どうすれば、活発に多くの意見が出る会議になるのでしょうか?
また、自由に意見が言えることは良いことなのですが、時折、会議の参加者の間で意見の対立が起こってしまうこともあります。更には、その対立が感情的になり、会議そのものが嫌な雰囲気へと変わり、会議が崩壊してしまいます。
どうしたら『異なる意見』や『対立していると思われる意見』が感情的な対立にならないようにできるでしょうか?
意見がたくさん出ても感情的な対立へと進まないようにする会議の進め方があります。このノートでは、『異なる意見』や『対立に思える意見』をうまくまとめ、最良の意思決定を行うための方法について解説します。
意見対立を解消して意思決定へと導く会議の進め方
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会議の『異なる意見』や『対立に思える意見』がまとめられない!
会議でたくさん意見が出ることは喜ばしいことなのですが、たくさんの意見が出ると、中には対立していると思える意見もあり、それらが言い争いへ発展してしまうこともあります。実際、私たちのクライアント企業では、以下のような『対立』や『言い争い』が起こっていました。開発部の会議で意見が対立!
開発部門のマネージャーとメンバーが集まった会議では、下記のような対立が起こっていました。【メンバー】 まずは、開発しようとしている新製品のサンプルを用意することが先です。それがないとお客様はイメージできないですし、お客様の具体的な要望を聞くことができません!
【マネージャー】 いやいや、まずは興味のあるお客様を発見することが先だ。見込めるお客様すらわからないのにサンプルを作る予算は確保できない!
営業部門の会議では、意見が異なった!
営業部門の会議では、下記のような様々な意見が出ていました。【営業メンバー】 既存のお客様への営業活動に注力すべきです。そのほうが目標達成できますよ!
【営業課長】 過去取引があったけど、最近取引がないお客様に訪問すべきだ。そういうお客様は、競合と取引をしているんだし!
【営業部長】 今は景気が良く、既存のお客様からの注文は好調なのだから、新規のお客様の開拓をしてほしい!
営業部門と生産部門の会議での言い争い!
営業部門と生産部門が参加したサービス品質向上の会議では、以下のような感情的な対立が起こっていました。【営業部門】 クレームが出ない製品を作れよ!
【生産部門】 このくらいのクレームならば、それに対処するのが営業の仕事でしょ!
活発な会議ではなく、意見が出ない会議となってしまう!
会議において、活発に様々な意見が出ることは良いことです。様々な意見が出るからこそ建設的な話し合い(討議)となり、その中から最良策を意思決定することができ、そして、関与する人たちが納得して協力するようになるはずです。このように活発な意見が出るように会議を進められると理想的なのですが、実際にはそのようにならない会議も多いです。以上の3つのケースの通り、異なる意見が対立になり、それが感情的な言い争いへと発展し、嫌な雰囲気の会議が延々と続き、最後には仲間割れの状態になってしまうこともあります。
実は、多くの人たちはそのような嫌な雰囲気となった会議を経験したことがあり、自分がその原因になりたくないために「意見を言わない!」という選択をしています。このことは活発な意見が会議で出ない原因の1つでもあるのです。
様々な『異なる意見』や『対立していると思われる意見』が出る会議はどのように進めればよいのでしょうか?
建設的な話し合いを進めるために準備すべきものは?
会議において『様々な異なる意見』や『対立していると思われる意見』をうまくまとめ、最良策を意思決定するために活用すべき道具があります。それはホワイトボードです。もし、たくさんの意見が出るような会議を期待しているならば、様々な多くの意見を建設的な話し合いへと進め、かつ、上手く整理するためにホワイトボードは強力な手助けをしてくれます。会議はホワイトボードを事前に準備することから始めましょう。
異なる意見を最良の意思決定へつなげる会議の進め方
ホワイトボードを準備したら、次は下記の手順でその会議を進めます。◆ ステップ1. 意見を記録する
◆ ステップ2. 全員で確認をする
◆ ステップ3. 対立を解消する
ステップ1. 意見を記録する
ホワイトボードを活用せず、参加者がただ意見を言い合っている会議も多いです。以上で説明した3つのケースでも、ホワイトボードを利用していませんでした。このようにホワイトボードに記録することなく、ただ意見を言い合っているだけでは、「いままでどのような意見があったのか?」を徐々に忘れます。後になって振り返ってみると、たくさんの意見が出ていたようでも同じような意見ばかりだったということは結構あります。また、記録が残っていないので「意見が合わなかった!」という感覚や感情だけは残りますが、「具体的に何が、どのような意見の対立だったか?」をあとで検証したり解決したりすることができません。嫌な感情だけが残り、具体的な対策ができない状況なのです。そのような状況にならないためにも、会議でどのような意見があったのかをホワイトボードに書き出し、全員がそれを俯瞰的に確認できるようにします。まず、書記役を決め、準備したホワイトボードに出てきた意見を全て書き出します。ホワイトボードに書き留めると、他の人の意見を参考にして、更に多くの新しい意見が出る効果もあります。
また、ホワイトボードに意見を書き出すということは、「参加者それぞれの意見を尊重している!」という意味合いもあります。「記録に残す」ということは、「相手の言っていることを受け入れ、大切にしている!」ということなのです。
