不況や景気低迷期に売るためにはどうしたらよいか? ~ 業績が悪化している時期を乗り越えるために営業組織が実行すべき「3つの営業に関する対策!」

世界は、過去、幾度となく不況や景気低迷期に直面しました。そして、多くの企業は、その不況や景気低迷期をどうにか乗り越えてきました。不況や景気低迷期に直面した時、これらの企業はそれを乗り越えるためにどのようなことを実行したのでしょうか?

不況や景気低迷期を乗り越えた企業は、「投資の抑制」や「コストの削減」だけではなく、それ以外の様々な対策を行いました。そのうちの1つが「営業に関する対策」でした。

「全員で営業する」などの営業に関する対策は、不況を乗り越えるために役立ちました。不況や景気低迷期に売上を確保することは簡単ではありません。不況や景気低迷期に企業が実行すべき「3つの営業に関する対策」について解説します。

業績が悪化している時期を乗り越えるために営業組織が実行すべき「3つの営業に関する対策!」

積極的な営業は、不況や景気低迷期を乗り越える強力な施策の1つ!

企業は、不況や景気低迷期に直面すると、その状態を乗り越えるために、支出となる投資や購入を抑えます。そのような中、企業が生き延びていくためには、売上を確保しなければなりません。

過去、世界は幾度となく不況や景気低迷期に直面しましたが、その不況を乗り越えた企業は、その対策として「全社員で営業」を行いました。開発・生産・マーケティング・人事などの社員も、本来の業務だけではなく、営業活動を行いました(参照:稲盛和夫 OFFICIL SITE 不況に備える7つの心構え)。販売を代理店に任せていた製造業であっても、不況期は、代理店任せにせず、直接お客様へ営業を行いました。

不況や景気低迷期を乗り越えるためには、「営業に関する対策」も必要です。しかし、過去の不況や景気低迷期とは違い、現在は「誰でもが営業する(営業人数を増やす、お客様への訪問件数を増やす)」だけでは、業績を回復することができなくなりました。景気がよい時期ですら「営業量を増やすだけの対策」は成り立たなくなったのです。営業量と営業の質が相乗効果となる対策が、営業には必須となりました。

不況や景気低迷期を乗り越えるために、または、業績の悪化を乗り越えるために、企業にとって必要な営業に関する対策は、以下の3つです。

◆ 対策1. 市場情報収集活動の徹底
◆ 対策2. 新規案件創出活動の拡充
◆ 対策3. 競合対策活動の強化

対策1. 市場情報収集活動の徹底

大手IT企業A社の法人営業部は、市場情報の収集を徹底することで、不況や景気低迷期でも大きな落ち込みとならず、売上を維持しました。

お客様の投資や調達量が削減されたために、A社の営業部は売上の減少に直面しました。そのような状況の中、A社の法人営業部の1つに、新しい営業部長Iさんが着任しました。Iさんは、以前マーケティング関係の部署にいましたが、法人営業部を任されたのです。

Iさんが率いることになった営業部も、他の営業部と同様に苦戦していました。継続的な取引のあったお客様が投資や調達を抑えたために、取引がなくなったお客様もありました。結果が出ないために、営業担当者たちの間にも、「このままでは、売上はさらに減少してしまう!」「どうしようもない!」というあきらめムードが漂っていました。

着任してしばらくの間、Iさんは、現在の営業方法を観察していました。Iさんは、「今までと同じ営業方法では、売上の減少を食い止めることができない!」と判断しました。お客様に新しいソリューションやサービスをいくら提案しても、具体的な案件が増えなかったからです。そのため、しばらくの間、お客様への紹介や提案をストップする決断をしました。

その代わりに、営業担当者全員で「お客様を理解する」ことを徹底しました。その一例としては「現在、どのような設備を持っているか?」「予算の状況はどうか?」「直面している問題はないか?」「どのようなことに取り組もうとしているのか?」などを調査することでした。その活動は、営業担当者だけが行っていたのではなく、Iさん自身も行いました。まさに、全員で取り組んだのです。

この活動を始めてすぐ、「うまくいかない」問題に直面しました。有益な情報が集まらなかったのです。集めるべき情報の量も質も、両方とも不足していました。なぜならば、営業担当者たちは、今までそのような市場情報や顧客情報を集めたことがなかったからでした。まずは、営業担当者たちがそのような情報を調査できるトレーニングが必要でした。

市場情報や顧客情報を収集するトレーニングを実施した後も、定期的に「どうしたら、更に効果的に情報収集をすることができるか?」について検討を続けました。その結果、徐々に、より有益な情報が集まり始めました。一旦集まり始めると、その後は加速的に効果的な情報が増えました。トレーニングを行って3が月経った頃には、多くの良い情報が集まったのです。

