個人事業として、当初から長きにわたって事業としてきた「営業力強化コンサルティング」では、この12年間に、情報通信/保険/金融サービス/製造業/商社/人材サービス/コンサルティング企業をはじめ、様々なクライアント企業の営業力強化を支援しました。したがって、私たちが蓄積できたそのノウハウは膨大な量になっています。
その支援を通して、「法人営業組織の業績を改善できるかどうかは、3つの課題に集約できる!」ことがわかりました。
その3つの課題とは何でしょうか。これら3つの課題に関わる対策を取れば、営業組織のパフォーマンスは必ず向上します。今回はその課題と対策について解説します。
営業組織のパフォーマンス向上に必須となる3つの課題とその対策
ページコンテンツ
対策すれば、必ず業績は向上する!
結論から言うと、パフォーマンスが低迷している営業組織は、以下の3つの課題の対策を行えば、確実にパフォーマンスを向上することができます。◆ 計画と管理
◆ 営業プロセス
◆ 営業スキルの強化
まずは、これらのうちの1つの課題の対策を実施することで、パフォーマンスは向上します。1つ目の課題の対策を実施してパフォーマンスを向上させることができたら、2つ目の課題、3つ目の課題へと、次の課題の対策へと進みます。それによって、更にパフォーマンを向上させることができます。
ですが、会社の状況(扱う商材/お客様との商談方法/商談金額の大きさ/営業のモデルなど)によって、「最初に挑戦すべき課題」や「対策を行う順番」は変わります。ですので、事前に問題点を把握し、計画を立てて確実に実施することが大切です。いずれにしても、この3つの課題を実行すると、営業組織の営業成績は確実に向上できます。
営業課題1. 計画と管理
営業一人あたりの売上金額が多い営業組織は、体系的な「計画と管理」を行っています。実際に、パフォーマンスの高い営業組織は、以下の4つの計画と管理を行っています。(1) 毎月・毎日の面談計画
多くの営業マネージャーは、営業パーソンに、毎週もしくは毎日の面談する顧客を確認しています。そんな中、パフォーマンスの良い営業組織の営業マネージャーは、毎日・毎週の面談する顧客の確認だけではなく、以下の2つを追加して確認しています。◆ 毎週/毎日に誰と面談するかの確認だけではなく、「訪問の目的は?」「今回の面談で達成したいゴールはなにか?」を確認する
◆ 毎週/毎日に誰と面談するかの確認だけではなく、毎月という単位で、どのお客様にどの程度面談をするかを計画する。
(2) 商談の進捗管理
1回面談をすれば受注できるような商材では必要ありませんが、受注までに数回面談する必要がある場合には、商談の進捗管理が必要となります。お客様は、発注する前に、社内で検討・評価を重ね、「買って良い」という承認を得る必要があります。それには数ヶ月かかることもあります。そのような中、それぞれの商談を確実に受注するために、お客様の購買の進捗状況に合わせて、適切な商談の進捗管理を行う必要があります。(3) 今後3ヶ月(商材によっては6ヶ月)の販売予測
すでに説明した通り、お客様が法人企業の場合、お客様がなにかモノを購入する際には、複数の人の承認が必要となります。その承認を取るために「複数の商材の比較検討」と「購入しなければならない理由」を承認者に報告します。つまり、消費者がモノを買うときのように即決買い/衝動買いということはほとんどなく、いくつかの承認ステップを経て、やっと購入できるのです。特に、高額な商材の購入の場合には、お客様が最終的に発注できるまでには、数ヶ月かかることもあります。売る側としては、「今月の売上が足りない!」と思っても、お客様はすぐ買うことなどできません。ですので、お客様の社内手続きの時間を考慮して、3ヶ月から6ヶ月の期間での販売予測を行うことが必要です。営業マネージャーはこのことを認識し、営業パーソンに3ヶ月くらいの先を見た販売予測を行わせる必要があります。
(4) 年間の売上目標の設定
パフォーマンスの高い営業組織は、主要なお客様の過去の売上トレンドや今後の投資動向をつかみ、お客様ごと(もしくは地域や商品ごと)の年間の売上目標を設定しています。ですが、このような年間でのお客様ごとの売上目標を設定している営業組織はごく一部です。4つの「計画と管理」が、営業を戦略的/生産的にする!
