「パフォーマンス・コーチング」が社員のパフォーマンスを高め、社員を成長させる! ~ 社員の目標達成と成長を確実にするためのコーチングの進め方と注意点

目標達成に向けて、コーチングの重要性が高まっています。

仕事が高度化する中、社員の潜在能力と挑戦行動を引き出さなければ、組織としての目標を達成することが困難になっています。すなわち、組織が目標達成するための条件の1つが、マネージャーのコーチング能力です。

今回は、社員のパフォーマンスを向上させるためにマネージャーが行うべき「パフォーマンス・コーチング」について解説します。

社員の目標達成と成長を確実にするためのコーチングの進め方と注意点

コーチングを行っても、社員が目標達成できない/成長しない?

多くの企業の中でコーチングが推奨され、1on1ミーティングによるコーチングが行われています。ですが、コーチングを行っても社員のパフォーマンスが向上できていないことも目に付きます。

なぜ、1on1ミーティングでコーチングを行っても、社員のパフォーマンスを向上させることができないのでしょうか?

Case1. 目標が高すぎる!

ベンチャー企業P社は、大きな成長目標を掲げていました。その大きな成長を実現するために、マネージャーは社員一人ひとりに対して、コーチングを行っていました。しかし、社員たちのパフォーマンスは低いままでした。社員たちが成長している気配もなく、士気は低下している状態でした。

コーチングの中で、マネージャーがよく言っていた言葉は、「自分で決めた目標だろ。なぜ、目標が達成できないのか?」でした。P社の社員たちのほとんどは、目指す目標の半分も達成できていなかったのです。

P社のコーチングの問題は、そもそも目標が高すぎたことでした。そして、マネージャーも「どうすれば、その目標を達成することができるのか?」その方法がわかっていませんでした。そのために、「なぜ、目標を達成できていないのか?」としか言えない状況でした。

Case2. 目標について話されていない

医療系企業B社は、専門性の高い商材を扱っている企業でした。社員たちは、高い知識を持っているのですが、トップマネジメントとしては、組織全体のパフォーマンスに満足できていませんでした。さらに高いパフォーマンスを達成するために、マネージャーは社員にコーチングを行っていました。ですが、トップマネジメントが期待するパフォーマンスを達成できていない状況でした。

マネージャーがコーチングの中でよく使っていた言葉は、「最近どお、こまったことはない?」でした。社員たちが困っていることがあると、その困っていることに対して、マネージャーは相談に乗っていました。しかし、困っていることがないと、その社員へのコーチングは、少しの雑談の後、終了していました。

B社のコーチングの問題は、パフォーマンスのことを話していなかったのです。それでは、組織のパフォーマンスが向上することはありません。

Case3. 積極的な支援がない

商社T社の営業組織は、「これからの5年間で、売り上げを1.5倍に増やす」ことを目指していました。その目標を達成するために、営業マネージャーは営業社員たちへコーチングを行っていました。ですが、営業社員のパフォーマンスは向上していませんでした。

マネージャーたちがコーチングの中でよく使っている言葉は、「なぜ、目標達成できないのか、ほかの人は達成できているだろ。自分でもっと考えてしっかり行動するように。」でした。

そのコーチングにおいて、マネージャーは、営業社員の目標の達成度を確認していました。目標達成度が悪い営業社員に対しては、「自分でもっと考えてしっかり行動するように」という言葉をつかっていましたが、「具体的にどうすれば良いのか」という具体的な指示や支援はしていませんでした。

なぜ、コーチングが社員の目標達成/成長に役立っていないのか?

コーチングがパフォーマンスの向上に役立っていない3社の事例を紹介しましたが、コーチングは社員個人のパフォーマンスの向上、そして、組織の目標達成のために行われるものです。ですが、以上のように、コーチングがパフォーマンスの向上に役立っていない企業も多いです。

クライアント企業で行われていたコーチングの観察を通して、私たちが気ついた「コーチングがうまくいかない原因」には以下のようなものがありました。

◆ 目標が高すぎる(コーチングをするマネージャーも、どうしたらその目標が達成できるのか、その方法を知らない)
◆ 目標が一方的に与えられるだけ
◆ 全員一律の目標が与えられる
◆ 目標を達成するための副次的なパフォーマンス目標が設定されていない
◆ 社員が、コーチングをうけることに慣れていない(「自分にはコーチングが必要ない」と思っている)

社員のパフォーマンスを高めるための「パフォーマンス・コーチング」

コーチングの定義

そもそも「コーチング」とはなんでしょうか?

