営業力強化ケーススタディ「法人向けサービス会社」 ~ 営業担当者の「目標設定力と行動計画力を強化」することで、営業組織の売上増加を達成!

なぜ、お客様への訪問件数を増やしても、営業担当者の受注が増えないのだろうか?

今回は、クライアント企業が実施した「営業担当者の目標設定力と行動計画力の強化」についてご紹介します。私たちの「【法人営業研修】営業パーソンの営業活動計画力の強化」プログラムをご採用いただき、実施しました。

このクライアント企業は、業績が悪化、特に営業部門の売上が悪化しており、営業力を強化する必要がありました。業績が悪化している原因は様々ありましたが、そのうちの1つは、営業担当者の行動量でした。一般的に、営業担当者の行動力とその営業担当者の成績は比例関係です。ですが、「訪問件数を増やせ!」という対策を行っても、売上は増加しませんでした。

今回は、質的な観点で「営業担当者の目標設定力と行動計画力」を強化する対策を行うことで、売上を増加させることができました。

このノートでは、このクライアント企業が、「【法人営業研修】営業パーソンの営業活動計画力の強化」プログラムを採用した背景や実施方法、そして、実施した効果について解説します。

営業担当者の「目標設定力と行動計画力を強化」することで、営業組織の売上増加を達成! ~ 営業力強化ケーススタディ「法人向けサービス会社」

営業業績が悪化したのは、営業管理方法に問題があった!

様々な営業上の課題から、最初に実施する必要があった課題とは?

今回、私たちが営業力強化を支援したクライアント企業は、法人向けサービス事業を行っているA社です。A社は、業績の悪化、特に営業部門の売上が悪化しており、営業力を強化する必要がありました。A社が直面していた営業上の課題には、「ライバル会社(競合)が強い」「営業担当者の意欲が乏しい」「営業担当者の能力が十分ではない」「営業マネージャーの管理力」「新規のお客様が少ない」「値引き率が大きい」など様々ありました。それ以外にも、「営業担当者たちの行動(行動量や訪問先など)」にも問題がありました。

営業担当者の訪問件数の問題は、他の多くの企業でも発生しています。A社も同様に、以前から問題でした。そのため、営業マネージャーたちは「訪問件数を増やせ!」と指示をしていましたが、それでも売上は増加しなかったのです。

基本的には、営業担当者の訪問件数と売上の増加は相関関係・比例関係なはずです。訪問件数が増えれば、売上は増えるはずなのですが、売上は増えなかったのです。

この度、A社の経営者が変わることになり、その新しい経営者が営業力を強化する決断をしました。様々な課題がある中、まずは、この「営業担当者の行動を変える」課題を解決することを意思決定し、私たちにその課題解決の支援をご依頼いただきました。

営業担当者たちは、どのような営業訪問をしていたか?

私たちは、まず、営業担当者たちの行動を調査・分析をしました。私たちが最初に調査したのは、営業担当者たちの訪問先でした。訪問先を確認すると、その訪問先は、「すでに取引のある既存のお客様」への訪問ばかりだとわかりました。「新規のお客様」や「取引量が多くないお客様」にも若干は訪問をしているものの、それはホームページや電話などの問合せがあったから訪問している程度で、このような企業からの受注はほとんどない状況でした。

この「新規のお客様」や「取引量が多くないお客様」には、「本来ならば、訪問すべき大手のお客様」も含まれていました。すなわち、購買力の大きい大企業にもあまり訪問していませんでした。その逆に、「すでに取引のある既存のお客様」には、購買力があまりない企業も含まれていました。取引額はあまり多くないのに、結構な量の訪問をしていました。

以上のことにより、「仲が良く、行きやすいお客様ばかりに訪問している。その偏った訪問を見直さなければ、営業成績を向上することができない!」という課題がわかりました。

(【参照】【コンサルティング】営業力診断(営業アセスメント) ~ 「営業組織が確実に目標達成できるようになり、成長し続けることを実現する」ための最重要課題を特定します!(BtoB Sales Force Assessment)

さらに調査をすすめると、下記のことが「偏った訪問になっている」原因であることがわかりました。

◆ 営業担当者には「毎月100件は訪問するように!」という訪問件数目標が与えられていた。
◆ 営業担当者の教育はOJT(On The Job Training, 職場内訓練)が中心で、先輩から仕事の内容を教えてもらう形式だった(過去、会社として営業に関するトレーニングを実施したことがなかった)。
◆ 営業担当者が「自社の強み」と感じていることは、「お客様との関係が良いこと」だった。

「お客様と関係が良い」と逆に新規顧客の開拓をしなくなる?

