一流のマネージャーは知っている、目標達成には意欲と合理性のどちらが先立つか? Vol.280

今回のコラムは、チームの目標達成にむけた「意欲」と「合理性」についての一流のマネージャーの考え方についてです。
意欲と合理性、チームの目標達成にはどちらが先立つのでしょうか?
チームとして目標達成するには、どちらを優先すべきだと思いますか?
そして、どうすればチームの目標達成の可能性を格段と高めることが出来るマネージャーを育成できるのでしょうか?
チームの成果を出し続ける一流のマネージャーはその答えを知っています。

メンバーがもっと目標達成の意欲を持ってほしい

あるクライアント企業にて、半年を超えて「マネージャーたちの方針作成」支援を行っています。
[参照: [研修] 事業を成長に導く「方針作成」研修で、卓越した経営を目指す!]
半年前に1回目の方針を作り、今回は2回目の方針作成でした。
今回は、前回と比べ格段によい合理的な方針でした。
方針が戦略的、すなわち、チームのフォーカス(焦点)が明確な方針、そして、方針作成者の ”熱い想い” が十分感じられるものでした。


その方針を聞いていたクライアント企業の会長と社長にも「格段に良くなった!」と喜んでいただきました。
私の目から見ても、「彼らの方針は、かなりの高い確率で目標達成できる」方針になっていました。
今期の結果が今から本当に楽しみです。


多くのマネージャー達から私たちがよく聞く言葉に下記のようなものがあります。
・問題はメンバーの目標達成への意欲が足りないことなんです!
・この程度の仕事量は、意欲があれば全然大変じゃないですから…
・彼(彼女)にはできるはずなんです、意識さえ変わってくれれば…
・結局のところは決意なんですよ!


人に対するマネージャーたちの悩みは尽きません。
メンバーには意欲や情熱を持って取り組んでほしい、と願っています。
そのため、「もっと目標達成への意欲を発揮してがんばるように!」とメンバーに促しますが、意欲を持って仕事に取り組んでくれる人のほうが少ないです。


意欲の発揮を求めるマネージャーの傾向

「目標達成への決意や意欲が足りない」「もっと熱意を持って取り組んでほしい」という言葉をよく使うマネージャーには傾向があります。
ある営業マネージャーを例に考えてみましょう。


私のクライアント企業の営業マネージャーとその人が作った次期の営業方針について話をしていました。
次期の売上予算(売上目標)は、昨年のチームの売上に対して110%(10%増)でした。
その年間目標を達成するための営業方針・営業計画でした。


この話し合いの中で、下記のようなことを営業マネージャーが言っていました。
「10%増くらい営業が気合を入れて仕事すれば簡単に達成できるんですよ」
「来期は、毎月の訪問件数を1.5倍にします。そうすれば、売上が達成できます」
(「訪問件数1.5倍は出来るんですか?」という問いに対して) 「やんなきゃいけないんです!」
(「メンバーがより高い結果を出すための課題は?」という私の問いに対して) 「意欲ですよ、意欲!」


この営業方針・営業計画では、チームの目標達成できるかどうかは、「外部の経済環境が急に良くなった」「お客様からの予想外の大型受注ができた」などのように運任せの状態でした。
多くのマネージャーはこのようにチームの目標達成を自分の勘、そして、営業の意欲に頼りすぎです。
その前に、目標達成のための営業方針や計画をもっと合理的に計画しなければなりません。
マネジメントと言うのは、もっと合理的でなければならないのです。


意欲よりも先に合理性から取り組む

厳しい言葉ですが、チームの目標達成ができない最たる原因は、「メンバーの目標達成の決意」ではなく「マネージャーが合理的なマネジメント能力がないこと」です。
ですが、目標達成できないのは自分のその能力欠如のせいだと受け入れず、チームのメンバーの意欲のせいにしているのです。
「チームのメンバーが目標達成に対する意欲がない」よりも、「合理的なマネジメント能力ができていたか?」にまず着目すべきです。
そのため、まずは目標達成の可能性を高める合理的な方針や計画の立案をすることが先立ちます。


そのような合理的な方針や計画ができれば、その計画に基づく形でモチベーションを高める施策を取り組むことが出来るようになり、その結果としてチームのメンバーは以前よりも意欲的に取り組むようになります。
チームの目標を達成し続ける一流のマネージャーは、それをよく知っていて、その手順で取り組むのです。
意欲よりも合理性が先なのです。


