多くのマネージャーたちは、チームメンバーの意欲のとぼしさをなげいています。「社員たちが、もっと意欲を発揮して行動してくれれば、毎年の目標達成など難しいものではない」と言っています。マネージャーたちは、そのように期待していますが、多くのメンバーは意欲を発揮してくれません。
多くのマネージャーたちは、このようにメンバーたちの意欲を期待した管理をしています。ですが、チームとして結果を出し続ける一流のマネージャーは、違うマネジメント方法を行っています。今回は、一流のマネージャーたちの「チームで結果を出すための思考方法」について解説します。
一流のマネージャーが知っている「結果を出すための思考法」
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チームが目標達成できるかどうかはマネージャーの方針や戦略の作成能力次第!
私たちが提供しているプロフェッショナル人材育成ソリューションの1つは「方針作成&推進力強化トレーニング」です。チームが目標達成できるかどうかは「マネージャーの作成する方針や戦略の内容次第」です。景気が良ければ、どのようなマネージャーでも目標達成をすることができます。ですが、景気が低迷している中で目標を達成するには、マネージャーの能力、特に、方針や戦略を作成する能力が重要になります。知恵を絞らなければ、目標達成することができないからです。マネージャーの方針や戦略の作成能力はそのくらい大切な能力です。
(【参考】【マネジメント力強化研修】 方針作成&推進力強化 ~ 率いる部門を成長へ導き、目標を達成するための方針作成方法!(Hoshin Planning Method))
そのため、私たちがクライアント企業で「方針作成&推進力強化トレーニング」を実施する際には、数年に渡りコーチングをしながら行うことが多いです。1回学んだだけでは方針や戦略を作成するスキルを強化することはできないからです。
メンバーが意欲を発揮すれば、目標達成は大変ではない!
この「方針作成&推進力強化トレーニング」では、マネージャーたちと「これから迎える新年度目標の達成に向けた課題はなにか?」という問いについて話し合います。その問いに対する、多くのマネージャーたちの回答は下記のようなものでした。◆ 問題はメンバーの目標達成への意欲が足りないことです!
◆ この程度の仕事量は、意欲があれば全然大変じゃなく、やりきれるはずです!
◆ 彼(彼女)の意識です。意識さえ変わってくれれば…
◆ 結局のところは、決意が足りないのです!
人(メンバー)に対するマネージャーたちの悩みは尽きません。「メンバーには、意欲や情熱を持ってほしい」と願っています。そのため「目標達成への意欲を発揮してがんばるように!」とメンバーに話しかけますが、意欲を持って仕事をしてくれる人のほうが少ないです。
「目標達成の意欲が足りない!」と話すマネージャーの傾向とは?
クライアント企業の営業マネージャーIさんに、来年度の営業方針と戦略を作成するコーチングをしました。今年度は売上目標を達成できそうな状況でした。私からIさんへ「今年度の目標は達成できそうですね。今年度の目標達成できる理由はなんですか?」と伺いました。その問いに対してIさんは「あるお客様から大型受注できたのが大きいです。急な案件だったので、その対応が大変だったのですが」と答えてくれました。次に、Iさんと、来年度の年間目標を達成するための営業方針と戦略について話し合いました。来年度の売上目標は、今年度の売上実績に対して110%(10%増)の予定でした。Iさんに「次年度の目標達成に向けた課題はなんですか?」と聞くと、下記のようなことを言いました。
◆ 10%増くらい、営業が気合を入れて仕事すれば簡単に達成できるんですよ!
◆ 来期は、毎月の訪問件数を1.5倍にします。そうすれば、売上が達成できます!