その後、その集めた情報を活用して提案する活動に入りました。Iさんの営業部は、この活動を通して、案件数を回復でき、その結果として、売上が減少していた状況から以前と同程度の売上額まで回復することができました。

市場情報収集力を強化することに役立つ営業力強化プログラム

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対策2. 新規案件創出活動の拡充

製造業B社は、企業向けに精密機器を販売している企業でした。B社は、新規の案件創出ができる提案力を強化することで、売上の減少を食い止めました。

B社は、継続的に取引のある企業を中心に営業をおこなっていました。ですが、不況や景気低迷期のために、お客様は投資額を削減しました。そのため、売上が減少し続けている状態でした。この売上の減少を食い止めるためには、新規顧客を開拓することが必要でした。

「過去、名刺交換をしてコンタクト先はわかっているが、現在は取引がないお客様」、もしくは、「本来はもっと取引があるはずだが、取引額が少ないお客様」を中心に、新規開拓の活動を始めました。ですが、思うように新しい商談を開拓することができませんでした。と言うのも、今まで、継続的に取引のある企業を中心とした営業活動だったため、新規顧客へ商材を提案する提案力が十分ではなかったためでした。

そこで、新規商談の開拓力強化のトレーニングを実施しました。営業マネージャーを含め、全員でそのトレーニングを受講し、その後、そのトレーニングで学んだ内容に対する繰り返しのロープレ(ロールプレイングによる練習)を行い、お客様との商談での応用力を強化しました。B社は、この活動により、新規顧客での案件数を増やすことができ、売り上げ減少を食い止めることができました。

新規商談開拓力を強化することに役立つ営業力強化プログラム

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対策3. 競合対策活動の強化

法人向けサービス企業C社は、業務支援サービスを法人企業に提供していました。ですが、不況や景気低迷期でお客様が投資額を削減したために、売上が減り始めました。さらには、案件が少なくなっているにも関わらず、ライバル会社に取引が奪われ始めました。

C社は、ライバル会社に取引が奪われることを阻止する必要がありました。ですが、今までそのような競合対策を行ったことがなく、どうしたらよいかわからない状況でした。今まで行っていた競合対策は、「値引きすること」しかなかったからでした。

そこで、C社は競合対策力の強化トレーニングを行いました。この競合対策力の強化トレーニングを営業担当者全員で受講し、その後、競合状況の分析とその対策について検討を重ねました。その結果、C社は、ライバル会社に勝てる案件を増やし、売上減少を食い止めることができました。

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不況や景気低迷期において積極的な営業を行うには注意は必要!

不況や景気低迷期に陥ると、営業担当者へ「売上目標を達成しろ!」というプレッシャーが強くなります。「目標達成へのプレッシャー」が強くなることは必要なことですが、営業担当者へ「積極的に行け!」「売ってこい!」というプレッシャーだけが強くなると、営業担当者は注文をもらうために雑で強引な営業活動をし始めます。その結果、良好な関係だったお客様との関係を悪化させてしまい、このことが将来の取引額に悪影響を及ぼします。

「買いたくないお客様」「買えないお客様」に強引に押し売りをすることだけは絶対に避けなければなりません。

これでは、不況や景気低迷期に売上を増やすことができないだけではなく、その後、景気が回復したときにも、お客様から距離を置かれ、売上を増やすことができなくなってしまいます。そのために「積極的に行け!」と営業担当者へプレッシャーをかけるだけではなく、新たな営業スキルを強化することが大切です。「積極的に行く!」という熱いハートとともに、「理論的にストーリーを持って行う!」というクールな知的さ、その両方を発揮することが必要です。

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不況や景気低迷期は、企業として積極的に営業を実施する!

不況や景気低迷期では、お客様に商材を無理強いしたところで購入してくれることはありません。以上に説明した3つの営業に関する対策を行い、不況による落ち込みを最小限にすることが必須となります。このノートで紹介した3つの企業の営業組織も、その対策を行うことで危機的な業績の悪化を乗り越えました。不況や景気低迷期だからこそ営業に関する対策が必要で、かつ、全員で営業をする積極性が必要なのです。

私たちは、市場調査力・新規案件創出力・競合対策力強化のプロフェッショナルです。多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。この3つの営業に関する対策だけではなく、その強化を通して営業たちの挑戦意欲を引き出し、実行するための支援をします。ぜひ、下記までお問い合わせください。

(本ノートは、2011年8月22日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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