確実な目標達成のために行うべき真の商談管理の方法とは? ~ 「いつ売れるか?」「いくらで売れるか?」の商談管理では、目標達成できない!

「商談管理」は全てのセールス担当者が必須で行わなければならない営業業務の1つです。多くの営業組織の「商談管理」は、「いつ売れるか?」「いくらで売れるか?」の2つの視点で行われています。

しかし、「いつ売れるか?」「いくらで売れるか?」という商談管理だけでは、営業担当者たちの売上を減少させていることにお気づきでしょうか?

結論から言いますと、本来あるべき「商談管理」とは、その商談の受注確率を高めるために必要な情報を管理することです。売上目標達成に向けて、営業担当者の売上を増やすための「商談管理の方法」について解説します。

「いつ売れるか?」「いくらで売れるか?」の商談管理では、目標達成できない!

目標達成できない営業組織と目標達成できる営業組織の商談管理の違いとは?

多くの営業組織が行っている商談管理では、受注時期や受注金額の確認に重点が置かれています。そのため、その商談において最も重要な「お客様のニーズ」や「企業がお客様へ提供できる価値」といった「商談の中身」に関わる情報の管理が軽視されています。そのために、セールス活動や営業管理の質が低い状態です。結果として、営業組織の目標達成の確率が悪くなり、企業の経営状態に悪影響を及ぼしています。

営業組織の目標達成の確率を高め、企業が持続的に成長していくためには、「営業組織内で行われている商談管理体系の最適化」という営業業務の改善活動を行う必要があります。成長している企業の営業組織では、効果的に目標達成するための「商談管理」の体系があり、商談が適切にマネジメントされています。

では、「効果的に目標達成するための商談管理」とはどのようなものなのか、具体的な事例を交えて解説します。

多くの企業で行われている商談管理の現状は?

私たちのクライアント企業の経営者・セールスマネージャー・セールス担当者に、「あなたの会社では、具体的にどのように商談管理を行っていますか?」と質問したところ、下記のような回答が得られました。

経営者やセールスマネージャーの回答

◆ 「今月と来月のそれぞれの売上額」を確認する
◆ 不足している場合、そのGAPを埋めるように指示する

セールス担当者の回答

◆ 今月や来月の売上見込を管理する
◆ 上司への売上見込みを報告する

以上の通り、多くの経営者・セールスマネージャー・セールス担当者は、「商談管理とは、今月や来月など、今後の売上見込み金額の管理のことだ!」という認識でした。そのため、セールスマネージャーとセールス担当者の間の商談の確認では、以下のようなコミュニケーションがよく行われていました。

【具体事例:月初めと月末の会話】こんな商談管理の方法がよく行われている

【セールス課長】 今月はいくら売れるんだ?

【セールスAさん】 そうですねえ、今月はA社から1,000万円、B社から250万円、C社から2,000万円、合計で3,250万円売れる予定です。

【セールス課長】 それだと月間目標に届かないな、あと1,000万円増やせないか!

【セールスAさん】 そう言われましても。来月に売れる予定のD社の1,500万円がありますから、それを早く注文もらえるように頑張ってみます。

【セールス課長】 わかった。そうすると、今月の売上見込みは4,750万円だな。がんばれ!

この会話をおさらいしましょう。月初めの営業ミーティングで、セールス課長は、Aさんの売上目標額(売上予算)と売上見込額を比較して「約1,000万円足りない」とわかりました。そこで、セールスAさんに「1,000万円追加で売るように!」と指示をしました。そのため、セールスAさんは、来月売上見込みのD社の1,500万円を今月の売上見込みへ時期を繰り上げました。

その後、月末が近づいてくると、この二人の間で、以下のようなコミュニケーションが行われました。

【セールス課長】 今月2,250万円しか売れていないぞ。月初めは「4,700万円ほど売れる!」って言っていたじゃないか!

【セールスAさん】 ええ。B社 と C社からは注文をもらえました。ですが、A社の案件はライバル会社に取られました。D社もまだ予算計上が遅れていて、まだ発注できる状況ではないです。

【セールス課長】 言い訳はいいからなんとかしてこい!

