成長できる組織 vs. 成長できない組織、その差を生む要因とは何か? ~ 企業を発展&成長させる組織体制へ進化する手順

成長できる組織と成長できない組織、その違いを生み出している要因は何でしょうか?

企業の持続的な発展を目指し、成長できている組織もありますし、成長できていない組織もあります。成長できる組織には成長を持続できる理由があり、成長できない組織には停滞してしまう原因があります。様々な企業のパフォーマンス向上や事業の成長の支援を通して、その差を生み出す本質的な要因がわかってきました。

「組織として成長が停滞してしまっている原因」および「持続的な成長ができる組織体制へ進化する具体的な手法」について解説します。

企業を発展&成長させる組織体制へ進化する手順

成長が停滞している企業や組織の実態!

多くの企業が成長を目指しています。企業が成長を目指す理由は、「企業だけが成長できれば良い!」という目的だけではありません。「企業や組織が成長することで、その社員や家族を幸せにする!」という目的も含まれます。社員やその家族の幸せや豊かさのためにも企業や組織は成長する必要があるのです。

もし、企業や組織が成長できなくなると、社員が働く場を維持することも、社員の給与水準を維持することもできなくなります。ですので、社員や家族のためにも、企業や組織は持続的な成長を目指します。ですが、すべての企業や組織が成長できているわけではありません。成長できずに苦労している企業や組織もあります。

なぜ、多くの企業や組織は成長できずに苦労しているのでしょうか?

ケース1. 年間目標達成を目指しているが…

外資系企業A社の日本法人は、海外にある本社から毎年高い売上目標が割り振られます。例えば、前年度の売上達成額が300億円であれば、今年の売上目標は330億円へと増額されます。このように企業や組織が目指す売上目標は年々高くなっています。その分、社員一人ひとりの目標額も高くなるのです。

このA社の社員のボーナスは、その売上目標の達成度によってボーナスが増えたり減ったりします。達成度が悪いとボーナスが減ってしまうために、生活レベルを高めたければ、毎年増え続ける売上目標を達成し続けなければなりません。そのため、A社では、「年間の売上目標を達成する」ための日常の業務管理(マネジメント)が行われていました。特に、目標達成のために、マイクロマネジメント(細かい事まで指示をする管理方法)が行われていました。

このA社の社員数は、以前は6,000人もの社員がいましたが、現在は3,000人にまで減っていました。年間目標の達成を目指し、手を抜くことなく必死にがんばっているのですが、企業や組織としては成長できていませんでした。

ケース2. 目標達成を目指す改善や社員の教育機能していない!

サービス企業B社の経営者は、「企業や組織としての改善活動や社員の教育は大切だ!」と考えており、積極的に社員を教育していました。部長などのマネージャーたちは、毎月1回、部下である課長たちを集め、目標達成のための対策を講じさせていました。また、課長たちは社員たちへ「展示会の開催」や「業務マニュアルの作成」などの目標達成に役立つ活動を実施させていました。それらとは別に、月に1回、社員たちの今後のキャリアプランやモチベーション向上に関わる教育も行っていました。

以上のように、目標達成に向けた改善活動や社員への教育を行っているのですが、B社は、ここ数年、売上も従業員数も増えることなく、企業や組織として成長できていない状況でした。

ケース3. 一旦成長できたのに、また、停滞してしまった!

C社は、外部のコンサルタントの支援をうけ、2年間に渡り、メンバーの業務スキルを強化しました。その結果、年間売上を120%へと成長させることができました。その後、そのコンサルタントから、「C社がさらに成長するためには、より難度の高い業務プロセスの再構築が必要だ!」との助言を受けました。

C社は、その次なる対策は、コンサルタントの支援を受けることなく、C社の社員だけで実行しました。ですが、その後、年間売上をそれ以上増やすことができませんでした。

3つのケースに共通する問題はなにか?

成長することができていない3つの企業を紹介しましたが、これら3つの企業のマネージャーや社員たちに共通していたことは、「与えられた目標達成に向けて、仕事を頑張っているマネージャーや社員は多い」ことでした。

ですが、「与えられた目標達成に向けて、仕事を頑張っている」ことが、企業や組織として成長につながっていなかったのです。

この3つの企業に共通する「成長できなかった原因」は、以下の2つでした。

◆ 「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を行っていなかった。
◆ 「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」をやっているつもりだったが、機能していなかった。

ケース1のA社は、マイクロマネジメントまで行い、「与えられた年間目標を達成するための業務」を集中して行っていました。しかし、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」は、一切行われていませんでした。A社は、以前、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を挑戦していたので、6000人までの企業規模へと成長できていました。ですが、現在は、それを実行していなかったのです。

ケース2のB社は、A社とは違い、「与えられた年間目標を達成するための業務」だけではなく、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」も行っているつもりでした。しかし、部長が課長へ指示していた活動は、「年間の目標達成のための対策」でした。また、その課長が社員(メンバー)へ指示していたのは、直面した問題の対処のためのものでした。すなわち、B社は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を実施しているつもりだったのですが、実際には、「年間目標を達成するための活動」と「時折発生する問題の表面的な対処の活動」だけが行われている状態でした。「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」と呼べる活動はなかったのです。

ケース3のC社は、外部のコンサルタントが関与して、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を行い、一旦20%もの成長を成し遂げました。その後、その経験に基づき、自分たちで「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を行おうとしました。ですが、社員たちの能力がまだ十分ではなく、かつ、企業や組織としてそれらの活動を支援する仕組みがなく、成果を出すことができていませんでした。

持続的に成長できている企業や組織へ、組織を進化させる方法とは?

