法人向け営業(BtoB)の特長と必須な業務項目はなにか? ~ 会社/上司/先輩が教えてくれなくても、「結果を出し、大きく成長するためにしっておくべき、法人向け営業としての必須な業務項目」

「営業」と一言で言っても、「誰がお客様か?」によって、営業方法が変わります。企業をお客様とした営業は、法人向け営業(BtoB Sales, B2B Sales, Business To Business Sales)と言われます。それに対して、消費者をお客様とした営業は、消費者向け営業(BtoC Sales, B2C Sales, Business To Consumer Sales)です。

消費者向け営業は、消費者向けに行っている営業ですから、普段の生活の中でその営業方法を体験することができます。ですが、法人向け営業は、法人間で行われている営業方法ですから、会社員になる前に体験できることはほとんどありません。

更には、消費者向け営業と法人向け営業では、その進め方に違いがあります。ですので、消費者向け営業の方法で法人向け営業をおこなっても、高い成果を出すことができません。

このノートでは、法人向け営業を行う上で、高い成果を出すためのヒントについて紹介します。

会社/上司/先輩が教えてくれなくても、「結果を出し、大きく成長するためにしっておくべき、法人向け営業としての必須な業務項目」

BtoB営業(法人向け営業)とBtoC営業(消費者向け営業)の違い

営業は、大きく分けると、法人向け営業(BtoB Sales, B2B Sales, Business To Business Sales)と消費者向け営業(BtoC Sales, B2C Sales, Business To Consumer Sales)の2つに分けることができます。その相違点は、以下の表にようにまとめることができます。

消費者向け営業(BtoC Sales, B2C Sales, Business To Consumer Sales)の主な特徴

表の通り、消費者向け営業の取引金額は、一般的には少額なことが多いです。ですが、家やマンションの購入、保険の購入など、消費者向け営業と言っても金額が大きい取引もあります。

また、基本的には、消費者向け営業が取り扱う商材は、簡単でわかりやすい傾向もあります。

以上のように、消費者向け営業は、その取引金額が少額であることが多く、かつ、商品も簡単なモノが多い傾向があります。ですが、だからといって、消費者向け営業が簡単だ、ということではありません。消費者向け営業には独自のノウハウが必要であり、そのスキルを高めてプロフェッショナルにならないと、消費者向け営業としての成果を高めることはできません。

ちなみに、私たちは、法人向け営業の営業力強化のプロフェッショナルのため、消費者向け営業についてのノウハウはあまり豊富ではありません。

法人向け営業(BtoB Sales, B2B Sales, Business To Business Sales)の主な特徴

消費者向け営業と比べて、法人向け営業は、一般的に取引金額が大きくなる傾向があります。例えば、工場で使うロボットや高度なコンピューターシステムなど、数億から数100億までのものもあります。もちろん、法人である企業や官庁でも、文房具や電球なども買いますから、買うもの全てが高額なわけではありません。

また、扱う商材もロボットや分析機やコンピューターシステムなどですから、高度な専門知識がないと営業が務まらない傾向があります。

以上のことから、法人向け営業には独自のノウハウが必要であり、そのスキルを高めてプロフェッショナルにならないと、法人向け営業として高い成果を出すことができません。

法人向け営業と消費者向け営業、どちらが難しい?

以上のように、消費者向け営業と法人向け営業は、それぞれ独自のノウハウが必要で、そのスキルを高めてプロフェッショナルになる必要があります。そなわち、「どちらのほうが難しい」と単純に比較することはできません。それぞれが、それぞれに必要とされるプロフェッショナルでなければ、結果を出すことができません。

法人向け営業を行うのであれば、法人向け営業のノウハウを学ぶ必要があります。その逆に、消費者向け営業を行うのであれば、消費者向け営業のノウハウを学ぶ必要があります。営業に関する書籍はたくさん出版されています。営業について学習できる研修やセミナーも様々あります。書籍/研修/セミナーを選択するときは、消費者向け営業には消費者向け営業に役立つものを、法人向け営業には法人向け営業に役立つものを選択することをおすすめします。時折、法人向け営業が仕事なのに消費者向け営業に役立つ本を読んで実践しようとしている人もいます。それだと、本当に役立つノウハウを身に着けられないことが多いのです。

BtoB営業にも複数の種類がある

一言で、法人向け営業にも、図の通り、大きく分けて4つの種類があります。それぞれの特長を確認しましょう。

御用聞き営業/ルートセールスの特長

御用聞き営業やルートセールスは、商社や卸売の企業がよく行っている営業方法です。

御用聞き営業やルートセールスは、取引金額が少ない傾向があります。そのため、数多くのお客様に定期的に訪問し、なにか買う予定のものがないかを探す営業方法です。その際、新たに取り扱いを始めた商品があったら、その商品の紹介を行います。

この営業方法は、「早い」「安い」「楽」が営業として成功する秘訣となります。そのために、1つの取引にかける営業時間を少なくし、たくさんの商談をこなすことが必要となります。

プロダクトセールスの特長

プロダクトセールスは、主にコンピューター/パッケージソフトウェア/クラウドサービス/ロボット/機械/部品材料/保険/教育サービスなど、新しい商品やサービスを開発している製造業などが行っている営業方法です。

プロダクトセールスは、ある程度金額の大きい商品を販売することが多くなります。そのために、その商品のついて詳しく知り、その商品の機能や特徴を提案していくことが重要です。お客様との商談においても、担当者だけと話をするのではなく、お役様の上司の方と面談することも必要になります。

