一流の営業マネージャーが行っている「戦略的な顧客訪問」とは? ~ 「重要な商談の結果を評価すること」が営業組織を戦略的にし、成長へと導く!

営業マネージャーは、ますます忙しくなっています。以前のように、マネージャー席に座って営業パーソンの売上や訪問状況を確認していれば営業マネージャーがつとまる時代ではなくなりました。チームの成果を最大化するための戦略を考え、仕事のやり方を見直し、業務の指示をし、メンバーを育成することも営業マネージャーの仕事になっています。

そのような多忙な中ですが、営業マネージャーの重要な業務の1つとして「お客様訪問」も行わなければなりません。それも、営業パーソンが普段行なっているお客様訪問とは価値が違う「マネージャーとしての顧客訪問」が必要です。その顧客訪問から得た情報を元に、営業パーソンたちがより効果的・効率的な営業活動ができるようにする必要があります。

チームの目標を達成し続ける一流の営業マネージャーはどのような「顧客訪問」を行っているのか、その方法について解説します。

「重要な商談の結果を評価すること」が営業組織を戦略的にし、成長へと導く!

営業マネージャーは「売るための情報」だけではなく、「売った後の情報」に目を向ける必要がある!

一般的に、営業マネージャーは、以下の役割を担っています。

◆ 営業パーソンたちが、より効果的・効率的に、お客様への営業活動を行えるようにすること
◆ 上記を通して、担当するチームの目標を確実に達成すること

そのためには、営業パーソンが行った商談が終了した時、お客様とその商談のReview(振り返り)をすることが欠かせません。もちろん、基本的にはこのReviewは営業パーソンが行うべきです。

営業マネージャーがすべての商談のReviewをする必要はありません、ですが、チームの成果に大きな影響を与えるお客様や商品のReviewだけは、営業パーソン任せにしてはいけません。営業マネージャーが責任を持って行い、チーム全体の生産性の向上のために、そこから得られた情報を活用して営業方針や営業戦略を策定すべきです。

お客様から直接「私たちの商品を購入したことでどのような効果があったのか?」を伺い、その情報をたくさん蓄積します。その情報がたくさん集まると、新たな商談を更に多く開拓することに役立ちます。また、「お客様が評価した私たちの強みはなにか?」は、ライバル会社と受注合戦を進める上で、重要なヒントとなります。実際に、お客様に評価いただいたポイントだからこそ、効果的・効率的な競合対策として活用できるのです。

そして、これらの情報は「売った後」でなければ収集できない情報です。営業マネージャーは、「売った後だから得られる情報」にもっと目を向け、情報収集し、チームの生産性向上に活用する必要があります。そのような活動をし続けるからこそ、チームの目標を達成し続けることが可能になるのです。

では、一流の営業マネージャーが実践している商談のReview、つまり、効果的・効率的に受注するための情報収集とは何か、具体的に見ていきましょう。

営業マネージャーによる顧客訪問では、お客様と商談のReview(振り返り)を行なう

営業パーソンは、受注に向けて「新規の商談を開拓し、予算化を促すスキル」や「ライバル会社(競合)に勝ち抜くスキル」を発揮した営業活動をします。その営業活動の結果、お客様と進めてきた商談は、お客様が以下の3つのどれかを決断して終了します。

◆ 御社に発注します!
◆ 他社(ライバル会社・競合)に発注します!
◆ 今回は、購入しないことにしました!

どのような結果であっても、あなたの会社に大きな影響を及ぼすお客様との商談の後には、営業マネージャーがお客様と商談のReview(振り返り)をすることが必須です。そのお客様との商談のReviewを話し合う中に、より効果的・効率的に営業活動を行えるようになるためのヒントがたくさんつまっているからです。チームの目標を達成し続ける一流の営業マネージャーは、Reviewの大切さを十分認識しています。営業マネージャーとしての顧客訪問を行い、お客様と一緒に商談のReviewを行うことを通して、そのヒントを集めて継続的な改善をしているのです。

受注できたお客様には、「お客様の課題はどれだけ達成できたか?」を見つける

営業パーソンは、受注を目指して営業活動をしました。そして、最終的にお客様に選んでいただき、「お客様からの注文」を獲得することができました。この場合、営業マネージャーは、営業パーソンと一緒に顧客訪問を行い、商談のReviewとして下記のことをお客様と話し合います。

◆ なぜ、数ある会社の中から私たちを選んだのか、そして、その理由は?
◆ お客様の直面していた課題や問題はどのように解決できたか、そして、どれだけの効果を得られたか?