持続的に成長できている企業や組織が成長できている理由とは?

以上に紹介した「成長することができていない3つの企業」と比べ、持続的に成長できている企業や組織がそれを可能にしている理由は下記の2点です。

◆ 「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を、一定量継続して行っている。
◆ 「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を、企業や組織として支援する仕組みがある。

持続的に成長できている企業は、もちろん、「年間目標の達成にむけた日常業務」はしっかり行っています。ですが、「年間目標の達成にむけた日常業務」だけをしていても、企業や組織の持続的な成長はできません。持続的に成長できている企業は、「年間目標の達成にむけた日常業務」と併せて、適切な時間を「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」に投資しており、かつ、それを最後まで完遂する支援体制が整っているのです。

企業や組織が成長を持続するため仕組みを構築する手順

社員が「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を遂行できるようにするためには、まずは、その具体的な方法(チームにおける問題解決のメソッド)を学ぶ必要があります。「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を実行するための方法を学ばなければ、さきほど紹介したB社とC社と同じ状態になってしまいます。

「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を実行するための具体的な方法(すなわち、チームにおける問題解決メソッド)の学習が終わったら、実際に組織問題の解決や、組織を強化する活動を始めます。しかし、この活動にあまりにも多くの時間をかけてしまうと逆効果です。「年間目標の達成にむけた日常業務」を確実に実行しなければ、年間目標を達成することはできません。「年間目標の達成にむけた日常業務」のための時間は十分確保したうえで、5~20%の時間を「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」の活動に投資をします。

次は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」が定常的に実行される仕組みを作ります。具体的には、企業や組織として、その活動が完了するまで支援する仕組みや、実行した社員たちを評価する仕組みです。このような企業や組織の仕組みが機能しはじめたとき、持続的に成長し続けることができるようになります。

企業や組織が成長を持続するため仕組みを構築するときの注意点は?

この「企業や組織が成長を持続するため仕組みの構築」には、外部のコンサルタントの協力を得て進めることが、早く、かつ、確実に構築できるコツです。外部のコンサルタントの協力を受けたほうが良い理由には3つあります。

その理由の1つ目は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」には応用力が必要だからです。

1日や2日の研修を受けただけでは、残念ながら応用力まで身につけることができません。実際に企業や組織がおかれている状況に合わせて、「適切な情報収集」→「対策検討」→「合理的な意思決定」→「メンバー間の合意形成」→「人間関係により発生する各種対立の解決」を行なわなければ、最後までやり遂げることはできません。そのような判断力や応用力を身につけるためには、「チームにおける問題解決」に精通した外部のコーチの適切な助言が必要です。紹介したケース3では、外部のコンサルタントが適切な進行支援や助言を行っていたときは成長できていたのです。

2つ目の理由は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」における役割を理解していないマネージャーが関与すると、これらの活動が途中で実行されなくなってしまうからです。

本来は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を行うことが目的なのですが、マネージャーが次第に「年間目標の達成にむけた活動」へと変えてしまうのです。なぜならば、マネージャー自身も年間目標を持ち、その達成責務を担い、その目標達成に苦労をしているからです。「年間目標の達成のための活動」と「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」は、そもそも違うのですが、それらを分けて扱うことができなくなり、「年間目標の達成のための活動」の一環として、行動量のノルマやプレッシャーを掛け始めるのです。ケース2のB社は、このことが原因で、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」のプロジェクトが、最後まで遂行されることがない状態となり、次第に実施されなくなっていました。

3つ目の理由は、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」は、マネージャーが指示して行うのではなく、メンバーが主体的に行うことが大切なためです。

メンバーが主体的に実施する時、マネージャーは外部のコーチとともに助言役という立場で関与することが重要です。ですが、マネージャーは、推進役として関与しがちです。もちろん、メンバーたちが結果を出せるようにするためではあるのです。ですが、それでは、メンバーたちが主体的に実行する状態ではありません。上司であるマネージャーの指示されたことをやっているだけにすぎません。

メンバーが主体的に遂行する、そして、マネージャーがそのための助言役を担う、それぞれのその役割をうまくコントロールし、調整できるのが外部のコーチです。

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成長できる組織と成長できない組織、その違いを生み出している要因は何でしょうか?

このノートで解説した通り、持続的に成長できている企業や組織は、「年間目標の達成にむけた活動」だけに没頭するのではなく、「成長に向けた組織の強化や組織問題の解決」を行っています。この「チームによる問題解決」は、企業や組織の成長のための強力な手法です。

「ティール組織」という書籍で、進化型組織の事例が紹介されていますが、進化型組織はこのような成長への行動を推奨し、行っています。この「チームによる問題解決」は、進化型組織だけに効果的なものではなく、すべての企業や組織においても成長するためには必須の手法です。実際、私たちも、クライアント企業の「チームによる問題解決」のコーチ役を担い、クライアント企業の成長に貢献しています。

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