営業マネージャーの「3つの質問」で売上見込の精度と目標達成意欲が向上する

クライアント企業を訪問した際、多くの営業パーソンと話しますが、時々びっくりすることがあります。
それは、
「今月の売上目標はいくらですか?」
「今月はどのくらいの見込がありますか?」
「その差はいくらありますか?」
と聞いても、すぐに答えられないのです。

この質問に対して、すぐに回答できる営業パーソンと回答できない営業パーソンとでは、売上目標達成の可能性が大きく違います。当然のことながら、売上目標と見込の差をすぐ言える営業は売上目標を達成できる確率が高いのです。

売上目標達成に対する営業パーソンの意欲の低さや、会社経営上の大問題にもなる売上見込の予測精度の悪さについて、悩みを抱えている経営者や営業マネージャーは多いです。
どうすれば、営業パーソンたちが自らの売上目標を達成できるようになるのでしょうか?
これが今回のテーマです。
そのためのマネジメント方法はいくつかありますが、そのうちの1つ「売上見込の確認方法」をご紹介しましょう。営業マネージャーの質問の仕方で確実に改善できるのです。


営業マネージャーが「3つの質問」を効果的に使えば、売上見込の精度と目標達成意欲が向上する

マネージャーが行うべき売上確認方法とは?

まずは、それぞれの営業パーソンたちがどのような状況かを確認してみましょう。そのために、下記の3つの質問を営業パーソンたちに質問してみてください。(既にやっていると思いますが…)
「今月の売上目標はいくらですか?」
「今月はどのくらいの見込がありますか?」
「その差はいくらありますか?」
これらの質問をしたときの営業パーソンたちの回答は概ね3つのパターンに分類できます。


回答パターン1. 「今すぐにはわからないです」、結果は運次第…

「今すぐにはわかりませんねえ。後で数字を整理してみないと…」

と、数字の整理すらしていないパターン。最も売上目標達成の可能性が低い営業パーソンです。
この回答パターンの営業パーソンが売上目標を達成できないわけではないのです。たとえば、景気が良く投資が活発なお客様を “運良く” 担当している場合には、このパターンの営業でも売上目標を達成できます。
ですが、お客様の景気が悪くなると急に売上が落ち込んでしまうことが多いです。
すなわち “運良く…” なのです。


回答パターン2. 資料確認しながら答え、一応わかってはいる…

2つ目のパターンは、資料やパソコンで確認してから、

「ええっと、今月の売上目標は3,000万円ですね。そして、今月は既に1,000万円の売上があって、あと1,000万円くらい見込があります。なので、2,000万円くらいは売れそうです。目標に対してだと1,000万円くらい不足しています」

と答える営業パーソン。
集計はしているのですが、頭の中に記憶できていません。
このケースの営業パーソンは、仕事にはしっかり取り組んでいるのですが「この売上目標自体、会社が勝手に決めて押し付けた数値でしょ!」と他人事のように捉えている傾向があります。


回答パターン3. 即座に明瞭に即答できる

3つ目の回答パターンは、まっすぐに営業マネージャーを見て、

「売上目標は、4,000万円です。今月は4,500万円の見込みがあり、500万円ほど上乗せして達成できます」

と、直ぐに答えることができる営業パーソン。売上目標や現状を常に認識している証拠です。

このパターンのように、常日頃から
「今月の売上目標はいくらですか?」
「今月はどのくらいの見込がありますか?」
「その差はいくらありますか?」
の3つの質問にすぐ回答できる営業パーソンは、売上目標の達成の可能性が格段に高いです。

では、どうすればパターン3の営業パーソンを増やすことが出来るのでしょうか?


マネージャーの日頃の会話が営業を育てる

このような営業パーソンを育てるための一番の方法は、営業マネージャーが「3つの質問」を日頃から質問することです。ミーティングだけでなく、お互いに席についているちょっとした時間なども、営業パーソンへ質問できる機会。すかさず尋ねましょう。
「今月の売上目標はいくらですか?」
「今月はどのくらいの見込みがありますか?」
「その差はいくらありますか?」

その質問が頻繁に行われていると、徐々に営業パーソンは日頃の売上目標やそのGAP(差)を意識するようになっていきます。


3つの質問を日常的にする、すなわち「組織の風土を変革する」ということ
この3つの質問は単純明快で、かつ、営業にとっては根本的な内容です。
しかし、私たちが過去に営業力強化の支援をしたクライアント企業のマネージャーたちは「このようなことは営業パーソン個人の意欲の問題」と考えていました。
マネージャーたちは「私がいちいち聞かなくても、営業パーソンが自ら確認しておくべきことだ!」と考えているのです。
そのため、毎月の営業レポートには書かせていますが、日頃の会話の中でこの3つの質問が使われることがなかったです。