私たちが、クライアント企業へお伝えしているコーチングの定義とは、「相手と信頼関係を築き、相手の潜在能力を引き出し、相手にコミットメントを持たせ、相手が目標を達成できるための積極的な行動」です。すなわち、コーチングとは、一方的に上司が行う作業などではなく、双方の協力作業なのです。

共同作業としてのコーチング

マネージャーと社員がこのような双方の協力作業としてのコーチングを行うことで、社員のパフォーマンスを高めることができ、その結果として組織の目標達成/成長が可能になります。そのためには、マネージャーがパフォーマンスを向上させるコーチング(パフォーマンス・コーチング)を実施できる能力が必要です。

パフォーマンスを向上させる「パフォーマンス・コーチング」は、以下のステップで行います。

1. パフォーマンス目標とその達成度の確認
2. 今後のパフォーマンスの見込みを確認する
3. そのGAPを明らかにする
4. そのGAPをなくす対策を一緒に検討する。

1. パフォーマンス目標とその達成度の確認

まず行うことは、パフォーマンス目標の確認です。コーチングは「社員がパフォーマンス目標を達成する」ために行います。そのために、まず、パフォーマンス目標を確認し、そして、そのパフォーマンス目標に対しての現在の達成度合いの確認することから始めます。

2. 今後のパフォーマンスの見込みを確認する

現在の達成度を確認したら、今後の見込みを確認します。今後の見込みとは、「今後、どの程度パフォーマンスが向上する見込なのか?」ということです。

この見込みを確認する上での注意点は、「その見込みの精度」です。「やらなければいけないんです!」や「こうなるはずです!」というような気合や思惑だけでは、パフォーマンス目標を確実に達成することはできません。「具体的にどのような活動計画なのか?」など、「見込みが論理的かつ合理的なのか?」を確認することが大切です。

3. そのGAPを明らかにする

ここでいうGAPは、以下の数式で計算できるものです。

GAP = [パフォーマンス目標] - [現在の達成度] - [今後の見込み]

もし、パフォーマンス目標を達成できるのであれば、特別な対策は必要ありません。今の活動を継続してもらえばよいのです。この場合、他の課題など、さらに高い目標達成に挑戦することを検討します。

4. そのGAPをなくす対策を一緒に検討する。

GAPを計算した時、現在の状況ではパフォーマンス目標を達成できないのであれば、その対策を検討する必要があります。「どうすればパフォーマンス目標を達成することができるのか?」を一緒に検討し、それを今後の活動計画にします。

「パフォーマンス・コーチング」を実行する上での注意点

パフォーマンス・コーチングを実行するためにはいくつかの注意点があります。最低でも以下の4つに注意しておくことで、より効果的なパフォーマンス・コーチングができるようになります。

注意点1. パフォーマンス目標を決める
注意点2. 事前準備
注意点3. 達成を祝う
注意点4. 必要なスキルを鍛える

注意点1. パフォーマンス目標を決める

「社員が目標達成する」および「社員が成長する」ためには、数値で測定できるパフォーマンス目標を事前に決め、そのパフォーマンス目標を社員と合意します。コーチングが機能していない会社の事例「Case2. 目標について話されていない」は、パフォーマンス目標を決めていなかったためにコーチングが機能しなかったのです。

社員が、目標達成/成長するためには、そのためのパフォーマンス目標を事前に合意しておくことが大切です。

注意点2. 事前準備

コーチングを効果的に行うためには、事前準備が大切です。コーチングは共同作業です。マネージャーも社員も双方が事前準備をしてからコーチングにのぞみます。

社員は、コーチングの前に以下を準備します。

◆ パフォーマンス目標とその達成度
◆ 今後のパフォーマンスの見込み
◆ そのGAP
◆ GAPを減らすための対策

マネージャーは、日頃から、社員の状態を観察します。その観察を通して、「社員の気になる行動や振る舞い」「社員に要求すべきこと」そして「社員がGAPを減らすための対策案」を集めておきます。マネージャーは、このようなことを事前に準備してからコーチングを始めます。

注意点3. 達成を祝う

「社員が意欲を発揮するためには褒めるべき」と言われています。ですが、パフォーマンス・コーチングで重要なことは、「褒める」ではなく「達成を祝う」です。

繰り返しになりますが、コーチングは、パフォーマンス目標を達成するための共同作業なのです。目標を達成したときには、その達成を一緒に祝います。

パフォーマンス・コーチングでは、「褒める」ではなく「達成を祝う」を大切にします。

注意点4. 必要なスキルを鍛える

パフォーマンス・コーチングを行うためには、コミュニケーションスキルが重要です。以下のコミュニケーションスキルを強化し、「相手の潜在能力を引き出し、相手が目標達成に挑戦する」ためのコミュニケーション能力を高めます。

◆ アクティブ・リスニング
◆ 相手を理解する質門/相手に考えさせる質門
◆ 自己開示
◆ フィードバック

(これらのコミュニケーションスキルについては、チームチームメンバーの力を最大限引き出すためにリーダーやマネージャーに必要となるコミュニケーション力 ~ リーダーやマネージャーとして「チームを率いて結果を出す仕事の技術」(8)で解説していますので、そちらも参照ください)

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「パフォーマンス・コーチング」が機能すれば、事業は成長する!

パフォーマンス目標を設定できない業務も多いです。ですが、問題は、パフォーマンス目標を設定できるのに、目標を設定していないことです。それでは、パフォーマンスが向上することはありません。できる限り「パフォーマンス目標を設定すること」が、パフォーマンスを向上するためには必須条件です。

数字としてのパフォーマンスの設定が難しい業務においても、実は、知恵を絞れば、どのような業務でもパフォーマンス目標を設定することができます。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。組織が目標達成/成長できるかどうかは、マネージャーのコーチング能力次第です。私たちが、貴社のマネージャーの「パフォーマンス・コーチング」の能力を鍛えます。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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