『熱狂的なファン』といいますと、スポーツ観戦や音楽アーティストなどライブやフェスなどのエンターテインメントに多くいます。ビジネスにおいては、BtoC事業などの消費者を対象としているビジネスで必要とされることもあります。
ですが、今、エンタープライズ企業などを対象としたBtoB事業やインダストリー事業においても『熱狂的なファン』を作る挑戦が大切な状況となっています。それができなければ、新規の事業を立ち上げることができなくなっているからです。
このノートでは、BtoB事業やインダストリー事業において、組織として『熱狂的なファン』を作る方法について解説します。
法人ビジネスにおいて、『熱狂的なファン』を増やす方法
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多くの企業が、顧客との関係に問題を抱えている!
成功している企業に共通していることは、『顧客重視』です。多くの企業が、『顧客中心(Customer Centric)』を掲げています。顧客を大事にしている企業は成功しています。このことは、BtoC事業など消費者を顧客としてビジネスをしている企業だけではなく、企業や政府を顧客としてビジネスをしているBtoB事業でも同様です。私たちのクライアント企業は、企業や政府を顧客としてビジネスをしているBtoB事業を行っている企業です。このBtoB事業を行っている企業の多くが、『顧客との関係』に問題を抱えていました。
医療用品製造業のF社は、病院などの医療機関へ医療用の消耗材を販売していました。ある程度まではビジネスを伸ばすことができていましたが、企業としての成長は止まっている状況でした。このF社の商材をよく購入している顧客たちへ「F社のことをどう思っていますか?」を聞いてみると、「安いものを扱っている業者のうちの1つ」という認識でした。F社に対して、満足感が高いわけではありませんでした。
化学製造業のT社には、長らく取引をしている顧客がいました。長らく取引をしているので、T社の社員たちは、「その顧客とは良い関係ができている!」と考えていました。ある時、T社は、「その顧客との取引額を増やそう!」と考えて、顧客へある提案をしました。T社の社員たちは、「顧客と良い関係ができているので、顧客のことはよくわかっている。顧客には、このようなニーズがある」と考えていたのです。実際に、その提案をしてみたところ、顧客は、「その提案にはまったく関心がない。それどころか、T社との取引をもっと減らそうと考えている。」ことがわかりました。
多くの企業は、「顧客と良い関係ができている!」と考えています。ですが、実際のところは、以上のように勘違いであることも多いのです。
法人ビジネス(インダストリービジネス)でも『熱狂的なファン』を作ることができる!
多くの企業が、「顧客と良い関係ができている!」と思いながら、それが勘違いである状況であるのに対して、顧客と良い関係を構築できている企業もあります。その企業は、『良い関係』や『顧客満足』ではなく、更に上の『熱狂的なファン』を作ることにも成功しています。ある外資系企業ですが、その営業担当者は『熱狂的なファン』を作ることができている人でした。その顧客である日本を代表する大手エレクトロニクス企業の生産技術部の課長は、「あの人から面会の依頼があったときには、その面会の依頼を断ったことは1回もない。あの人は、今まであったこともない営業担当者だった。」と言っていました。
他の顧客である大手通信事業者の部長代理は、「あの人ならば、いつでもうちの社長に合わせますよ。セットアップは大変ですが、あの人には我が社の社長にあってほしい、なんとかします。」と言っていました。
大手自動車会社の技術部の人からは、「あの人は、今回の当社のプロジェクトの成功に貢献してくれました。社外の人というよりも、一緒にプロジェクトを進めてきた仲間だった。プロジェクトリーダー的な存在でもあった。」と評価していました。
本当に業績を高めたいのならば、そして、本当に顧客を中心として貢献がしたいのであれば、「顧客満足でよし」としてはダメです。『熱狂的なファン』を作らなければいけません。もちろん、すべての顧客が『熱狂的なファン』となることはありません。ですが、この『熱狂的なファン』を数人でも作ることができないのであれば、『良い関係の顧客』や『満足感のある顧客』を増やすことはできません。
『良い関係の顧客』や『満足感のある顧客』を増やしたいのであれば、『熱狂的なファン』を増やす挑戦をしなければならないのです。
『熱狂的なファン』を作る方法!