営業マネージャーは、「お客様が私たちを選定した理由」を把握しなければなりません。「お客様が私たちを選定した理由」とは、お客様が認めてくれた「私たちの強み」です。強みを発揮することはビジネスの必須条件なのですが、多くの営業マネージャーや営業パーソンは、自分たちの強みを認識できていません。

本来、営業活動は「強み」が発揮できる領域で行うことが最も効果的・効率的です。漠然と営業活動をするのではなく、戦略的に営業活動をすべきです。そのために、営業マネージャーは、お客様が評価してくれた「強み」をできるだけ具体的かつ網羅的に把握する必要があります。

そして、その収集した情報を他の営業パーソンたちへ伝え、自分たちの強みを存分に活用した営業活動ができるようにします。そうすることで、商談にライバル会社(競合)が関与してきたとしても、効果的・効率的な競合対策が行えるようになるのです。

また、「お客様の導入効果」を理解することも大切です。お客様の導入効果とは、「今回お客様が行った投資・購入によって、お客様はどのような効果を得られたのか?」ということです。これは、私たち営業にとって重要な「導入成功事例」です。はじめてのお客様と面会をする際に様々な導入成功事例を活用できれば、新規の商談の開拓をより効果的・効率的にすることができます。

「お客様の導入成功事例」は、新規の商談を開拓する時の重要なセールスツールとして活用できるのです。

特に、重要なお客様や金額が大きい商談には、このような情報収集を営業パーソン任せにするのではなく、営業マネージャーが責任を持って行うべきです。営業マネージャーが自らお客様と話し合い、このお客様の導入成功事例や私たちが評価いただいた強みをチーム内で共有することによって、チームの営業活動をより効果的・効率的なものへと改善することができます。

「受注できなかった!」時の顧客訪問では、他社を選んだ価格以外の理由を見つける

「残念ながら受注できなかった」場合、営業パーソンにその失注理由を聞いても「価格が合わなかった」という回答が多いです。もちろん価格も問題なのでしょうが、営業パーソンたちはそれ以外の失注理由を集めようとしません。ですが、失注してしまった場合、その理由を把握し対策を講じなければ、今後も失注し続けてしまいます。このケースにおいて、営業マネージャーが把握すべきことは、お客様が他社を選んだ理由です。そのため、下記について、お客様と話し合うことが大切です。

◆ ライバル会社を評価したことは何か、そして、その理由は?
◆ 私たちはどうすればもっと満足いただけたか、そして、その理由は?

素直な気持ちで、お客様から「価格以外での他社を選定した理由」を教えていただきます。そして、今後はその理由で負けてしまうことを無くすための対策を行います。

商談で失注してしまった理由を今後はなくすために、営業マネージャーが責任をもって対策を取ることが重要です。

お客様から教えていただいた理由によっては、「今後、このようなお客様/このような種類の商談では、受注できる可能性が極端に少ない」ということもわかります。その場合、「このようなお客様は重点訪問先としない」「この商品の販売には時間を使わない」など、今後の営業戦略に役立てます。

購入しないことを決定した時の顧客訪問

お客様が「購入しないことにした!」という決断をした場合、営業マネージャーは下記についてお客様と話をします。

◆ お客様の購買プロセス上、どこでそれが決まったか、そして、その理由は?
◆ お客様の意思決定プロセス上、だれがそれを決めたか、そして、その理由は?

法人のお客様が何かを購入しようとする時には、「購買プロセス」「意思決定プロセス」という一連の購買の手続きを進める必要があります。「購入しないことにした!」ということは、その購買プロセスや意思決定プロセスのどこかで、その「購入しない!」決定がなされたわけです。

お客様に、「だれが、どのステップで、なぜ購入しないと判断したのか」を伺うことによって、他のお客様との商談では、そのようにならない対策を行うことができます。

一流の営業マネージャーは、効果的・効率的に受注できるために必要な情報を収集している!

一流の営業マネージャーは、チームとしての成果を最大化するために、商談が終了した後の情報収集を怠らないことをご理解いただけましたでしょうか。営業マネージャーは、「お客様が認めた私たちの強み」「価格以外で私たちを選ばなかった理由」、「購買プロセスや意思決定プロセスのどこで、なぜ『購入しない!』という決定がなされたか」といった、一歩踏み込んだ情報収集をすべきなのです。これらの情報が、今後、より効果的・効率的な営業活動に役立ちます。

一流の営業マネージャーが行う顧客訪問において、大切な視点をまとめると、下記の2つになります。この2つの視点が、営業マネージャーが行う顧客訪問の意義なのです。

◆ より効果的・効率的に商談を開拓することを可能にする情報を集める
◆ より効果的・効率的に、ライバル会社(競合)に勝てることを可能にする情報を集める

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営業マネージャーが戦略的顧客訪問できるように営業プロセスや仕組みを変革しよう

営業パーソンに対して「お客様に訪問しろ!」と指示するだけではなく、営業マネージャーが必要なタイミングでお客様に訪問できる営業の仕組みを構築する必要があります。会社としてそのような仕組みにしているからこそ、営業マネージャーがパフォーマンスを向上するために役立つ情報を集め、営業組織がさらに力を発揮することを可能にします。

お客様からの評価(お客様からの信頼)を高めたければ、視点へと変え、「売った後の情報」にもっと目を向けるべきです。それには、営業マネージャーによる戦略的顧客訪問が必要です。今月は、先月よりも売った後のお客様訪問とお客様との商談のReviewを増やしましょう。その積み重ねが、チームの目標達成の可能性を格段と高めてくれます。

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(本ノートは、2008年6月22日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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