営業パーソンの目標達成能力を見極める4つの質問 ~ 「4つの質問」を効果的に使うことで、営業パーソンの目標達成の確実性も大きく改善することができる!

あなたは、部下である営業パーソンの目標達成能力の高さを判断できる方法を知っていますか?

長く一緒に仕事をしていれば、今までの実績などから目標達成能力の高さが判断できます。ですが、部署を移動して新しい営業パーソンなどと仕事をすることになったときには、それぞれの目標達成能力の高さをすぐに判断することができません。

ですが、今回紹介する「4つの質問」を使うことで、営業パーソンたちの目標達成能力の高さを推定することができます。高さを推定できるだけではなく、その質問を効果的につかえば、営業パーソンたちの目標達成能力を高めることができるのです。

今回のテーマは、営業パーソンたちの目標達成能力の高さを見極め、そして、その目標達成能力を向上するための「4つの質問」について解説します。

「4つの質問」を効果的に使うことで、営業パーソンの目標達成の確実性も大きく改善することができる!

多くの営業パーソンたちの売上目標や現時点での達成度の認識状況は良くない!

仕事柄、多くの営業パーソンと話をする機会がありますが、時々びっくりすることがあります。それは、以下の4つの質問にすぐ答えられない営業パーソンが多いことです。

◆ 今期(今月)の売上目標はいくらか?
◆ 今期(今月)の現時点での売上実績はいくらか?
◆ 今期(今月)の見込額はいくらか?
◆ 今期(今月)の目標達成までの不足額はいくらか?

これらの質問にすぐに答えられる営業パーソンと答えられない営業パーソンとでは、売上目標達成の可能性が大きく違います。

これが、このノートの結論なのですが、「4つの質問」とは、これらの質問のことです。これら4つの質問をすぐ答えられる営業パーソンは、売上目標を達成できる確率が高いです。

この4つの質問をしたときの営業パーソンからの回答は、概ね以下の3つのパターンに分類できます。

◆ 回答パターン1. 今すぐにはわからない
◆ 回答パターン2. 資料確認すれば一応答えられる
◆ 回答パターン3. 即座に明瞭に答えられる

回答パターン1. 今すぐにはわからない

「今すぐにはわかりません。後で数字を整理してみないと…」と、数字の整理すらしていない営業パーソン。

これは、売上目標達成の可能性が最も低い営業パーソンです。ですが、このパターンの営業パーソンが売上目標を達成できることもあります。たとえば、世の中の景気が良く、運良く活発に投資をするお客様を担当できれば、このパターンの営業パーソンでも売上目標を達成できます。ですが、景気が悪くなると急に売上目標達成の確実性が悪化します。すなわち「運がよければ達成できる!」だけなのです。

回答パターン2. 資料確認すれば一応答えられる

このパターンの営業パーソンは、資料やパソコンを確認して下記のように回答します。

「えっと、今月の売上目標は3,000万円ですね。そして、今月は既に1,000万円の売上実績で、他に1,000万円くらいの見込があります。ですので、今月は2,000万円くらい売れそうです。目標に対してだと1,000万円くらい不足しています。」

資料やパソコンなどを使うと答えられるのですが、これらの数値が頭には入っていません。このパターンの営業パーソンは、仕事はまじめに行っていますが、「この売上目標自体、会社が勝手に決めて押し付けた数値でしょ!」と他人事のように捉えている傾向があります。

回答パターン3. 即座に明瞭に答えられる

3つ目の回答パターンは、まっすぐ営業マネージャーを見て、下記のように直ぐ答えることができる営業パーソンです。

「売上目標は4,000万円です。今月は4,500万円の見込みがあり、500万円ほど上乗せして達成できます。」

これは、「自分の売上目標」「現時点の達成度」そして「今後の見込み額」が常に頭に入っている証拠です。このパターンのように、常日頃から「4つの質問」にすぐ答えられる営業パーソンは、売上目標の達成の可能性が格段に高いです。

どうすれば、このパターン3のような営業パーソンを増やすことができるのでしょうか?

マネージャーの日頃の会話が営業を育てる

このパターン3の営業パーソンを育てるための効果的な方法は、営業マネージャーがこの「4つの質問」を日頃から営業パーソンへ問いかけることです。営業会議などのミーティングではもちろんのこと、仕事中のちょっとしたコミュニケーションの時も営業パーソンへこれらの質問をします。

営業のチーム内でこれらの「4つの質問」が頻繁に行われていると、営業パーソンは、日頃から「自分の売上目標」「現時点の達成度」「今後の見込み額」「そのGAP(差)」をより強く意識するようになり、常に頭に入っている状態へと変化します。

「4つの質問」を日常的におこなうことが、組織の風土を変革する!