営業マネージャーが「月100件訪問するように!」と指示していたので、営業担当者たちは月100件の訪問を目標にしていました(中には、月100件の訪問ができない営業担当者もいました)。ですが、問題は訪問件数ではなく、訪問先でした。営業担当者たちは、「良い関係ができていて会いやすいお客様」ばかりに訪問していたのです。

A社の営業担当者たちは、「お客様と良い関係ができていることが自分たちの強みだ!」と言っていました。営業担当者たちは「お客様の要望であれば、多少ムリな要求であっても応えてきたので、主要なお客様と良い関係ができている」と考えていました。自分たちの強みの「関係ができているお客様」へ手厚くサポートすることが重要と考えているため、ほとんどの訪問はその「面会しやすいお客様」ばかりで、「新規のお客様」や「取引が少ないお客様」への訪問はあまり行われていませんでした。ですが、営業担当者たちは、「自分たちの強みを発揮した良い営業活動ができている!」と考えていたのです。

新規開拓力の強化も営業担当者任せ・OJT任せにしていた!

この会社では、営業担当者の育成はOJTで行われていました。そのOJTにも問題がありました。営業課長や先輩営業がOJTを通して教えていることは、主に以下のことでした。

◆ お客様に言われたことには早い対応をしろ!
◆ らくな営業するためには仲の良い人を大切にしてもっと仲良くなれ!
◆ トラブルがあってもしっかり応対することが、良い関係を築くポイントだ!

これらは大切なことです。ですが、営業課長や先輩営業が行うOJTは、「関係のできているお客様」に対してのもので、「新規のお客様」や「取引の少ないお客様」への営業方法のOJTは行われていませんでした。

仲の良いお客様だけに訪問していても成長はない!

仲の良いお客様ばかりに訪問していたら成長できるのでしょうか?

答えは、Noです。企業が成長するためには新規のお客様の開拓や新規の商談の開拓が必要です。以上で説明したとおり、A社の教育はOJTで行われていました。営業課長や先輩営業たちも、「新規のお客様」や「取引の少ないお客様」に対しての新規の商談開拓の経験があまりないために、OJTで「新規開拓の方法」について教えることはできていませんでした。

その報告をA社の経営者へ行った時、その経営者は「上司や先輩たちが『自分の過去の体験』や『会社が求めている営業方法ではない属人的な営業方法』をこれからの将来を担う若い営業担当者に教えたり押し付けたりされては困る。なぜならば、もうそんな悠長に人を育てている時代ではない。」と語っていました。

確実に企業を成長させるには、OJTだけの教育では不十分な時代となりました。組織としての育成体系を整備し、必要な営業スキルを学び、全員がそのスキルを応用できる必要があります。

以上のことから、A社が「業績が悪化、特に、営業部門の売上が悪化している」根本的な原因は、今までの営業管理の体系にあることがわかりました。営業管理が原因で「営業担当者たちは、仲の良いお客様しか訪問していなかった!」という状態になったのです。

「毎月100件という訪問目標の設定」「OJTによる営業担当者の育成」「『お客様との関係が良いことが自社の強み』という考え」という3つの要素は、多くの営業組織で共通することです。ですから、A社は、今まで「営業担当者たちは、行きやすい仲の良いお客様のところにしか訪問していなかった」という原因を発見できず、ただ訪問件数を増やすだけの対策をしていたために、売上を増やすことができなかったのです。

新規顧客開拓力強化のために「訪問計画の戦略化プログラム」を実施した!