この年間でのお客様ごとの売上目標を設定していれば、「四半期ごと(3ヶ月毎)の販売予測」「商談の進捗管理」そして「毎月・毎日の面談計画」のそれぞれが、この「年間でのお客様ごとの売上目標」の達成に役立っているかを検証することができます。このような体系的な計画と管理をすることが、営業という活動を戦略的/生産的な活動へと進化させることができるのです。ここで説明した毎日/毎週/四半期毎/毎年というそれぞれの期間での「計画と管理」は、パフォーマンスを向上するためには当たり前のことです。しかし、このような「計画と管理」を厳格に行っている営業組織は少ないです。まずは、営業担当者たちにこれらのことを徹底させれば、必ず営業成績は上がります。
営業課題2. 営業プロセス
営業組織内で基本的な営業プロセスが定義され、全員がそれを共通認識すると、下記のような効果が得られます。◆ 営業成績が向上しない原因やボトルネックを見つけることができる
◆ 会社として弱い部分が見つかる
◆ 営業パーソン一人一人の特性や強化ポイントが分かる(営業パーソンによって「商談を作るのはうまいが、クロージングが下手」などの特性があります)
◆ それらの原因を特定し、トレーニングなどの対策を実施することができる
営業マネージャーや営業パーソンたちに、「営業の仕事をプロセスとして図示する」ということをさせてみてください。全員が同じように書いていないのであれば、営業プロセスが組織として共通認識できているとは言えません。営業業務がプロセスに基づく形で行われず、営業たちが属人的な営業を行っている状態です。「会社として、営業の生産性向上ができない状態」ともいえます。
組織営業力を高めるためには、「営業プロセスの明確化と共通認識化」が重要であるにもかかわらず、それができている営業組織は少ないです。もし仮に、営業プロセスができているのに営業成績が芳しくないのであれば、その原因は下記の2つです。以下の2つの対策を取ると必ず営業成績は向上します。
◆ 現在行っている営業プロセスが事業や市場と合っていない
◆ 営業プロセスに基づくマネジメントが行われていない
営業課題3. 営業スキルの強化
営業成績を左右する3つ目は「営業スキルの強化」です。具体的には、下記のような営業スキルを強化します。◆ 商談開拓のスキル
◆ ソリューション営業のスキル
◆ クロスセル・アップセルのスキル
◆ アカウントマネジメントのスキル
◆ エグゼクティブへのアプローチスキル
◆ 価格交渉スキル など
このような営業スキルを強化することで、営業担当者の目標達成力を確実に向上することができます。これらの営業スキルのうちの一部は高度な営業スキルですので、優秀な営業パーソンを選抜して行います。その選抜した営業パーソンのスキル強化を行えば、彼らの一人あたりの売上高を更に増やすことができます。
営業力強化セミナーのご紹介
『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『営業力強化』などのセミナーを毎月開催しています。ぜひご参加ください。● 【マネジメントセミナー】法人営業変革で強い営業組織へ ~ 2030年代へ向けて進化し続ける次世代営業力強化の実例
● 【営業力強化セミナー】優秀な営業が行っている営業計画 ~ 目標達成を確実にする営業計画/活動計画立案のノウハウを手に入れる!
