多くのクライアント企業の営業力強化の支援をしてきて、「チームが結果を出すことができるかどうかは、マネージャーの力次第だ!」とつくづく感じます。チームとして結果を出すことができるマネージャーには「結果を出すことができる理由」があり、結果を出すことができないマネージャーには「結果を出すことができない原因」があります。
結果を出すことができないマネージャーが多いのであれば、その原因は企業がマネージャーを十分育成できていないからです。戦略的な営業マネージャーを育成している企業では、他の企業と比べてより多くの営業マネージャーが「チームとしての結果」を出すことができています。
このノートでは、結果を出すことができる戦略的営業マネージャーを育成する3つのポイントについて解説します。
マネージャーの戦略的能力を強化する3つのポイント
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「チームとしての結果」を出すことができない営業マネージャーとは?
「チームとしての結果」を出すことができない営業マネージャーの共通点
「チームとしての結果」を出すことができないマネージャーには共通する特徴があります。結果を出すことができないマネージャーは、部下である営業パーソンとの会話において、下記のような言葉をよく使っています。
◆ どうして売れないんだ?
◆ 今月はどれだけ売れるのか?
◆ どうすれば今月の目標が達成できるのか?
◆ 何しろ訪問件数を増やせ!
マネージャーが営業パーソンを管理や指導することは大事です。ですが、このような言葉ばかりで営業パーソンの管理や指導をしても、営業パーソンが結果を出すことには役立ちません。
結果を出すことができない営業管理の悪循環!
以上のような会話を営業パーソンたちに言っているだけですと、結果を出すことができない原因を発見することができません。原因を特定できなければ、その問題を解決することはできません。結果を出すことができない原因を特定するためには、以下のような質問を通して、原因をつかむ必要があるのです。◆ 営業パーソンのどのような能力やスキルが悪くて結果が出せないのか?
◆ 営業パーソンが訪問しているお客様の選定に問題はないか?
◆ お客様の状況の変化に原因はないか?
◆ 新しい競合が参入し始めていないか?
◆ 取り扱っている商品の価値が無くなっていないか?
「チームとしての結果」を出すことができない営業マネージャーは、上記のような質問が少なすぎるため、原因を特定できていません。そのために、「結果が出ないのは営業パーソンの意欲や行動量が乏しいからだ!」と考えることが多くなり、メンバーへの指示が、場当たり的かつ精神論的なものになります。たとえば「どうして売れないんだ!」「訪問件数を増やせ!」「もっと頑張れ!」など、メンバーの意識を鼓舞するだけの指示ばかりになってしまうのです。
営業マネージャーの指示が場当たり的で精神論的なことが多くなると、営業パーソンたちは逆にやる気や意欲や自信を失い、成績はますます悪化します。悪化すると、マネージャーは短期的な数値目標(例えば、今月の売上状況)ばかりに目が行くようになります。短期的な数値ばかりに目が行きますから、ますます「どうして売れないんだ?」「今月はどれだけ売れるのか?」「どうすれば今月の目標が達成できるのか?」といった言葉による営業管理を行うようになります。その結果、「結果が出ない本当の原因」がますますわからなくなっていくのです。
「チームとしての結果」を出すことができないマネージャーは、下記のような悪循環の営業管理を行っています。
結果が出ない本当の原因がわからない →
メンバーへの指示が場当たり的で精神論的なものになる →
短期的な数値目標ばかりに目が行く →
チームの売上が悪くなる →
結果が出ない本当の原因がわからない → ....
「チームとしての結果」を出すことができない営業マネージャーのほとんどが、この悪循環の営業管理に陥っています。このような悪循環の営業管理に陥っている理由は、「本来行うべき営業マネジメント」を行っていないためです。
「チームとしての結果」を出せる戦略的な営業マネージャー(管理者)とは?