これでは、月に1回しか営業パーソンが売上目標とその差のGAPを認識する機会がなく、常に売上目標を意識し達成する意欲を育てることができません。
「売上目標達成への営業パーソンの意欲を育てる」という問題は、企業の営業力に極めて大きなことだと認識していただきたいです。
「営業パーソン個人の意欲の問題」と考えるのではなく、「会社や組織として、営業パーソンが目標とその差を常に意識できる風土や環境の課題」と捉えることが重要です。
そして、経営者や営業マネージャーは、常日頃から「営業パーソンが売上目標と見込の差を認識する」、そんな営業組織風土や環境を作ることが重要な役割なのです。

「営業が売上目標や見込を認識しているかどうか?」
マネージャーは、このことを少なくとも週1回は営業パーソンに確認する風土や環境を作ることが、営業力強化の第一歩となります


日常の会話以外にも「3つの質問」の確認方法がある~営業パーソン自身が目で確認できるツールを増やそう

最近は、ITツールも進化し、かつ、営業パーソンがお客様との面会の時間をもっと持てるようにするため、朝から晩まで社外に出かけているのが現状ではないでしょうか。
そのため、マネージャーと営業パーソンがこの「3つの質問」について話す時間がとりにくくなっているのもクライアント企業からよく聞く話です。
そのような状況では、商談管理ツールを使うのも一つの方法です。
商談管理ツールによって商談を進捗で管理する仕組みを作り上げれば、売上目標と売上見込のGAP(差)を常に確認できるようになります。
また、壁にそれぞれの営業パーソンの売上目標とその達成度を貼りだし、常に目にできる環境にすることも効果的です。防火上の問題がありますのでくれぐれも注意して行いましょう。
どのような方法であれ、常に「言葉として話す」「目で見る」風土や環境を作ることが大切です。

風土や環境が変わり、「3つの質問」が当たり前となっていくと、営業パーソンが成長していきます。
「その差はいくらありますか?」の質問にもすぐに回答できるようになった営業パーソンには、「しっかり記憶して、すぐに回答できるようになったな!」と認める言葉が大事です。その一言がさらなる営業へのモチベーションを高めます。


3つの質問が定着したら、さらに次のステップへ営業力の強化を進めましょう!

3つの質問が定着したということは、「頑張れ!」という掛け声だけの営業管理の状態から脱出できる状態です。いよいよ次のステップに入ります。
売上目標とその差(GAP)を日頃から認識できている段階から、「その差をなくし、目標を達成するためには具体的に何をするか?」について話し合い、計画的な営業へとさらなる成長に向かうステップです。
勘や根性や足で稼ぐ営業から、知的・戦略的な営業活動を実践できる営業組織へと移行していきましょう。

その知的・戦略的な営業へとなるために、営業パーソンにトレーニングを行なうのも一案です。
この知的・戦略的な営業が実践できるトレーニングについては、弊社の他コラムでも数多くの方法をご紹介しています。
(私たちは、法人営業の基礎・新規商談開拓力強化・積極的営業の手法・ソリューションセールスなど、様々な課題を解決する営業力強化ソリューションを提供しています。)
あなたの会社の営業の問題や課題に応じて、必要なコラムを参照下さい。

今回は、そのような知的・戦略的な営業のトレーニングを実施する上での重要ポイントを少しだけ解説します。
営業のトレーニングは、何でも良いから漫然と受けさせているようでは営業力強化につながりません。営業の業績を確実に向上できる具体的な課題にもとづいたトレーニングを実施することが重要です。
また、営業パーソンのスキルを向上するトレーニングだけではなく、「営業マネージャーの管理・マネジメント力を強化すること」が更に重要です。私たちが多くのクライアント企業の営業力支援をしていて、強く感じていることがあります。
それは、は、営業成績向上への本当の鍵は「営業マネージャーの管理・マネジメント力」にこそある、ということです。
(営業パーソンたちの営業活動に関する課題、営業マネージャーの管理能力の問題点、どちらも発見しづらいものです。そのため、私たちは営業力の課題診断アセスメントサービスを提供しています)

貴社の営業力を更に強化するために、まずは今回ご紹介した内容「3つの質問」を、ぜひあなたの会社の営業マネージャーと取り組んでみてください。
必ず成果が出ます。
「取り組んだが成果が出ない」のであれば、成果が出ない別の原因があることを意味しています。
一緒にその原因を探り、解決方法を検討しましょう。是非ご連絡ください。
あなたの会社の営業力を確実に強化するための支援を致します。


(本コラムは、2008年3月17日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
Copyright (C) 2008 – 2018 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.


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