業績が低迷している組織の特長の1つが、「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」 ~ 組織の結果を出すために、社員たちがもっと働くようになる対策とは?

どうすれば、「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」という状況を解決して、社員たちがもっと働くようになるのでしょうか?

事業の成長を目指しているのに、業績が低迷している企業には、いくつかの特長があります。そのうちの1つが、「マネージャーたちは死ぬほど忙しいのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」ということです。

私たちには様々なクライアント企業がいますが、近年、このような状況になっている企業は増えている気がします。どうすれば、マネージャーだけではなく、社員たちがもっと働くようになるのでしょうか?

このノートでは、そのための解決策を解説します。

組織の結果を出すために、社員たちがもっと働くようになる対策とは?

マネージャーは死ぬほど忙しいのに、社員は暇!

私たちのクライアント企業であるA社は、高い事業成長を目指していました。A社は、他社に対して競争力のある製品を販売しており、今までは、お客様からの問い合わせがあった案件を受注する「インサイドセールスによる受注」で順調に売上を増やしてきました。ですが、最近は、その「インサイドセールスの受注」の伸びが低迷し始めました。事業をさらに成長させるためには、営業担当者がお客様へ提案することで受注を増やす必要がありました。

今、A社が直面している問題は、「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」ということです。売上のほとんどをマネージャーが稼いていますが、このような状況では、マネージャーが潰れてしまう危険性がある状態なのです。

A社がそのような状況となった原因には、以下のように複数の要因がありました。

◆ そもそもマネージャーの仕事が多い!
◆ 目標達成の責任感
◆ 人材の育成
◆ 必要以上に社員に対して気を使っている!

そもそもマネージャーの仕事が多い!

マネージャーは、自分の営業活動をするだけではなく、以下のような業務も担う必要があります。

◆ 中長期的な目標の設定や戦略の実行
◆ 部門会議の参加や、レポートの作成などの、参加経営層との連携
◆ 社内の部門間の連携
◆ 部下からの相談、クレーム対応、突発的なトラブル対応
◆ 各種、承認業務

これらの業務は、予想以上に時間がかかります。経営会議などは午前中に行われることが多いために、午前中の時間はなくなります。部下からの相談の対応・社内の調整・トラブル対応は、夕方の時間で行います。さらに、承認業務やレポート作成は、深夜の時間を奪います。そんな中、マネージャーは、お客様への営業活動も行わなければならないのです。

目標達成の責任感

マネージャーは、上層部から目標達成を期待されています。マネージャーたちは責任感が強い人が多く、上層部の期待に応えるべく、チームでの目標達成を目指します。ですが、チームメンバーの能力が十分ではない場合もあります。メンバーに任せても、目標達成に役立ちそうもないのです。

そのために、マネージャーは、チームのメンバーに任せるよりも、「目標達成するためには、自分でやったほうが手っ取り早く結果を手に入れられる、確率高く結果を出せる!」と考えます。結局、「自分でやろう」とするのです。

人材の育成やモチベーションの上場

マネージャーの役割には、社員の能力開発、キャリアパス設計、評価面談など、人事や人材育成も含まれます。さらには、エンゲージメントを高めるために、コミュニケーションをとることも求められます。ですが、朝から深夜まで仕事が手一杯なために、計画的に「個々の社員の能力強化」や「チームとしての能力強化」を行う時間がありません。

社員の能力が低いままでは、チームとしての結果を出すことはできません。ですが、マネージャーが忙しすぎて、その余裕がありません。「コミュニケーションを取らなければ!」と思っているのでが、せいぜい場当たり的なコミュニケーションするのがやっとの状況です。マネージャーたちは、そのようなジレンマに陥っています。短期的な結果を出すために、社員の育成の時間を犠牲にするしかないのです。

必要以上に社員に対して気を使っている!

社員に強く要求すると「パワハラ、と言われるのではないか?」と心配しているマネージャーも多いです。また、社員に強く要求すると、「会社をやめてしまうのではないか?」ということにも、マネージャーは不安を感じています。人を採用することだけでも大変な時代です。社員がやめてしまったら、チームとしての目標達成が厳しくなりますし、「人を採用する」という自分の仕事も増えてしまうからです。

以上で解説した通り、いくつかのパフォーマンスが悪い企業は、マネージャーと社員、それぞれの仕事量が不均衡になっています。マネージャーたちは死ぬほど忙しいのに、社員たちは余裕があって暇な状態です。私たちの経験上、近年、このような企業は増えています。このような状態で、高い目標を達成できることはありません。

「多くの企業が、マネージャーと社員の仕事の不均衡に悩んでいる!」共通点

私たちは、様々なクライアント企業の「事業成長」「マネジメント能力の強化」および「営業力強化」の支援をしています。その中で、「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」という企業の共通点に気づきました。

その共通点とは、「さらなる成長をするためには、次の成長ステージに役立つ仕組みやマネジメントへ進化しなければならないが、今までの仕事の仕組みやマネジメントから変わっていない!」ということです。先ほど紹介したA社は、競争力のある製品を持っており、お客様からの問い合わせを「インサイドセールス」が受注することで成長してきました。その状態では成長できなくなったために、さらなる成長のためにインサイドセールス以外での受注を増やす必要がありました。ですが、仕事の仕組みやマネジメント体制は以前のままでした。