そこで、私はIさんへ質問をしました。最初の質問は、「訪問件数1.5倍はできるのですか?」でした。それに対して、Iさんの答えは「やらなければいけないんです!」でした。もう1つの質問は、「メンバーがより高い結果を出すための課題はなんですか?」でした。それに対しての答えは「意欲ですよ、意欲!」というものでした。
多くのマネージャーたちへ、方針と戦略を作成するコーチングを行いますと、チームの目標が達成できた理由は、「経済環境が良かった」「お客様からの予想外の大型受注ができた」のような外的要因が理由になっていることが多いです。すなわち、経済環境が良ければ目標達成できるのです。また、次年度の目標達成のための方針や戦略については、「メンバーたちの意欲」という答えが多く、意欲に頼りすぎている状況です。
目標達成のための方針や戦略は、合理的に計画しなければなりません。マネージャーは、目標達成に向けてもっと合理的でなければ、確実な目標達成などできないのです。
意欲よりも先に合理性を優先する
チームの目標達成ができない本質的な原因は、「目標達成へのメンバーの意欲」ではなく、「マネージャーが合理的なマネジメントができていないこと」です。ですが、多くのマネージャーは、「チームのメンバーの意欲のせい」だけにしていることが多いです。営業マネージャーたちは「チームのメンバーが、目標達成に対する意欲がない」ことよりも、「合理的なマネジメントができていたか?」にまず着目すべきです。まずは、目標達成の可能性を高める合理的な方針や戦略を作成することが先立ちます。目標達成の可能性を最大化するために優先すべきは、合理的な方針や戦略を策定することです。そして、その方針や戦略を達成するための対策の1つとして、「メンバーの意欲の向上」を検討します。この順番が重要です。実は、合理的な方針や戦略が計画できると、メンバーたちの目標達成意欲を強化する効果もあるのです。
チームの目標を達成し続ける一流のマネージャーは、そのことをよく知っていて、その手順で行ないます。「意欲」よりも「合理性」が先なのです。
「意欲よりも合理性が先」ということは、ビジネスに限ったことではありません。2016年、ブラジルでのリオ・オリンピックで、柔道日本代表が大活躍をしましたが、その理由は「精神論よりも合理性」であることが伝えられています(【参照】 「まず、根性論を捨てる」日本柔道復活を成し遂げた、井上康生流「大改革」そのすべて)。気合いや根性論ではなく、目的やテーマを明確にした結果、これだけの大活躍ができたのです。
私の友人の一人にベンチャーファンドで活躍しているSさんがいるのですが、彼と会食した時に面白いことを教えてくれました。Sさんから「より多くの資金調達できる人ってどのような人だと思う?」と聞かれました。その答えは「Sさんの経験上、パッション(情熱)がある人、熱くプレゼンテーションする人」だそうです。次に「ところで、事業を成功させる人ってどのような人だと思う?」と聞かれました。答えは「Sさんの経験上、事業を成功させる人とは、計画やビジネスモデルの合理性の高い人」だそうです。私は、この説明に納得しました。やはり、目標達成には、パッションや情熱よりも、合理性が先立つのです。
どうすれば合理的な方針や戦略を作ることができるか?
なぜ、多くのマネージャーは、そのような合理的な方針や戦略を作ることができないのでしょうか?その理由は「学んでいないから」です。これは学べばできることです。方針や戦略の作成は技術なのです。
先ほどのマネージャーIさんの場合、意欲や決意をメンバーに押し付ける前に、下記のようなことを検討すべきでした。
◆ どの商品の売上が、より確実に伸ばすことができるか?
◆ どのお客様の売上が、より確実に伸ばすことができるか?
◆ 商談量を増やすのか、商談金額を増やすのか、どちらがより確実に売上を伸ばすことにつながるか?
◆ 営業のどのような能力を高めれば、一人あたりの売り上げを増やすことができるか?
10%の売り上げを増やすためには、最低でも上記のことを合理的に検討しなければなりません。このような検討を行い、それに基づいて、「目標達成できる方針や戦略」を合理的に作成すべきです。そのような方針を作成すれば、それは合理的に目標達成できる方針なのですから、メンバーもその方針に賛同する可能性が高まります。もともと合理的ではない方針や戦略だから、そして、日頃から「意欲がない」と人のせいにされるから、メンバーたちの意欲は低いままなのです。
一流のマネージャーは、「意欲や根性」のような言葉をあまり使わない!
意欲や根性のことばかり口にするマネージャーは、目標を合理的に達成できる方針や戦略や実施計画を作ることができていません。合理的なマネジメントができていないために、人の意欲や根性に頼る状態に陥っているのです。メンバーへ、意識や意欲や根性を求めることは簡単です。ただ、人の意欲ほどあてにならないものもないのです。
チームの目標達成を継続できる一流のマネージャーは、普段の会話の中で「意欲や根性」ということをあまり言いません。すべての人が意欲的に仕事をしてくれれば、マネージャーにとっては楽です。ですが、そのようなことは現実的ではない事も知っているのです。多くの人は意欲的ではないですし、「目標を達成する」決意が十分ではないことも知っています。それが現実であり、その状況でも「どうしたら、チームの目標を確実に達成できるだろうか?」と考えています。まずは、成功の可能性を高めるための「緻密な分析」と「目標と計画の策定」が重要です。そして、その目標達成を確実にするために、「少しでもメンバーの意欲を高める」ことを1つの対策として行います。
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合理的な方針と戦略を設定することからはじめて、チームの目標達成を確実なものにしよう!
意欲や情熱を出すことだけを求めても、目標達成はできません。チームの目標達成に向けて必須なのは合理性です。合理性が先立ちます。合理的な方針や戦略を作成した上で、メンバーの意欲を引き出す対策を行うことで、チームの目標達成の確実性を最大化できるのです。私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。私たちが、マネージャーが合理的な方針/戦略を作成することができ、それに沿ってマネジメントができるように支援いたします。力を合わせて営業マネージャーのマネジメント力を強化しましょう。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。
(本ノートは、2016年9月5日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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