その他の営業力強化セミナー
● 営業力強化セミナーページ
合理的な対策の方が格段に営業成績は向上する。精神論的な対策から脱却しよう
「営業組織のパフォーマンスに影響を及ぼす3つの課題とその対策」について解説しましたが、実際にはできるだけシンプルに、できることからひとつずつ実行することが大切です。はじめから多くの対策を行おうとして、結局はなんの効果も得られなかった営業組織も多いです。営業組織では、いまだに「やれよ!」と命令するだけのマネージャーが目に付きます。しかし、営業マネージャーの「売ってこい!」「もっと出かけてこい!」という掛け声だけでは売上が増えることはありません。営業にはこのような精神論的な対策ではなく、合理的な対策のほうが効果は高いです。
二流は精神的なことを求めますが、一流は合理的なことを求めます。「やれよ!」と命令するだけの精神論的マネジメントからは一刻も早く脱却しましょう。「計画と管理」「営業プロセス」「営業スキルの強化」の3つを重視した、確実にパフォーマンスを向上できる合理的マネジメントへ進化することが重要です。
あなたの会社の営業組織のパフォーマンスが他のライバル会社と比べて低いのであれば、この3つの課題に関わる対策を行えば、必ず営業成績は上がります。そのためには「どこが最も問題なのか?」を正しく認識する必要があります。その問題を特定した上で対策を行えば、法人営業の営業成績は確実に向上できます。
私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウ/経験があります。もし、あなたの会社において「営業成績が向上しない、どこが最も問題なのか?」を判明できていなければ、遠慮なくお問い合せください。わたしたちが、12年間多くのクライアント企業の営業支援をしてきた経験に基づくアセスメント(診断)を実施し、貴社の問題点をはっきりさせます。あなたの会社の今年の営業パフォーマンスを向上する支援をさせていただきます。
(本ノートは、2016年10月3日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
Copyright (C) 2016-2022 T-SQUARE Co., Ltd. All rights reserved.
お問い合わせ
ご質問・ご依頼など、当社へのお問い合わせ関連するソリューション
● 【コンサルティング】営業力診断(営業アセスメント) ~ 「営業組織が確実に目標達成できるようになり、成長し続けることを実現する」ための最重要課題を特定します!(BtoB Sales Force Assessment)● 【法人営業研修】 積極的営業力(プロアクティブセールス力)の強化 TSメソッド ~ 営業パーソンが「積極的にお客様へ働きかけていく営業」の具体的な実践方法!(Proactive Sales TS-Method)
● 【法人営業研修】営業パーソンの営業活動計画力の強化 ~ 目標を確実に達成するために必須となる営業活動計画の作成方法(Planning Method for Achievement)
● 【コンサルティング】営業マネージャー業務代行サービス ~ 営業マネジメントができる組織を作り、今までとは違う結果を達成する!(Sales Management Outsourcing Service)
● ティ・スクエア 法人営業力強化ソリューション 一覧
一緒に読まれているノート
● 「若い営業担当者たちが言われたことしかしない!」「すぐやめてしまう!」の原因を特定! ~ 客観的な判断基準に基づく営業力診断(営業力アセスメント)から分かったその原因と対策!● 営業力強化ケーススタディ『外資系製造業』 ~ 二桁以上の売上成長率を続ける営業組織へ転換する具体的営業力強化実施計画の立案!
● 営業力強化ケーススタディ「法人向けサービス会社」 ~ 営業担当者の「目標設定力と行動計画力を強化」することで、営業組織の売上増加を達成!
● パフォーマンスの良い営業組織は規律がある! ~ 受注に向けた営業活動の生産性・信頼性と営業の意欲を高めるために、営業組織の規律(5S)を徹底する方法
● 営業組織が行っている「売上予測管理」が、営業目標の達成に役立っていない? ~ 売上目標を確実に達成するためにマネージャーが行うべき売上予測の管理方法
● 営業パーソンの目標達成能力を見極める4つの質問 ~ 「4つの質問」を効果的に使うことで、営業パーソンの目標達成の確実性も大きく改善することができる!
無料メールマガジンの登録
『組織』と『個』の相互の成長に役立つ『成長力強化(マネジメント力強化とプロフェッショナル育成を含む)』と『営業力強化』の情報を月1~3回お届けしています。● 当社無料メールマガジンのご登録フォームへ