営業目標達成が年々厳しくなる中、できるマネージャーたちが行っている「数字づくりのギャップ対策」

営業部門にとって今年一年の営業目標を達成することは必須なことです。ですが、毎年大変な苦労をしているのも実感ではないでしょうか?

営業である以上目標達成は当然のこととは言え、年々達成することが厳しくなっています。
「年初・期初に見込んでいた商談や案件が見込み違いだった!」
「新しい商談や案件を発掘できずに不足分を補うことが思うようにできない!」
など、「当初の売上見込みとのブレがだんだん大きくなる」ということにも直面しています。

営業目標を達成できるマネージャーはこのような状況においても、しっかり「数字づくり」が出来ています。
今回は、年々営業目標達成が難しくなる中、できるマネージャーが行なっている「数字づくりのギャップ対策」について解説します。

できるマネージャーたちはしっかり数字づくりのギャップ対策をおこなっている!

営業目標達成が厳しくなっている営業の状態とは!

新年度(新しい期)の営業活動がスタート!

毎年・毎期のはじめに、会社が立てた経営目標にもとづいて営業部門の売上目標額が決まります。
その営業目標額は、例えば「前年度の売上実績に対して10%増加した数字」などのように決定されます。
営業部門の営業目標が決まると、それが営業部、営業課、そして、営業個人の営業目標として配分されます。

そのような一連の流れを通して、新年度が始まり、営業たちは新たな営業目標達成に向けて商談に取り組み始めます。

3ヶ月・4ヶ月と時間が過ぎていくと、営業目標に対する達成度がだんだん悪くなってきます。
そうすると、マネージャーは営業に対して、「目標の達成度が良くない。このままでは営業目標が未達になる! もっと頑張るように!」と厳しい状況を伝え、とハッパをかけます。

これに対して、営業も現在取り組んでいることを報告します。その主な報告内容は、それぞれの商談の進捗度合いや売上予定日です。

  • この商談は、なかなか予算がつかない
  • 競合が商談に関わってきて、大変になっている

  • 営業たちも目標を達成しようと頑張って取り組んでいます。
    マネージャーも、この段階では「まだ年度末・期末までに時間があるからなんとかなるだろう!」と考えています。


    期末が迫ってきた!

    そして、だんだん期末が近くなってくると、下記のような悪い報告が増えてきます。
  • この商談は受注できなくなった!
  • この商談は来期へ延期となった!
  • この案件は、お客様が買う気にならなかった!

  • それに対して、マネージャーは、「とにかく何とかしろ!」という語気を強めた指示に変わってきます。
    そして、期末が迫っているこの段階では、合理的な対策が取り組まれず、「なにしろなんとかしろ!」という営業の気合と根性を頼りにした指示ばかりになります。

    営業たちも手持ちの見込み案件が少ない状況ですので、売上が思うように回復しません。
    営業は、何しろ買ってくれそうな案件を探すことに集中し、買ってくれるならば大きな値引きをし始めます。
    また、来月・来年に売上見込みの商談を前倒しして受注しようとします。
    最終的には、何とか数字を作って、やっとの思いでその年を乗り切ります。

    年度末・期末とともに迎える来期の営業目標設定!

    年度末・期末とともに迎えるのが来期の営業目標の設定です。
    企業は継続して成長する使命を負っています。そのため、経営層は今期よりも営業目標額を増やそうとします。

    ですが、前述通り、営業は来期受注予定分まで値引きまでして今期中に売り上げてしまっています。
    営業が取り組んでいる案件総数が少なくなっているのですが、営業目標だけが増えるのです。

    多くの営業組織がこのような悪循環におちいっています。
    多くの営業組織では、このような悪循環を打破しなければならないのですが、それが出来ずにいます。

    なぜ、毎年営業目標の達成が厳しくなっているのか?

    このような悪循環の状況になってしまう原因は3つあります。

    だんだん競争が厳しくなる!