この「4つの質問」はシンプルですが、強力な質問です。この質問を使うことで、営業パーソンの活動状況を把握することもできます。ですので、営業マネージャーは、この4つの質問をつねに行う必要があります。

ですが、私たちが以前営業力強化の支援をしたクライアント企業のマネージャーたちは、「このようなことは、マネージャーが営業パーソンへ聞くべきではないですよ。このようなことは営業パーソン個人の意欲の問題なので、自分で認識できていれば良いんです!」と考えていました。そのため、毎月の営業報告書にはこれらのことを書かせていますが、日頃の会話の中で、この「4つの質問」を使っていませんでした。このクライアント企業のように報告書で報告させているだけでは、営業パーソンが「自分の売上目標」「現時点の達成度」「今後の見込み額」「そのGAP(差)」を認識する機会が月1回しかありません。

営業パーソンが、「自分の売上目標」「現時点の達成度」「今後の見込み額」「そのGAP(差)」を常に頭に入れておくことは、企業の営業力や目標達成に極めて大きなことだ、と認識していただきたいです。

「営業パーソン個人の意欲の問題」と考えるのではなく、「このことは、『営業パーソンが目標とその差を常に意識する組織風土や職場環境』の観点での重要課題」と捉えることが重要です。

経営者や営業マネージャーの重要な役割の1つは、営業パーソンが、常日頃から目標とその差を意識する組織風土や職場環境を作ることです。特に、営業マネージャーは、この「4つの質問」を活用し、「営業パーソンが、『自分の売上目標』『現時点の達成度』『今後の見込額』『そのGAP(差)』を認識しているかどうか?」を少なくとも週1回は確認します。営業力強化の一歩目は、そのような風土や環境を作ることです。

日常の会話以外にも「4つの質問」の確認方法がある ~ 営業パーソン自身が目で確認できるツールを増やそう

最近は、ITツールが進化したおかげで、営業パーソンは朝から晩まで社外に出かけられるようになりました。そのため、営業マネージャーにとっては営業パーソンとこの「4つの質問」について話す機会が取りづらくなっています。そのような状況では、案件管理ツールを使うのも一つの方法です。案件管理ツールによって案件の進捗を管理する仕組みを作れば、「自分の売上目標」「現時点の達成度」「今後の見込み額」「そのGAP(差)」を常に確認できるようになります。

また、それぞれの営業パーソンの売上目標と現時点での達成度を壁に貼りだし、常に目で確認できる環境にすることも効果的です(ただし、壁に紙を張り出すことは防火上の問題がありますので、くれぐれも注意して行ってください)。

この4つの質問に答えられなかった営業パーソンが答えられるようになった時には、「すぐに回答できるようになったな!」とその変化を認めます。その一言が営業パーソンのモチベーションをさらに高めます。

どのような方法であれ、常に「言葉として話す」「目で確認する」風土や環境を作ることが大切です。「4つの質問にすぐ答えられることが当たり前!」という風土に変わると、営業パーソンが成長します。

「4つの質問」が定着したら、一段高度な営業力の強化へ進もう!

「『4つの質問』が組織内で定着した」ということは、勘や根性や足で稼ぐだけの営業から脱出し始めている状態です。そうなったら、パフォーマンスをさらに向上するための次の対策を始めます。

「自分の売上目標」「現時点の達成度」「今後の見込み額」「そのGAP(差)」を日頃から認識できている段階から一段上の営業方法に挑戦します。勘や根性や足で稼ぐだけの営業の状態から、「目標と実績の差を考え、目標を達成するためには具体的にどのような対策が必要か?」を話し合うことができる知的・戦略的な営業組織のステージをめざします。このステージに上がれば、営業一人あたりの売上や利益を増やすことができます。その知的・戦略的な営業組織へとなるために、営業パーソンに営業スキル向上トレーニングを行なうことも有効です。

営業パーソンへトレーニングを行う時は、営業パーソンに好きな研修を受けさせているだけでは効果的に営業力を強化することができません。営業パーソンの業績向上に直結する具体的な課題を発見し、その課題を解決できるトレーニングを実施することが重要です。

また、その際は、営業パーソンのスキルを向上するトレーニングだけではなく、「営業マネージャーの管理・マネジメント力も同時に強化すること」が重要です。多くのクライアント企業の営業力強化の支援をしていて強く感じることがあるのですが、それは「営業成績向上へのカギは、営業マネージャーの管理・マネジメント力にある!」ということです。

営業パーソンたちの営業活動に関する課題、営業マネージャーの管理能力の問題点、どちらも発見しづらいものです。そのために、私たちの「営業力診断アセスメントサービス」を活用ください。

(【参照】 【コンサルティング】営業力診断(営業アセスメント) ~ 「営業組織が確実に目標達成できるようになり、成長し続けることを実現する」ための最重要課題を特定します!(BtoB Sales Force Assessment)

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営業マネージャーが「4つの質問」をすることから始める

あなたは、部下である営業パーソンの目標達成能力の高さを判断できる方法を知っていますか?

貴社の営業パーソンの育成、および、営業組織としての営業力を強化するために、まずは今回紹介した「4つの質問」を行ってください。必ず成果が出ます。ですが「やってみたけれど成果が出ない」のであれば、それを邪魔している別の問題が潜んでいます。一緒にその原因を探り、解決方法を検討しましょう。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。あなたの会社の営業力を確実に強化するための支援を致します。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2008年3月17日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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