一生懸命ほめているのに、「若手が思うように成長しない」「数年で辞めてしまう」「主体的に動かない」、実はこれ、多くの企業で起きている“共通の悩み”です。
では本当に、新人・若手社員は「ほめれば」育つのでしょうか?
私たちが多くの企業を支援してきた結論は明確です。答えは「NO」。問題は、ほめ方ではありません。新人・若手が育たず、定着しない企業には、ある「共通の構造的欠陥」があります。
辞めない組織をつくる、マネージャーが最初にやるべき1つのこと
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新人・若手育成に「ほめること」は本当に必要なのか?
少し前のことですが、テレビを見ていましたら、そのテレビの番組で「ほめる研修」が放送されていました。(【参照】http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/2846/index.html)
その研修では、大手企業の40代から50代のマネージャーたちが「若い社員をほめる方法」を学んでいました。大手企業が「ほめる研修」を必要としている理由には以下のようなものがあると紹介していました。
◆ 最近の若い社員はすぐやめてしまうし、どう育てるかわからない!
◆ 自分は叱られて育った世代、「ほめろ!」と言われてもどうほめたらよいかわからない!
番組が進み、「では、ペアになってロールプレイをやりましょう」と言う講師の掛け声とともに二人一組のロールプレイが始まりました。お互いにペアになって「あなたのそのネクタイの色、素敵ですね」「その表情、いいですね」と相手のことをほめはじめました。
新入社員/若手社員が育つために、そして、若い社員たちが会社をやめないようにするために、本当に、このようなほめる方法が必要なのでしょうか?
若手が育たず、すぐ辞めてしまう職場に共通する5つの特徴
私たちはクライアント企業の業績改善の支援を行っていますので、様々な企業の状況を観察する機会に恵まれています。いくつかの企業が「若い社員が育っていない」「すぐに辞めてしまう」という問題に直面していました。そのような悩みを抱えている企業の職場は以下のような状態でした。1. 今までのやり方にこだわる
2. 昔からの管理のやり方で行われている
3. 新しいツールが導入されていない
4. 教育がない、教育の内容が不十分
5. 機会が乏しい
1. 今までのやり方にこだわる
職場内には業務を進める上での様々なルールが存在しています。業務上の問題が発生した後、その問題を未然と防ぐためのルールを作ってきたためです。業務でのミスを無くすためにはルールは必要です。ですが、ルールが仕事の効率や生産性の邪魔をしていることも多いです。特に下記のような場合です。◆ ルールが文書化されてなく、誰かに聞かないとわからない、ルールがあることもわからない。
◆ ルールの判断基準が曖昧で人によって違う。
このような職場では、長く同じ仕事をしていて、ルールについて良く知っている人が影響力を持ちます。その人のOKがなければ仕事が進みません。業務を効率よく進めたくても、その人が抵抗すれば改善することができません。結局は、その影響力を持っている人の言いなりで仕事をするしかなく、仕事が楽しいものにはなりません。このような職場に若い社員は定着したいとは思いません。
2. 昔からの管理のやり方で行われている
管理が旧態依然の職場も若い社員が定着しません。例えば、営業組織では下記のような旧態依然の管理が行われていることがあります。◆ 外出後、必ず帰社して報告をしなければならない。
◆ 紙で毎月のレポートを提出する。
◆ 日報が必要。 決まりになっているが、日報を提出しても、誰もその日報を読まない。
◆ 必要以上にお客様との面会量を課す。
◆ 長くて意味のない会議。
◆ 気合と根性を重視して目標達成をめざすマネージャーの方針。
マネージャーは、部下であるメンバーの時間を大切にすべきです。部下であるメンバーが「お客様へ貢献するための時間」「会社の強みを強化するための時間」を持つことができるから、組織の成果を最大化することができます。ですが、その大切な部下の時間を報告や会議などに費やしているマネージャーは多いです。目標達成に向けて合理的な管理方法を行わなければ、若い社員が結果を出せるようにはなりません。
3. 新しいツールが導入されていない
未だに携帯電話と営業車だけを渡して営業をさせている企業もありました。業務の生産性を高めることに役立つパソコンやタブレットなどの新しいツールがたくさん出ているのに、そのツールを利用していないのです。また、パソコンやタブレットは渡していますが、外部から会社のシステムにアクセスできない企業もありました。商品の価格や納期などもわざわざ社内に電話をしなければわかりません。仕事の効率が悪すぎます。
通常このような企業はベテランたちが新しいツールに対して拒否感があり、導入を抵抗します。ですが、仕事の生産性の向上するためには、新しいツールの導入が欠かせません。このような企業にも若い社員は定着しません。
4. 教育がない、教育の内容が不十分
教育体系がない企業は若い社員の定着率がよくありません。先輩たちの経験や自慢話による指導しか受けられないからです。若い社員は合理的です。若い社員が求めていることは、下記のような自ら成長できる教育機会です。◆ 本当に成果がある理論や方法が知りたい
◆ 本当に成長できる理論や方法が知りたい
◆ 最短で成果を出すことができる合理的なやり方が知りたい
私たちは多くの若い社員と話をする機会がありますが、若い社員たちは合理的な人が多いです。その逆に、ベテランたちは合理性が乏しく、勘/経験/意欲に頼りがちです。合理的な方法を求める人たちに、勘や経験や意欲を押し付けても受け入れがたいのは当たり前です。