    1つ目の原因は、営業状況がますます厳しくなっていることです。
    顧客の購買意欲がとぼしくなったり、競合との優位性がなくなったり、価格競争に巻き込まれ簡単に販売できなくなっている、などです。

    多くの顧客は既に多くの設備などの資産をもっており、「どうしても購入しなくてはいけない!」という商談は少なくなっています。
    コスト意識も徹底し、投資対効果のあるモノしか購入しません。
    購入するにしても、多くの商品情報を手に入れて価格面や機能面で比較検討を行い、より厳格に判断するようになっています。

    そんな中、競合は機能面や性能面などで商品力を高めてきますから、私たちの商品と大きな差はなくなりつつあります。
    圧倒的な低価格で販売を増やしているライバル会社が出現するなど、価格競争にも厳しさを増しています。
    撤退するライバル会社もありますが、その一方で以前は競合することがなかった新しいライバル会社も発生し、少ない需要を奪い合う状況が続いています。

    そんな状況ですが、「なんとかしなければいけない!」のが営業です。

    年初・期初の計画と対策が不十分!

    2つ目の原因は、営業状況がますます厳しくなっているにもかかわらず、営業目標の達成に向けて年初・期初に計画的な対策の検討ができていないことです。

    「なにか買うものがありませんか?」という御用聞きの営業(ルートセールス)をしていて商談が見つかる時代ではありません。お客様は、そのような単なる御用聞き営業に依頼するよりも、自分でインターネットを使って探します。
    ですが、多くの営業組織は以前と同じようにカンと気合で頑張って何とかしようとしています。
    営業目標の達成に向けて年初・期初に計画的・合理的に検討していないために、営業目標の達成がだんだん難しくなっているのです。

    毎月の営業目標管理が不十分!

    そして、年初・期初に十分な計画ができていませんから、毎月の営業管理・毎月の営業対策が中途半端な状況になっています。
    多くの営業組織が行っている営業目標管理は下記のようなものです。
  • 今月の売上予定金額
  • 来月の売上予定金額
  • 商談の進捗度の確認

  • 上述のように、多くの営業組織は、今月・来月の営業目標に対しての売上予測額は管理していますが、年間営業目標・期間営業目標に対する達成度と現在の商談総額の状況を捉え、営業に対して具体的な指示をしているマネージャーはほとんどいません。

    上述したとおり、営業状況がますます厳しくなっているにもかかわらず、多くの営業組織のマネージャーたちは景気の良い時代の営業マネジメント方法で営業管理と対策を行っているのです。

    できるマネージャーたちが行っている数字づくりのギャップ対策とは!

    このような厳しい営業状況においても、しっかりと営業目標を達成しているマネージャーは、年初・期初にしっかりとした数字づくりのための計画を立案し、毎月その達成度を測りながら取り組んでいます。
    前述したマネージャーとは違い、できるマネージャーたちは下記のような具体的な数字づくりのギャップ対策を行っています。

    年初・期初にしっかり現状の把握する!

    前述したとおり、多くのマネージャーは、年初・期初に営業目標額を決定するだけで新年度をスタートしています。ですが、これではあまりにも準備不足・計画不足です。

    マネージャーにとって、年初・期初にしっかりとした現状把握をすることは必須条件です。
    まずは、現在の商談リストの商談状況の把握から始める必要があります。
    具体的には、下記のような分類で保有している商談状況を把握します。
  • [分類a] 成約の可能性が高い案件の総額
  • [分類b] 意識的に取り組まないと成約が難しい案件の総額
  • [分類c] 営業目標作成の為に「売れるんじゃないか?」と営業が期待している見込み案件の総額

  • 例えば、この営業グループの営業目標が10億円、そして、商談リストを精査するとそれぞれの総額が下記だったとしましょう。
    [分類a]が、2億円 目標との差: 8億円
    [分類b]が、4億円 目標との差: 4億円
    [分類c]が、2億円 目標との差: 2億円

    この場合、成約の可能税が高い案件が2億円ありますから、その分を差し引きますと目標達成までに8億円分の受注が必要です。
    マネージャーは、この8億円を埋めるための施策を検討する必要があります。

    以上のように、まずマネージャーは年初・期初に「営業目標を達成するには本当にいくら足りなのか?」そのギャップを正確に把握することが大切です。
    それができるから、このギャップを埋める数字づくりの対策に取り組むことができるようになるのです。

    目標とのギャップを埋める施策を実施する!