これによって、参加者たちが少しでも意見が言いやすい雰囲気の会議が行えるようになります。
ステップ2. 全員で確認をする
ある程度意見が出たら、一旦会議を止めて全員でそれを確認します。その際、『異なる意見』や『対立していると思われる意見』には、その意見を言った参加者たちにその意見の目的や目標を確認します。もちろん、その目的や目標もホワイトボードに書きます。『異なる意見』や『対立していると感じる意見』の目的や目標を確認すると、「異なる意見と感じていたが、実は目的や目標は同じだった!」ということがあります。目的や目標が一緒であれば、対立している意見ではなく、それらは共通する意見として分類することができます。
その際、「目標達成により大きな影響を及ぼすのはどちらか?」および「どちらを先に行う必要があるか?」を比較検討するとより効果的です。そうすることで、どちらを重視するか、どちらを先に行うか、を全員で決定できます。
ステップ3. 対立を解消する
ステップ2で、異なる意見のそれぞれの目的や目標を確認したところ、目的や目標が違っていた場合、感情的な対立へと発展する危険性があります。それを避けるためには、「その2つの異なる意見の両方に共通する新たな目的や目標はないか?」を探す話し合いをします。双方の意見にとって共通する目的や目標を新たに作ることができれば、それはもう対立しているものではなく、共通の目的や目標を持った意見となるわけです。
新しい目的や目標が見つからない場合には、どちらかを選択する必要があります。その場合は「権限のある意思決定者が決定する」もしくは「チームメンバーの投票で決める」のどちらかで選択します。最後に、その決定でよいかを全員で確認します。なぜならば、これらの方法によって決定された意見には全員が従う必要があるからです。
この段階でよく起こることなのですが、相互の意見のそれぞれの目的や目標を確認すると、「相手の目的や目標もわかったし、それならば私の意見を変えますよ!」と、他の人の意見を受け入れるようになることです。これも双方が共通の目的や目標を持ったことと同じです。相互の意見の違いを確認し合うと、『感情的な対立』を避けることに役立ちます。
この方法を行う上での注意点とは!
以上に説明した手順で会議を行うと、『異なる意見』や『対立している意見』をうまくまとめ、チームの総意となる最良の意思決定ができるようになります。この手順で進めるためにはいくつかの注意点があります。それは、「感情的になってしまったらどうするか?」そして「平行線になってしまったらどうするか?」、その対処方法を理解して進めることです。会議が感情的になってしまったときの対処方法
異なる意見がうまくまとまらず感情的な言い争いになってしまったらどうしましょうか?その場合には一旦会議を止めます。15分から30分程度休憩を取り、一旦会議から離れ、もう一度話し合います。冷静になって、今までの話し合いの経緯と内容を再び確認することから始めます。そのためにも、今まで出てきた意見をホワイトボードに記録しておきたいのです。
意見が平行線になってしまった場合の対処方法
異なる意見がうまくまとまらず、平行線になってしまったらどうしましょうか?会議が感情的になってしまった場合と一緒です。一旦会議を止めます。15分から30分程度休憩を取り、一旦会議から離れ、もう一度話し合います。冷静になって、今までの話し合いの経緯と内容を再び確認することから始めます。繰り返しになりますが、そのためにも今まで出てきた意見をホワイトボードに記録しておきたいのです。
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『異なる意見』や『対立している意見』をうまくまとめる会議を行おう!
このノートでは、『会議で活発な意見が出るための準備』、そして、『異なる意見』や『対立している意見』をうまくまとめるための会議の進め方を紹介しましたが、いかがでしたか?最近は、ほとんどの会議室にホワイトボード(もしくはディスプレイ)が準備されています。ですが、せっかく用意されているホワイトボードが活用されていない会議も多いです。活用していたとしても、落書きのようにホワイトボードに書き、何が書いてあるのかわからないこともあります。それでは後で振り返ることができません。ホワイトボードに書くことは箇条書きで大丈夫です。箇条書きであれば、記録となり後で確認しやすくなります。
『異なる意見』や『対立している意見』をうまくまとめるためのポイントは、ホワイトボードに書き出し、客観的かつ俯瞰的に出てきた意見を目で見えるようにすることです。一般的に、人は頭の中だけで考えようとしても、多くの人は、他の人の意見と自分の意見の同じところと違っているところを明確に整理できていないのです。課題に挑戦する会議や問題を解決するための会議ではホワイトボードは必須ツールです。
私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるための豊富なノウハウと経験があります。多くの企業では、社員たちに対する会議の進め方のトレーニングが十分できていません。私たちの得意分野は、このような『企業の長期的発展に必要とされる自ら考えられる社員』を育てることです。私たちが、あなたの会社の会議のファシリテーション力を高める支援をいたします。より具体的な内容説明の希望・質問・ご依頼は、下記からお問い合わせください。
(本ノートは、2019年11月29日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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