営業力を強化したい中堅/中小企業の経営者必見! ~ 営業人数が10人から30人の中堅/中小企業が、営業組織のパフォーマンスを確実に向上するために行うべき効果的な営業力強化

クライアント企業の営業力強化支援をして感じることは、「営業力次第で営業パフォーマンス(業績)がこうも変わるのか!」ということです。効果的に営業力を強化すれば、営業組織のパフォーマンス(業績)は確実に向上します。

ですが、営業力を強化しようとしても、期待した効果を得られていなかった営業組織もありました。パフォーマンス(業績)を大きく向上できた営業組織と改善できなかった営業組織には、どのような差が合ったのでしょうか?

その差を生み出す根本的な原因は、「どのように営業力を強化したのか?」です。特に、営業人数が10人から30人の中堅/中小企業では、ここで解説する営業力強化方法を踏まえて行えば、それほど大きな投資をすることなく、営業成績を格段に向上させることができます。

私たちが実際に体験した事例を通して、業績を確実に改善できる営業力強化の実行方法を解説します。

営業人数が10人から30人の中堅/中小企業が、営業組織のパフォーマンスを確実に向上するために行うべき効果的な営業力強化

効果の乏しい営業力強化とはどのようなものか?

営業部長の問い合わせから始まった!

IT企業A社の営業部長から営業研修のご依頼をいただきました。A社は課長が3名、営業メンバーが約20名いる企業でした。その営業部長と初めて面会をしたときに、今回の営業研修を導入することになった経緯を教えてもらいました。

A社は開発力に自信のある企業でした。A社の社長は技術出身で「時代のニーズに合うソリューションを開発すれば、事業は拡大する!」と考えている人でした。良いソリューションを開発している会社ですが、社長が期待しているほど販売が伸びてなく、そのことに社長は不満でした。「開発力はある、商品は良い、だから、営業力を強化すればもっと売れる、と考えている」とのことでした。

営業部長が直面している問題は?

A社の営業部長に直面している問題を伺うと、以下を教えてくれました。

◆ 新規の案件がすくない。
◆ 案件があっても商談が先に進まない。
◆ 顧客リストがあるのに訪問数が少ない。
◆ 営業の意欲が乏しい、後ろ向き。

営業部長は、社長から「売上が伸びていない!」と常々言われているようでした。この営業部長は、責任感の強い方で、売上が伸びていないことに責任を感じていました。最後に、私たちへの期待を聞くと、以下のような期待をお持ちでした。

◆ 社長から研修をするように言われているので研修を実施してほしい
◆ 社員に営業の基本/心構え/やり方を教えてほしい

そこで、2週間に1回ペースで、全5回の営業研修を実施することになりました。

営業担当者たちは意欲的に研修に参加していた!

最初の3回の営業研修の内容は「はじめて面会するお客様へのアプローチ」「問題を顕在化するコミュニケーション」「競合対策」でした。研修に参加した営業担当者たちは真剣に受講していました。過去、A社は営業研修を行ったことがなく、今までは「上司の指導」や「先輩からの助言」が唯一の学習機会だったからでした。今回、体系化された営業理論を学べることは、営業担当者にとって新鮮なようでした。

3回目の研修が終わった段階で、営業部長から「研修効果は出始めていますよ。営業担当者の行動が以前と比べて変わっているようです。」と伺いました。そこで、私から「さらに高い成果を達成するための話をしませんか?」とご提案した所、「是非!」と受け入れていただきました。この3回の研修を通して、営業担当者たちと様々な話をした結果、以下のことが営業目標を達成するための障害とわかったからでした。

◆ 営業担当者の評価が、営業の業務内容と合致していない。
◆ 営業担当者の訪問先が戦略的ではない。
◆ 営業日報やレポートに時間がかかりすぎている。
◆ 会議に時間がかかりすぎている。

以上のような原因があることを営業部長へ伝え、「これらの原因はもう少し調査する必要がありますが、より具体的な営業力強化を行いませんか?」と提案しました。ですが、営業部長は、私たちからのこの提案には関心がないようでした。また「一度、社長とも話をして、営業パフォーマンスの目標設定や評価方法について改善しませんか?」と言いましたが、社長に会わせてくれようとはしませんでした。