エンタープライズ企業などを対象としたBtoB事業やインダストリー事業においても、『熱狂的なファン』を作る必要があります。熱狂的なファンを作るためには、以下の4つの手順で行う必要があります。1. 顧客が喜んでいるイメージを作る
2. 自分たちがサービスを提供しているイメージを作る
3. 顧客のことを徹底的に理解する
4. こちらから顧客へ働きかける
1. 顧客が成功しているイメージを作る
『熱狂的なファン』を作るために、まずすべきことは、「顧客の成功はなにか?」を徹底的に考えることです。一言で「法人の顧客」と言っても、顧客の仕事は、開発、製造、マーケティング、営業、サポート、更に役職という観点では、取締役、執行役員、部長、課長、担当者と様々です。すべての「顧客の成功はなにか?」のイメージを作ることは困難ですが、重要な顧客の「顧客の成功はなにか?」のイメージは作るべきです。
ここで、ポイントとなるのは、『私たちの商品・サービス・ソリューションを使って、成功しているイメージ』を必ず盛り込むことです。それは必須としたうえで、さらに、私たちの『私たちの商品・サービス・ソリューションが必要な業務領域のさらに前工程や後工程で成功しているイメージ』なども考えます。視野を広げて、顧客が成功しているイメージを作ることが大切です。
先ほど『熱狂的なファン』を作ることができている営業担当者を紹介しましたが、この人は「顧客の成功はなにか?」を文章としてまとめていました。
多くの企業が、『顧客中心』という価値観を掲げています。ですが、そのような抽象的な価値観を掲げているだけでは『熱狂的なファン』を作ることはできません。組織として重要な顧客を特定し、「顧客の成功はなにか?」のイメージを作るからこそ、『熱狂的なファン』を作る挑戦を始めることができるのです。
2. 自分たちがサービスを提供しているイメージを作る
次にすべきことは、『自分たちがサービスを提供しているイメージ』を具体的にすることです。この『自分たちがサービスを提供しているイメージ』も幅広く考える必要があるのですが、そこには、私たち自身の心構え・立ち位置・ものの見方・考え方・行動・姿勢・振る舞い・言葉づかいなどを含めて考えます。このような定性的なことを、できるだけ具体的なイメージとした文章をまとめます。
先ほどの『熱狂的なファン』を作ることができている営業担当者は、以下のようなイメージを持っていました。
◆ 真剣に顧客の成功を支援しようとする。
◆ 顧客との信頼関係を築くためには、顧客の長期的な目標達成の支援を目指す。
◆ 商談が成果に結びつかなくても、顧客と常に関わりを持っている。
◆ 顧客企業としての戦略的ニーズに焦点を当てて、解決策を探っている。
◆ 顧客のチームの一員として行動する(サッカーのように一緒にゴールに向かって進んでいるイメージ)。
以上のような、「心構え・立ち位置・ものの見方・考え方・行動・姿勢・振る舞い・言葉づかいができているかどうか?」は、定量的に判断することができません。ですから、イメージを具体的にし、組織としての価値観としておくことが、強力な差別化要因ともなるのです。
3. 顧客のことを徹底的に理解する
すでに、『1. 顧客が喜んでいるイメージを作る』と『2. 自分たちがサービスを提供しているイメージを作る』をお伝えしましたが、これらがあるからこそできるようになるのが、『3. 顧客のことを徹底的に理解する』です。『人を理解する』ことは簡単ではありません。特に、顧客を理解することは簡単ではありません。私たちが、『顧客が喜んでいるイメージ』を具体的にしたとしても、「それが本当に顧客に喜んでもらえるものなのかどうか?」は、わかりません。さらには、仮に『顧客が喜んでいるイメージ』が顧客に喜んでもらえるものではなかったとしても、顧客は私たちに「違う!」とは教えてくれません。顧客とのコミュニケーションを通して、私たちの『顧客が喜んでいるイメージ』が顧客に合致しているものかを探らなければいけません。
『自分たちがサービスを提供しているイメージ』についても、同様です。顧客とのコミュニケーションを通して、『自分たちがサービスを提供しているイメージ』も顧客に認めてもらえるものかを検証しなければなりません。
『熱狂的なファン』を作ることができている営業担当者も、商品やサービスの話をするだけではなく、『顧客が喜んでいるイメージ』や『自分たちがサービスを提供しているイメージ』を顧客とコミュニケーションし、検証していました。このようなコミュニケーションを通して、『顧客が喜んでいるイメージ』や『自分たちがサービスを提供しているイメージ』を検証しつつ、更に高めていました。また、顧客に喜んでもらえる要素を探していました。「顧客が何を達成しようとしているのか?」も合わせて、理解しようとしていました。
『顧客のことを徹底的に理解する』と言っても、以上のように、様々なことを理解しようとすることが大切です。
4. こちらから顧客へ働きかける
この『4. こちらから顧客へ働きかける』は、以上の『3. 顧客のことを徹底的に理解する』ができていることが前提条件となります。こちらから顧客へ働きかけ続けているから、『熱狂的なファン』を作ることができるのです。『熱狂的なファン』を作ることができている営業担当者が『熱狂的なファン』を作ることができていた理由は、待っているだけの『待ちの姿勢』ではなく、『お客様の成功するための提案をし続けていた!』ことでした。
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会社として、『熱狂的なファン』を作る挑戦をしよう!
BtoB事業やインダストリー事業において、『熱狂的なファン』を作ることができていますか?今の時代、『顧客中心(Customer centric)』や『顧客満足』を目標としていても、十分な『顧客満足』を実現することはできません。目指すべきは、『熱狂的なファン』を作ることです。『熱狂的なファン』を作ることに挑戦するから、その過程で、『満足してくれている顧客』が増えているのです。
目指すべきは、『満足してもらうこと』ではなく、『熱狂的なファンを作ること』です。
この『熱狂的なファン』を作ることは、営業担当者だけができれば良いものではありません。多くの企業が新規事業を立ち上げようとしています。そのためには、開発も生産もマーケティングも、すなわち、会社全員が、もしくは、事業部全員が、このノートで紹介したイメージを共有し、お客様とコミュニケーションをしなければなりません。
私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。『熱狂的なファン』貴社と力を合わせて、貴社の『熱狂的なファン』を作るお手伝いをします。BtoB事業やインダストリー事業において『熱狂的なファン』を増やしたければ、下記からお問い合わせください。
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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