くの企業の売上予測と行動計画の対象は最長でも「1ヶ月」というものでした(一部の営業チームは3ヶ月先までの売上予測を管理していました)。

営業マネージャーから、「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」とよく伺いますが、その原因は、この短期的な視野が大きく影響していました。短期的視野のために、「毎月の売上」「毎週の訪問件数」などの金額や件数などの数字的ノルマばかりに追われていました。これが「営業担当者たちを考えないようにさせている!」原因でした。

「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」その2つの対策

「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」の対策を実施し、売上目標を達成していくためには2つの対策が必要です。

1つ目は、短期的な計画と管理だけではなく、年間や半期という中期的な観点での計画をたてることです。中期的な観点で面会計画や売上の予測をすることで、「営業という仕事」に営業担当者自らの目的や意義が伴うようになります。リーダーシップ理論では「長期的な視野を持つことは、仕事の意義を感じることに関係がある」と説明しています。

特に、目標管理(MBO)に、半年/一年という中期的な視点での「営業担当者自らが決めた達成目標」を設定することが大切です。自ら決めたことなので意欲的にその達成のための活動計画を行うようになり、目的意識を育みます。その「営業担当者自らが決めた達成目標」は、会社から与えられた売上目標達成に貢献する副次的な達成目標にすることが望ましいです。

2つ目は、組織やチームが成長するための活動(チームによる問題解決)を推奨し、実施させることです。「短期的な目標達成のための活動」と「組織やチームが成長するための活動」は全く別物です。営業担当者たちが自ら「組織やチームに貢献する」活動をすることが個人も成長させます。

その活動を通して、組織やチームの中での自らの存在価値を見出していきます。半年から一年くらいの長さで、このような挑戦をさせることで、短期的な視野だけの状態から脱却するようにします。

(【参照】どうすれば成長意欲のある社員を増やし、事業成長に貢献する自主的な行動を増やすことができるか? ~ 事業を成長させるための仕組み『事業成長への行動』推進モデル

以上2つの対策は、改善プロジェクト/変革プロジェクトとして行うことが効果的です。例えば、経営者や事業トップが営業マネージャーたちへ「今から中長期の目標設定を行うこと!」「組織やチームが成長するための活動をすること!」と指示しても、今までこのようなことを実践したことがない営業マネージャーにはどうしたらよいかわかりません。

そのため、伝言ゲームのようにそのことをメンバーたちへ「今から中長期の目標設定を行うように!」「組織やチームが成長するための活動を行うように!」と上から下にただ落とすだけとなります。これでは、その後、実行されることはないでしょう。このような活動は、改善プロジェクト/変革プロジェクトとして実行することが大切です。

「営業担当者たちが会社をやめてしまう!」という問題が起こっていた!

営業力診断(営業力アセスメント)を通して、もう1つの問題である「若い人が会社をやめてしまう」原因も見えてきました。

営業マネージャーから「営業担当者たちは言われたことしかしない!」ということを聞きます。ですが、若い営業担当者たちと話をしますと、実際には学習意欲も高く、素直で、「いろいろと考えている!」と感じさせる営業担当者たちは多かったです。例えば、私たちが営業の基礎理論や合理的/効果的な営業手法のトレーニングを行うと、「吸収しよう」という意欲が高く、学ぶだけではなく、熱心に実践していました。営業マネージャーたちが感じていることとは逆で、「目標を達成しなければ!」という決意も高く、それを実現するための理論や方法を学ぼうとする意欲も高いのです。

そのような若い営業担当者たちと話をすると、営業マネージャーたちの管理や指導について、下記のような不満を持っていました。

◆ 営業マネージャーの教えてくれることはカンや経験によるもので古臭い。
◆ 場当たり的な助言で理論的でない。だから頻繁に言っていることが変わる。
◆ 自分の古い営業のやり方を押し付けてくるし、そのとおりやらないと怒る。
◆ 「意欲を出せ!」という精神論が多い。

若い営業担当者たちが辞めてしまう会社の特長とは?