さらなる改善をしようとしない理由

その後、残っている2つの研修「顧客視点の提案書作成」「値引き要求の対応術」を行いました。その営業部長には時折「営業組織としての結果を高めるために、改善策を実施しませんか?」「社長を巻き込んで、さらなる改善をしませんか?」と提案しました。この営業部長は、社長から「売上が伸びていない!」と言われていたので、この営業部長が社長からもっと信頼・評価されるように協力したかったのですが、受け入れてくれませんでした。

ただ、そのような会話を通して、少しずつ、営業部長が私たちの提案を受け入れようとしない原因がわかってきました。営業部長は下記のように感じていたようでした。

◆ 「自分の営業管理の方法が悪いから変えろ」と言われている。だが、私の管理方法が悪いわけではない。
◆ 社長が関わり始めたら、自分のやりたいようにできない。
◆ 自分の評価が下がるかもしれない、私の仕事が奪われるかもしれない。
◆ 結果が出ないのは、営業担当者の能力が足りないことが問題なためだ。
◆ あなたは研修だけやってくれていればいい。営業担当者だけを指導してくれていれば良い。

その後、当初約束をした5回の研修が終了し、A社への営業力強化の支援は終わりました。

大手企業の営業部長と中堅/中小企業の営業部長の違いとは?

営業人数が10名から30名程度の中堅/中小企業の営業部長は、大手企業の営業部長と比較しますと、以下の2つの特徴があります。

◆ 大手企業の営業部長よりも仕事や役割の範囲が広い。
◆ 「営業管理/営業マネジメント」を学ぶ機会が乏しく、かつ、継続的なコーチングを受ける機会がないまま、営業部長を担うようになっている。

大手企業の営業部長と中堅/中小企業の営業部長の業務範囲の違い

大手企業は人材が豊富です。そのため、大手企業では、営業部の他に営業企画部(もしくは、営業戦略部)という部署があります。営業部と営業企画部では、「会社の年間売上目標/営業利益の達成」という目標は一緒ですが、それを実現するための各部のKPI(Key Performance Indicator)が違います。営業部のKPIは、「部としての売上目標の達成」です。そのために、営業部の主な役割や仕事は下記になります。

◆ 売上目標の達成と管理
◆ 商談の進捗管理
◆ お客様対応やお客様上層部との関係構築

それに対して、営業企画部のKPIは「一人あたりの生産性の向上」です。そのために、営業企画部は以下を担います。

◆ 各種営業データの分析
◆ 営業システムの導入やシステムの活用
◆ 仕事の仕組み化・効率化(業務の改善)
◆ 能力強化や教育(育成・教育)

このように、営業部も営業企画部も「会社の年間売上目標/営業利益の達成」という目標は一緒ですが、それぞれの役割や仕事内容が違います。この2つの部署は車でいうと右輪と左輪の関係に似ています。両輪がバランスよく駆動すると、車(組織)は目的地(目標達成)に向けてグングンと加速していきます。ですが、そのバランスが悪いと、右にフラフラ左にフラフラし、目的地へ向けてうまく進みません。それどころか、目的地からそれた方向へと進んでしまうこともあります。ですので、大手企業でも「営業部が強すぎる」もしくは「営業企画部が強すぎる」とその企業の成長は停滞しています。

高学歴な人が多い大企業ですら、その部長はどちらかだけを担う状態です。ですが、中堅/中小企業には、営業企画部がありません。中堅/中小企業の営業部長は、営業部と営業企画部の両方の役割を担わなければなりません。そして、中堅/中小企業の多くの営業部長は、一般的に「部としての売上目標の達成」に重点をおいて仕事します。なぜならば、部長自身の立場や評価に最も影響を及ぼすことだからです。結果として、営業企画部的な仕事は片手間でしか行われていません。

