事業を成長させるためには、「経営計画」「事業戦略」「組織問題の解決」に挑戦することが大切です。ですが、多くの企業の経営者やマネジメントの方々は、社員たちが日常業務だけを行って、事業を成長させるために必要な「経営計画」「事業戦略」「組織問題の解決」に挑戦しないことに不満を持っているのではないでしょうか?
その原因は、「評価の仕組み」に問題があることが多いです。社員たちが、継続的に「経営計画」「事業戦略」「組織問題の解決」に挑戦するようになる「評価の仕組み」について、解説します。
このような事業を成長させる活動に社員たちが挑戦するようになる「評価の仕組み」
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なぜ、社員たちは、持続的に挑戦をしてくれないのか?
企業の経営者やマネジメントの方々と話をすると、「社員は言われたことしかやらないんですよ」「やってよ、と言ってもやってくれないし、言ったときだけしかやってくれないんですよ!」という不満を聞くことがあります。日常の業務を行っているだけでは、事業を成長させることはできません。「もっとお客様に満足していただく!」「もっとライバル会社よりも強くなり、差別化する!」「もっと業務の生産性を向上させる!」活動が必要です。さらには、業務を行っていると、「お客様のクレームが増えている」「社内業務でのトラブルが発生する」「社員がやめてしまう」などの様々な問題が発生します。
日常の業務を行っているだけではなく、経営計画や事業戦略などの達成を目指す「事業を成長させる活動」や「組織問題を解決する活動」を行う必要があります。ですが、企業の経営者やマネジメントの方々が言っているように、社員たちがこのような活動を行ってくれないのです。そして、実際のこのような活動が行われていないために、事業も社員も成長できていない状況となっています。この「社員が事業を成長させる活動や組織問題を解決する活動を行なわない」原因はいくつかあるのですが、その原因の1つが、「評価」です。
「社員は言われたことしかやらないんですよ」「やってよ、と言ってもやってくれないし、言ったときだけしかやってくれないんですよ」という問題に直面している企業の状態を確認し、「評価の仕組み」という観点でどのような対策が必要なのかを考えましょう。
上層部から指示されたプロジェクトをやると評価が下がる?
コンサルティングサービスを提供しているF社は、事業を大きく拡大することを目指していました。そのため、F社は、「コンサルティングサービスの質の向上」「社内業務のアウトソーシング化」「大手顧客との取引の拡大」などの事業の成長に役立つ各種のプロジェクトをマネージャーたちに実施させていました。それらのいくつかのプレジェクトは、当初の期限よりも遅れてしまっていました。また、それ以外は、プロジェクトの実施よりも、日常業務で発生したトラブルの対処が優先されて、途中で中止、または、自然消滅していました。
当初の期限よりも遅れてしまったプロジェクトを担当していたマネージャーは、時間は遅れたもののプロジェクトを最後までやり遂げていました。しかし、F社の経営層は、このマネージャーの人事評価では減点していました。
途中で中止&自然消滅したプロジェクトを担当したマネージャーたちは、人事評価において、このプロジェクトに関わることでの加点も減点もありませんでした。なぜならば、人事評価を行うときには、そのプロジェクトをやろうとしていたことを忘れていたためでした。
以上のように、プロジェクトを最後までやり遂げたとしても、期限から遅れ、または、結果が十分伴わない場合には、人事評価で減点されていました。しかし、途中で中止&自然消滅すると、人事評価で減点されることがありませんでした。
社員は、指示されたプロジェクトをやって当たり前だ!
総合電機企業G社のある事業部は、開発している製品の売上の減少と利益率の悪化に悩んでいました。その原因の1つは政府の政策のまずさで、海外のライバル企業に遅れを取ってしまったためでした。この事業部は様々な対策を行ってきましたが、その状況を改善することができず、あるコンサルティング企業の支援を得て、そのコンサルティング会社が推奨している方法で、「事業戦略の遂行」に挑戦することになりました。その方法は、「事業部のメンバーが3~5人のチームとなって、事業戦略達成に役立つプロジェクトを実行する」というものでした。このコンサルティング会社は、各チームが作るプロジェクトのプランの立案の支援をしました。
その際、このコンサルティング会社は、「プロジェクトが終了した段階で、各チームの評価方法のガイドラインを今のうちに決めておきましょう!」と助言しました。ですが、この事業部のマネージャーたちは、「今回のプロジェクトは、やらなければいけないプロジェクトなので、日常業務で行っている評価として行う予定です」と言い、今回のプロジェクトとしての評価のガイドラインを決めませんでした。
「評価」という観点で、社員たちの持続的な挑戦心を引き出すことができず、事業を成長させることができない企業の問題点
以上に2社の事例を紹介しましたが、この2社とも、「社員は言われたことしかやらないんですよ」「やってよ、と言ってもやってくれないし、言ったときだけしかやってくれないんですよ」という企業風土の状態のままでした。「社員が事業を成長させる活動を率先して行う!」という組織風土ではありませんでした。多くの企業の経営者やマネジメントの方々は、「なぜ、社員たちは、事業の成長、組織問題の解決に挑戦しないのか?」「言われたときに行うだけで継続しないのか?」と悩んでいます。この根本的な原因の1つは、「評価」です。お伝えしたF社とG社の事例からおわかりかと思いますが、多くのマネージャーたちは、「やることが当たり前」という考えで、インセンティブを用意していないのです。それでは、社員たちが、経営計画や事業戦略などの達成を目指す「事業を成長させる活動」や「組織問題を解決する活動」を持続的に挑戦するようにはなりません。
社員たちの持続的な挑戦心を引き出す「評価」の方法
インセンティブとは?