ちなみに、A社以外でも、「インサイドセールスで受注を伸ばしてきたが、そこで業績が停滞している」という問題に直面しているIT企業は多いです。

他の企業の事例ですが、B社は、数人の社員が原動力となって、売上を増やしてきました。ですが、成長が止まってしまいました。そのために、「直接販売の営業人数を増やす」などの量的な対策を行いました。組織としてのさらに高い成長を目指し社員を採用したのですが、マネージャーに昇進したベテラン社員は朝から深夜まで仕事をしているのに、採用した社員たちは余裕があって暇な状態でした。その原因は、新しい社員を増やしても、「数人の社員が原動力となって、売上を増やしてきた!」という当時の仕組みやマネジメントがそのまま行われていたからでした。結局のところ、社員を増やした分、人件費分が財務を圧迫して、業績は低迷していました。

このような状態では、組織や事業が成長することはありません。「さらに成長するためには、次の成長ステージに入らなければならない!」のです。そのためには、「その次の成長ステージで成長できる仕組みを構築する」必要があるのです。

マネージャーと社員の仕事の不均衡を解消する!

「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」を解決して、組織や事業を大きく成長させるための解決策は「仕組み化」です。以下のことを考慮した「仕組み化」を行う必要があります。

◆ マネージャーだけが目標達成に対する責任を持っているのでははく、社員にも目標達成のための責任感をもたせる
◆ 社員の能力と行動力が十分ではない状況から、社員の能力と行動力を高める
◆ 仕事の成果による公平な評価をする
◆ 以上の結果として、「マネージャーだけが極端に忙しく、社員は暇で余裕がある」という仕事量のアンバランスをなくす

このような「仕組み化」を行うために、私たちが推奨している具体的な対策が「ジョブ型制度」です。「ジョブ型制度」は、社員の意欲と能力を引き出し、社員を適正に評価&育成し、企業が成長するために最適なソリューションです。

(【参照】【新・人事制度 構築支援】「ジョブ型制度」の導入支援 ~ 中堅・中小企業の社員の意欲と能力を引き出し、企業を持続的な成長へと導く新しい人事制度を構築する(Human Resource Management, TS-Method)

社員がしっかり働くための「ジョブ型制度」には、以下のメリットがあります。

◆ 社員に求めている仕事の量と質を定める(→ マネージャーと社員の仕事の均衡を図る)
◆ マネージャーが社員を育成するようになる
◆ 社員のモチベーションを向上する(→ 評価をはっきりするので、客観的に公平な評価をする。昇進の規定もはっきりできる)
◆ 必要以上に社員に対して気を使う必要がない

以上のように、仕組み化は、「必要以上に社員に対して気を使っている!」を解決することもできます。「期待する成果を出してくれない社員」が会社にいても組織や事業が成長することはありません。しかし、そのような社員に対して、パワハラなどハラスメントをしてしまうことは問題です。

「ジョブ型制度」でしっかりと業務内容や期待する成果を決め、それを基準としたマネジメントと人事評価をします。多くのマネージャーたちは、「社員がやめてしまう!」ことを心配しますが、ジョブ型制度が整えば、辞めるのは「期待する結果を出すことができない社員」だけです。結果を出している人を評価する仕組みも構築していますから、危惧しているほど、社員が辞めることはありません。

(【参照】営業力強化ケーススタディ「精密機器・機械商社」 ~ 中長期計画の達成に向けて、「営業組織変革とジョブ型制度の導入」を断行し、会社を変え、営業利益を格段に向上させた!

「ジョブ型制度」は、そのような人事制度を作って終わり、というものではありません。マネージャーたちがそれを運用できるように、マネジメント能力を強化することも必要です。マネージャーがしっかりジョブ型制度を理解して運用できるようになるために、以下のマネジメント能力の強化も合わせて行うことが大切です。


(【参照】【マネジメント力強化研修】 リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」 ~ チームを「目標達成」「持続的成長」させるスキルを強化(Manager’s Business Technics)

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組織の結果を出すために、社員たちがもっと仕事をする仕組みを構築しよう!

どうすれば、「マネージャーは朝から深夜まで仕事をして忙しすぎるのに、社員たちは余裕があって暇な状態になっている!」という状況を解決して、社員たちがもっと働くようになるのでしょうか?

マネージャーが忙しく、社員が暇に見える状況は、組織全体の生産性低下につながるため、早急に改善する必要があります。このノートで解説した原因と改善策を参考に、自社の状況に合わせて具体的な対策を検討&実行することが重要です。

そのために必要となることが、次の成長ステージで事業をしっかり成長させるための「(マネジメントの)仕組み」を構築することです。貴社が、さらなる成長を実現するために、ぜひ挑戦ください。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。貴社と力を合わせて問題を発見し、その問題を解決します。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2024年11月30日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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