事業成長&組織問題解決ケーススタディ「エンジニアリングサービス会社」 ~ 組織の業績(パフォーマンス)に悪影響を及ぼす組織問題の解決力を強化!

今回は、エンジニアリングサービス会社が行った「組織問題解決の事例」について紹介します。このエンジニアリングサービス会社は、組織が直面しているパフォーマンスの問題を解決するために、私たちの「チームによる自主的な組織問題解決」プログラムを導入しました。

多くの企業が「自ら考え行動し、結果を出す社員」を求め、社員がそのような行動をすることを期待しています。ですが、満足できる状態までには至っていません。社員たちはたしかに真面目に仕事をしてくれているのですが、「組織成長への貢献」という観点ではまだまだ改善すべき余地はたくさんある状態です。それを改善すれば、組織が力強く成長することができます。

このノートでは、このエンジニアリングサービス会社が「チームによる自主的な組織問題解決」プログラムを行うことになった背景と実施した効果について解説します。

組織の業績(パフォーマンス)に悪影響を及ぼす組織問題の解決力を強化!~ 事業成長&組織問題解決ケーススタディ「エンジニアリングサービス会社」

事業の成長を実現するために、社員の貢献力の強化が必要だった!

「チームによる自主的な組織問題解決」は、企業にどのような効果をもたらすか?

私たちは「チームによる自主的な組織問題解決」という事業成長ソリューションを提供しています。これは社員の「組織問題解決力」を強化することで、組織の目標達成と持続的な成長を目指すものです。

「チームによる自主的な組織問題解決」は、その名の通り「チームとなって自主的に組織問題解決を実行し、組織の業績を改善する(パフォーマンスを向上する)」プログラムです。多くの企業がこのようなことを行おうとしていますが、様々な問題や障害に直面し、最後までやり遂げることなく終わっていることが多いです。

このプログラムは、そのような様々な問題や障害を乗り越え、「組織の業績を改善する(パフォーマンスを向上する)」体系的な実行方法を学び、その後、そのチームの行動を組織内に定着させることを目的としたものです。

「チームによる自主的な組織問題解決」は、下記で説明していますので、そちらも合わせてお読みください(現在は、名称を「【事業成長力強化研修】チームで挑戦する『事業成長への行動』推進モデル」へ変更しています)。

【事業成長力強化研修】チームで結果を出す『事業成長プロジェクト』実行メソッド ~ 事業成長に挑戦するための組織問題解決力とプロジェクト遂行力の強化!(Project Execution Model for Growth)

どうすれば成長意欲のある社員を増やし、事業成長に貢献する自主的な行動を増やすことができるか? ~ 事業を成長させるための仕組み『事業成長への行動』推進モデル

このプログラムを通して、どのような結果を成し遂げるのか?

エンジニアリングサービス会社A社は、企業として高い成長率を掲げ、成長に向けてチャレンジしている会社です。A社は「組織として成長するための重要課題の1つが『人材』」と考えていましたが、社員たちの組織成長への貢献度や問題解決力には満足できていませんでした。普段から真面目に仕事をしてくれていますが、「自ら考えて主体的に実行している」とは感じられず、そのような社員を増やす必要性がありました。ちょうどその時に私たちがこの「チームによる自主的な組織問題解決」ソリューションを提案し、その実行を決断されたのです。

A社は1つのチーム(通称チームN)を選定して、このチームNが「チームによる自主的な組織問題解決」を行うことにしました。チームNは設計エンジニアが集まったチームで、製品設計を業務としていました。このチームNの業績は、他のチームと比べても劣っている状況でした。彼らは仕事に対する責任感はあるのですが、それが業績向上につながっていなかったのです。チームNは、下記を行うことで、最終的にチームとしてのパフォーマンスの向上を目指すことになりました。

◆ 業績改善(パフォーマンス向上)するための仮説を立案する。
◆ 立案した仮説を最後まで遂行する。

組織成長に向けたチームの活動が始まった!

業績を向上するための仮説を設定する

問題の特定から始めた!

チームNは、まず、以下のことから始めました。

◆ 業績悪化に影響している要因を特定すること
◆ そのための解決策を立案すること

チームでブレインストーミングを行い、業績に悪影響を及ぼしている要因を複数リストしました。そのリストされた要因のうち、今回は「離職率の高さ」を解決することを決定しました。ちょうどチームNが属する事業部でも、離職率の高さが問題となっていたのです。また、チームNの離職率も、他のチームと比べて悪い状態でした。

テーマが決まりましたので、次に、彼らは「離職率が高い原因はなにか?」、そして、「どうしたら減らせるか?」の検討をはじめました。チームはインターネットで離職率に関わる記事を見つけ、活用し始めました。その記事には「一般的な退職理由」が紹介されており、その退職理由を1つ1つ確認しながら、「チームNでの過去の退職理由には何があったのか?」を思い出そうとしました。その作業の結果、離職率が高い主な原因は、「希望する仕事ではない」と「会社が方針を伝えていない」ことだと結論づけました。

次は、この「離職率の高さ」を解決するための達成目標と実施計画を検討する段階ですが、ここで障害に直面しました。「希望する仕事ではない」と「会社が方針を伝えていない」ことに対する具体的な達成目標と実施計画を決めることができなかったのです。「希望する仕事ではない」と「会社が方針を伝えていない」についての対策を話し合っても、出てきた意見やアイデアは、「上層部の方針をもっと伝える」「リーダー間で困りごとを共有する」「中間層の能力を強化する」のような抽象的な行動計画しか思いつかない状況でした。

達成目標と実施計画が決められない!