多くの企業の経営者やマネジメントの方々の悩み「なぜ、社員たちは、事業の成長、組織問題の解決に挑戦しないのか?」「言われたときに行うだけで継続しないのか?」を解決するための1つの方法が「評価の見直し」です。評価に「インセンティブ」を検討することが大切です。インセンティブ(incentive)の意味ですが、Oxford Dictionaryでは、下記のように説明しています。
「評価」という観点での2つの対策
「社員が事業を成長させる活動を率先して行う!」組織風土を構築するために、「評価」という観点で、私たちがクライアント企業に推奨していることは、以下の2つです。◆ 結果はどうあれ、終了したことをみんなで祝う
◆ 人事評価で加点をする
結果はどうあれ、終了したことをみんなで祝う
社員たちの持続的な挑戦心を引き出すために、わたしたちが推奨していることの1つ目は、「プロジェクトが終わった段階でしっかり祝福する!」ことです。多くの企業では、プロジェクトが終了したら上層部にそのプロジェクトの結果を報告し、上層部が「よくなったな!」や「ご苦労さん!」など、褒めて終わることが多いです。このように、「褒める」ことが多いのですが、「一緒に終了を祝福する!」ことをしていません。この「一緒に終了を祝福する!」を行えば、社員の持続的な挑戦心に良い影響を与えることができます。
私たちがクライアント企業の事業成長プロジェクトの推進を支援するとき、クライアント企業へ、「プロジェクトが終わったら、その終了を祝いましょう!」と提案します。その際、良い結果を出せたプロジェクトもありますし、結果を出せなかったプロジェクトもあります。
良い結果を出したプロジェクトは、その成功体験があり、プロジェクトの終了を祝うイベントで、そのほとんどの社員が「改めてプロジェクトに挑戦したい!」という意欲を語っていました。そして、結果を出せなかったプロジェクトメンバーも、その終了を祝うイベントで、ほとんどの社員は「次は成功させたい!」と決意を話していました。以上のように、プロジェクトの結果にかかわらず、挑戦心によい影響を及ぼすことができていました。
先ほど、F社とG社の事例を紹介しましたが、この2社とも「プロジェクトの終了を祝う!」ことをしていませんでした。プロジェクトで結果を出せなかったとしても、「終了を祝う」ことは、社員たちの挑戦心を強化する「会社としての評価」なのです。
人事評価で加点をする
社員たちの持続的な挑戦心を引き出すために、わたしたちが推奨していることの2つ目は、「人事評価で加点をする」ということです。多くの企業は、プロジェクトの結果によって人事評価で加点や減点を行っています。例えば、結果が出ていなかったり、期限が遅れていたりすると、人事評価として「減点」されるのです。会社から「実行するように!」と言われて実行して、その結果が悪いと「減点」された社員は、次から挑戦しようとしません。「実行するように」と言われても逃げるようになるのです。
G社のように、企業によっては、プロジェクトの実行を指示しても、そのプロジェクトのことは人事評価に一切加点も減点もしていないところがあります。これでは、社員たちが持続的に経営計画や事業戦略などの達成を目指す「事業を成長させる活動」や「組織問題を解決する活動」に挑戦するようにはなりません。
人事評価で重要なことは、「プロジェクトに最後まで挑戦したこと」と「プロジェクトの結果」をしっかり分けて。評価をすることです。例えば、プロジェクトに挑戦し、最後まで実行したら、人事評価として5点加算します。途中で終了&自然消滅した場合には、0点です(場合によっては、1~2点を加算します)。
そして、プロジェクトを最後まで挑戦したが、期限が遅れた、もしくは、結果が悪かった場合には、結果に対する評価は0点でよいです(場合によっては、1~2点を加算します)。ですが、最後まで挑戦していますから、最後まで挑戦した評価5点は加点します。すなわち、0点+5点の合計5点を人事評価で加点します。
プロジェクトを最後まで挑戦し、かつ、結果が良かった場合には、結果が良かったことに対して5点加点します。また、最後まで挑戦していますから、その分を考慮し、5点+5点で10点を人事評価で加点します。
以上のように、基本は人事評価で減点することなく加点だけにすることで、社員たちの持続的な挑戦心を強化することができるのです。
「一緒に終了を祝福する!」と「人事評価で加点をする!」という、社員たちの挑戦に対するインセンティブを用意することが、社員たちが持続的に挑戦することに役立つ「評価」なのです。
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社員たちが挑戦するようになる「評価の仕組み」にしよう!
なぜ、社員たちは、「経営計画」「事業戦略」「組織問題の解決」に挑戦しないのか。もしくは、言われたときに行うだけで継続しないのか?その原因は、多くの企業は「評価」すなわち「挑戦したことに対するインセンティブ」が十分ではないためです。それでは、社員たちが「経営計画」「事業戦略」「組織問題の解決」に挑戦しようとしないことは当たり前です。
社員たちが、持続的に挑戦するようになるためには、今回紹介した評価の仕組みが重要です。2つの評価、「結果はどうあれ、終了したことをみんなで祝う」「人事評価項目で加点をする」を仕組みとして構築してください。持続的に挑戦しようとする社員を確実に増やすことができます。
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(本ノートは、2024年9月2日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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