今、企業が求めている営業マネージャー(営業管理者)とは、「目標達成に向けて、戦略的である営業マネージャー」です。「戦略」という言葉ですが、私たちは「戦略とは、中長期的目標と短期的目標、その両方の目標達成の可能性を高めるために、限られた資源(リソース)を効果的に配分すること」という定義をお伝えしています。すなわち、会社が求める戦略的営業マネージャーとは、「会社を成長させる」ということに対して戦略的となり、短期的な活動と中長期的な活動のバランスを考え、それぞれに対する活動の優先順位を決め、実行することができる人です。具体的には、下記のようなことができる能力が求められます。
◆ 目標の達成を確実にするために、どのような活動にどのくらいの資源 (時間や人や予算) を投入するか決める
◆ その決定をメンバーたちと合意し、進捗をチェックする。もし、達成度が芳しくないときには達成できるように指導や支援をする
◆ 業績に影響を与えている「本当の原因」を発見し、論理的に対処する
マネージャー(管理者)が戦略的だと、その組織では短期的な目標と中長期的な目標のバランスが良くなり、チームが効果的に機能します。市場の動向を掴み、商品やサービスの評判を理解し、お客様との商談の実態を把握し、効果的なリソースプランにもとづいてメンバーの活動を活性化させることができます。
戦略的営業マネージャーの育成をする具体的な方法とは?
以上のような戦略的なマネージャーを育てるためには、下記の3つのことを実施することが大切です。◆ データに基づく会話を推奨する
◆ プロセス思考を育てる
◆ プロジェクトを体験させる
データに基づく会話を推奨する
データに基づく会話ができるようになるためには、まず、営業状況をデータとして収集し、定期的に確認できるシステムを準備する必要があります。そのシステムで集めたデータを利用して、営業マネージャーたちに目標達成や業績に影響を与える要因を考えさせます。データに基づき「何が問題なのか?」を考え、「どの程度改善できそうか?」を討議します。このようなデータに基づく問題の発見を普段からできるようにします。プロセス思考を育てる
つぎは、プロセスで考える思考の強化です。データを見ていれば問題はわかりますが、その問題の原因までは特定することができません。業務をプロセスで見るからこそ「どこにその問題の原因があるのか?」「何を変える必要があるのか?」を正しく判断できるようになります。その結果として、より具体的な施策を見出すことができるようになります。プロジェクトを体験させる
上記2つを成果に結びつけるために、パフォーマンス向上プロジェクトを実行させます。数値による目標を設定し、プロセス思考による課題と施策を設定した後、実際にその課題解決に挑戦させます。営業マネージャーは、日常の業務管理だけではなく、このような組織問題解決を実施できるようになる必要があります。本来、営業マネージャーという仕事は「営業パーソンとして優秀だった!」だけで務まるものではありません。営業パーソンとしてのスキルがあることは前提として、もっと広範囲なマネジメントとしてのスキルと経験が必要なのです。
以上のことを通して、「チームとしての結果」を出せるマネージャーを育て、下記のような好循環の営業マネジメントの体系を構築することが大切です。
結果が出せない本当の原因を特定できる →
メンバーへ具体的な問題解決を指示できる →
チームの売上が改善される →
短期的な目標ばかりではなく、長期的な目的や目標にも関心を持ち始める →
結果が出せない本当の原因をさらに探し始める → ....
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「戦略的営業マネージャー(管理者)を育てる」ことが会社を発展させる!
あなたの会社の営業マネージャーたちは、担当するチームの目標を達成することができていますか?営業マネージャーたちが悪循環の営業管理から抜け出し、好循環の営業マネジメントができるようになるためには、現在の営業業務の定義や内容を確認し、業務プロセス/報告体系/評価方法などの営業の仕組みを見直すことから始めます。それに伴って、戦略的な判断ができるためのデータを収集できるようにします。
そのような体系を整備しつつ、そのうえで、戦略的な判断ができるデータを活用して、組織問題解決に挑戦させます。その際には、その組織問題の解決能力向上に役立つ研修とコーチングを実施します。そして、このような戦略的な問題解決ができるようになったと、会社のさらなる発展に貢献できる戦略的マネージャーとして活躍できるようになります。
私たちの過去の支援の経験上、マネージャーが戦略的な営業マネジメントができるようになれば、営業組織のパフォーマンスを数倍に増やすことができています。
私たちは、多くの営業組織の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。営業力を強化するための豊富なノウハウと経験があります。私たちは、クライアント企業の会社に事情を考慮した上で、上述したような「データによる会話」→「プロセス思考」→「社内プロジェクトの推進」という「戦略的営業マネージャーの育成プログラム」の企画・運営の支援をしております。あなたの会社の将来を担う「戦略的なマネージャー」の育成をお手伝いします。いつでもお問い合わせ下さい。
(本ノートは、2008年9月14日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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