A社の経営者と話し合い、「目標設定と訪問計画を見直しし、行きやすいところにしか行っていない偏った訪問を修正しましょう!」と合意しました。A社の営業担当者たちは、自分の目標設定や訪問計画をしていない人が多く、一部の自分の目標設定や行動計画をしている人でも、あいまいな目標設定と行動計画の状態でした。そのような状態から、「重要顧客・重点顧客を明らかにし、目標達成の可能性を最大化できる目標設定や訪問計画ができるようにする!」を目指すことになりました。

更には、今回の営業力強化を単なる研修で終わらせるのではなく、「目標設定と訪問計画を営業担当者任せにせず、営業課長が管理できる体制を構築すること!」をゴールとしました。営業担当者任せにしていては、1~2ヶ月過ぎるとまた「行きやすいお客様ばかりに訪問する」状態へ戻ってしまうからです。今回の営業力強化によって目指す数値的な達成目標は、「本当は行かなければいけないのに訪問していないお客様への訪問件数を3倍に増やすこと」でした。この数値目標は、営業診断(アセスメント)の結果を検討して決定しました。そのアセスメントの結果から、A社はそのくらいの目標は達成できる状態でした。以上のように、営業力強化の達成目標が決まりましたので、研修とその後のコーチングを開始しました。

(【参照】【法人営業研修】営業パーソンの営業活動計画力の強化 ~ 目標を確実に達成するために必須となる営業活動計画の作成方法(Planning Method for Achievement)

Step1. 現在の訪問計画を確認する

研修では、まず直近3ヶ月間の訪問先をリストするワークからはじめました。そのワークを通して、「自分は、良い関係のお客様ばかりに訪問している」ということを認識させることが目的でした。現状の把握が終わりましたので、次は戦略的な訪問計画を作成する一連のワークを行いました。

Step2. お客様を区分する

そのワークの最初のステップは、お客様の区分わけ(セグメンテーション)でした。この区分わけを通して発見したいのは下記の2つの区分に分類されるお客様でした。

◆ 普段から行くことができていて、かつ、取引額の大きいお客様は誰か?(区分: GOLD)
◆ 本当は行かなければいけないのに行くことができてなく、しかし、大きな取引額が見込めるお客様は誰か?(区分: RED)

営業担当者の目標設定や行動計画を考える上で、このGOLDの区分のお客様についてはそれほど問題ではありません。定期的に取引もありますし、長らく良い関係が築けているお客様なので、営業担当者は苦なく訪問してくれます。問題はREDの区分のお客様です。営業担当者はこのようなREDの区分のお客様には行こうとしません。ですが、REDに分類されたお客様に行かなければ、売上を増やすことができません。それを特定することが目的でした。

Step3. 年間目標を設定する

その後、目標設定フォーマットを活用して、それぞれの区分における年間の推定売上目標額と訪問件数目標を決めました。その年間目標を四半期目標、さらには、月の目標へと詳細化を行いました。その後、研修の中で、営業マネージャーと営業担当者は来月の訪問計画の合意をしました。

Step4. 管理方法を決める

一般的な研修ではここまでで終了ですが、今回私たちが行うべきことは「営業力強化による成果の達成」でした。以上で説明したマネージャーと営業担当者が合意をした訪問計画を実践させ、定着させ、そして問題が発生した場合にはその問題解決をするためのマネジメントの仕組みを構築する必要があります。そのため、営業マネージャーと営業担当者の毎月の管理方法についても仕組み化し、営業マネージャーへトレーニングを実施しました。

その後、6ヶ月にわたり計3回コーチングを行いました。研修が終了した後、下記のような問題が発生し、それらの問題をコーチングによって解決しました。

◆ 営業担当者の区分わけと目標設定が間違っていた
◆ マネージャーが営業担当者へ適切な指導ができなかった

新規顧客開拓力の強化、その結果は?

なぜ、お客様への訪問件数を増やしても、営業担当者の受注が増えないのだろうか?

この営業力強化プログラムを実施した後、営業担当者たちの新規のお客様開拓のための行動が増えました。そして、研修の6ヶ月後には、新規の受注が増えはじめました。ですが、まだ十分な新規受注量ではなく、さらなる改善が必要でした。というのも、すでに取引のあるお客様への営業活動と比べて、「新規のお客様」や「まだ取引の少ないお客様」への営業活動は難度が高く、それらのお客様との面談の質を向上する必要があったためでした。

(【参照】営業力強化ケーススタディ「法人向けサービス会社」 ~ 営業担当者の商談開拓力を強化して、保有する商談総額を2倍へと増やす!

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。私たちは営業力強化のコンサルタントとして、このような営業力の強化を円滑に遂行し、確実に結果を出す支援を行っています。このノートで解説した営業力を強化すると、営業組織の業績(パフォーマンス)を確実に改善・向上することができます。貴社と力を合わせて、営業担当者の生産性と目標・行動計画力における改善点を明らかにし、その問題を解決します。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらお たくみ, Takumi Terao)
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