    ギャップが明らかになったら、営業が取るべき対策は下記の4つです。
  • [分類a]の成約の可能性が高い案件を確実に受注する
  • [分類b]の意識的に取り組まないと成約が難しい案件を[分類a]にする
  • [分類c]の営業目標作成の為に「売れるんじゃないか?」と営業が期待している見込み案件を[分類b]にする
  • 新たな[分類c]となる機会を発見する

  • 一般的なマネージャーは、「目標の達成度が良くない。このままでは営業目標が未達になる! もっと頑張るように!」という抽象的な指示しかできません。
    ですが、継続して目標達成を続けるマネージャーたちは、そのような抽象的な指示ではなく、上記のような具体的な指示をしています。「具体的な指示ができること」が継続して目標達成ができるポイントなのです。

    そのためにも、営業目標と現状のギャップは、チーム全体のものと営業一人ひとりのものを準備することが重要です。
    営業営業一人ひとりのギャップを明確にすることで、「全員新規の商談を開拓するように!」という一律の、かつ、具体性のない対策の指示ではなく、一人ひとりにより具体的な対策の指示をすることができます。

    例えば、下記のような営業一人ひとりの状況に応じた具体的な指示です。
  • Aさんは目標金額に対して、案件数を積み上げても6000万円足りない。[分類c]の案件をしっかり作る。そのためのプランを検討しよう。
  • Bさんは、目標金額に対して新規の商談数は十分だから、現状の商談を確実に受注するように!

  • 以上のように、営業一人ひとりの状況に見合った具体的な対策の指示へと変えることができます。
    だからこそ、営業一人ひとりの活動の質を高めることができます。しっかりチームの目標を達成する営業マネージャーには、このような営業一人ひとりの状況に応じてしっかり指導・コーチングするための能力が求められているのです。

    また、ギャップを埋めるためには、下記のようなことで営業と話し合い、具体的な重点取組項目について合意します。
  • どのお客様を重点とするか?
  • 新規お客様への営業活動、既存のお客様への営業活動、どちらを重視するか?
  • どの商品の商談開拓を重視した行動をするか?

  • このように営業目標の達成に向けたギャップを埋める数字づくりの対策を明らかにして年初・期初を迎えるのです。


    毎月のように達成度を確認し、追加対策を実施する!

    さて、新年度が始まったら、その達成度を継続して把握します。

    例えば、4月の新しい期が始まり、その半年間の営業目標が10億円だったとしましょう。
    その期初の状況は下記でした。
    [分類a]が、2億円 目標との差: 8億円
    [分類b]が、4億円 目標との差: 4億円
    [分類c]が、2億円 目標との差: 2億円

    さて、4月、5月、6月、7月の4ヶ月が終了しました。その時点での数字が下記でした。
    [受注] 7億円の受注済み
    [分類a]が、1.5億円 目標との差: 1.5億円
    [分類b]が、0.5億円 目標との差: 1億円
    [分類c]が、3.0億円 目標との差: なし

    上記のように、毎月の商談の状況を把握します。これによって、年初・貴社に計画した対策をそのまま継続するか、追加の対策が必要なのかを明らかにすることができます。

    できるマネージャーは、上記のような目標と現状のギャップによる数字づくりの対策を行っているのです。
    そして、このようなマネージャーは部下たちの信頼度も高く、部下もマネージャーを信頼して率先した行動に取り組んでいます。

    年初・期初の「数字づくりのギャップ対策」における目標設定はとても大切!

    営業にとって、年初・期初のギャップ対策はとても大切なのです。ですが、しっかり取り組んでいる企業・マネージャーは多くありません。
    営業マネージャーがしっかり取り組むことで、その営業チームの目標達成の可能性が格段と高まります。

    できるマネージャーは、このコラムの中でご案内した目標と現状のギャップによる数字づくりの対策を行っています。
    本来はすべてのマネージャーがこのようなマネジメントを当たり前のようにできなければならないのです。

    私たちは、この「数字づくりのギャップ対策」をクライアント企業内で導入するお手伝いをしてきました。
    その活動を通して、この方法を営業組織内に定着するには、下記のような手順でしっかり取り組むことが効果的であることがはっきりしました。

  • 現在の営業状態の診断
  • 年初・期初の現状把握の体系の確立
  • レポート方法の決定
  • マネージャー向けトレーニング
  • 営業向けトレーニング

  • 是非、貴社でも取り組んでください。貴社の目標達成の可能性は格段とあがります。

    もし、上記に基づいて取り組んでもうまくいっていない場合には、遠慮なくお問い合わせください。私たちが、貴社の営業マネージャーの営業管理能力強化の支援をいたします。


    (本コラムは、2009年7月30日に書かれたものを再編集しました)
    文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
    Copyright (C) 2009-2019 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.

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