若い営業担当者たちを採用できない、若い営業担当者たちが会社に定着しない会社には下記のような傾向がありました。

◆ 年配の人が営業マネージャーのポジションを占めている。
◆ 営業マネージャーの管理方法が古い。新しいITやツールが効果的に使われていない。
◆ 営業教育がない。もしくは古い。理論に基づいた教育カリキュラムが用意されていない。
◆ 年功序列の給与体系、意欲を引き出す仕組みがない。
◆ 評価の納得感が低い(上司の思惑に左右される)、不透明で公平ではない。
◆ 新しい営業手法(セールスメソッド)に挑戦していない。

つまり、営業組織/営業の仕方が古いのです。ベンチャー企業の営業マネージャーですら、上記のようなことをしていました。このような状況では、営業担当者たちが自ら考え行動することはありません。そして、その会社に定着しようとすらしません。若い営業担当者たちは自分が成長でき、チャレンジできる環境を求めているのです。

営業マネージャーの仕事を見直そう!

「営業担当者たちは言われたことしかしない!」「営業担当者たちが考えなくなった!」「若い営業担当者たちが集まらない、営業担当者たちがやめてしまう!」という問題を解決することは簡単ではありません。全ての営業マネージャーを若い人に変えてしまうことなどできませんし、ITツールをただ導入しただけでは営業管理の方法は変わりません。

そのために、私たちがご提案していることは「営業マネージャーの仕事を見直すこと」から始めることです。ほとんどの企業の営業マネージャーは、大きく分けて3つの仕事を担っています。

◆ 対外的な役割(お客様や取引先や地域との関係性の管理)
◆ 目標達成のための日常管理
◆ 業務の管理体制/評価/営業の育成などの営業業務の設計

以上の3つのうち、営業マネージャーが自らの役割として行うべきことを、「対外的な役割」と「目標達成のための日常管理」の2つに限定します。「業務の管理体制/評価/営業担当者の育成などの営業業務の設計」は営業マネージャーの仕事から外し、外部のプロフェッショナルに依頼します。

組織成長と目標達成を成し遂げるための営業業務モデルへ変化させるためには、様々な理論を研究し、その理論の実践経験にも精通したプロフェッショナルだから適切に行なうことができます。営業マネージャーは、「対外的な役割」や「目標達成のための日常管理」の2つの任務を担うだけでも手一杯です。「業務の管理体制/評価/営業担当者の育成などの営業業務の設計」は、片手間でできるような単純なものではありません。

大手企業の場合、このような部分は「営業企画部」という専門部署が担っています。ですが、中堅企業/中小企業では「営業企画部」を担う社員がいません。また、そのような経験を持つ社員も不足しています。そのために、営業マネージャーが兼務して行っていることが多いのですが、営業マネージャーは過去の今までのやり方や経験を重視するために新しいことを導入したりチャレンジしたりしません。そのために、営業が古臭いままなのです。この部分を、営業マネージャーの仕事の一部にしてしまっていることが問題なのです。

繰り返しになりますが、業務の管理体制/評価/営業担当者の育成などの営業業務の設計の部分は営業マネージャーから切り離し、外部の専門家とともに構築することが効果的です。現在、このようなマネージャー業務を外部にアウトソースする企業が増えています。営業マネージャー業務は高度な仕事へと変化したためです。そうすることで、下記の対策を取り、段々と古臭い営業から今の時代に見合う新しい営業体制へと変化できるようになります。

◆ 新しい営業ツールや営業手法の導入
◆ 新しい営業管理環境の構築
◆ 新しい営業理論や教育体制の充実

(【参照】【コンサルティング】営業マネージャー業務代行サービス ~ 営業マネジメントができる組織を作り、今までとは違う結果を達成する!(Sales Management Outsourcing Service)

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「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちがすぐやめてしまう!」対策を始めよう!

「営業担当者たちが言われたことしかしない!」「営業担当者たちがすぐやめてしまう!」という理由とその対策について解説しました。

是非、今回解説した対策をあなたの会社で実施してください。営業という仕事は益々難しくなっています。過去と同じ営業方法では、若い人も集まりませんし、せっかく採用したとしても辞めてしまいます。今回解説した対策は簡単ではありませんが、実施しなければ企業が成長することができません。実行してもうまく行かなければ、私たちが営業力診断(営業力アセスメント)を通して、うまくいかない問題点を含めて明らかにします。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。私たちがプロフェッショナルとして、あなたの会社の営業企画部の立ち位置で、新しい営業業務/管理体制の構築をお手伝いします。是非私たちにお問い合せください。あなたの会社が長期的に成長できる営業組織になることをお祈りしております。

(本ノートは、2016年12月23日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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