意欲や根性よりも合理性が先立つということは、ビジネスに限られた話ではありません。
日本は日露戦争では勝利できたのですが、なぜ太平洋戦争は勝利できなかったのでしょうか?
(そもそも戦争はない方が良い、と思いますが…)
その理由にはいろんな説がありますが、その1つに合理性と精神論の違いと言われています。
日露戦争当時、日本には一部秀でていた技術がありましたが、資源があまりにも足りませんでした。
ですから、戦争が長期化すると格段に不利になってしまいます。そのため「1-2年のうちに戦争で優位な状況に立ち、世界世論を味方につけ、その時点で戦争を終結させる」という目標とその達成に合理的な計画と実行がありました。
その半面、太平洋戦争は「どのように勝利を収めるか?」という目標が乏しく、最終的には「諦めるな! 本土決戦だ! 最後の一人まで戦うんだ!」的な精神論で行われる悲劇的な状況でした。
(上記は、様々な解説からの私の推測ではありますが…)


2016年度のリオオリンピックの柔道でも精神論と合理性の話が伝えられていました。
[参照: 今年のオリンピックで柔道が飛躍。根性論を捨てた]
気合いや根性論ではなく、目的やテーマを明確にして取り組んだ結果、これだけの成果を手にすることができたようです。


私たちは、新規事業に取り組んでいるのですが、ベンチャーファンドの人と面会した時に面白いことを教えていただきました。
その方から「より多くの資金調達できる人ってどんな人だと思いますか?」と聞かれました。
答えは「経験上、パッションがある人、熱くプレゼンする人」だそうです。
次に「新規事業は簡単ではないのです。ところで、事業を成功させる人ってどんな人だと思いますか?」と聞かれました。
答えは「経験上、事業を成功させる人って、計画やビジネスモデルの合理性の高い人」だそうです。
この説明に私は納得しました。


やはり、目標達成には、パッションや情熱よりも合理性が先立つのです。


どうすれば合理的な方針や計画を作ることが出来るか?

なぜ、多くのマネージャーはそのような合理的な方針や計画をつくれないのでしょうか?
その理由は、学んでいないからです。
しっかり学べばできることです。方針作成・計画作成は技術なのです。


先ほどのマネージャーの場合、意欲や決意をメンバーに押し付ける前に、下記のようなことを検討すべきでした。

10%の売り上げを増やすためには、最低でも下記のことを合理的に判断しなければなりません。
・どの商品の売上が、より確実に伸ばすことが出来るか?
・そのお客様の売上が、より確実に伸ばすことが出来るか?
・商談量を増やすのか、商談金額を増やすのか、どちらがより確実に売上を伸ばすことにつながるか?
・営業のどのような能力を高めれば、一人あたりの売り上げを増やすことができるか?


このような検討をとおして、目標達成の可能性を高められる計画を作成すべきです。
そのような計画を作成すれば、目標達成の可能性が高い計画なのですから、メンバーもその計画に賛同して取り組んでくれるようになります。
もともと合理的ではない方針や計画だから、そして、「意欲がない」と人のせいにされるから、意欲を発揮しないのですから。


一流のマネージャーは、「意欲や根性」のような言葉をあまり使わない



通常、意欲や根性のことを良く口にするマネージャーは、目標を合理的に達成できる方針・重点施策・実施計画をつくれません。
そのような合理的なマネジメントができていないから、人の意欲や根性に頼る状態に陥っています。
部下に意識や意欲や根性を求めることは簡単です。ただ、人の意欲ほどあてにならないものもないのです。


チームの目標達成をし続ける一流の営業マネージャーは、普段の会話の中で「意欲や根性」ということをあまり言いません。
すべての人が意欲的に仕事をしてくれれば、そんなに楽なことはないです。ですが、それは現実的ではない事も知っています。多くの人は意欲的ではないですし、目標に決意を持って取り組んでくれません。
それが現実であり、その状況でも「どうしたらチームの目標を確実に達成できるだろうか?」を考えているからです。
まず行うのは成功の可能性を高めるための緻密な分析と計画と設計です。
そして、その目標達成を確実にするために、「少しでもメンバーの意欲を高める」取り組みを行います。


意欲な情熱を出すことだけを求めても目標達成はできません。
チームの目標達成に向けて必須なのは合理性で、合理性が先立ちます。
その合理的な方針や計画にメンバーの意欲の働きかけを伴うことで、より効果的になるのです。


私たちが、貴社のマネージャーが合理的な方針・計画・マネジメントが出来るように支援いたします。
まずは、その必要性について話し合うことから始めましょう。
ご連絡をお待ちしております。


文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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