このチームNのように、「達成目標や実施計画を決められない」ということは、A社だけではなく、他の多くの企業でも発生している問題です。この主な原因は、「データを活用して、定量的に現状を把握できていない」ことです。チームNは、インターネットの記事を利用して過去の退職理由を特定しようとしましたが、これだと推測しか生み出せません。組織問題を解決するためには、定量的に現状を把握することが大切なのです。そこで、過去数年間の退職者数や退職理由のデータを集めるように助言しました。その後、彼らはデータを探し始めました。

探してみたところ、「チームNの数年間の退職者数」のデータはありましたが、退職理由についてはまとまったものがありませんでした。調査を進めると、人事部が退職者数と退職理由のデータをもっていることがわかりました。これらのデータを活用することで、具体的な達成目標として「退職者数を何名まで減らすか!」の目標数値として決定することができました。

また、「人間関係や職場関係を退職理由にする人の割合を減らす」をその実施計画の1つとすることができました。実際のところ、当初考えていた「希望する仕事ではない」と「会社が方針を伝えていない」という退職理由は、A社ではそれほど高い退職理由ではなかったのです。

多くの社員は、データを活用して分析することが不十分です。そのため、組織としての達成目標や実施計画を特定することができていません。組織問題を解決できるようになるためには、社員の「データを活用して分析する能力」を強化する必要があります。

途中からリモートでのチーム活動へ!

達成目標と実施計画が決まりましたので、チームで組織問題を解決する活動が始まりました。チームNがまず行った活動は、「現在のメンバーたちの不満をあつめる」ことでした。

ここで、チームNは次なる障害に直面しました。「メンバーたちの不満が20個ほど集まったのですが、様々な意見があり、それをどのように利用&対処するか?」がわからなかったのです。このことだけで1ヶ月を超える時間を要してしまいました。そこで「今までメンバーの不満に対してどのように対処しているのか、その対処手順を書き出してみては?」と助言しました。彼らはその助言を受け入れましたが、その対処手順を図示することができませんでした。その理由は、「状況によって対処手順が違う」「今まで感覚的に行っていたことなので『話を聞いて対処する』ことしか思いつかない」ためでした。そこで、業務をプロセスとして表現するプロセスチャートについてトレーニングを行いました。その後、数回のティーチングを行い、最終的に図示することができました。

多くの社員は、自分の業務をプロセスで図示することができません。ですが、組織の業績(パフォーマンス)を改善するためには、業務をプロセスで図示するスキルは必須です。社員が業務をプロセスで図示することができる能力を高める必要があります。

また、この組織問題解決を行っている最中に、コロナウィルスによる緊急事態宣言が発令されました。そのため、この組織問題解決の活動も一旦停止することになりました。その後、A社全体の業務もリモートワークとして再開され、その後、このチームNの組織問題解決もオンラインミーティングツールを利用して進めることになりました(実際に、この「チームによる自主的な組織問題解決」は、オンラインミーティングでも遂行できるようになっています)。

改善結果を取りまとめる

以上のような経緯を経て、約8ヶ月にわたる組織問題解決が終了しました。チームNは、最終的に以下のことを達成しました。

◆ 退職者数の削減(当初設定した目標以上の削減を達成)
◆ 「退職するかも?」と思われる人に対する「発見と予防」、両方のプロセスの確立

この組織問題解決を行う前は、「発見と予防」について意識的に行われている状態ではなく、メンバーから「会社をやめます」と言われて初めて対処している状態でした。また、事後対処ですらプロセス的ではなく、各人が場当たり的に行っていました。今回の組織問題解決では、予防も対処も、その両方をプロセスとして図示しましたので、チームNは、社員の離職に対する意識を把握しながら、より効果的な対策が行えるようになったのです。

プログラム実施後のクライアントの評価 ~ 次は組織成長の仕組みを作る!

約8ヶ月にわたるプログラムが終了し、A社の人事担当マネージャーからは、下記のような評価をいただきました。

社内には、期待する業績を出せていないチームも多く、その業績が悪いチームは「自分で考え行動し、結果を出す」ということが十分ではない状況です。ほとんどの社員は真面目に業務をしてくれますが、真面目なことが組織の成長につながっているわけではありません。今回、チームNのメンバーは、「自分で考え行動し、結果を出す」具体的な方法を体験できました。今後は「このような活動の質を高め、より高い成果を出せるようにすること」と「会社の中で、このような行動の数を増やすこと」にチャレンジします。

「チームによる自主的な組織問題解決」によって、自分で考え行動し結果を出す挑戦を増やそう!

多くの企業の経営者やマネージャーたちは、「社員たちが自ら考え行動し、結果を出すこと」を期待しています。変化が激しい現在において、そのような社員を増やすことは、企業や組織の持続的成長の絶対条件だからです。ですが、今回紹介したA社のように、真面目に仕事をするだけではなく、組織の成長に貢献できている社員は不足している状態です。

まずは、A社のように社員たちが組織成長に貢献する方法を学び、実践できるようになる必要があります。ですが、1回体験したからできるようになるというような簡単なものではありません。繰り返し実行し、組織としてノウハウを蓄積することが大切です。成長できている企業は、そのようなチームによる行動を組織として行っているからこそ成長できているのです。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。力を合わせて、組織として成長する力を強化し、その仕組みを構築しましょう。このチームによる自主的な組織問題解決の具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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