ソリューションセールスの特長

ソリューションセールスは、主にIT/システム開発/コンサルティング/金融サービスなどの企業が行っている営業方法です。

ソリューションセールスは、お客様の課題や直面している問題を聞き、その解決策を提案することが必要になります。お客様の課題や直面している問題を解決するための解決策を提案するためには、自社が扱っている商材だけではなく、外部のパートナー企業が保有する技術やノウハウを活用して、複数のプロダクトやサービスを組み上げたシステムを提案することも求められます。そのために、取引金額は、プロダクトセールスよりも高額になることが多いです。

(戦略的)アカウントセールスの特長

アカウントセールスは、特定の大手顧客だけを担当し、その大手顧客との取引額を最大化することを役割とした営業方法です。

特定のお客様を担当して行う営業ですから、そのお客様のことを詳しく知らなければなりませんし、そのためには、そのお客様の取締役/事業部長/執行役員などの上層部とも面会をし、提案をすることが必要となります。そのためには、一般的な営業に求められているような商品知識だけではなく、ビジネス知識なども必要になります。

最も難度の高い法人向け営業とは?

法人向け営業の4つの種類を説明しましたが、この中でもっとも難度が高いのは、「(戦略的)アカウントセールス」です。商品を知っているだけでも務まりませんし、お客様の課題や問題だけを把握して提案するだけでも務まりません。取締役/事業部長/執行役員などの上層部のお客様ともコミュニケーションできる能力が必要だからです。

難度が高い営業方法ですが、多くの営業組織/多くの営業担当者に「(戦略的)アカウントセールス」を目指してほしいと思っています。もちろん、会社の状況に応じては、「(戦略的)アカウントセールス」が必要ないこともありますので、必須とは言いません。「(戦略的)アカウントセールス」を遂行することで大きな受注ができたときに味わえる喜びは相当なものです。以前、オリンピックの水泳競技で金メダルを取った選手が「超きもちいい!」「なんにもいえない!」とインタビューに答えていましたが、その境地を味わうことができます。

BtoB営業が行うべき業務

消費者向け営業と法人向け営業の差、そして、法人向け営業の4つの種類を説明しました。以上の通り、法人向け営業には4つの種類があります。その4つの種類の全ての法人向け営業に共通する「言われなくても必ず行うべき、法人営業としての必須業務内容」があります。それが以下の表です。

項目主な内容と責任
市場・お客様の情報収集指定された市場・お客様に面談し、仕事・ニーズ・保有設備・予算時期と予算額・競合との関係の情報を収集する。
売上目標の設定と計画の立案目標を達成するための必要な計画について理解し、目標を確実に達成するための計画を立案できる。
商談の実施顧客情報に基づき、販売ツールや社内リソースを活用して、商談を開拓し、受注へと進める。
契約・納品・検収社内の規定やルールに基づき、契約・納品(取扱説明を含む)・検収業務を遂行する。
トラブル・クレーム対応迅速に状況を上司へ報告し、上司の指示に従い解決に取り組む。
活動報告指定された報告を期日までに行う。また、自己の反省により次のアクションの指示を受ける。

私たちは、営業組織のパフォーマンス向上/営業力強化の支援をしていますので、多くの営業組織の業務内容を観察することができます。多くの企業の営業組織では、この表のうち、「商談の実施」「契約・納品・検収」「トラブル・クレーム対応」「活動報告」については営業業務として行っていました。すなわち、多くの企業の営業組織が考えている営業活動とは、この4つ(「商談の実施」「契約・納品・検収」「トラブル・クレーム対応」「活動報告」)が営業の仕事だと考えていました。

しかし、本来の営業活動は、その4つだけではなく、「市場・お客様の情報収集」と「売上目標の設定と計画の立案」も業務の範囲なのです。この「市場・お客様の情報収集」と「売上目標の設定と計画の立案」をやっている組織とやっていない組織では、営業担当者一人あたりの売上と利益率が格段に違います。また、「市場・お客様の情報収集」と「売上目標の設定と計画の立案」をやっている営業担当者とやっていない営業担当者でも、売上目標の達成確率と売上総額が違います。

多くの営業組織では、表で説明した「6つの営業業務」を営業の必須業務として定義していません。もし、会社/上司/先輩から指示がなかったとして、法人向け営業の営業担当者として結果を出すためには、以上の6つを実行することが大切です。

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まとめ

このノートでは、「法人向け営業(BtoB Sales, B2B Sales, Business To Business Sales)」についての基礎的な解説をしました。

一言で「法人向け営業」と言っても、大きく分けて4つの分類があります。また、法人向け営業には4つの分類がありますが、その分類の法人向け営業にも共通する「法人向け営業しての6つの必須営業業務」があります。このような基本的な特徴を理解するから、営業組織/営業担当者の成果を最大化することができるのです。

多くの企業が、法人営業組織のパフォーマンスを向上できずにいる真の原因はここにあります。

法人向け営業は、「指定された市場・お客様において、担当する製品群の営業活動を実施し、与えられた売上目標を達成する」業務です。その法人向け営業で成果を上げるためには、特長を理解した上での継続的な改善活動を行うことです。

私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウ/経験があります。貴社と力を合わせて、貴社が行おうとしている営業組織の改善活動が成功するように支援します。より具体的な内容説明の希望/質問/ご依頼は、下記からお問い合わせください。

(本ノートは、2016年11月11日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳(てらおたくみ, Takumi Terao)
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