5. 機会が乏しい
年功序列的な人事評価が残っている企業は、仕事の経験の長い人がマネージャーに昇進します。その人はその後、長い期間マネージャーを担うことになります。その結果、若い社員がマネージャーになるにはその先輩たちが会社をやめるまで待たなければならないのです。マネージャーへの昇進のチャンスが限られている企業も若い社員が定着しません。若い社員が「この会社にいても、いつまでたってもマネージャーになれない」と感じれば、すぐに会社をやめます。特に、意欲的な若い社員から会社をやめていくことになります。
なぜ今の若手は「合理性」を重視するのか
私たちは、多くの若い社員に研修やコーチングを行っています。その経験を通して強く感じていることは「今の若い社員たちは合理的で優秀である」ということです。彼ら/彼女らは「短い時間でさっさと成果を最大化したい!」というシンプルで合理的な思考をしています。ですから「残業するつもりもないし、決められた勤務時間内に徹底して働き、多くの給料をもらいたい」と思っています。今、世の中で言われている「働き方改革」で求められていることが、そのまま価値観となっている人が多いです。
先ほど「ほめる研修」について説明をしましたが、マネージャーがそのようにほめたとしても「若い社員がやめてしまう」「若い社員を育たない」ことへの対策にはなりません。「若手が育たない」「若手を採用できない」「若い社員が定着しない」などの問題は、マネージャーがほめる方法を知らないから起こることではありません。会社のマネジメント体制/評価/教育/昇進の機会など、若い社員が力を発揮し、多くの機会を手に入れられる環境や会社の仕組みを用意できていないことが本質的な問題です。
多くの企業経営者/ベテラン社員は、「仕事をする環境が昔とは大きく変わり、合理性が求められるようになった!」と言うことを更に強く認識する必要があります。そうしなければ、「若い社員を採用できる」「若い社員が定着する」「若い社員が力を発揮する」会社とはならず、企業自体がどんどんと年老いた会社へとなっていきます。
新人・若手育成で、まず最初にやるべきたった1つのこと
「今までと同じ仕事の進め方」「今までと同じ管理方法」から新しいことへ変えることなく、部長や課長などのマネージャーに「ほめる方法」を教えても根本的な解決とはなりません。そのような「ほめる方法の教育」よりもしなければならないことがあります。それは仕事を合理的な仕組みへと設計し直すことです。その鍵をにぎるのが「仕事のプロセス化(見える化/可視化)」です。業務をプロセス化(見える化/可視化)し、そのプロセスに沿って仕事の進め方/求めるスキル/達成基準を明らかにします。
そうすることで、まず、それぞれの社員の「できていること」「できていないこと」を客観的に判断できるようにします。新入社員/若手社員の「できていないこと」については、それを明確に「できていない」と伝えてます。逆に、「できていること」も明確に「できている」と伝えます。
以上のように、仕事のプロセス化を行い、「できている」「できていない」をできるだけ明確に判断できるようにし、その判断基準に沿って仕事ぶりを評価/承認すれば、無理に「ほめる」必要はありません。部下などのメンバーの育成や目標達成を支援する手法に「コーチング」がありますが、そのコーチングでも「ほめなさい」とは言っていません。コーチングには「承認(Acknowledgement)」という要素が含まれますが、無理にほめなくてもいいのです。承認とは、できていることを「できている」、できていないことを「できていない」と認めて伝えるということです。それで、新人や若手はやる気を高めて大きく育つきっかけとなります。
「プロセスを明確にする」ということは、以上のことを通して「誰にでも業務ができるようにすること」「誰でもが、合理的に、短い時間で高い成果をだせるようにすること」です。
若手が辞めない会社に共通する視点
「若手はほめて育てろ!」 そう言われて、あなたも戸惑ったことはありませんか?新人・若手社員が育たない原因を、「最近の若者は…」と個人の問題にしてしまう限り、この問題は決して解決しません。問題の本質は、「仕事の進め方が属人化している」「評価基準が曖昧」「成長の道筋が見えない 」という「組織の設計」にあります。
だからこそ必要なのは、ほめるテクニックではなく、仕事をプロセスとして設計し直すことです。仕事が可視化され、「何ができていて、何ができていないか!」が明確になれば、無理にほめなくても、人は自ら成長します。新人・若手が育ち、辞めない会社とは、精神論ではなく、合理的な仕組みを持った会社なのです。
このプロセス化は、人の育成だけではなく、企業の生産性向上にも効果があります。是非、業務のプロセス化を行ってください。そして、それに基づきコーチングを行うことで、新人・若手に「できていることはなにか」「できていないことはなにか」を正しく伝えてください。それが、新人・若手も納得する育成方法への第一歩です。
私たちは、多くのクライアント企業の業務改善/パフォーマンス向上/変化変革を実践しました。事業を成長させるためのその豊富なノウハウ/経験があります。貴社と力を合わせて問題を発見し、その問題を解決します。もし、実施してもうまく行かなければ、私たちに連絡をください。新入社員/若手社員があなたの会社でさらに活躍するために、私たちが「仕事のプロセス化/可視化」のお手伝いを致します。
(本ノートは、2017年3月4日に書かれたものを再編集しました)
文:ティ・スクエア㈱ 寺尾 卓巳 (てらおたくみ, Takumi Terao)
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