月末が近づいて、月初めに予測していた売上見込に到達できないことがわかったのです。セールス課長は、月初めに上層部へ、この4700万円分を含めた売上見込を報告してしまっています。そのため、「何でもいいから、受注してこい!」と発破(ハッパ)をかけました。月末まで十分な時間がないので、発破をかける以外の対策がないのです。

しかし、発破をかけるだけでは、その差(GAP)を埋めることができないのも事実です。実際のところ、このようなやり取りが毎月のように続くと、セールス担当者は目標を達成できない状態が続き、やる気を失い、その結果として会社をやめてしまいます。いくつかの企業では、セールス担当者がやめて困っていますが、その主たる原因はこのためです。セールスが目標達成できるように育成できていないのです。セールスを育成すれば、目標達成できるセールスを増やすことができます。そのためにも、本来は、セールス課長とセールスAさんは、具体的な対策について検討したり話し合ったりする必要があるのです。

今行われている商談管理では「大事な商談情報」を見落としているのでは?

このように、多くの営業組織で行われている商談管理は、実は「売上金額の予測管理」の状態です。そのため、「いつ売れるか?」「いくらで売れるか?」の2つの視点で管理が行われています。

しかし、この2つの視点からの情報は、商談管理で扱われるべき情報のほんの一部でしかありません。

売上目標(売上予算)達成の確実性を高めるためには、個々の商談の状態を適切に判断し、そして、しかるべき対策を取ることが必要となります。しかし、多くの企業で現在も行われているセールスマネージャーの商談管理の方法では、「本来必須で扱うべき商談情報」には目を向けていない状態です。そのため、セールスが育つことなく、いつまでも数字に追われ続け、疲弊したセールス活動をし続け、目標達成できないセールスが増えているのです。

商談管理はどう行なうべきか?

商談管理は、本来、下記のような「商談状況を適切に判断できる情報」を取り扱う必要があります。

◆ お客様は、どのような課題に挑戦しているか?
◆ どうして、その商品・サービス・ソリューションを必要としているのか?
◆ どうして私たちにも声をかけてくれたのか?
◆ どのような効果を手に入れたいのか?
◆ どのような手続きが必要なのか?

これらの情報は「その商談の受注確率を高める」ために必須となる情報です。さらには、「その商談を受注する」ためだけに必要な情報ではなく、「新たな顧客を開拓する」「新たな商談を発見する」ためにも活用できる情報です。そして、会社として「今後、どのような新製品を開発すればよいか?」「今後、どのような商材を扱えばよいか?」という市場ニーズに関わる情報でもあるのです。まさに「企業を成長へ導くために必要な情報」と言えます。

商談管理には、SFA(Sales Force Automation)という営業支援ツールを活用したり、Excelを活用したりと工夫していることでしょう。まずは、あなたの会社で行われている「商談管理」の現状を確認することを強くお勧めします。「商談状況を適切に判断できる情報が扱われているかどうか?」がポイントです。

実際に確認した時、「『それぞれの商談が、どのような状況か?』を適切に判断できない」ということは、会社内で共有すべき最低限の情報すら扱われていない状態です。営業業務の改善活動として、商談管理で扱う情報を見直す必要があります。

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商談管理を行えば、売上目標達成の確率は格段に高まる!

以上のように、「本来の意味での商談管理への改善」には、セールス課長とセールス担当者への研修やトレーニングを行うことが必須です。「お客様のニーズや要望をつかめ!」とよく言われます。しかし、人それぞれ様々な解釈をしており、「結果を出すために必須となる商談情報」を適切に集めることができていないセールス担当者は多いです。多くの営業組織では、研修やトレーニングを行っていないために、「どのような情報を集めればよいのか?」がわかっていないためです。研修やトレーニングを実施することで、より的確に「商談に必要な情報」を収集することができるようになります。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。営業組織を強化するための豊富なノウハウと経験があります。「営業組織の商談管理がうまくいっていない」とお感じであれば、是非ご連絡ください。どこかに上手くいかない原因があります。私たちが、その原因を特定します。また、SFA(Sales Force Automation)の項目や運用方法を含めて、貴社の「商談管理」をより効果的なものにし、長期的な成長を可能にする支援をさせていただきます。

(本ノートは、2008年7月20日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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