大手企業の営業部長と中堅/中小企業の営業部長の成熟度の違い

大手企業は、中堅/中小企業と比べ資金的にも余裕があります。そのために様々な研修機会を準備することができます。とくに階層別研修のように、管理者やマネージャーへの研修も十分用意されています。前任の営業部長も、現在の営業部長も、そして、次なる営業部長候補も、同様の営業マネジメントの方法の教育を受ける事ができます。同じことを学んでいますので、先輩たちから後輩へとコーチングや適切な助言が行われ、営業マネジメント実践上の知恵やヒントを引き継ぐことができます。

ですが、中堅/中小企業は十分な研修機会がありません。また、多くの中堅/中小企業の営業部長は、先輩などからマネージャーとしてのコーチングを受ける機会がないまま営業部長へ昇進しています。そのために、今までの自分の経験や勘で「営業部長という仕事や役割」を行っています。このことが原因で、中堅/中小企業の営業部長は、「営業組織の業績を大きく向上させる!」ことよりも、「自分の部長としての立場を守る」「自分のやりたいことを優先する」「問題があるのは自分でなくて部下だ」という自己防衛的な欲求を優先させてしまっています。

以上からわかるように、中堅/中小企業では、営業管理部が行うべき仕事が圧倒的に不足しています。そのことが、中堅/中小企業の一人あたりの生産性が低い、そして、企業としての成長の障害となっているのです。

業績を大きく改善ができた企業はどのように営業力強化を行ったのか?

先ほど紹介したIT企業A社のように、一般的には営業部長が営業力強化の役割を行います。ですが、多くの中堅/中小企業の営業部長は、パフォーマンスを向上するための営業マネジメントの方法を学んでいないために、営業企画的な仕事の進め方が不得意で、効果的に行うことができません。

中堅/中小企業でも、営業企画的な営業力強化を行えば、パフォーマンスを大きく向上することができます。

私たちのクライアント企業B社は、営業人数が30名いる企業でした。B社は、営業企画的な営業力強化を行い、営業の業績(パフォーマンス)を大きく向上できました。社長が営業力強化プロジェクトを決断し、私たち(外部のコンサルタント)を含めたチームを編成してプロジェクトとして実施しました。このプロジェクトを進めるにあたり、営業部長の役割とプロジェクトの役割を下記のように明確にしました。

【部長の役割】
◆ 各課の売上の達成の支援
◆ 商談の確実な受注とその進捗管理
◆ お客様対応/お客様上層部への訪問や関係構築

【プロジェクトの役割】
◆ 営業システムの運用方法の見直し、入力項目の見直しを含む
◆ 営業部に配属される新人社員の育成
◆ 業務プロセスの見直し

このように、「部長の役割」と「プロジェクトの役割」を明確にして実施することで、中堅/中小企業であるB社でも大きな成長を達成できました。

中堅/中小企業の場合、一般的に営業力の強化は営業部長任せになっています。ですが、営業組織のパフォーマンスを向上させるためには、営業部の仕事と営業企画部の仕事の分担を明確にし、その両方をバランス良く行うことが大切です。営業部の仕事は営業部長が今まで通り担います。そして、営業企画部の仕事は営業部長以外の人が実施します。営業部と営業企画部のどちらか一方がもう一方の下に位置づけられる状態ではなく、対等に要求し合えるバランスが大切です。

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多くの中堅/中小企業でも、十分営業の業績を高めることができる!

営業人数が10人から30人の中堅/中小企業が営業組織のパフォーマンス(業績)を改善したいのであれば、営業企画的な観点での営業力強化を行う必要があります。それによって、営業力と営業のパフォーマンを確実に向上させることができます。

そのためには、営業部長が担う仕事と営業企画チームの役割を明確にすることから始めます。そして、目指すパフォーマンスを実現するための営業企画的な観点での営業力強化プロジェクトを実行します。営業企画的な営業力強化はプロフェッショナルな活動です。外部のプロフェッショナルを雇い、その人の助言を得ながら進めれば、あなたの会社の売上は1.5倍にも2倍にも増やすことができます。

私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。営業組織のパフォーマンスを向上させるための豊富なノウハウと経験があります。今回解説したことを意識して営業力強化を実施してください。必ずこの営業力強化により、あなたの会社の営業成績は格段と高まります。また、この事例や取組方法についてのより具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2008年3月10日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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